俺と雪ノ下の最初のポケモンがユキワラシなのはまちがっている。   作:リコルト

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ニビシティ到着と月夜の決意

 

 

「ようやく着いたな、ニビシティ」

 

 トキワの森を抜けて、ついに俺達は最初のジムがあるニビシティへと辿り着いた。

 

 時間もまだそんなに遅くはない。今からジムに挑むことは出来るが、トキワの森を抜けた後にやるのは流石に辛いため満場一致で明日に延期することにした。俺もぶっちゃけ体力が限界である。

 

「それにしても大きい町ね。それにあちこちで鉱夫の人が多く見られるわね?」

 

「そりゃ、そうだよ。ニビシティにはカントー地方最大の博物館があるし、近くにはおつきみ山という進化の石が多く取れる鉱山があるからね」

 

 雪ノ下の質問に戸塚が丁寧に説明する。要は鉱業が発達している町という感じなのか。ゲームでは、博物館とジムしか無いような町であったが、屋台のような店や石造りの家が多く、発展している様子は感じられる。

 

 だいたいはゲームと似ているが、所々は現実味があるんだよな。なんか変な感じ。

 

 

……………………

 

 

……………………………………

 

 

………………………………………………

 

 

 初めて来たニビシティをある程度観光した後、俺達はニビシティのポケモンセンターに入り、人数分の寝床を確保し、トキワの森で付いた汚れを綺麗に流し落とした。ポケモンセンターって最高の施設だよな。トレーナーだったら、寝る場所とお風呂を無償で提供してくれるから。これに慣れたら、もう野宿は二度としたく無いと思う人絶対にいるよなぁ。

 

「そう言えば、比企谷君。イエローさんから貰ったニドリーノの様子はどうかしら?」

 

 戸塚達を含めた計4人で、ニビシティのファミレスで夕飯を食べていると、雪ノ下が俺に訊ねた。

 

「問題ない。さっきモンスターボールから出して、様子は大丈夫そうだった。しっかり、俺の命令も聞いてくれたよ。だからついでに、どんな技を覚えているかとレベルも確認したさ」

 

 そう言って、俺は雪ノ下達に自分のポケモン図鑑を見せて、手持ちのレベルを見せる。

 

 

〇カマクラ(ユキワラシ)レベル21

 

〇ニドリーノ レベル20

 

 

「かなり強くなったわね。二匹共」

 

「そりゃ、比企谷にはトキワの森で積極的に沢山のスピアーとかを倒して貰ったからね。アタシ達のポケモンもレベルは上がっているけど、比企谷だけこんなにレベルが上がっているのは納得だよ」

 

 そう、川崎の言う通りである。雪ノ下や戸塚や川崎も自分のポケモンで、トキワの森のポケモン達を倒していたが、倒した数が多いのは俺である。しかも、イエローさんに助けられたとはいえ、カマクラ達は高レベルのアーボックと戦闘し、勝ち星を取っている。その時の経験値も獲得しているのだろう。

 

「そう言えば、明日のジム戦はどうするんだ?一人ずつ挑戦する感じか?」

 

「別に4人で手持ちを合計しても5体しかいないから協力して一斉に挑戦するのは大丈夫だと思うよ。むしろ、ニビシティはトレーナー初心者の人達が最初に受けるジムだから協力して一斉に挑戦する形を奨励しているジムなんだよね。他のジムでは、八幡が言ったように一人で挑むのが主流だけど」

 

 へぇ、つまりは4人で挑んで、ジムリーダーを倒したら、4人共ジムバッジが貰えるシステムか。初心者にとっては有難いし、ジムチャレンジもかなり効率的だ。戸塚に聞いて正解だったわ。

 

「なら、明日は全員で協力して挑むわよ。私は少し外の風に当たってから寝るから」

 

「ああ、分かった。当たりすぎて寝不足になるなよ、雪ノ下。じゃあ、おやすみ」

 

 俺と川崎と戸塚は先に寝るが、雪ノ下はまだ起きているらしい。やっぱ、自分の好きなゲームの世界に来ているからウキウキしているんだろうな。無理はするタイプだが、人には迷惑をかける奴ではないし、大丈夫だろう。迷子をする奴でもないしな。

 

 さて、俺は先に寝るとするか……

 

 

…………………

 

 

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「比企谷君だけズルいわ。新しい手持ちのポケモンを手に入れるなんて」

 

 比企谷達が眠りに着く頃、雪ノ下はニビシティの近くの草むらに足を運んでいた。

 

「私だって、本当は新しいポケモンを捕まえたかったわよ。でも、むしタイプのポケモンは生のスピアーを見たら、どうも躊躇っちゃって……」

 

「ユキュ?」

 

「……大丈夫よ、ユキヒメ。別にポケモンが怖くなったわけじゃないから」

 

 そう言って雪ノ下は心配そうにその様子を見ていたユキヒメを抱っこして、頭を撫でる。

 

「それにしても、私が知っているポケモンの世界とこの世界は何か違うようね。比企谷君が持っているニドリーノの件も含めて、ポケモンの生息地はバラバラ。さらにはスピアーのような進化形のポケモンも普通に存在している。比企谷くんは気付いてそうだけど、まるで私達の常識とゲームが交ざっているみたいだわ」

 

 しばらく歩き続けていた雪ノ下は手頃な斜面を見つけ、そこで横になりながら休憩しつつ、この世界について改めて深く考えていた。

 

「でも……悪くないわ。私の好きな事が出来る世界。それなら、少しぐらいのイレギュラーな事が起こっても嫌いじゃない。逆にそうでなきゃ、つまらないもの。私はこの世界で自由にやらせて貰うわ」

 

 決意と共に雪ノ下は空に浮かぶ青白く綺麗な満月を掴もうとする。

 

 

「ピッピ?ピッピッ!」

 

 

「……えっ!?」

 

 

 その時、ピンク色のシルエットが彼女の顔を覗きこむ。雪ノ下はその姿に動揺を隠せなかった。

 

 

 

 

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