そうぞうしんさまといっしょ!   作:水代

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に……2年ぶりですね(震え声


第3話

「トレーナー様、先のバトルで私たちポケモンが使う技に、従来には無かった仕様が存在することに気づかれましたか?」

 

 問うてきた少女の言葉に、『アナタ』は先ほどまでのバトルを思い出し、けれどそこにと何ら違和感を覚えることは無かった。

 首を振る『アナタ』に少女は一つ頷き、先ほど閉じたばかりのステータスウィンドを表示する。

 

 

 * * *

 

 【名前】――――

 【種族】アルセウス/擬人種

 【性別】????

 【Lv】2/120

 【能力】HPA こうげきA ぼうぎょA とくこうA とくぼうA すばやさA

 【BP】5P

 【特性】マルチタイプ

 【戦技】ちきゅうなげ/コスモパワー/しぜんのめぐみ/おしおき

 【旅技】――――

 【特殊】初期ポケモン

 

 * * *

 

 空中に表示されたホロウィンドウのさらに【戦技】の欄をタップすると、【戦技】の一覧がクローズアップされる。

 

=====【戦技】=====

 

 『かくとう』ちきゅうなげ

 

 『エスパー』コスモパワー

 

 『ノーマル』しぜんのめぐみ

 

 『あ  く』おしおき

 

==============

 

 

「こちらが【戦技】ですね。これをさらにタップしまして……そうですね、例えば先ほど使用した『おしおき』などはこのようになっております」

 

 

【技 名】おしおき

【タイプ】あく

【分 類】物理

【威 力】60

【命 中】100

【範 囲】単体

【直 接】〇

【発 動】2秒

【待 機】6秒

【効 果】相手の能力ランク×20威力が上がる。

 

 

 大半は実機と同じよう説明書き。従来のゲームをやっていれば覚えがある。

 ただ後ろのほうに書かれた『発動』と『待機』の二つには覚えが無かった。

 

「そうですね。こちら本作の特徴としましてポケモンの技に『発動』時間と『待機』時間が存在します」

 

 少女曰く、例えばこの『おしおき』という技ならば技を指示されたなら技の『モーション』……つまり構えに入る。そこから約2秒のチャージタイムのようなものが挟まり、チャージ完了と共に技が発動。技が完了すると今度は6秒間のクールタイム、つまり待機時間が挟まり、この間は『次の技』を使用できない。

 

「ポケモンの技は全てその技のタイプの『エネルギー』を充填して放つことで相手ポケモンにダメージを与えることができます。そのため技の発動には『エネルギー』を溜める時間が必要になります」

 

 まあ確かにアニメのポケモンでもそういう描写はあったので納得はできる。

 何より実機にもあった『優先度』の差というのが多分ここに来るのだろう。優先度の高い技はこの発動時間が短く、優先度の低い技は発動時間が長い、と考えると納得できる。

 何せこのゲームにおけるバトルは実機のようなターン制バトルではない、リアルタイムバトルなのだ。

 

 とは言えこの『待機』というのは良く分からない。

 普通に考えれば技が発動した後、数秒次の技が使えないというのが理解できない。

 バランス的な問題だと言うならばその分発動を伸ばせば良いだけなのでは? とも思うのだが。

 そんなことを尋ねれば少女が少し考え込み。

 

「そうですね、この待機というのは技の『反動』だと思ってください。ポケモンが技を発動するのに『エネルギー』を充填して放出しているのは先も言った通りですが、当然ながら相手のポケモンにダメージを与えることのできるだけのエネルギーが数秒のうちに体内から急激に減少するわけです、全力で走った後に息切れして呼吸が荒くなるように当然ポケモンにも相応の反動があるわけです。『待機』の時間とは失われたエネルギーがポケモンの体内に再び巡るまでの猶予だと思ってください」

 

 とのこと。

 これは多分あれだろう、例えば『はかいこうせん』や『ギガインパクト』『ブラストバーン』や『ハイドロカノン』『ハードプラント』などの使うと次のターン動けなくなるような技を想像すればイメージしやすいだろう。

 

 あと少女は『失われたエネルギーがポケモンの体内に再び巡るまでの時間』と言った。

 

 つまり技に使用したエネルギーは再度充填されるということらしい。

 技の詳細に無かったのでもしかしと思っていたが『PP』という概念が無いらしい。

 確かに実機ほど気軽にポケモンセンターに通えるような環境でも無さそうだし、PPというのが技に使用しているエネルギーのことなら時間経過で回復できなければ不便だろう。

 つまりPPの代わりにあるのがこの『待機』時間なのだろう。

 

 中々良くできた設定だな、と『アナタ』は思った。

 

 

* * *

 

