外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜   作:(TADA)

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おいおい、ベレスちゃんデートするってさ


ベレス初めてのデート

 「お前なんでこんなにガルグ=マクにいねぇの?」

 「レア様に色々押し付けられてるんだよ。お前からレア様に言ってくれねぇ? 俺の仕事減らしてくれって。これじゃあベレスと話をする余裕もないんだ」

シェイカーとジェラルトは食堂で食事をしながら会話をする。昼食時なので食堂には士官学校の学生だけでなく、セイロス騎士団の騎士の姿もある。

 「俺は自分が得になることは大好きだが、お前の得になることは大嫌いだ」

 「お前はそういう奴だよなぁ……!!」

シェイカーの言葉にジェラルトがブチギレながら言うと、シェイカーは愉悦の笑みを浮かべる。

 「あ、先生。ちょうどいいところに」

そこにやってきたのはシェイカーの弟子でジェラルトの娘であるベレスであった。

 「おお、ベレス。俺の隣空いてるぞ」

 「そうか」

ジェラルトにそう返しながらもシェイカーの隣に座るベレス。その行動に慟哭をあげるジェラルトだったが、ジェラルトがベレスに塩対応されて嘆きをあげるのは珍しいことではないので、周囲も少しだけ視線をやり「あ、またか」と言った表情で元に戻る。

ベレスは大盛りの食事をとりながら無表情に口を開く。

 「先生に頼みたいことがあるんだ」

 「ベレス、お父さんには?」

 「ない」

ベレスの言葉に椅子から落ちて食堂の床を転げ回るジェラルトが出来上がった。

 「先生は食事のマナーは教えることはできるか?」

 「ああ、可能だぞ」

 「そうか。だったら私に教えて欲しい」

 「別に構わないが……なんでだ?」

シェイカーの言葉に、乱雑に食事を口に放り込みながらベレスは口を開く。

 「週末にマナーが必要な食事に誘われてな」

ベレスの言葉にジェラルトが速攻で席に着く。そしてゲンドウポーズをとりながら口を開いた。

 「ベレス、相手は誰だ? 自分の学級の級長か?」

ベレスは驚きながら(しかし、無表情である)も返答する。

 「いや、セイロス騎士団の男性だ」

その言葉にジェラルトのコメカミに怒りマークがつく。

 「うん、そうか。男かぁ、男かぁ……」

 「? まぁ、いいや。先生、それじゃあ今日の放課後にお願いするよ」

 「ああ、わかった」

男性ばりの速度で食事を終えて席を立っていくベレス。

そして無言の空間が広がるジェラルトとシェイカー。

 「それじゃあ、俺も午後から授業があるから」

 「まぁまぁ、少しくらいいいじゃないですか」

 「貴様はレア!?」

席を立とうとしたシェイカーを押しとどめたのはいつの間にかやってきたレアであった。

 「なぁ、シェイカー。俺達付き合い長いよな」

 「週末は仕事を片付けたい」

 「まぁまぁまぁまぁ」

 「そしてベレスが誰と付き合おうと興味ない」

 「「俺/私には関係ある!!」」

そして叫び声をあげるジェラルトとレア。瞬間的に消音結界を張って声を外に出さないようにするシェイカー。

 「いいかシェイカー!! ベレスがもしタチの悪い男に引っかかったらどうするつもりだ!?」

 「そうですよシェイカー!! もしベレスがクズ見たいな男に引っかかったらどうするつもりですか!?」

 「ジェラルトはわかるけど、なんでレアまでそこまでベレスのこと心配するんだよ」

シェイカーの言葉を無視してかたく握手を交わすジェラルトとレア。

 「じゃあ週末に尾行するぞ!!」

 「えぇ……」

 「しなかったら給料払いませんからね!!」

 「この大司教死なないかなぁ」

 

 

 

 

