シスコンでブラコンなお姉さま セリーヌたん物語   作:uyr yama

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20話目

 

 

 

 

 

幻燐戦争と呼ばれたレスペレント統一戦争の『終わり』。

序盤・中盤と、中心にいたのはメンフィル王リウイ・マーシルンであり、最後の勝者もまた彼である。

が、この終盤戦においてのみ語るのならば、確かに中心にいたのはセリーヌ・テシュオスだったのだ。

 

その『終わり』を、更に序盤、中盤、終盤の3つに分けるとしたならば、

 

序盤戦は、ミレティア保護領ペステの街での会戦~レスペレント都市国家群ルミア会戦まで。

中盤戦は、ラピス・サウリン率いるメンフィル軍と相対した第二次サラン街道会戦、及び追撃戦。

終盤戦は、メンフィル王都ミルス攻防戦~第三次サラン街道会戦までだろう。

 

そう、幻燐戦争において最も有名な局面。後の歴史小説家が様々なIFを描いた終盤戦。

 

メンフィルの将兵が最も激しく損耗し、カルッシャの将兵も無残な躯を大量に晒す。凄惨で、残酷な戦いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城を攻め落とすには、相手方より3倍の兵数が必要だというのは、何を読んで得た知識だったのだろう?

 

突然こんなことを考え始めたのは、これからメンフィルの王都を臨むからだ。

 

そう言えば、初陣で攻め落としたペステの城館は既にボロボロで、兵も百にすら届かず仕舞い。

次に攻めたルミアも、城塞都市というにはあまりにお粗末で、やっぱり城攻めなんて感じはしなかった。

竜騎士による空爆と、魔術師による集中砲火。とどめに攻城兵器で城壁ごと門を破壊したのは私の記憶にも新しい。

兵数差も3倍どころか100倍以上だったのだから、危機感なんて持ちようもなかったのだ。

 

……なんだろう? メンフィルってもしかして攻められる可能性を考えていなかったのかな?

 

それとも、お姉さまが失脚したことで、危機感というものを喪失していたのかもしれない。

今まで積極的に攻勢に出たことがないとはいえ、カルッシャも随分と舐められた物だ。 

 

って、本当の所は、現在のメンフィルに占領地や保護領を確実に守れるだけの兵力が足りないだけ。

そんな、ただでさえ攻められ慣れていないメンフィルの、更に不利な状況に浸けこんでの進軍。実に楽勝でしたとも。

だから殆ど初めてだといってもいいだろう『カルッシャ』が『不利』な会戦を前に、私は少しナーバスになってるみたいです。

 

 

 

まあ、それはともかく?

 

なにを読んでの知識かはすっかり忘れてしまったけれど、3倍の兵が必要っていうのは、兵器の質と量で簡単に変動するとも書かれていたはず。たぶん。

兵器なんて言葉があるぐらいです。おそらくは前世で読んだ本なんだろうけど……

 

さて、魔法があるこのディル=リフィーナではどうなのかな?

 

ううん、魔法だけじゃないよね。

強力な個体……魔神や神格者なんて超越者が蔓延る世界である。

この世界では、3倍なんて目安は意味を成さないんじゃないかな?

 

と、不吉なことばかり考えてしまう私の握る手の平には、嫌な汗。とても不快。

 

 

「……殿下。野戦陣地構築、完了致しました」

「お疲れさまでした。では予定通り、一部の兵を残し早急に王都ミルスを目指します」

「はっ!」

「残る将は……」

「私が……っ!」

 

何か思うところがあったのだろう。

気合と決意を込めた瞳で私を射抜くオイゲン。

……正直な話、後ろめたい気持ちがあるのなら、あんな提案に良い顔すんなと心の底から罵ってやりたい。

おかげで、私の頭越しの宰相サイモフの命令書が幅を利かせるようになってますよ?

