その場のノリで頑張って生き抜くお話   作:ホトロ

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第11話

 

 

 

わたしは今、巨人族と見紛う程に大きくなったルフィ君の巨大な拳による攻撃を受け、宙を飛んでいます。それも壁をブチ壊して、司法の島の周りを囲む様に流れ落ちる大滝へと落下しようとしています。っていうか現在進行形で落下中です。

 

恐ろしい程の威力だったため、ダメージは無くとも衝撃のせいで直ぐには動けそうもありません。

 

武装色の覇気と【鉄塊(てっかい)】を同時に使うことで【鉄塊(てっかい)(ごう)】以上の防御力を生み出す技【鋼鉄塊(こうてつかい)】。

 

それをわたしが使っても、ルフィ君は今程の状況を生み出せるのです。

 

もしもルフィ君が覇気を習得していたならば、そして先ほどの拳に武装色の覇気を纏わせていたならば、わたしは今のぶっ飛ばされ、強い衝撃のため体が一時的に麻痺しているという、この程度の後遺症では済まなかったでしょう。

 

そう考えながら、衝撃のためビリビリしていた体が元に戻ったことを感じとったわたしは【月歩(げっぽ)】を使い、司法の島の芝生になっている地面へと降り立ちました。

 

「ふぅ、アレはわたしでは勝てませんね。」

 

パンパンッ、と服についた埃を叩きながら声に出して呟きます。

 

声に出すことで、わたしの心にほんの少しだけ残っていた、ルフィ君と戦闘を続けようという意思は綺麗サッパリなくなりました。

 

だって本当に勝てる気しませんし。

 

身体能力の急激な上昇に、自身の肉体の一部巨大化。もしもルフィ君がその二つを同時に使ったとしたら、わたしなんてフルボッコのボッコボコですよ?

 

まぁ、あの技はそれなりにリスクもありそうですがね。

 

身体能力を上昇させる技、アレを使った時のルフィ君は明らかに体温を上昇させていました。それも体から湯気を立ち上らせる程の、です。

 

恐ろしい程の高温の筈です。どんな方法かは分かりませんが、あそこまでの状況に自身の体をもっていき、かつわたしを上回るスピードで動き周りアホみたいに重い攻撃を放ってきました。

 

絶対寿命、縮めてますよね。

 

事前に麦わらの一味の情報をボッチ君から聞いた時、船長であるルフィ君はゴムゴムの実の能力者だと聞きました。

 

あの現象が全てゴムゴムの実の能力ならば羨ましい限りです。

 

だって応用力ありすぎでしょう。めっちゃ羨ましいです。わたしの能力と交換して欲しいぐらいです。

 

なんですか。コトコトの実ってなんですか。言葉にしなきゃ効力を発揮しないとか、唐突な戦闘に使えなさ過ぎでしょう。

 

そりゃ暗殺にはかなり有効的に使えますよ。でもね?よく考えてみてください。わたし、六式使いですよ?

 

わたしの能力って戦争とかになって始めて、100パーセント効力を発揮すると思うんです。

 

なんだかなぁ………。

 

うん、なんかいつの間にかルフィ君の分析から、わたし個人の愚痴になっていました。これは失敬。

 

さて、これからどうしましょうか。

 

……そういえば裁判所の屋上でブルーノ君が倒れてましたが、彼はあの後どうなったのでしょうか?すでに気絶から目覚めて何処かで活動を始めているのでしょうか?一応、確認してきましょうかね。

 

わたしは【月歩(げっぽ)】を使い、裁判所の屋上を目指して空中を飛んでいきます。

 

そしてそれは起こりました。空中を駆け抜けている最中に。

 

「え?」

 

わたしは呆気にとられてしまい、そんな言葉しか口から出ませんでした。

 

しかしそれも仕方が無いのではないでしょうか。

 

いきなり斬撃が飛んできたのですから。しかも建物の中から全方位へと放たれた強力な一撃です。

 

その斬撃はわたしの腹部を斜めに切り裂き、司法の島の向かい側に建てられている裁判所へとわたしの体を大きく吹き飛ばしました。

 

この斬撃は一体……?

