………今、わたしたちの目の前、つまりここ第二車両には侵入者が二人います。残りの一人は見聞色の覇気を行使し続けていたこともあり、第一車両にいるロビンちゃんと一緒にいることが判明しています。分かっているのはわたし一人だけですけどね、多分。
彼等がここ第二車両に来るまでの道程を説明すると次の様な感じです。
初めに悲しきかな、一番期待していた海軍本部のTボーン大佐は侵入者組の策により第六・第七車両ごと切り離されてしまったため、戦闘を見ることは出来ませんでした。
次に第四車両にいたワンゼ君はサンジ君相手に中々の善戦を繰り広げましたが、敢え無く敗北しました。
最後に第三・第四車両の車上ではリーゼント君ことフランキー君とCP9新入りの四式使いネロ君が戦っていましたが、どうやらフランキー君はサイボーグらしく、ダメージらしいダメージを与えることが出来ず、ネロ君は顔面にアルティメットハンマーなる鋼鉄パンチを喰らい負けてしまいました。
そしてワンゼ君はサンジ君にぶっ飛ばされて、ネロ君はフランキー君に顔面パンチを受けて、第二車両へと入ってきました。そしてぶっ飛ばされた二人の後ろにはサンジ君とフランキー君の姿が。そして今に至るというわけです。
傷は所々に見受けられるものの、その二人は元気ハツラツでそこまで疲れている様には見えません。この様子じゃあ帰ってくれそうもありませんね。
侵入者の姿を確認して立ち上がるCP9の面々。勿論わたしも立ちましたよ。空気を読んでね。というか一人だけ立ち上がらなかったら、侵入者君達から見てリーダーに見られそうですよね。『おい、あの余裕そうに座ってる奴、あいつがリーダーか?』みたいな感じで。
あれ?それ別に悪いことじゃないですよね。というか、CP9の実質的なリーダーである殺し大好きルッチ君より、何時でも何処でも冷静沈着かつCP9の中でも天才的強さを持つわたしがリーダーになった方がいいですよね!
いや、でもパッと見ですが前よりめちゃくちゃ強くなってないですか、ルッチ君?追いつき追い越したと思ってたんですがねえ。
あ!ほら!今ネロ君を態と逃げさせて、その後ろから追いかけ六式の体技が一つ【指銃】でネロ君を沈黙させちゃいました。しかも大荒れの海に投げ捨てるという鬼畜ぶり。一応そんな弱くても仲間なんだから優しくしてあげましょうよルッチ君!
ですがルッチ君、今の動きだけでも相当強くなったのが分かりますね。しかもルッチ君は悪魔の実の能力者、ネコネコの実・モデルレオパルドを食べた豹人間です。人獣形態になれば今より強くなるのは確実です。
………うん、無理ですね。勝てる気がしません。
わたしがCP9に入ったのは五年前の15才の時です。その時から二年間の間は、わたしがウォーターセブンと長官との情報のやり取りの梯子役でした。よっぽどの緊急時でなければでんでん虫は使いません。盗聴のおそれがありますからね。
つまり、わたしが彼等を最後に見たのは三年前なんです。そして三年振りにあってみれば、ルッチ君に全く追いつけていないという事実。少しショックですよ、本当に。
そんな、話の種になっているなど露と知らないルッチ君はサンジ君とお話しの真っ最中です。
ルッチ君の言葉に耐えきれなかったようで、サンジ君はこちらに走り込んで右脚の蹴りをルッチ君の頭目掛けて放ってきました。
しかしその蹴りを左腕一本で軽々と受けると、
「テメェっ!それ以上口を開くなぁッ!!」
というサンジ君の言葉も無視して淡々と喋り続けるルッチ君。
「政府はこの先何年もかけて、ニコ・ロビンの知識、経験、頭脳の全てを絞り出すだろう。これからあの女がどれほどの苦痛すえ死んでいくのか、よぉーく噛み締めて」
「そんなことはさせねえよ!!!」
そしてそのルッチ君の言葉に被せて叫ぶサンジ君。いや、もうね?口を開くなって言ったり、言葉を被せてきたり、話の途中で蹴りを繰り出してきたりするのなら、ルッチ君とは喋らなければいいのに。
代わりにほら!ここに何時でも何処でも冷静沈着なお兄さんがいますよ!実際に声には出しませんけどね。
サンジ君が叫んだすぐ後に、今度は第一車両から大声が聴こえてきました。おそらく今は自称そげキングを名乗っているウソッパチ君でしょう。
ガチャ、というドアを開ける音と共にロビンちゃんとその腕に抱きついているイカす仮面をしてるウソッパチ君。そして歓喜の雄叫びを上げるサンジ君。そしてルッチ君以外のCP9の空気感。取り敢えず、わたし寝てていいですか?