 

とはいえ、もう過ぎたことでもある。

いつまでもグチグチ言ってても建設的ではない。

だから私は、もう気にする必要はありませんとばかりに薄く微笑を浮かべ、首を横に振る。

 

「オイゲン。アナタの役目は私の足りない部分を補うこと。ここでアナタが居なくなることを私は認めません。ですが……そうですね。残る将の選定はアナタに任せます」

「……はっ!」

「解っているでしょうが、任は決して敵を殲滅することではなく、この地にリウイ・マーシルンを張り付けさせることにあります」

「若く功を焦る者ではなく、経験を積んだ実直な者をあてることを約束致します」

「よろしい」

 

最後にやや硬い口調でそう言うと、構築された野戦陣地に視線を向けるふりして、その実オイゲン達が慌ただしく動き回るのを横目に見ていた。

 

 

気が急く。

 

一刻も早く王都ミルスを落とさねば。

リウイ・マーシルンがやってくる前に、落とさなければ……

 

だからこそ、今まで常に最前線に立っていた私が、直属の部隊だけを引き連れて最後尾にいるのだ。

我がカルッシャの軍勢は、王都ミルスの兵に十倍する。

ただでさえ兵差があったのに、ここ最近の空爆で、ミルスの将兵が各地に派遣されているからだ。

これでメンフィルの有能な将の数は減り、更には普通に考えたら勝てる兵力差がある。

 

(これで負けたら嘘でしょう?)

 

でも、この世界には魔法があり、超越者がいる。

魔法は兵器の質として、ならば量に勝る我が軍は早々相手の好きにはさせない自身が私にはあった。

 

だけども超越者。

 

この世界の軍事バランスは、この超越者の動向一つで大きく変わる。

私のような只人の力は弱く儚く、超越者に蹂躙されるだけなのだろうか?

 

……いいえ、そんなはずない。

人は……人という『群』は、そんな超越者すら勝る力があるはずなのだ。

……って、セリカが大好きな私じゃ、少し説得力がないかも?

 

うふふと小さく笑いの衝動を口元に宿す私に、どこかしら申し訳なさそうに、

 

「殿下……」

 

と私に声をかけてくるオイゲン。

変な所を見せてしまった。

ちょっと気を抜きすぎだ。

私はすぐさま顔の筋肉を引き締め、

 

「準備、終わりましたか?」

 

少し威厳ある風に声を出した。

 

「ハッ! 万事滞りなく」

 

討てば響く様な素早い答え。

私はオイゲンの返事に、しばし瞑目する。

 

やり残したことはないか?

まだ出来ることはあるんじゃないか?

 

リウイ・マーシルンに対しては、野戦陣地と竜騎士隊の一部をもってしての遅滞戦術。

他に、出来ることは……と激しく脳を回転させても、しょせん私は一般人。

戦術・戦略なんてさっぱりである。

それでも何となく知ってるような知らない様な、って感じの野戦陣地構築の知識の概要を説明するだけで、オイゲンを始めとする軍人達が試行錯誤で何とかやってくれた。

塹壕だとか、まあ色々作ったみたいだけども、素人の私にはコレがこの世界で通用するのか分からない。

 

多分、だけども、これから先に発展する技術の一つになる……といいよね!

……そ。さっきも言ったけど、しょせん私はこの程度である。

うん、ダメだ。まったく思いつかない。

だからこれ以上考えても無駄だろう。

おそらく私に出来ることはやり尽くした。後は天命を待つのみ!

 

私はゆっくり目蓋を開くと、すぅーっと大きく息を吸い……

吐き出す息と同時に、気合を入れて言葉を発した。

 

「参りましょう。私の……私達(わたくしたち)の戦場へ……っ!」

 

ウォォォオオオオオオオッ!! 地響きするような歓声と共に私は馬に跨り、大きく手を振りその歓声に応える。

すると、更にその歓声が大きくなったのだけども……

気のせいかな?

彼らの視線が、私というよりも私が騎乗する馬なような……って、あっ!?

ちょい大胆な戦装衣のスリットから飛び出た私の生足。

セリカと旅をしていたおかげか、私の足は細く引き締まり、自分で言うのもなんだけど、結構イイ感じ。

そんな足を見てやがりますよ、この人達は……

私は頬が紅潮させながら、何気ないふりしてスリットの端を掴んで足を隠すけど、その実、焦った様子がバレバレ。

だから恥ずかしさを誤魔化すために、さっさと進軍を開始しようと号令したのだけれど……

 

「しゅ、しゅちゅじんっ!!」

 

かんぢゃったよ……う~るるぅ~。

涙目な私は、更に大きくなった歓声から逃げるように馬を進ませる。

 

 

 

このぐだぐだは……後に思えばこれから始まる凄惨で残酷な戦を前にした清涼なひと時だった。

きっと、兵や騎士達の心に安らぎを与えた大切な時間となったのだろう。

 

そう思えば、この恥ずかしさもしょうがないよね? ねっ?

