俺と雪ノ下の最初のポケモンがユキワラシなのはまちがっている。   作:リコルト

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材木座の研究所とでんきタイプのジムリーダー

 

 

「ここが我の研究室だ!」

 

 

「へぇ、意外にまともにやってるんだな」

 

 

 クチバシティに到着した俺はポケモンをポケモンセンターに預け、その暇な時間を使って材木座の研究室へと来ていた。

 

 材木座の研究室は3~4人しか入れない規模の個室タイプではあったが、あちこちには資料やポケモンに関わるサンプルのような物が窺えて、しっかりとやっているのが伝わる。まぁ、本棚の中にはラノベのような本が数冊詰まってはいたが。

 

「キキキ!キュィ!?」

 

「リザッ!!リザーッ!」

 

「ああ、帰るのが遅れてすまんな。コイル、リザード。今日は客人がいてな」

 

 すると、研究室の奥からドローンのように浮遊してくるコイルと実験器具のような物を手に持つリザードがやってくる。

 

「もしかして、お前のポケモンか?」

 

「うむ。我が自慢の手持ちのポケモンである!」

 

 そう言って、材木座が俺についてポケモン達に紹介すると、最初は警戒していた材木座のポケモン達は俺にすり寄って来る。

 

 それにしても、意外だった。まさか、最初のポケモンが進化していて、さらには新たなポケモンを捕まえている。戸塚や川崎や葉山グループを含めたトレーナーズスクール出身組では一番ポケモントレーナーしているんじゃないかと思う。

 

「なんだよ。普通にポケモンいるじゃん。何でサンドの調査に連れていかなかったんだよ?」

 

「サンドの調査にコイルもリザードも圧倒的に不利だからな。我としても研究を手伝って貰っているポケモン達を無理に傷つけさせるのは不本意だ。だから、すぐに帰って来る事を告げて出掛けたら………」

 

「成る程、把握したわ」

 

 そこで、俺が材木座の悲鳴を聞いたあの場面に繋がるというわけか。まったく……自身の安全を確認して引き際を弁えて欲しいものだ。

 

「そう言えば……お前のリザード。ヒトカゲが進化したんだよな?あまり戦わせたりはしないと言ってたが、どうやって進化したんだ?」

 

 ポケモンの進化には色々と方法がある。石による進化、特殊な気候や時間による進化、なつき度合いによる進化、そして一般的なレベルアップによる進化。ヒトカゲはこのレベルアップによる進化に該当する。だとすれば、材木座のヒトカゲはポケモンバトルによるかなりの経験値によって進化したことになる。そう考えると、あまりポケモンを戦わせたりはしない材木座のポリシーに反する。

 

「おお、そのことか。実は我はある人物の専属技術スタッフもやっていてな」

 

「ある人物?」

 

「うむ。クチバシティで研究者を始めた頃、我の昔からの機械いじりの才能がその人に買われてな。我はその人の頼みを度々聞くたびに、その人が我のヒトカゲとコイルを暇潰しに鍛えるようになったのだ。で、その人物が「おぉい!材木座!俺が依頼した技マシンの機械は一体どうなってる!?」……タイミング良くその人物が来たようだな」

 

 材木座がそう言うと、部屋の外から大声を出していた男が勢い良く部屋の中に入ってくる。髪は金髪で、服装は軍人のような迷彩柄の服、普通の人なら外見だけで怖い人だと認識してしまう程に厳つい。

 

「しっかりと調整は終えてあります、マチス殿。ほら、これが例の技マシンの機械です」

 

「おぉ………流石の出来映えだぜ!で、今日は珍しく客人がいるじゃねぇか?お前、名前は?」

 

「ひ、比企谷八幡です……」

 

 まるで借金取りに会った気分だ。外見も厳つければ、内面もその通りである。俺達よりかなり年上ではあるが、材木座がいつもの喋り方をせず、丁寧な話し方をするのも理解できる。確実に機嫌を損ねたら、ヤバい人だ。

 

「比企谷……八幡か。ほう、確かに面影があるぜ。お前の親父とは俺が昔所属していた組織の同僚のツテで見たことがある」

 

「どうして親父のことを?」

 

「おお、自己紹介がまだだったな。俺の名前はマチス。このクチバシティのジムリーダーをやっている。歓迎するぜ、八幡」

 

 