週末、ベレスがガルグ=マク外縁部にある街で待ち合わせをしている。それを物陰から見ている人影が3つ。

 「男の野郎……ベレスを待たせるとか万死に値するぞ……!!」

 「全くですね……!! 私だったら5時間くらい前から待ち合わせ場所で待っていますよ」

 「お前らのその過保護っぷりはなんとかなんねぇの?」

当然のようにドタコン(ジェラルト)マザコン(レア)巻き込まれたシェイカーである。シェイカーの魔法で姿を変えているために見つかる心配もない。なのでシェイカーは屋台で売っていたタピオカドリンクを飲んでいた。

 「あ! 相手が来ましたよ、レア様!! 誰だあの野郎……!!」

 「見覚えがありますね……ああ、思い出しました。カトリーヌ直轄の第三分隊の奴ですね!!」

 「カトリーヌの部下か……クソ、アロイスの部下だったら手出しできたのによ……!!」

 「私に任せなさいジェラルト。あいつにはベレスに手を出そうとした報いを受けてもらいます」

 「さっすがレア様!!」

 「お前ら本当になんなの?」

歯ぎしりしながら男を睨みつけているジェラルトとレア。シェイカーはずぞぞとタピオカドリンクを飲みきり、ゴミ箱にシュートしている。

 「あ、移動しますよ!!」

 「あの野郎!! 自然の流れでベレスと手をつなごうとしやがったな!!」

 「ベレスが反応して相手の顎に拳を叩き込んだがな」

男の方は脳が揺さぶられたのは座り込んでしまっている。そしてベレスは「この程度でぐらつくとは鍛えが足りないな」と完全にずれたツッコミを入れている。

男は必死に笑顔を見せながら立ち上がっている。だが完全に足が震えていた。

その後は特に何もなかった。必死に話題を広げようとする男に対して完全にずれた返答をしているベレスがいただけだ。

 「教育を丸投げしてた俺が言えることじゃねぇけどよ、お前はもうちょっと普通の女の子の教育施せねぇの?」

 「ダメですよジェラルト。シェイカーに普通を求めては」

 「それもそうですね」

 「テメェら喧嘩を売ってるな」

食事の場所に入り、ベレス達が見張れる位置で食事をとっているシェイカー達一行。

ちなみにベレスはシェイカーに叩き込まれたマナーで食事をとっている。

 「しかし、よくあのベレスに礼儀作法を教え込めたな」

 「やろうと思えばできる子だよ、ベレスは」

 「ああ、いけませんよベレス……その男は野獣なのです……決して心を許してはいけませんよ……!!」

 「いや、あの顔は飯を食うことしか考えていないな」

 「うちのベレスが食い意地張っているって言いたいのか……!!」

 「本当に親バカの相手はめんどくせぇなぁ!!」

何故かブチギレるジェラルトに面倒そうに答えるシェイカー。

そして食事を終えてお店を出るベレス達。シェイカー達もお店から出て後をついていく。

 「あ、あの野郎!! ベレスの頬に手を添えやがった!!」

 「ベレスの手が反射的に出て男の方が天高く飛んだな」

 「ベレスに殴られるなんて……羨ましい!!」

 「「えぇ……」」

レアの言葉にドン引きするジェラルトとシェイカー。

そしてベレスは最後に倒れている男に声をかけて帰っていく。

 「それじゃあ俺達は用事あるから」

 「シェイカーは先に帰っていいですよ」

 「はいはい」

ジェラルトとレアの言葉に呆れながら答えるベレス。そして釘を刺すようにシェイカーは口を開く。

 「やりすぎるなよ?」

シェイカーの言葉に対する二人の返答は眩しい笑顔であった。

 




ベレス
まずデートだということすら理解していない恋愛レベル幼稚園児

ジェラルト
娘のことが心配なパッパ

レア
ベレスのことが大事な大司教

シェイカー
完全に巻き込まれ事故

3級長
彼女達も尾行していた模様

ベレスをデートに誘った男
その後行方不明になった



そんな感じでベレスちゃんはじめてのデート(しかし本人は気づいていない)編でした。
師匠譲りで恋愛音痴なベレスちゃんにはデートとか理解できません。そしてジェラルトとレアに成敗される男。実に哀れ……

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