 

 

 

 

私は自分をそうやって慰めながら、静かにしくしく心で泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王都ミルス攻防戦は、セリーヌが到着する前に始まっていた。

大将軍ファーミシルスが、総大将セリーヌ・テシュオスが到着する前にカルッシャ軍を殲滅せんと仕掛けたとも、セリーヌ・テシュオスにこれ以上の功績を立てさせないために、宰相サイモフが前もって他のカルッシャの将達に抜け駆けを命じていたのだともいう、この攻防戦の始まり。

……恐らくは、その双方が絡み合ったのだろう。

ファーミシルスにとっては各個撃破の絶好の機会だし、皇太子レオニードに忠誠を誓ったサイモフにとっても、思っていた以上に名声を得てしまったセリーヌに、これ以上の功績を立てさせる訳にはいかなかったからだ。

 

その結果は言うまでもない。

 

幻燐戦争でのカルッシャの敗因は、その多くが宰相サイモフの行動によるものだからだ。

 

彼がいなければ、ブロノス砦で姫将軍エクリアがリウイ・マーシルンを打ち破り、カルッシャの勝利で幻燐戦争は終結していた。

セリーヌが出陣して以降も、サイモフがいなければカルッシャ勝利の目も多かった。

しかし、その目の多くがミルスで消え去ったというのは間違いないだろう。

 

その王都ミルス攻防戦。

 

セリーヌが最初に見た物は、おびただしい数の竜騎士隊の躯。

最初から来ると解っている竜騎士など、歴戦の将であるファーミシルスにとって脅威ではなく。

当初からの計画通り、レスペレント都市国家群国家長レアイナ・キースが指揮する弓兵部隊と魔術師部隊による高空制圧攻撃。

及び、飛天魔族である大将軍ファーミシルスと、彼女の指揮する睡魔族による迎撃により殲滅されてしまったのだ。

これにより、セリーヌの切り札的存在であった竜騎士部隊の6割近くが消滅したことになる。

 

予想以上の被害に茫然とするセリーヌであったが、そこで終わる程メンフィルは甘くはない。

セリーヌ参陣を好機と見たレアイナ・キースの号令で、後のメンフィル帝国機械化軍団の将、シェラ・エルサリスを中心とした制圧砲撃が始まったのだ。

竜騎士隊の殲滅でどん底まで士気が落ちていたカルッシャ軍は、そのあまりにも激しい砲撃にただ薙ぎ倒されるだけの存在となった。

 

が、しかし。

 

セリーヌは……

 

 

 

 

 

 

砲撃が放たれる度、白磁の肌が熱に焙られる。

 

(怖い、怖い、怖い、怖い、怖い……)

 

自身に届く、初めての直接的な攻撃に、セリーヌは身体が恐怖で震えそう。

 

(だけども、私は怖がってはいけないんだ)

 

手のひらに自身の爪が刺さりそうなほど、キュッと手を握り締め。

 

でも、表情は一切変えない。変えられない。

顔色を変えては侮られるから。

ううん、それ以上に兵達を不安にさせてしまう。

 

だからセリーヌはなんでもない風を装いながら、いっそ傲慢なまでに胸をはった。

たわわに育った釣鐘状の胸の先端が、ツンと天を向いた時、スゥーっと大きく息を吸う。

瞬間、砲撃の轟音に紛れ、兵や騎士達のゴクッと息を飲む音が微かに響いた。

 

不安が僅かにだが紛れた。

 

彼らの仰ぐセリーヌ王女の自身有り気な様子に、死の恐怖が薄れたのだ。

まあ、煽情的な衣装に身を包むセリーヌの胸元から覗く柔らかそうな乳房が、この時、今まで以上に露出され、砲撃なんぞ気にしてる場合じゃないというのが本当の所だが。

そんな兵達を知ってか知らずか、セリーヌは砲撃による轟音にも負けない声でミルス周辺の空間を震わせた。

 

 

 

 

────俯いてはなりません! 

 

重騎士は盾を持ち前へ出なさい! 

 

竜騎士隊の生き残りは空へ! 弓騎士、魔術師は私の傍へ! 

 

私の兵よ! 騎士よ! 勇者達よ!

 

私を信じて剣を抜け! 私を信じて槍を掲げよ!

 

私を……この私を信じてっ! 命を投げ出せッ!!

 

私の……私達の後ろには、祖国の平和が! 愛する家族がいるのですから!

