ダンまち世界に迷い込むのは間違っているだろうか   作:レイジー

9 / 16
 前回のサブタイの方をこれにするべきかなぁ(サブタイネタバレはいかんでしょう)
 だよねぇ、OPでネタバレする某アニメみたいなのはや~ね~(敵が増えそうだ)



第九話 魔法

「なんで?」

 

 そう思いつつ自分の確認可能な胸部から下の体を確認すると、体どころか着ていた服すらも少し透明になっている事に気が付いた。

 自分の存在が薄れている、そう考えた瞬間今日の探索中の出来事を思い出した。

 

「まさか…気配が薄いってのを深層心理で考えてたからそれが反映されて謎の体が透けるって状況になったのか?」

 

 深層心理での気配の薄さの意味に疑問を抱きながら再びロキの神室へと戻る。

 

「ロキ!今僕の体ってどうなってる!?」

「どうなってるって……どうもなっとらんよ」

 

 ロキのその回答に状況を理解した僕は解呪式を唱えるとすぐに詠唱を行った。

 

「な、なんや!ミストがいきなり消えたで!?」

 

 やはりと言うべきか想像通りいまロキには僕のいない光景が幻覚として見えているらしい。

 その事を確認できた僕は再び解呪式を唱え、ロキの目の前に現れた。

 

「うわッ!出たぁ!!」

「これが僕の魔法らしい、相手に特定の幻覚を見せる。今やったのはロキに僕の存在を認識させなくしただけ」

「…なんやエライ暗殺者(アサシン)向けの魔法やな」

「まあ、始めみたいに対象外の者には見えないみたいだけどね」

 

 だからこそ神室に入った時には僕の姿がロキには認識できていたのだろう。

 一度に多くの相手にかけるとどうなるかは分からないけど一対一の時は確実に有用な魔法だ。

 そして恐らくこれは違うこともできる。

 

「【望みし影、望みし姿。我の望む形へ至れ】」

「【ファンタム・リアリティ】」

 

 またしても詠唱したが今度は僕とロキ、どちらにも変化はない。

 ロキもそれに気が付いたようで何をやったと見つめてくるが、そこで僕は右手の親指と人差し指でモノを挟む形を作り力を入れた。

 

「イタタタタァ!?」

「あ、ごめん、ステイタスが上がったの忘れてた…」

「…てことは、今のミストの仕業かいな?!」

 

 頬を痛そうに撫でるロキが恨めしそうに僕の事をにらむ。

 

「うん、入れた力に応じてロキの頬につままれた時の痛みを感じるようにイメージした」

「やめてえな…せめてアイズたんのおっぱいの感触を味わわせてぇ!」

「味わったことないから無理、というかそれを味わって何が嬉しいの?」

 

 そう問いかけるとロキは唐突に「あ、そういやこの子そういう子やった」と無表情を極めたような無の顔で項垂れる。

 とりあえずよく分からないけれど自分の感覚で嬉しいと感じた感覚をロキにも体験させてあげることにした。

 

「これは?」

「リヴェリアお姉ちゃんが頭を撫でてくれた時の感触」

「……まあ、これもこれでええな」

 

 どことなく表情が穏やかになったのを確認すると解呪式を唱え、撫でられている感覚をなくす。

 確認したいことを終えた僕は夕食の時間までずっと中庭でティオナお姉ちゃんに教わった筋トレを繰り返し続けて夕食の前に汗を流してから夕食を済ませてそのまま就寝した。

 

 

「さて、今日もやりますか!」

 

 昨日に引き続きダンジョンに潜る。

 と言ってもまだ初心者の僕は今のステイタスでは1~4階層で我慢するしかない。

 その階層なら出てくるモンスターはゴブリン、コボルト、ダンジョン・リザードくらいのものでまだ現状の知識でも十分に暗記している範囲だからある程度安心して探索が出来る。

 もちろん慢心をしてはいけないが。

 

「ふッ!せやあッ!!」

 

