俺と雪ノ下の最初のポケモンがユキワラシなのはまちがっている。 作:リコルト
この作品を前から見ていた方々は気づいた方もいるでしょうが、雪ノ下のユキワラシのニックネームをユキヒメに改名させて頂きました。
困惑された方々、申し訳ありませんでした。
次の日を迎えた俺達はしっかりと朝食を摂り、手持ちのポケモンを確認し、最初のジムであるニビシティジムの入り口前に足を運んでいた。
「よし、3人共準備は良いか?」
「もちろん!」
「ああ、最初から全力で行くよ」
俺の問いかけに戸塚は元気よく、川崎は男勝りな口調で自信満々に返事をする。二人も最初のジム戦という事もあり、手持ちのポケモンのコンディションも完璧だと言う。
ニビシティに来るまで、俺も野生のポケモン以外にトレーナーとも戦ってきたが、ジムリーダーの強さというものがいまいちピンと来てない。そこらのトレーナーより強いのは分かっているが、ジムリーダーだとそう簡単には倒せないだろう。
幸い、戸塚と川崎のポケモンはフシギダネとゼニガメでいわタイプのジムリーダーであるニビシティジムリーダーには非常に効果的だ。俺としては彼らに非常に頑張ってもらいたい所だ。
「当たり前よ♪早くジムバッジを手に入れるわよ」
「「「…………………………」」」
そして、こいつはどうしたのだろうか。ジムに挑むという気持ちがすごく感じられるが、戸塚や川崎よりも顔のテンションが高い気がする。しかも、口調がいつも通りなので、ギャップが激しい。
元々重度のポケモン好きという趣味を隠していたが、ジム戦でこんなにテンションが高くなるものなのか微妙な所だ。重度のポケモン好きに加えて戦闘狂という性格を隠していたのか?
昨日は普段の雪ノ下だったから、夜の内に何かがあったのだろう。すごく知りたいが、こんな状態の雪ノ下に聞くのってめっちゃ勇気がいる。
ただ、余計なことを聞いて、この俺達のコンディションを壊すのもあれだし、聞かないのが正解だろう。ジム戦になったら、普段のクールな雪ノ下に戻るだろう。いや、戻って欲しい限りです。
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ジムの中に入ると、内装はプロレスの会場のような感じで、真ん中にバトルフィールド、そしてそれを囲うような形でギャラリー席が設けられていた。
もうこの時点で、俺と雪ノ下のゲームの知識を逸脱している。ジムの内装は迷路っぽいものがゲームでは見られたが、この世界では違うらしい。チャレンジャーの俺達としては簡素で嬉しいが、なんか寂しい気もする。
そう思いつつ、ジムの中を見学していると、バトルフィールドではジムリーダーと思われるゴツい男性と見慣れた金髪がバトルを終えた所だった。
「ヒトカゲ!!」
見慣れた金髪の男、葉山が自分の手持ちであるヒトカゲに駆け寄る。どうやら、葉山はジムリーダーに負けたようだ。
「あのジムリーダーのポケモン……まさか、カブトプスか?」
葉山のヒトカゲも気になる所だが、何より気になったのは相手のジムリーダーのポケモンだった。
ジムリーダーのポケモンはカブトプス。カブトの進化形で、ゲームにおいてニビシティのジムリーダーが出す筈の無いポケモンを使っていたのだ。
これには俺だけでなく、雪ノ下や戸塚や川崎も予想外の反応を示していた。何が最初のジムだよ。ガチでチャレンジャーを倒しに来てるじゃん。
「待つし!!何でニビシティのジムリーダーがカブトプスを使ってくるし!初心者に優しいっていうのは嘘だったのかし!!」
「そうだし!優美子の言う通りだし!!」
しかし、葉山が負けたという結果に納得できないのか、俺達と同じように協力してジムをクリアしようとしていた仲間の三浦と由比ヶ浜は相手のポケモンについて抗議をする。そして、その二人を何とか抑えようとしているのは同じく彼らの仲間の戸部と海老名さんだ。
よくよく考えてみたら、この世界に来て初めてあいつらと対面するわけだが、どんな世界に来ても変わらないものは変わらないようだ。
「何も意地悪をしたわけじゃない。ポケモンジムはチャレンジャーを試す場所だ。特に最初のジムチャレンジャーが多いこのニビジムでは慎重に試している場所である。チャレンジャーのポケモンのレベルとトレーナーの実力をな!」
三浦達の抗議に対してジムリーダーも黙っているわけではない。彼の叱咤に近い説教がジムの中に響き渡る。その声に葉山達はビビるが、ジムリーダーが怒る原因を俺は理解していた。
「けど、隼人のヒトカゲのレベルは私達の中で一番高い方だし!最も自信があるポケモンで挑んで、この仕打ちは無いし!」
三浦はそう言って反論を続けるが、あのジムリーダーが怒っているのはそこではない。
「……三浦君と言ったね。確かに彼のポケモンは君達が出してきたポケモンの中で一番鍛えられていたよ。けれど、君達トレーナーはタイプの相性を理解しているのか?」
「っ!?」
それを聞いて、三浦は初めてハッとした様子で気付く。ようやく気付いたのか。
そう、ここはいわタイプのポケモンを出してくるジム。そこで、相性が悪いほのおタイプのヒトカゲを使うなんて悪手でしかない。レベルが高いと言っても、リザードに進化していないところから、いわタイプに効果抜群の技を覚えていないだろう。
「ポケモンの相性を考えないで、突撃させるなど言語道断だ!君達は自分のポケモンを傷つける気か!そんなトレーナーにジムバッジを渡すわけにはいかない!日を改めて出直してこい!」
その言葉に三浦も由比ヶ浜も反論する気を無くしたのか、そそくさとその場を立ち去る。心の余裕が無いのか、彼らはすれ違った俺達に気付く様子もなかった。まぁ、気付いた所で、こんな状況で話し込むのも無理な話だと思うけどな。
「さてと、君達が次のチャレンジャーだね。俺はニビジムのジムリーダーのタケシだ」
ニビジムのジムリーダーであるタケシさんに自己紹介をされ、俺達も自己紹介を行う。やはり、ジムリーダーはタケシだったか。それにしても、顔も細目でゲームとそっくりだ。まるで、知り合いに会ったかのような安心感を感じる。
「比企谷君と雪ノ下さんか……ついに来たか」
「「?」」
「いや、何でもない。こっちの話だ」
タケシさんは俺と雪ノ下の顔を見ながら、何かを言っていたが、あまり聞き取れなかった。
「では、まずは確認しよう。君達は協力してニビジムに挑みに来たんだよな?」
「はい、そうです」
「そうか、ならこちらは君達の人数に合わせて4体出そう。君達はそのポケモンに合わせて交代して戦ってくれ。ただし、必ず一人一回はポケモンを倒すことだ。連戦は無しだよ」
なるほど、要は一回戦闘して勝った人はHPに関わらずもう戦えないということか。
「分かりました」
「よし、なら行くぞ!出てこい!オムナイト!」