 

 

 

 

 

恐らくは、魔力すら用いたその一声。

気が萎え、顔を蒼ざめさせていたカルッシャ将兵は、しかし……

数瞬後、砲撃による爆音を超える歓声を上げ、レスペレントの大地をビリビリと揺らした。

 

 

 

そうだ。

 

さっきまでの情けない戦いは、決して我らの本領にあらず。

なんせ我らが主将たるセリーヌ殿下主導の戦いではなかったのだ。

ならば、ここからが本番。この程度の爆撃に身を縮こまらせてる場合ではない。

 

 

 

 

ここまで常勝不敗であったセリーヌの存在は、兵の心を奮い立たせるに十分であった。

 

 

とは言え、砲撃による傷はそのままである。

しかしそれさえも、本気になったカルッシャにとって小さな問題といえる。

セリーヌの素早い指示により動いた神官戦士団の回復魔法が一斉に放たれた。

この辺り、流石は大国。メンフィルのような小国には出来ない程の密度と量のヒーリング。

失われた血は戻らねど、瞬時に傷がふさがっていく。

 

これで傷が癒え、セリーヌの演説によって心は闘志が溢れんばかり。

 

重騎士は指示通り、大盾を掲げながら前に出、砲撃をその身に一心に受け、背後の兵達の文字通りの盾となった。

弓兵や魔術師も、そんな重騎士達に守られながら、セリーヌ直下の部隊にならんと素早く移動を開始する。

まさにレスペレント最強国に相応しい兵の錬成が成せる術であった

そして、その移動が完全に終わるころには、天空高く舞い上がる竜騎士達が、制空権を奪い返そうと槍を扱き、背中の相棒が矢を、魔法を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、そんなカルッシャ軍に対し、見下し甲高く嘲笑するのはレアイナ・キース。

この状況。シェラ・エルサリスを筆頭とした機械化部隊の砲撃に、その程度の士気の回復と兵の統制は焼け石に水。

……な、はずだったのだが。

 

レアイナは嘲笑を浮かべている口元はそのままに、苛立たしげに眉をピクンと跳ねあげた。

 

数の力は思っていたよりも凄まじいものだ。

数十、数百と集め、一斉に使用される回復魔法は、ティナやペテレーネが使う癒しと遜色など一切なく、あっという間に傷がふさがっていくではないか。

 

だがしかし、それとていつまでも続く筈がない。

 

凡人の群れによる癒しの魔法の一斉使用は、確かに素晴らしい効力を発してはいる。

が、それこそティナやペテレーネの魔力の多さに勝てる筈もなく。すぐに魔力も尽きるだろう。

だからこそレアイナはもう一度嗤った。

憎悪の対象であるセリーヌを、心の底からの殺意の視線で射竦めながら。

 

 

 

 

レアイナにとって何より大切な存在、レスペレント自由都市国家。

ここを武力で攻め落とし、腹心であるリシェル・フルートを討ち取り(メンフィル側では行方不明。実際は捕虜としてカルッシャ本国へと送られている)、更には自身の派閥は良くて財産没収、悪くて処刑。

むろんレアイナ自身の財産の全ても、既にカルッシャに接収されてしまっている。

その上で、都市国家長であるレアイナの対立派閥をカルッシャの傀儡とし、都市国家の運営に当たらせた。

結果、自由都市国家の独立性は完全に喪失し、いずれはカルッシャのただの一地方都市へと成り下がるだろう。

 

 

彼女の愛し、守り、育てた大切な貿易都市の権益は、こうしてその殆どが失われてしまったのだ。

その全てを指揮したのが、カルッシャ第二王女セリーヌ・テシュオスである。

セリーヌは、この先の未来……レスペレントをカルッシャが統一しようと、メンフィルが統一しようと、都市国家群に価値はないと思っている。

交易で財を成す都市国家群の位置はレスペレントのほぼ中央。

貿易をするなら『外』に近い都市でするべきだろうし、だとすれば、都市国家群の位置は地政学上から鑑みても、未来のレスペレントでの交易都市としては失格だ。

むしろ国内で物資を集結し、循環させるに都合の良い位置で有り、尚更そこが独立性の高い『自由都市≪国家≫』であっては困る。

 

そして、レアイナの存在事態も……

 

 

カルッシャが勝てば、むろん彼女の存在は邪魔なだけ。

 

では、メンフィルが勝てば?