なんか立ってるのが無駄に思えてしょうがないんです。
ロビンちゃんは麦わらの一味に戻る気はなさそうですが、麦わらの一味の侵入者組も諦める気はないようです。
そんな侵入者組はウソッパチ君がサンジ君とフランキー君に第三車両を切り離すよう伝えた後、煙幕を使いロビンちゃんを持ってかれてしまいました。
見聞色の覇気を使っていないのに何故分かったかというと、
「ニコ・ロビンはいただいた〜〜〜!!!!!」
という感じで叫んでいたからです。
「よっしゃあ!!」
そしてそれに喜ぶサンジ君とフランキー君の声が響きます。
しかし、CP9はそんなに甘くはありません。
煙幕の煙が晴れてきたことで先に動き出したのはカリファちゃん。彼女愛用のイバラの鞭で、離れようとしている第三車両を捉えると、今度はその鞭をブルーノ君が引っ張り引き寄せます。最後にブルーノ君が体を張って第二車両と第三車両を離れないように掴んでいれば敵の策戦阻止は完了です。
しかし、あちら側も黙って見てる積もりはないようで、サンジ君がブルーノ君に対して蹴りを放ってきました。ブルーノ君はそれを六式の体技が一つ【鉄塊】で防ぎますが、サンジ君のもう一度放った先ほどより重い蹴りに呻き声を上げました。
今度そこで行動したのはロビンちゃん。なんと仲間であるはずのウソッパチ君に、自身の能力であるハナハナの実を使い技をかけてしまいました。
そして、そのことに皆が注目している隙にカク君はサンジ君に蹴りをお見舞いして吹き飛ばします。
なんかもう悲しいぐらいに秒殺でした。
もうちょっと頑張って下さいよ侵入者君たち!わたしも少しは動きたいんですから!
次に動いたのはフランキー君でした。海列車の壁に両手と頭をつけて踏ん張っている様です。まさかとは思いますが……はい、そのまさかでしたー。
フランキー君は力任せに壁を押し剥がし、壁ごとこちらに突っ込んできます。そのおかげで車両どうしをつなぐ役目をしていたブルーノ君も第二車両に押し込まれてしまいました。
見た目は海パンにアロハシャツという変態感丸出しのくせに、どうやら心だけはイケメンみたいですね。麦わらの一味とは仲間というわけではないはずなのに、その身を犠牲にして助けようとするとは……。まあ、イケメン度で言えばわたし程じゃないようですがね!
それに今の状況ってずっと活躍無しだったわたしが動ける最大のチャンスじゃないですか!
しかし、ドアドアの実を食べたことで何処にでもドアを作ることが出来るブルーノ君がいますから、おそらくロビンちゃんを連れてくるのは彼の仕事になりますね。まあ、わたしもついて行かしてもらいましょうかね。一人だけ何も喋らず動かずというのは悲しいので。
「ブルーノ」
「ああ。」
フランキー君と少しの問答をした後、ルッチ君がブルーノ君に呼びかけ、彼も短く返答しました。
そして彼はその能力を発動します。
「エアドア」
ギィィィィィィィ、という不吉な音と共に。