俺と雪ノ下の最初のポケモンがユキワラシなのはまちがっている。   作:リコルト

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雪ノ下の新たな手持ち

 

 

「ゼニガメ!みずでっぽう!」

 

「ゼニー!」

 

 勢いのある川崎のゼニガメのみずでっぽうがタケシさんのイシツブテに直撃する。いわとじめんタイプのイシツブテには効果は抜群だ。ゲームならば、最大の4倍のダメージを与えたことになる。

 

 

「ツブイチ!!」

 

 

『イシツブテ戦闘不能!勝者、川崎選手!』

 

 

 タケシさんのイシツブテを倒したという審判のアナウンスがバトルフィールドに響く。

 

「やったね!川崎さん!」

 

「ありがと、戸塚」

 

 ゼニガメをモンスターボールに戻し、控え室に帰って来る川崎を前の試合で勝利を飾った戸塚が笑顔で迎え入れる。

 

「これで、2勝ね。比企谷君」

 

「ああ、後は俺達だけだ」

 

 4人で協力したジム戦もすでに半分。残りは俺と雪ノ下の二人である。

 

 ちなみに、戸塚の試合はすでに終わっている。もちろん、白星だ。最初、タケシさんが繰り出してきたオムナイトには驚いたが、冷静に対処して、くさタイプのフシギダネを持つ戸塚が相手をし、無事に勝利をおさめた結果となった。

 

「二人とも、しっかりタイプ相性を理解しているね。それにポケモンも良く育てられてる」

 

 タケシさんからの戸塚と川崎の印象も良く、さっき三浦達に怒っていたのが嘘みたいに優しい。しっかりとした人にはそれ相応の評価と対応をチャレンジャーに行う。チャレンジャーを試すジムリーダーの鏡のような人物だ。

 

「さて、残りは雪ノ下さんと比企谷君か。なら、君達にはこれを出させて貰おうか!」

 

 第3戦。タケシさんは三体目のポケモンを手持ちからバトルフィールドに繰り出す。

 

 出てきたのは………

 

 

「リッキ!リキー!!」

 

 

「…………………マジかよ」

 

 

 なんとタケシさんが繰り出してきたのはワンリキー。いわタイプのジムリーダーがかくとうタイプのポケモンを出すのは計算外だ。

 

「驚いたか?いわタイプのジムリーダーがかくとうタイプを使って。でも、これぐらいの状況にも対応して貰わないと、今後のジムチャレンジで苦労するぞ!」

 

 どうやらタケシさんは並みならぬ思いで、俺と雪ノ下を試しているらしい。俺としても、ここは期待に応えたい所だが、俺と雪ノ下のポケモンはユキワラシ。こおりタイプはかくとうタイプに相性が悪い。ここは俺のニドリーノを繰り出すか?

 

 

 

「ここは私が行くわ!比企谷君」

 

 

「雪ノ下、正気か?」

 

 

 雪ノ下はニドリーノを繰り出そうとする俺の手を止め、バトルフィールドに降り立つ。

 

「先に雪ノ下さんか。どうやら、その顔を見ると、やけに自信がありそうだな?」

 

 タケシさんはそう言うが、雪ノ下はユキワラシのユキヒメしか手持ちにいない。明らかに悪手である。ここは俺が出るべきだろう。

 

 しかし、雪ノ下の顔はやけに自信がある様子だった。何か秘策でもあるのか?

 

「はい、出てきなさい!!」

 

 雪ノ下はそう言ってバトルフィールドにモンスターボールを投げ入れる。

 

 そこから出てきたのは………

 

 

 

「ピッピ!ピッピ!」

 

 

「…………ピッピだと!?」

 

 

 雪ノ下が投げ入れたのはユキヒメのモンスターボールではなく、彼女が繰り出したのはいつ捕まえたのか分からないようせいポケモンのピッピだった。

 

「雪ノ下さん、いつの間に……!?」

 

「昨日の夜に捕まえたのよ」

 

 戸塚の問いかけに雪ノ下は答える。どうやら、彼女はおつきみやま近くの草むらで散歩していた所、あのピッピと遭遇して自分の手持ちにしたらしい。

 

「ピッピだと?だが、ピッピはノーマルタイプだぞ。それで良いんだな?」

 

「そ、そうだ!ピッピはノーマルタイプ!相性は「構いません。これが私の答えです」

 

 タケシさんと川崎にもピッピを繰り出したことに異論を唱えるが、雪ノ下の答えは変わらない。

 

「八幡………」

 

「大丈夫だ。雪ノ下は勝てる」

 

 だが、戦わない俺達はこれ以上どうすることも出来ない。戸塚や川崎は不安そうにしているが、見守るしか術は無いだろう。

 

「なら、行くぞ!ワンリキー、けたぐり!」

 

「リッキ!!」

 

 ワンリキーの素早いけたぐりがピッピのお腹の部分にクリーンヒットする。

 

「……比企谷、やっぱり相性が悪すぎるって」

 

「そうだよ。ここはやっぱり彼女のパートナーポケモンのユキヒメじゃなきゃ……」

 

「……川崎、戸塚。どうやら、別にそうでも無いらしいぞ」

 

「「えっ?」」

 

 雪ノ下の戦いを見て心配する二人を落ち着かせるために俺はピッピの方を指差す。

 

「ピッピ!!ピッピッー!!」

 

 そこにいたのはワンリキーのけたぐりを喰らっても元気だぞとアピールするように可愛らしくはしゃぐピッピの姿だった。

 

「ピッピ!チャームボイス!」

 

「ピッー!ピッピー!!!♪♪♪」

 

「リッキー!??」

 

 ピッピの可愛らしい声がスタジアムに響き渡り、その音波がワンリキーに直撃する。

 

「リッ……リッキー」

 

 至近距離でまともに喰らったワンリキーはその場にグタッと倒れこむ。勝負は決したようだ。

 

 

『ワンリキー戦闘不能!勝者、雪ノ下選手!!』

 

 

 審判は勝者の名を大声で呼び、同時にジムチャレンジクリアに王手をかけたことを証明する。

 

「………流石は雪ノ下さんだ。まさか、つい最近発見されたフェアリータイプを知っているなんて。久しぶりに驚かされたよ」

 

「タケシさんは知っていたんですね。私のピッピはワンリキーに相性が良いということを」

 

「ジムリーダーだから当たり前だ。最近のポケモンにまつわる情報は雑誌で目にしているよ。ピッピがノーマルタイプのポケモンではなく、フェアリータイプのポケモンだということもね」

 

 そう言ってタケシはワンリキーを自分のモンスターボールに戻し、最後のバトルに臨む。

 

「比企谷君、後はまかせたわよ」

 

「ああ、まかせろ」

 

 雪ノ下とすれ違うように、俺もバトルフィールドへと赴く。泣いても笑ってもこれが最後だ。

 

「ここまで勝ち上がってきた君達には俺の一番のポケモンを見せよう!出てこい!イワーク!」

 

「イワー!!!」

 

 タケシの手持ちから繰り出されたポケモン。それは大きな岩が連なっているような巨体、いわへびポケモンのイワークであった。

 

「なら、出てこいカマクラ!」

 

 相手のジムリーダーが一番のポケモンを出してきたなら、こちらも一番の相棒を出すしかない。

 

 

「ユッキー!!」

 

 

 さぁ、最終戦だ。

 

 

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