 

カルッシャが都市国家群から奪った財の補填をされるだろう。

しかも、レアイナ自身の性(さが)もあり、下手をすればセリーヌは娼婦として売り払われる可能性も高い。

実際、セリーヌの知る幻燐の姫将軍では、レアイナはミレティア領主のティファーナを男共に輪姦させ、娼婦に堕としていた。

更には現在の戦の状況にも関わってくるだろう。

レアイナがいなければ、セリーヌの『後方破壊戦術』の効果が、なお一層大きくなるのだ。

 

だから、それは当然の帰結だったのだ。

レアイナがセリーヌを憎悪すると同じく、セリーヌにとって政治的にも、戦略的にも、貞操的にも、邪魔な存在……

セリーヌにとってリウイ・マーシルンの首が第一目標ならば、レアイナ・キースの首は第二目標だ。

 

 

その目標であるレアイナは、セリーヌを嘲笑うが如く機械化部隊による制圧砲撃の密度を上げた。

そう、この時、レアイナはメンフィルが得意とする斬首戦術ではなく、制圧戦術に出てしまう。

もしも大将軍ファーミシルスや、神格者ミラ・ジュハーデスを中心として、従来の斬首戦術に出ていれば、セリーヌの命はなかった筈だ。

だが、セリーヌ到着以前に散々叩かれまくったカルッシャ兵の損耗は大きい。

そんな状態での軍全体を覆うような砲撃に、カルッシャ軍がいつまでも持ち堪えられる訳がない。

 

「さて、どこまで耐えられるかしらね?」

 

レアイナがそう思うのも仕方がないのかもしれない。 

しかし次の瞬間、彼女は驚きに目を見開いた。

 

「なんですって……ッ!?」

 

有象無象の兵共を薙ぎ払った筈の砲撃。

しかし、最も前面で砲撃を受けている重騎士を中心に、カルッシャの将兵の大多数はしっかと両の足で大地に立っていた。

 

回復魔法による援護のお陰……?

いいや、セリーヌを含め凡百の兵達にとって明らかにオーバーキルだったはず。 

なのに、なぜ……?

 

レアイナのこの戸惑いは、致命的な隙。

 

それを見たセリーヌの傍で侍る女騎士は、弓を構え、必殺の矢を放つ。

その一本の矢は、閃光の如くレアイナの身体に……が、その寸前、彼女の護衛をしていたシーマ・カルネーノが前に出た。

例え第二王妃ステーシアが直々にセリーヌにつけた程の女騎士でも、歴戦の弓騎士であるシーマには遠く及ばない。

弓騎士は弓を知る。直ちに放たれた矢を、自らの持つ弓で弾き返すと、素早く矢を番えた。

ギリリ……と引き搾られる弓。

狙いは、女騎士。

弓の女神とも見紛うシーマの放つ矢は、吸いこまれるようにその女騎士の身体に……ズサッ! と刺さった。

一瞬の間を置き、大地に倒れる女騎士。

それを見たレアイナは動揺が収まったのか、手を大きく上げた。

 

一度の制圧攻撃で終わらないのなら、二度三度と続ければいい。

それに魔導鎧を装備しているのはシェラだけでなく、ミラもいる。

さらに自分やエスカーナといった魔術師による範囲魔法を加えれば、確実にカルッシャ軍の戦線は崩壊するはず。

レアイナは、自身の範囲魔法を一斉攻撃の合図とするため、振り上げた手に莫大な魔力を注ぎ、遂に魔力を解き放とうとした瞬間、敵将セリーヌを確かに見て、そして聞いたのだ。

 

 

 

 

 

セリーヌはプラチナソードの柄を握り、一気に鞘から引き抜き、厳しい視線と共に剣先をレアイナに向けた。

ここが、レアイナ・キースを討ち取る、たったひとつのチャンス!

砲撃を受け、自身の血で赤く濡れた金色(こんじき)の髪を揺らせながら、セリーヌは宣言する。

 

「レアイナ・キース。アナタの、負けです……ッ!────放てぇッ!!」

 

レアイナの制圧砲撃の合図より早く、彼女の視界全てを覆う、矢、矢、矢……ッ!!