 

 町から町への道は整備されていて、道の上にポケモンが飛び出してくることはまず無い。

 逆に道から一歩逸れ、草むらに入れば途端にポケモンにエンカウントするわけだが、実機のように町から町へ行くのに必ず草むらを通る必要があるとかそんなことは無く、ずっと続いている道を辿って歩けば一度もポケモンと遭遇することも無く次の町へとたどり着ける。

 

「見えましたよ、トレーナー様。あちらが『トキワシティ』になります」

 

 告げる少女の指先に『アナタ』が視線を向ければ、そこに広がるのは想像していたよりずっと大きな街だった。

 都市、というには全体的に古びた建物が多く、建物も全体的に背が低い。それにあちこちに木が生えていたり、自然そのままの未開発な土地が残っていて、どこかあか抜けない印象がある。それでも実機で見るような家が少々にジムとポケモンセンター、それにフレンドリーショップにポケモンスクールしかないような村のような規模の街では決して無かった。

 

 小高い丘を越えて真っすぐ伸びた道を歩けばトキワシティへとたどり着く。

 明確にここからがトキワシティと境界線があったわけではないが、続いていた土を固めただけの道が石畳になり、そしてアスファルトで舗装された道路に代わると徐々に人の賑わいが聞こえてきた。

 

「さて、トレーナー様。ここがトキワシティになります」

 

 トキワシティへいざ行かん、とした途端に少女が立ち止まり『アナタ』の前に立ったので『アナタ』は足を止める。

 

「基本的にどこに行くもトレーナー様の自由となりますが、その前に一つ、どうしてもトレーナー様にやってもらわなければならないことがあります」

 

 少女がピン、と指を一本立て。

 

「実はまだトレーナー様は『トレーナー』ではありません」

 

 そんなことを言った。

 

 

 

 

 少女が言うには『アナタ』たちプレイヤーはまだこの世界にやってきてすぐに『サイハテ』でポケモンを手に入れる。そしてそこからガイド役だった少女にこの世界の説明を受けてそれぞれの地方にやってくる。そこでまず最初に一番近くのポケモンセンターで『トレーナー登録』をするところまでが『チュートリアル』になるらしい。

 

 逆に言えばポケモンセンターで『トレーナー登録』をするまでは『アナタ』たちはトレーナーではないただのポケモンを持った一般人である。

 そのため他のトレーナーとポケモンバトルをしたり、フレンドリーショップなどでポケモン用の道具を購入したりができない。

 というか大半のコンテンツが利用できなくなるため、必要不可欠と言っても過言ではない。

 

「というわけでまずはポケモンセンターに行きましょう。場所が分からない時はメニューからマップ表示をすれば町の地図と主要施設の位置は表示されます」

 

 そんな少女の言に従ってポケモンセンターへと向かって歩く。

 メニュー画面を開けばトキワシティのマップ表示がされ、ポケモンセンターの位置も表示されているので迷うことは無いだろう。

 

 というか、トキワシティだけでポケモンセンターは3か所ほどあるらしい。

 北側に一つ、西に一つ、南に一つ……どうやらそれぞれ他へ続く道路の近くにあるらしい。

 

 そうして十分ほど歩けば最寄りのポケモンセンターへとたどり着く。

 実機ならば何度となくゲーム主人公を操作して通った場所ではあるが、それをVR世界とは言え自らの身で訪れることができたという感動に『アナタ』は胸を震わせた。

 

 そうして入口を潜った瞬間、センター内では回復待ちをしていたり、ロビーで休憩をしていたり、立って雑談をしていたりと多くのトレーナーがそこに居た。

 

「お? もしかして新人のトレーナーさんかい?」

 

 入口の自動ドアの脇に立っていたメガネをかけた男性が『アナタ』を見つけ、声をかけてくる。

 

「良かったら新人トレーナーさんに俺から色々説明してあげようかい?」

 

 そんな男の言葉に、実機でもだいたいどこのジムにもいる『おっす、みらいのチャンピオン!』的な男性かな? と推測する『アナタ』が何をを言うより前に『アナタ』の隣にいた少女が一歩前に出て。

 

「トレーナー様には私がご説明したしますので、結構です」

「え? いや、でも新人さんだし」

「結構です!」

「あ、はい……すみません」

 

 少女のほんのり怒り混じりな声に男性がびっくりしたような表情ですごすごと下がっていく。

 目を丸くする『アナタ』に少女が振り返る。

 ぷくーと頬を膨らませながら、少女は『アナタ』を見つめ。

 

「マスター様への説明は全て私がしますから!」

 

 何だろう、何か拘りがあるのかな? そんな風に『アナタ』は考えてから、可愛いものだ、と少し笑った。

 

 

 * * *

 

 

 トレーナー登録というのは本当に簡単に終わった。

 受付のジョーイさんに登録をしたい、と言えばジョーイさんがパソコンにいくつかデータを打ち込んで終了らしい。

 

「では、こちらのポケモン図鑑をどうぞ」

 

 最後にトレーナーの情報の登録の終わったポケモン図鑑を受け取ればそれで完了。

 というかポケモン図鑑てこんな誰にでも渡して良いものなのだろうか?