 

いや考えるまでもありません。麦わらの一味の中で斬撃を放つことが出来るのは海賊狩りのロロノア・ゾロ君しかいません。

 

クッ!まさか壁があるというのに、正確無比にわたしを狙って攻撃をするとは……!!

 

まさか……彼は見聞色の覇気が使えるのでしょうか!?

 

やられました。

 

もしこの考えが正しいのならば、わたしはルフィ君に手加減されていたということになりますね。

 

何故ならば、ゾロ君が覇気を使えて、船長であるルフィ君が覇気を使えない、などということがありましょうか?

 

答えはNOです!!

 

あんなおバカ丸出しの人が船長だというならば、どこで仲間のために動くというんです。ズバリ、戦闘しかないでしょう。

 

こんなところ迄、仲間のために追ってくるような変人奇人の類いなのです。覇気を収得していても可笑しくありません。

 

ルフィ君を追わなくて本当に正解でした。追っていれば、わたしのイケメンフェイスが腫れと青痣と自身の血によって、長官より酷い顔になっていたことでしょう。

 

わたしは裁判所の何処かの部屋でそんなことを考えながら、意識を闇へと沈めていきました。

 

ちょっとぐらいサボってゴッホゴッホ!間違えました……。休んでもいいですよね?

 

 

 

 

◼◻◼◻◼

 

 

 

 

ドゴン!!ドゴン!!ドゴン!!ドゴン!!

 

わたしの目を覚まさせる原因になったのは、そんな攻城用兵器で城のぶっ叩いている様な空気を震わす大音響でした。

 

いや、めちゃくちゃウルサイんですけどッ!!

 

わたしは思わず地面に横たわっていた上半身を起こすとともに、この大音響の原因をこの瞳に写そうと目を見開きながら言ってしまいました。

 

「近所迷惑でしょうがッ!人様のことを考えなさい!!」

 

と。

 

全く!ついついお母さんみたいなことを言っちゃったじゃないですか。

 

この喧しいことこの上ない騒音の原因は何処のどなたでしょうか?

 

音のする方向へと視線を持っていくと、そこには毛むくじゃらの怪物が腕を地面に何度も何度も叩きつけている姿がありました。

 

………どうやらわたしはまだ夢の中の様です。

 

だって、こんな怪物がどうやって司法の島に来ることが出来るというんですか。無理でしょう。

 

ふぅ、また寝れば今度こそ現実の世界へ帰れるでしょうか?

 

そう思い、また横になろうとした時、怪物が叩いている中心地に黒色と桜色の何かがいることに気付きました。

 

「………」

 

ジーッ、という擬音が聞こえそうな程見つめます。

 

ジーッ。

 

ジーッ。

 

ジーッ。

 

そこまで視て気付きました。

 

「クマドリ君……?」

 

そう、めちゃくちゃに叩かれていたのはクマドリ君だったのです。

 

つまり、麦わらの一味の誰かと闘って負けたということなのでしょう。

 

よくよく見れば、クマドリ君を叩き続けているのは裁判所の屋上で見た毛むくじゃらの大男でしょうか?

 

毛むくじゃら関係で言えばその大男しか思いつきません。

 

っていうか、なんかもうそれしか考えられないんですが。あの大男が動物系の能力者ならば、今の目の前の光景も納得いきますしね。

 

となれば早くクマドリ君を助けなければ!あんな攻撃を何発も受けていると死んじゃいます!

 

今は外ですから、能力者の能力を抑えることも可能です。

 

ならば善は急げです。

 

早速わたしは怪物を止めようと、立ち上がるために体に力を入れます。その時、腹部を激痛が襲いました。

 

「ゔっ……!」

 

ああ、そういえば切られていたんでした。普通に忘れていましたよ。

 

「全く……!」

 

やってくれましたね、海賊狩りのゾロ君は……!絶対に仕返しをしてやります!