百を超え、千すら優に超えるその矢の群れは、ただ一人……そう、たった一人を殺すために放たれたのだ。

 

「────ッ!?」

 

声にならない悲鳴を上げそうになるレアイナは、だがその悲鳴をしっかりと飲み込む。

現在、メンフィル軍の攻勢を担う将として、みっともない姿は見せられない。

 

レアイナは冷静さを取り戻すと、素早く範囲魔法を放とうとした魔力を防御に回した。

正しくその行動が報われたのは、レアイナ・キースが交渉や国家運営能力だけでなく、戦士としても優秀な証だろう。

千を超える矢を凌ぎ切り、だが身体中を自身の血で真っ赤に染め上げたレアイナは、負けるものかとキッと正面を睨みつけた。

どうやら先の女騎士が放った矢は、ただ一点。自身への集中攻撃をするための目標を兵達に伝えるためだったらしい。

 

(油断だったわね……)

 

朦朧とした痛みの中、レアイナは忌々しげにチッと舌打ちをした。

 

「────イナさまっ! レアイナさまっ!!」

 

自身の護衛で、昔馴染みの弓騎士シーマ・カルネーノの心配そうな声が、苦痛に喘ぐ脳にガンガン響く。

正直、不快でしかないが、これも生きてる証拠。

レアイナは苦痛を堪えるかのように大きく息を吐き、心を落ちつかせながら空を見上げる。

少しでも、この全身に刺さった矢の痛みを紛わせようと。

だが、それは逆効果だったらしい。

ファーミシルスが、竜騎士相手に四苦八苦している様子が目に飛び込んだからだ。

さっきまでは、あんなに余裕に殲滅出来ていたというのに。

 

まあ、それも仕方がないか。

 

苦痛に喘いでいるにも関わらず、レアイナはどこか冷静な頭でそう思った。

敵竜騎士は、正面からの突撃をやめ、一定距離離れた場所から弓や魔法の攻撃をしかけてきている。

……今までの竜騎士達の戦いの常道から外れていた。

更に、まるで一個の生き物の様な軌道を描く彼らの戦いぶりは、敵とはいえ天晴れな物だ。

 

「ファーミシルスからの援護は期待できそうにないわね……とりあえず一旦下がるわ。後はブラムに任せて……」

 

レアイナの言葉が最後まで発せられるより早く、再び彼女を襲う集中攻撃。

たった今、矢を放ったばかりの弓兵からの攻撃ではなく、今度は視界の全てが破壊の魔法。

レアイナは逃げようと足に力を入れる。

だが、思ったように動かない。

 

「こりゃ、ダメだわ……」

 

眼前に迫りくる魔法攻撃に、レアイナは自身の生を諦め、苦く笑い、目をつぶった。

ここで死ねば、さぞや彼に嫌みを言われるだろう。

まったく、冗談じゃないったらありゃしない。

せめて最期くらい、好い顔して終わりたいっていうのにね……

 

「だから、そんな怖い顔しないでよ……未練が残るじゃない……」

 

彼女が最期に思い浮かべたのは、勝手に先に逝くのを責めるリウイの怒った顔で。

ミルスの城が震える程の衝撃の後、再びトドメとばかりに矢の雨が降り注ぐ。

 

 

 

 

「────やめっ!」

 

セリーヌの指示の一瞬後、不自然なまでにシンと静まりかえったその場所には、利き腕を灰にしたシーマ・カルネーノと、最早人の形を成していないナニカの消し炭だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セリーヌたん最絶頂期!! 及び悪者の章www

 

 

今回の戦闘はこんな感じ。

 

 

セリーヌたん 神秘の防護 発動! 味方全員のダメージが半分になった!!

 

メンフィルの制圧砲撃→カルッシャ将兵のHP20/100

カルッシャ軍、一斉回復魔法→カルッシャ将兵のHP100/100

カルッシャ軍、自由都市国家から徴収した金銭で購入しまくった魔力石でMP回復祭りwww

以下エンドレス。

メンフィル軍、涙目……

 

 

戦争SLGに、主人公のチート能力はいらない!(使ってるけどw)

ラスボス国家をプレイヤーが操作する。

ただそれだけで充分チートで無敵モードに近いのだ!!

 

……そんな気持ちで読んでくださいw

 

 

ついでにこの間、セリーヌたん 復活 が3回ぐらい発動!

セリーヌたんは制圧砲撃に耐えられないのです。

 

だからセリーヌたん血まみれ状態を見て……

 

ふぁーみ「なんで死なない!」(空からセリーヌたんを見て心からの声)

 

 

 

 

セリーヌたんKILLスコア

 

撃破 リン、ティファーナ、シーマ

 

捕縛 リシェル、ラピス 

 

殺害 レアイナ

 

 

 

 

 

 

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