俺と雪ノ下の最初のポケモンがユキワラシなのはまちがっている。   作:リコルト

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なかなか投稿出来なくてすいません。
あつ森にハマッていました(自白)


VSマチス

 

 

「よーし!時間通りに来たな!」

 

「……うっす」

 

 指定された時間にクチバジムにやって来た八幡。ジムの中に入ると、工場のような複雑そうな内装の奥で八幡を呼び寄せた張本人マチスが面倒くさそうな八幡とは対照的に上機嫌に彼を出迎えていた。

 

(……ジムリーダーのマチス。ゲームだと、でんきタイプの使い手だったよな)

 

 本来なら今からでもシオンタウンへと向かいたい所だが、マチスさんとの約束を破って、後からジムに挑戦出来ないのは非常に困る。何せクチバジムのバッジはポケモンリーグに必要不可欠だからな。

 

 さらには宛名が分からなかったセキチクシティの人物にも心当たりがあると言う。情報が確かとは言いづらいが、少しでも情報が欲しい。俺の要求をよく分かっている交渉のやり手だ。これなら、簡単には断れないだろう。

 

 外見と性格からはテンションが高いジム通いの外国人にしか見えないが、材木座の言う通り狡猾さのような一面も見られる。やはり、ジムリーダーをやっているだけのことはあるということか。

 

 

「ハチマン!手持ちは二体だよな?」

 

「そうですが、何か?」

 

「だよな!なら、手持ち二体同士のシングルバトルといこうぜ!俺はこの二体を使う!!」

 

 そう言ってマチスさんはモンスターボールが付いたベルトから二つのボールを俺に見せつける。

 

 

 今の言い方……何か変なんだよな。まるで、俺の全てを知られているような感じだ。俺の手持ちの数も予め知った上で、確認しているような聞き方だった。材木座とは会ったばかりだし、あいつとはポケモンが回復する時間まで俺と一緒に研究室にいたから、あいつがマチスさんに伝えたとは考えにくい。

 

 まぁ、別に良いか。ジムリーダーが個人的に知ってくれたなら、ジムバトルの準備も効率良く進行する。恐らく、そういう事だろう。

 

「こちらから行かせてもらうぞ!出てきな!!My favorite ポケモン!!」

 

「マル!マルマー!!!」

 

「……マルマインか」

 

 マチスさんの最初のポケモンはマルマイン。でんきタイプのジムリーダーの名に恥じない生粋のでんきタイプのポケモンだ。彼のお気に入りのポケモンという事もあり、強いのは明白だ。

 

 なら、俺も出し惜しみはしない。

 

「いくぞ!カマクラ!!」

 

「ユッキー!!」

 

 俺は最初のポケモンにカマクラを選択する。相手がお気に入りのポケモンでかかって来るなら、俺もそれに対して対抗するしかない。

 

「ふっ…やはり相棒のユキワラシで来たか」

 

 マチスさんもこれには納得しているのか、カマクラを見て笑みを浮かべている。だが、その笑みの裏には何かが潜んでいるようにも窺えた。

 

「……何を隠しているのかは分かりませんが、俺から行きますよ。カマクラ!こおりのキバ!」

 

「ユキ!ユッキー!!」

 

「マルー!!?」

 

 カマクラの冷気を纏ったキバがマルマインの身体に刺さり、マルマインはキツイ顔を見せる。だが、マルマインのトレーナーであるマチスさんは一切焦るような様子が見えなかった。

 

「……なかなかやるじゃねぇか。だけど、危険物にはあまり近寄らない方が良いって言うのは父親に学ばなかったようだな!マルマイン!でんじは!」

 

「マールー!!!」

 

「ユキュっ!?」

 

「ちっ……しまった!?」

 

 マルマインから発せられる痺れるようなでんじはを至近距離で噛みついているカマクラが避けることは出来なかった。それにより、カマクラは麻痺するように動きが鈍くなっているのが分かる。

 

「ま、まさか!?」

 