 

わたしは傷口を抑えながら立ち上がり、自身がこの裁判所へと吹っ飛ばされたことで開いた壁に近づき、滝壺に落ちない様ギリギリのところで歩みを止めました。

 

「さぁ、"我が声を聴け""水よ""大流をもって敵を縛る牢となせ"」

 

わたしが言葉を放った瞬間、いや、放ち終わった瞬間に、周りで流れ落ち続けていた海水が怪物目掛けて空中を浮遊し集まっていきます。

 

それは怪物を中心にした渦潮のようで、吸い込まれるように集まっていきます。

 

怪物は自身にまとわり付いて来る水に気付いたようで、腕をブォン!ブォン!と風を切り裂く音が聞こえる程強く振り始めました。

 

しかし水に向かっていくら腕を振ろうと無駄に過ぎるというものです。

 

水はどんどん集まります。

 

5秒もすれば見ての通り、みずの牢獄の出来上がりです。

 

周りから集まった水は、今では怪物の全身をスッポリと覆ってしまい水が蠢く球体に囚われてしまいました。勿論、能力者はカナヅチなので抜け出すことは不可能です。まぁ、能力者じゃなくても激しい水流によって向け出すことが困難な作りになってますが。

 

ま、これで怪物くんは戦闘不能です。

 

クマドリ君を回収しに行きますかね。

 

わたしは【月歩(げっぽ)】を使い宙を駆けて行きます。

 

ん?腹パックリのくせにそんな動いて大丈夫かって?

 

フフッ、問題ありません。能力を使っている間に【生命帰還(せいめいきかん)】によって身体の自然回復力を強め、傷口を癒着させました。

 

勿論、癒着させただけであり、完全に治ったワケではありません。いくら強めたと言っても、あくまで自然回復力に過ぎませんから、今の一瞬で治るなんてあり得ませんか。おそらく無理をすれば直ぐにパックリお腹に逆戻りすることでしょう。

 

お?

 

どうやら水の牢に閉じ込めていた怪物くんが縮んでいっているようですね。縮んで縮んで、最終的には……タヌキ?いやでも角がありますね。んー……トナカイ的な?

 

うん、分かりません。とりあえずトナカイでいいでしょう。

 

そのトナカイは小さな子供サイズ程に落ち着きました。この子も麦わらの一味でいいんですよね?ペットでしょうか?

 

大男がこの子ならばペットということはないでしょうし……。だって誰もあんなゴリゴリマッチョのペットなんていらないでしょう。

 

ま、かなりの深手っぽいので放置しときましょう。運が良ければ助かるでしょうし、悪ければ死ぬでしょう。

 

わたしは能力を解除して彼を地面によこたえておきます。

 

今、わたし自身が手を下すことはないですよ。

 

とりあえずはそうですね……。

 

殺して、その血で汚れたりすると嫌なんで放置の方向でいきましょう。うん、そうしましょう。この子を仕留め損なったのはクマドリ君ということで。

 

さて、じゃあそのクマドリ君をさっさと回収しますかね。

 

わたしはクマドリ君を肩に担いで、またもや【月歩(げっぽ)】で空中を駆けて行きます。今度向かうのは裁判所の屋上です。最初の目的通りですね。

 

スタンッ、と軽やかに舞い降りたわたしは早速ブルーノ君のところへ近づいていきます。っていうか、やっぱり放置されてたんですね、ブルーノ君……。

 

わたしがブルーノ君のところへ来たのには理由があります。その理由とはズバリ、逃走手段の確保です!

 

今、カッコワルッ!とか思いましたね?

 

全然カッコ悪くないです。寧ろ色々な状況を考えて動く、わたしの冷静沈着かつ戦略的な行動はカッコよすぎます。

 

まぁ、イケメン、天才、クールときて、更には何でも卒無く熟す上に、素晴らしい人間性をもつわたしですから、それも仕様がないというものです、はい。

 

っていうか結構高いと思うんですよね。この逃走手段が活きる確率っていうのは。更にいえば、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CP9が負ける確率っていうのは、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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