 明らかに冒険者のものではない足音を聞いた僕は通路の角を曲がるとすぐに背後から短剣を突き刺して三体のゴブリンを倒した。

 一か月の特訓の経験をステイタスという形に変換したおかげで昨日に比べると段違いに動きやすくなっている。

 振り向かれる前に倒すことが出来たのは近かったこともあるのだろうが、ステイタスの恩恵が確実だ。

 

「またか!」

 

 魔石を回収していると前後からゴブリンとコボルトが集団で襲い掛かってくる。

 まだ腰巾着に魔石を収納していなかった僕は手に持った三つの魔石を前方にいたゴブリンたちの顔面目掛けて投擲し、怯んでいるところをすれ違いざまに一撃入れてひとまずの背後の安全を確保した。

 

「数が多いな…」

 

 合計で8体。探索二度目の初心者が一度に相手取るには少々手厳しい数だ。

 じりじりと詰められる距離、まだ実験していなかったがやるしかないと詠唱を唱える。

 

「――【ファンタム・リアリティ】」

 

 一気に体から力が抜ける感覚に襲われながらも魔法は正しく発動した。

 イメージしたのは8体のモンスターの五感には今なお動かない僕の姿が認識されているという事だけ。

 そして正しく発動したおかげで気取られることなく敵全ての背後に回ることに成功し、背後から一体ずつ素早く倒すことで無事勝利を収めた。

 最後の一体が魔石を残し消えたことで魔法の対象がいなくなり魔法は自動的に解呪された感覚が伝わってきた。

 

「さっきの合わせてちゃんと11個ある」

 

 数を確認して腰巾着に魔石を収納して探索を再開する。

 ステイタスの耐久アビリティ評価がGになっているおかげで昨日のように腕が痺れるという事もなく思う存分探索を続けることが出来、少し下の階層に降りてダンジョン・リザードとの初戦闘も繰り広げた。

 1~4階層のアビリティ評価はI~Hあれば事足りるため1~4階層のモンスターと多くの戦闘を繰り広げるうちに苦戦することは少なくなっていた。

 

「とは言っても少し攻撃受けちゃったなぁ……これで昨日の稼ぎの半分が吹き飛んだ」

 

 戦闘のダメージを回復するために試験管に入ったダンジョンの壁よりも濃い青色の液体を飲み干す。

 下級の体力回復薬(ポーション)だが初心者には十分なもの、みるみるうちに疲れは吹き飛んで再び戦えるように回復していた。

 体力回復薬に濡れた口元を拭うと来た道を引き返して帰るときの安全を確保して戦う。

 そうしてさらに戦闘を繰り広げた僕は遅くなるといけないと引き返し、『始まりの道』とも呼ばれる1階層の大通路を進み地上に伸びる大穴を側面に設けられた螺旋階段を上がっていく。

 

 

「いや~、バベルにシャワー室があるのってかなり助かるよねぇ」

「うん、そうだけどさ…?なんで昨日の今日でこんなに稼いでるの!?」

 

 風に吹かれて完全に乾燥した短髪を撫でながら嬉しそうにそう話すと、ミィシャさんが窓口に拳を叩きつけて声を荒げた。

 そんなミィシャさんの睨んだ先には山吹色のぎっしり詰まった袋が載っている。

 その額、実に昨日の約10倍。

 もちろん稼ぎの低かった昨日と比較するのは間違っているが、それでも初心者のソロ冒険者の稼ぎとしては十分すぎるほどだ。

 

「頑張った」

「そういう話じゃないよ!?こんな額実際にソロで稼いでる人なんてベテランでも限られてくるんだよ!」

「じゃ、超頑張った」

「頑張りの度合いじゃなぁい!」

 

 ミィシャさんは絶対おかしい、と文句を言いながらチラチラと何度もヴァリスのたっぷり入った袋を確認して溜め息を吐く。

 それを見て思わずケラケラと笑ってしまいキッと睨まれた。

 

「はぁ……そうそう、昨日言ってた話だけど」

「?」

「パーティの話で、同じように昨日登録した人と今日登録した人がパーティを求めててね?」

 