 マチスさんがこの状況でカマクラをまひ状態にする理由、そしてマルマインを使った理由がこの状況でようやく俺は理解する。

 

「カマクラ!離れろぉ!!」

 

「…気付いたか。だが、遅い」

 

 

 俺が呼ぶ頃にはすでにマルマインは白い光と共に何かを発する直前だった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マルマイン!だいばくはつだ!!」

 

 

 

…………………

 

 

……………………………

 

 

…………………………………………

 

 

 

「これで、両者は残り一体同士だな!」

 

「ですね………」

 

 俺はボールに戻したカマクラを手持ちにしまう。こればかりは俺の誤算だった。俺がもう少し様子を見ていれば、こういう事にならなかった筈だ。

 

 そう思いつつ、二体目であるニドリーノを場に出そうとすると、マチスさんは俺に話しかける。

 

「お前の二体目……ニドリーノだろ?」

 

「そうですが、それが?」

 

 まるで手のひらで踊らされているような口ぶりに思わず不機嫌に答えてしまう。

 

「ジムリーダーはそれぞれチャレンジャーにポケモンバトルで大事な事を教えるのは知っているか?」

 

「ええ……まぁ……」

 

 それはニビジムのタケシさんから十分な程身に染みている。タケシさんは初心者のためにポケモンのタイプ相性を教えていたんだよな。

 

「俺が教えるのは『情報の大切さ』だ」

 

「情報の大切さ?」

 

「ああ、俺が教えるのは謂わば情報戦。ポケモンリーグにおいて、対戦相手の手持ちを良く知っている奴はその分バトルを有利に進められるし、逆に自分の情報が相手に知られれば、知られる程不利になる。ポケモンバトルっていうのは相手を知っている奴が勝つのさ」

 

「じゃあ、俺の手持ちを知っていたのは……」

 

「俺がこの一時間でお前に纏わる情報を全て予習したからだ。ここは港町のクチバシティ。他の地方とも交流があるここでは情報って言うのは何よりも大事で、知らない所から流れやすいのさ」

 

 やられた。手持ちを知っているのはそういう事だったのか。だが、ここで文句を言うのは間違っている。マチスさんの言っていることは正論だからだ。

 

「……けど、まだ勝負は分かりませんよ」

 

「どうかな?それはこの俺のAce ポケモンが教えてくれるぜ!出てきな!」

 

「ギギィ!!キキィ!」

 

「……マジか、レアコイルだと?」

 

 マチスさんが二体目に出してきたのはコイルの進化系であるレアコイル。それを見て、俺は焦りを覚えているような状況だった。

 

「ニドリーノはどくタイプ。レアコイルはでんき・はがねタイプ。ニドリーノのタイプ相性は圧倒的に悪い。さぁ、どうする!ハチマン?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……まさか、こいつを使う時がすぐ来るとはな。

 

 

 

 俺はカンナさんから貰った黒曜石のような渋みのある黒い石を鞄から手に取る。

 

 

「……おいおい。そいつは!?」

 

 

 先程まで俺を試していたようなマチスさんもこの展開は予想もしてなく、額から汗が零れていた。

 

 

「ニドリーノ!受けとれぇ!」

 

 

「ニドッ!!ニッドー!」

 

 

 投げつけた黒い石をニドリーノがキャッチすると、白い光に包まれる。

 

 

 光が止むと、そこには低い重厚感のある足音と共に二足歩行する巨大な姿があった。

 

 

「ニッドォォーーー!!!!」

 

 

「……おいおい、これは聞いてねぇぜ!流石は比企谷重吾の息子だ!このタイミングでニドキングに進化させるとはなぁ!面白れぇ!」

 

 

 先程まではマチスさんもこの進化には予想外だった様子だったが、今はこのイレギュラーな事態を楽しむかのよいに興奮し、楽しんでいる様子だった。

 

 

 

 さぁ、改めてどく・じめんVSでんき・はがねのポケモン同士の最終戦といこうか。

 

 

 

 


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