これからよろしくお願いします。
波の音、人々の声。
ここは海の上、深海棲艦が現れてからは世界有数の危険地帯となった太平洋だ。
父さん「観なさい、きれいな海だろ?」
僕は父さんの知人のタンカー船に乗せられ、
好きでもない父さんに無理やり海に連れてこさせられた、
父さんが海を見せたかっただけで。
こんな事の為に深海棲艦という化け物だらけの海に来るなんて狂気の所業だ。
僕「うん、綺麗だね」
無難な返事を返しておく、父さんは少し不機嫌そうにした後、僕に部屋に帰れと言った。
いつだって父さんは理不尽だ。
僕がまだ赤ん坊の時だって、泣けば直ぐに怒鳴るし、嫌なことがあれば直ぐに不機嫌になる。
不機嫌になったら直ぐに殴るし怒鳴る。
僕が天才児と呼ばれている事を利用している。
父さんへの悪態を心の中でつきながら自分の部屋に向かう。
ふと、タンカーの乗組員だろうか、青年たちの会話が聞こえる。
青年「いや~辛いっすね」
中年の男性「どうした、また艦長に名指しで怒鳴られたか?」
青年「先輩~ここツラすぎませんか?筋肉痛がひどいっす」
中年の男性「いや、もっと上の役職は頭痛もひどいらしいぞ」
青年「まじすか!?こんなとこ就職すんじゃなかったっす~実家に帰りたい~」
中年の男性「海は深海棲艦も出るからな、ほら次の仕事に行くぞ」
そんな他愛のない会話をしながら去っていった
…そして僕は唐突に怒りを感じた
辛い?筋肉痛?頭痛が酷い?
お前たちはまだ同僚が、友人が、上司が、家族がいてくれるだろぅ?
…こんな事を考えても仕方がない
彼らが悪いわけではないし、こうやって恨んだり妬んだりしても意味がない。
少し気分が悪くなった…部屋に戻るか。
そうして部屋に帰ろうとした時
ドゴンッ!
突然の事だった、
強い光、遅れて届く重低音、暴風。
それは、まるで------
爆発ーーー
........
.....
...
酷く暑い、
血が流れているし、所々火傷しているが、生きているし動ける。
ポケットのハンカチを使い、即席の止血を行うと、ぼんやりしていた意識が戻ってくる。
意識が戻ると、周囲の状況を理解してくる、
警報が鳴っている、何度も大きい重低音がする、人々の声は悲鳴と化している、
なんども爆発が起きているし、艦橋は燃え盛っている。
悲鳴、警報、重低音、爆発、海上。
これらから導き出される答えは、
中年の男性「深海棲艦だ!深海棲艦に襲撃されているぞ!!」
飛んでくる砲弾と、遠目に見える化け物を見ながら、僕は考える。
嗚呼、神様
どうして僕に、こんなにも多くの試練を出すのですか?
僕は何の抵抗も出来ず、爆発に巻き込まれた。
?「...ここは、どこだろう...?」
僕は気付いたら知らない部屋にいた。
?「あ、起きた?」
後ろから声が聞こえたから振り返ってみると、そこには人類の敵《深海棲艦》空母ヲ級がいた。
?「!?」
ヲ級「あ、ごめんね。驚いちゃったよね。」
?「あ、いえ、大丈夫です。えと、僕はなぜここに?」
ヲ級「外《海底》を歩いてたら貴女が倒れてたからここに連れて来たの。」
?「そ、そうなんですか。」(何だか貴女の所に違和感が...)
僕は海底に倒れていたのを目の前にいるヲ級に助けられてここに来て、あれ?でも、なんで僕は海底に?
ヲ級「そういえば、貴女、名前は?」
?「あ、僕の名前は...思い出したくない、です...。」
ヲ級「そっか、じゃあ、私が名前つけてあげる。といっても、仮の名前だけどね。」
そう言ってヲ級は考え始めた。
約3分後...
ヲ級「うーんとねえ。あ、そうだ!深月っていうのはどうかな?」
?「深月...いいですね。今日から僕は深月です。」
僕の名前は今日から深月に決まった。
深月「改めて、僕は深月です。これからよろしくお願いします。」
そういえば、聞きたいことがあったのを忘れていた。
深月「えっと、ヲ級さんは、何故怨む対象の人間である僕を助けたんですか?」
ヲ級「え?んー、そうだなあ。なんとなくこの子は他の怨むべき人間と違う気がするって思ったからかな」
え?たかが他の人間と違う気がするだけで?いや、これも僕を利用するための罠かもしれない。
でも、深海棲艦達がたかが人間を利用するとも考えにくいし...。
少しは信用してみてもいいかもしれない。