 そういわれて思い出した僕は手渡された用紙を二枚受け取って見比べる。

 一方は十も上の男性冒険者24歳。

 戦闘スタイルは長剣を操る完全に身体(フィジカル)寄りの虎人(ワ―タイガー)の人。無名の派閥(ファミリア)に所属しながらオラリオに来た初日に登録してその日に探索しに行っている。登録日は今日。

 もう一方は二つ年上の女性冒険者16歳。

 戦闘スタイルは大剣を振り回しつつ超短文詠唱の魔法で戦う魔法戦士系の狼人(ウェアウルフ)の人。【ガネーシャ・ファミリア】に所属し同じように一か月間そこで訓練して昨日登録した人らしい。

 この特徴を読んで迷う人はあまりいないだろう。

 

「じゃあ、この『オリヴィア・ロペス』って女の人でお願いします」

「分かった、今日もダンジョンに潜るって言って帰って来てないからギルドに来たら声かけとくね」

「パーティを組むんだったら明日バベルの――」

 

 パーティ結成するときの集合場所と集合時間、こちら側の特徴を伝えるようにお願いしてずっしりと気持ちのいい重みの袋を背嚢(バックパック)に入れて体力回復薬の補充などの準備を終わらせて本拠に戻る。

 夕暮れに本拠に到着すると昨日のように寝室でロキにステイタス更新を頼んだ。

 

「今日は少し遅かったな、ムチャはあかんで?」

「はは、無茶はしてませんよ。ステイタスが上がって少し感覚がズレただけです」

 

 雑談をしながらの更新を終えるといらない部分を省いた用紙を渡される。

 

 ミスト・グリージョ

 Lv.1

 力:H105→H132 耐久:G235→G252 器用:G238→G250 敏捷:H184→G203 魔力:I0→I86

《魔法》

【ファンタム・リアリティ】

《スキル》

【】

 

「あまり変わらないなぁ」

「そか?新人にしては伸びてる方やと思うけどなぁ」

「なるほど、基準が分からないので変わってないのかと…」

 

 一般的な数値変動の情報もなしに基準は分からないのは当然だがこれでも伸びている方らしく少し安心できた。

 ただこのままではすぐに伸びも頭打ちになるだろうから、より深く潜るためにもパーティ結成を向こうが了承してくれるのを祈っていよう。

 少し相手との相性が気になるが今悩んでも仕方のないことだ。

 

「それじゃあ夕食まで自室で読書してますね」

「あいよ」

 

 ロキのよく分からない返事をおいて自室に戻るとリヴェリアお姉ちゃんに選んでもらった本を読み進めて行く。

 少し難易度を上げたと言っていたからその通り書いてある内容が分かりにくくなっているけど、そこの情報は他の本で読んだことのある内容で理解できたから特に問題は無かった。

 本はどれも基本的に同じ事が言えるけど、続きだったり難しくなった本にはそれ以前の知識を覚えていることが前提になるから覚えていないうちはそれより簡単な内容の本が必要かもしれない。

 

「…おっと、もうそろそろ時間か」

 

 日の沈み具合から判断して食堂へ向かっているとその途中で夕食を知らせる鐘が鳴り響く。

 

「既に皆いるなぁ」

 

 遅れてやってきた僕が一人で食べようとすると遠くから声がかかる。

 

「おぉ~い、ミスト君!一緒に食べないか?」

「いいんですか?」

 

 聞こえてきた男の人の声に一応社交辞令という可能性を考えて聞き返したけれど問題ないと男の人が僕を手招きして隣に座らせた。

 

「えっと…?」

「ああ、俺は『バルトロメ・ロイヤー』だ。バルト兄ぃと呼んでも良いぞ?」

「ふざけるバカはほっといて…私は『レニー・オール』、レ二姉さんで大丈夫よ」

 

 名前を聞いたことはなかったけれど見るときは思い返してみれば二人一緒だった気がする。

 ひょっとしたら二人は付き合っているという奴なのかもしれない。

 