 

「はい、それではトレーナー様にご説明させていただきますね」

 

 先ほどのことがあったからだろうか、少しテンション高めに少女がかけてもないエアメガネをくい、っと直す仕草をしてからピンと指を立てる。

 

「今トレーナー様が受け取りましたポケモン図鑑には多くの機能が搭載されております。まずは起動してみてください」

 

 そう言われ、『アナタ』はポケモン図鑑を起動する……どうやって起動するのかと思ったら、二つ折りにされた画面を開いて右下のほうの電源ボタンを押すだけだった。

 

 これ3〇Sとかいう大昔の携帯ゲーム機では?

 

「気のせいですね、それではメニュー画面をご覧ください」

 

 

=【メニュー】=

 

【 図 鑑 】

 

【 解 析 】

 

【 育 成 】

 

【 記 録 】

 

========

 

 

「一つずつ解説させていただきますと『図鑑』機能は、基本的なポケモンの詳細、分布などが記載されております。注意点として基本データ以外は過去のデータを検索、参照するという形になりますので捕獲等の必要無くだいたいの情報は出そろいますが、反面特定のポケモンが特異性などを持っている場合、それを確認するには『解析』が必要になります」

 

 まあVRで自分の体を動かすに近いこのゲームにおいて、1000を超えるポケモン全てを捕まえるなど中々に困難なのは確かであり、そのための措置ということだろうか。

 開いてみれば実機のポケモン図鑑というよりはネット上のホームページのものに近く、『種族名』『分類』『タイプ』『おもさ』『たかさ』『特性』『大雑把な種族値』に『分布』、『種族解説』などが載っていた。

 

「『解析』は逆に対象となるポケモンの目の前で使用することで、対象のポケモンの能力等をデータ化することができます。ただし解析対象の情報項目が多いほど……つまり普通じゃないポケモンほど解析に時間がかかりますのでご注意ください。因みにこちらはバトル中でもご利用になれます」

 

 それはつまりバトル中に相手のデータが見れるということだろうか?

 

「そうですね、勿論詳細まで解析しようとすると中々時間もかかりますが、特性、もしくは技などに絞ればこちらが一手、二手動く間に解析も可能です」

 

 告げる少女の言葉に『アナタ』は驚く。

 バトル中に相手のデータが確認できるというのは従来の仕様からすると革新的とも言える仕様だった。

 ただこれは野生戦ならばともかくトレーナー戦ならば相手も使える仕様だ。その点には注意が必要だった。

 

「それから『育成』ですね。こちらは……そうですね、一度開いてもらえれば分かりやすいかと思いますが、ポケモンの育成に関する機能ですね」

 

 タップしてみてください、という少女の言に従って『アナタ』は【育成】項目をタップする。

 

 

=【メニュー】=

 

【 図 鑑 】

 

【 解 析 】

 

【 育 成 】

┗『わざおしえ』―――教えることができる技がありません

┗『????』

┗『????』

┗『????』

 

【 記 録 】

 

========

 

 

「今現在使用できるのは『わざおしえ』機能のみですが、これから先、トレーナー様が旅の中で他の機能も徐々に解放されいくことになります。前に言いました『レベル上限』の解放などもこの『育成』機能の一つですね」

 

 何となくだが、ハイエンドコンテンツな感じだろうか、と『アナタ』は思った。

 少女の言った『レベル上限』の解放などポケモンのレベルがカンストしてからの話であり、実機などでもポケモンの育成というのは旅が終わった後の話だ。

 というか『わざおしえ』は一体どうやって使えば良いのだろう。

 教えることができる技がない、ということは将来的には教えることのできる技がある、ということになるわけだが。

 

 そんな『アナタ』の疑問に少女は一つ頷いて答える。

 

「こちら『わざおしえ』機能を使うためにはその次の『記録』機能が重要になります。簡単に言いますとこちら『記録』機能は戦闘中などに味方や相手が使った技を『記録』し『わざマシン』を作り出す、わかりやすく言えばそんな機能になります」

 

 つまり、これが少女の言っていたものなのだろう。

 

「そうですね、こちらがラーニングシステムとなります」

 

 『アナタ』の問いかけに、少女が頷いた。

 

 

 

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