 ええ……まさかのジムリーダーかよ!?というか、材木座の依頼人ってこの人だったのか。なら、材木座のリザードの進化も頷けるわ。

 

 

…………………

 

 

…………………………………

 

 

…………………………………………………

 

 

「えっ!?八幡の親父殿ってそんなに有名人なんですか!?初耳なのだが!!」

 

「ああ、コイツの親父はジムリーダーで知らねぇ奴は絶対にいねぇヤバいトレーナーだ。今時のトレーナーは比企谷重吾の名前を知らないのか?」

 

 そう言ってジムリーダーであるマチスさんは自分の年齢とのジェネレーションギャップを染々と感じながら、材木座に俺の親父の話をしていた。

 

「そう言えば、八幡。聞き忘れておったが、お前はどうしてクチバシティに来たのだ?」

 

 あ、そう言えば材木座には話してなかったな。クチバシティに来るまでコイツの話をひたすら聞かされていただけだったし。

 

「もちろん、ジムバッジ集めだ。と、言いたいが、今はシオンタウンに行かなくてはならなくてな。クチバシティにはポケモンを休めるために来ただけだ。休め終わったら、すぐ出るつもりだ」

 

 そう言って、俺はタケシさんから紹介状を見せながら事の経緯を説明する。目の前にクチバジムのジムリーダーがいるが、ジムバトルをしない宣言をして海に沈められたりしないだろうか。

 

「セキチクシティ……か。比企谷重吾が息子を鍛えて欲しいと頼んだ相手は一人しかいないな。それに、その白紙の紹介状も仕組みが分かった」

 

 俺の話を聞いたマチスさんはセキチクシティの紹介状の人物に覚えがあるらしい。それに、紹介状もなぜ白紙なのかが分かったそうだ。

 

「本当ですか!?なら教え「だが、ただで教えるわけにはいかねぇ。目の前にジムリーダーがいながら、ジムバトルをしねぇと言った少々贅沢な野郎には痛い目にあって貰わねぇとな!」

 

 やっぱり、根に持ってたよ!?すいません、マジですいません!だから、どうか海には沈めないでください。死んで転生するのは一回で十分です!

 

「……ポケモンが回復するのは後どれくらいだ?」

 

「……えっ?後、一時間ぐらいか…と?」

 

「そうか!なら、話が早い!ポケモンが回復したら、すぐにクチバジムに来い!俺がすぐにジムバトルをしてやる!もし、お前が勝ったら、バッジと共にセキチクシティの相手について教えてやるぜ!このクチバジムをスルーする奴にはこうでもしないとな!」

 

 ……成る程、まさかの避けられないジムバトルと来たか。だが、ここで嫌ですと言って海に沈められるよりは全然マシである。

 

「……分かりました」

 

「おーし!じゃあ、クチバジムで待ってるぜ!……そうそう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「?……何のことだ?」

 

 そう言い残して、マチスさんは材木座の研究室から出ていった。何やら、意味深な言葉を残していったが、どういうことだ?

 

「気をつけるが良いぞ、八幡。マチス殿は意外にも巧妙なテクニックの使い手だ。昔はロケット団に所属していた経歴を持つが、その腕は一流である」

 

「えっ?ロケット団?」

 

「知らんのか?今は活動はしてないが、5年前のロケット団全盛期のマチス殿はロケット団の中枢のような存在だったのだぞ。今はマチス殿と同じように普通のジムリーダーをやっているが、何人かのジムリーダーも昔はロケット団の仲間だったらしい……。まぁ、我達も幼かったから知らなくても同然だな」

 

 へぇ……ジムリーダーの中にはそういう経歴の奴もいるのか。ロケット団についてはあちこちで情報を集めている際に、一人の少年によって潰されたことは知っていたが、それは知らなかったなぁ。

 

 やはり、ここは俺が知るただのポケモンの世界では無いらしい。正確にはポケモンの世界に基づき、それに似ている世界と表現した方が良いだろう。

 

 とはいえ、今はマチスさんだ。今はそれに集中しないとな。

 

「うん?これは?」

 

 そう思っていると、材木座の机に散らばった数枚の研究資料に目がいく。

 

「こいつは進化の石のカタログか………」

 

 パラパラとページをめくるように資料を見ていくと、ある写真が目に入った。

 

「……こいつは!?」

 

 

 

 

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