「分かった、バルト兄ぃ、レ二姉さん」

「ほんとにそのままだな」

「ええ」

 

 何か引っかかったの耳打ちしている二人、聞かれたくないからの行動と理解しているからあえて聞き耳を立てずに無心で食事を摂る。

 

「最近はどうだ?昨日からだろ?」

「え?うん、昨日は勝手が分からなくて一一〇〇ヴァリスで今日はステイタス更新したから一一八〇〇ヴァリスだったはず」

 

 少しステイタスが上がっただけで稼ぐことが出来たからきっと明日はもっと稼げるだろう。

 ひょっとしたら明日は様子見で稼げないかもしれないけれど最終的な稼ぎはかなりの額のはず。

 

「へぇ…す、すごいね」

「すぐにそこまで稼げるのはすごいわよ」

 

 そう言ってくれる二人だけど平均値がどれくらいかが分かっていないから喜ぶことが出来ない、精々愛想笑いくらいなものだ。

 

「二人は普段二人でダンジョンに?」

 

 一応何かの参考にと二人の事を聞いてみる。

 

「いや、他のファミリアを入れて四人でやってる」

「向こうのファミリアも二人、稼ぎも二等分してからそれぞれで分けれて楽ね」

 

 どうやらパーティ内の貢献度は皆同じくらいらしく、稼ぎは二等分で良いみたいだ。

 

「そっか」

 

 それを聞いた僕は食事を済ませると二人にお礼を言って自室に戻る。

 ランクも違うだろうからあまり参考には出来そうにないだろうけれど、聞いておくに越したことはない。

 

 

「あなたがミスト・グリージョですか?」

 

 ベンチに座って待っていると頭上から女の人の声が聞こえて、顔を上げるとそこには狼人の女の人がいた。

 

「はい…てことはあなたがオリヴィア・ロペスさんですか?」

「ええ、てことでパーティ結成ね。じゃあ早速…と言いたいんだけど面倒だからお互いに敬語なしね?」

「いいけど…だったらはじめからなしでも良かったんじゃ?」

 

 すぐに口調を素に戻すのなら意味がないだろうとツッコむ。

 オリヴィアはまあ、と頭をガシガシと掻きながら言い淀んだ。

 

「ぶっちゃけ第一印象の操作ね、はじめから乱暴な口調だったら今後の印象にマイナスの傾向が付くだろうから」

「だから中立の印象?」

「そういう事」

 

 変にあからさまな媚を売られていたら確かにそういう傾向もあったかもしれない。

 だからその点で助かったのだろう。

 

「ギルドの人から聞いてるかもしれないけど一応…現段階では短剣を主武器(メイン)として探索していて、魔法も使えるけど攻撃系ではない」

「短剣以外も使おうと思えば使えるという事ね…これからよろしく、ミスト」

 

 にッ、と笑みを向けて手を差し伸べられる。

 

「おう、よろしくな」

 

 ちょっと似合わない少し格好つけた口調で手を取った。

 

 




 オリキャラ登場!(流石に原作サブヒロインだけじゃ皆つまんないだろうしね)
 ただ性格が迷走している(だろうな)
 作者の思い描いているのは『男らしいけれど女の子らしい一面も僅かにある』とか『芯の通ったキャラ』だったりする(簡単に言えばあまり男性受けはしないタイプね)
 でも作者的には結構好き。現代人の性格が嫌いでね?お淑やかさを強要する気はないんだけど中途半端なのがイヤ(ど~ゆ~ミーン?)
 お淑やかにするなら『大和撫子』でいて欲しいし、そうじゃないなら『原作椿・コルブランド』みたいな感じで堂々と豪快にいてほしい本音(白黒つけたい性格よね、君)
 だからイメージとしては『F〇te』の『フ〇ンシス・ドレ〇ク』みたいなのをオリキャラに重ねて補完してくれたら幸いです。(読者の想像力に丸投げする小説家の屑である)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。