外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜   作:(TADA)

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リシテアちゃん、きみ将来糖尿病になるんじゃないかい?




 「お前は好き嫌いが多すぎる」

 「……はい?」

リシテアがいつもの通り食事をとっていると、自分が教えを請うているシェイカーがやってきて突然そんなことを言われた。

リシテアが不思議そうにしているのを気にすることなく、シェイカーはリシテアの向かい側に座る。

 「リシテアは好き嫌いが多すぎる。そんな食生活を送っていたら成人病一直線だぞ」

 「成人病がなんなのかわかりませんが、大丈夫です。子供扱いしないでください」

リシテアの言葉にシェイカーは机を力強く叩く。

 「甘い!! リシテアがお茶会で飲む甘ったるい紅茶より甘い!! いいか!! 糖尿病はとても辛い病気なんだぞ!! しかも若いうちからかかったら最悪だ!!」

 「いえ、糖尿病という病気を聞いたころすらないんですが」

 「第一なんだその食事は。野菜がないじゃないか」

 「失礼ですね。今日は野菜をとりました」

 「まさかお茶会の時にメルセデスが持ってきたスイートポテトを野菜と言う気じゃないだろうな」

図星であった。

 「それに魚嫌い、野菜嫌い、肉はちょっと好き、すごい甘党とか早死に一直線だぞ」

 「別にいいんです。どうせ私は長生きできないですし」

リシテアの言葉にシェイカーはなんでもないように口を開く。

 「ああ、あの不完全な呪いのことか? あれならもう解呪したぞ?」

 「………え?」

リシテアは呆然と呟く。それはそうだろう。幼い頃に受けた人体実験のために長生きすることを諦めていたのに、目の前の教師はそれをあっさりと治したと言うのだ。

リシテアは思わず立ち上がってしまう。

 「あれを治したんですか!?」

 「え? そりゃあ治すだろ。あんな不完全な呪いなんか見ている方が不満になるぞ」

そこでシェイカーは何かに気づいたのかサムズアップする。

 「安心しろ!! きちんと呪詛返しで完璧な呪いを相手にプレゼントしておいた!! リシテアにあの呪いを刻みつけた奴は生きるのが辛いくらいの苦痛を味わっているぞ!!」

イイ笑顔での発言にリシテアはちょっと引いた。

気分を落ち着けながらリシテアは席に座る。リシテアは長生きできないから必死になって勉強し、心配をかけた両親に報いるためにしてきた。

しかし、目の前の教師の言葉を信じるならば自分の体はもう健康体なのだ。

 「……本当に私は長く生きれるんですか?」

リシテアの言葉にシェイカーは不満そうにする。

 「あの程度の呪いも解呪できないようじゃ、俺は友人とやっていた呪い遊びでとっくにくたばっているよ」

再びリシテアはシェイカーの言葉にドン引きした。シェイカーの言葉が確かならリシテアを苦しめてきたことは、シェイカーとその友人にとっては遊び以下なのだ。こう言ってはなんだがリシテアはシェイカーとその友人に軽くドン引きした。

 「なんだ、あの呪いのせいでヤケになってたのか」

 「ええ、まあ。でも先生はいつの間に解呪したんですか? そんな時間なかったですけど」

 「この前の健康診断の時にちょっとな」

悲報:リシテアを長く苦しめた呪い、健康診断で治される。

その事実にちょっとリシテアは頭痛がするが、シェイカーと関わって図太くなった神経でなんとかそれを抑える。

 「まぁ……それだったら少し健康に気を使ってもいいですけど」

 「そういいながら紅茶にドン引きするくらい砂糖を入れるんじゃない」

 「あ、これはうっかり」

リシテアの言葉にシェイカーは砂糖が入った入れ物を没収する。それを不満に思いながら紅茶を飲むリシテア。

それを見てシェイカーはおそるおそる口を開く。

 「……それ甘すぎないか?」

 「なに言ってるんですか。この頭に突き抜ける甘さがたまらないんじゃないですか」

 「えぇ……」

シェイカーをドン引きさせると言う地味にすごいことをするリシテアちゃん。天才魔法少女は格が違った。

一度咳払いをしてから口を開くシェイカー。

 「それじゃあリシテアはこれから健康に気を遣うってことでいいな」

 「まぁ、長生きできるならそれに越したことはないですし」

リシテアの言葉にシェイカーは立ち上がって指を鳴らす

 「Hey、レア!! お客様に特別料理を出して差し上げて!!」

 「ヨロコンデェ!!!」

 『大司教!?』

食堂にいる全員の声がハモった。それはそうだろう。厨房から料理人の格好で出てきたのは大司教レア様だったからだ。

しかし、シェイカーの授業で度々レアの奇行を見ているリシテアは慣れている。半目になってレアを見ている。

 「またサボりですか、レア様」

 「あら、失礼ですね。サボりではありませんよ。息抜きです!!」

リシテアの言葉に自信満々に胸を張るレア。それを見てリシテアは食堂の入り口を見ながら口を開く。

 「だ、そうですよセテス様」

 「さらばです!!」

 「待てい!!」

リシテアの言葉にレアは速攻で逃げ出し、それを追うようにセテスが走り去っていく。

最近ガルグ=マク大修道院で見られるようになった光景だ。

逃げ出したレアの代わりにシェイカーが巨大な鍋を持ってくる。そして机の上に置いた。どう考えても一人分じゃない。

 「……先生、これは?」

 「うむ、これは寄せ鍋と言って肉や魚だけじゃなく、野菜もとれる優れものだ」

シェイカーはそう言いながら取り分ける。

 「あれ? 私と先生の分じゃないんですか?」

 「ああ、これな。鍋をやると必ず来るのが二人ほど」

 「「鍋の匂いはここか!!」」

 「やっぱりきたな鍋好き親子」

食堂の入り口をズバーンと開いてやってきたのはベレスとジェラルド親子。

 「先生、鍋をやるんだったら声をかけてくれ」

 「そうだぜ、鍋は大人数で囲った方が楽しいだろ」

 「お前らは食いたいだけだろ」

シェイカーはそう言いながらも二人分もよそっている。

 「なんかいい匂いがするなぁ」

 「おお、確かラファエルだったな。お前も食うか?」

 「オデも食べていいのかぁ?」

 「レアのやつが張り切ったみたいでかなりの量があるからな、食ってけ食ってけ」

シェイカーの言葉にラファエルも嬉しそうに鍋を囲むように座る。

 「おかわりはたくさんあるからな!! 目一杯食え!!」

 「「「いただきま〜す!!」」」

シェイカーの言葉に元気よく返事をするベレス、ジェラルド、ラファエル。そして勢いよく食べ始めた。

リシテアもおそるおそる一口食べてみる。

 「あ、美味しい」

その日からリシテアの好物に鍋が追加されるのであった。

 

 

そして餌付けされたラファエルくんがシェイカー塾に入塾したのもこの日からだった。

 




リシテア
天才魔法少女。長生きできなかったはずがシェイカーの介入で長生きできるようになった。

リシテアにかかっていた魔術
シェイカーの呪詛返しによって闇に蠢くものに行った模様

ベレス&ジェラルド
鍋大好き

ラファエル
聖人ラファエル。シェイカーの指導によって筋肉が増量した




そんな感じでリシテアちゃんの魔術はシェイカーの介入によって雑に解決!!! 原作でも特に語られることなく解決されていましたし、問題ないですよね。そして厨房で料理をしている大司教という爆弾。仕事しろ。

今回でラファエルくんをスカウトしたので、現在のシェイカー塾はペトラ、リシテア、マリアンヌ、メルセデス、ラファエルになりました。生徒でスカウトするのは後一人です。最後の一人は誰かな!!
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