外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜 作:(TADA)
「よぉし、全員戻ってきたなぁ」
シェイカーのところにはフレン探しのためにアビスの探索をしていた白虎の学級の生徒達が戻ってきていた。
全員を見渡しながらシェイカーは言葉を続ける。
「俺は魔法でみてたから成り行き知ってるけど、他の連中は知らないから一応聞いとくな」
そう言ってシェイカーは判目になりながらマリアンヌをみる。
「マリアンヌ、その腕にくっついてるのはどうした」
シェイカーの言葉通り、マリアンヌの腕にはこれ以上密着はできないよ! ってレベルでマリアンヌにくっついているヒルダがいた。
あわあわしているマリアンヌより先にヒルダが口を開いた。
「シェイカー先生!!」
「なんだ」
「私、白虎の学級に移る」
「却下」
「どうして!?」
ヒルダの言葉をシェイカーは即座に切り捨てた。その言葉にマジで信じられないという表情を浮かべるヒルダ。
するとイングリットがおずおずと提案してくる。
「あの、シェイカー先生。ヒルダさんにも白虎の学級に移りたい理由があるかもしれませんし」
その言葉にシェイカーは顎に手をあてて少し考え、ヒルダに尋ねる。
「弊学級への志望理由は?」
「マリアンヌちゃんと一緒にいたいから!!」
「聞いたかイングリット。こんなクソみたいな理由で移動を受け入れられると思うか」
ヒルダの元気のいい即答にイングリットはさっと視線を逸らした。
すると今度はラファエルが不思議そうにいう。
「でもヒルダさんはなんでマリアンヌさんと一緒にいたいんだぁ?」
「私も、それ、不思議です!!」
ラファエルとペトラの言葉にイングリット、リシテア、メルセデスは驚愕顔を浮かべる。何せヒルダのマリアンヌを見る眼は完全に恋する乙女のそれだ。誰がみたってわかる。
わかっている側のハピも呆れながら口を開く。
「あ~、あれだよ。級長とヒルダはお友達だから」
「おぉ!! なるほどなぁ!! 友達は大事にしないとなぁ!!」
「私も、ドロテア、色々、教える、してくれる、いい友達です!!」
ラファエルとペトラの言葉に全員の視線がマリアンヌに集まる。その視線にわたわたしながらもマリアンヌは答える。
「は、はい。ヒルダさんは(数少ない)大事な友達です」
マリアンヌの言葉にヒルダは勢いよく致死量の鼻血を吹いた。
慌てるマリアンヌに「治療するわね~」と言ってヒルダの治療をするメルセデス。
そしてヒルダは顔を真っ赤にして鼻を抑えながら興奮気味に口を開く。
「そうなんだから!! 私とマリアンヌちゃんは(将来を誓いあった)大事な友達なんだから!!」
「……何故でしょう。マリアンヌとヒルダの間に致命的なズレがある気がします」
「シっ」
リシテアの言葉に深く突っ込むなという合図を送るハピ。
そしてシェイカーは面倒そうに口を開く。
「とりあえずお前がいると話が進みそうにないから魔法で地上に強制送還な」
「は!? 許されませんけど!? 私はマリアンヌちゃんと一緒にいるの!! 私とマリアンヌちゃんを離れ離れにするなんて神様が許してもこのヒルダちゃんが許さないんだから!!」
「別に許してもらおうと思わないから強制送還な。はい、発動」
「あぁぁぁ!!! マリアン!!」
叫びの途中で魔法陣と一緒にかき消えるヒルダ。その魔法をみてリシテアは感嘆の声をあげる。
「すごいですね。あれだけ密着していればマリアンヌが巻き込まれてもおかしくないはずなのに、ピンポイントでヒルダだけ送還してます。ハピはできますか?」
「無理無理。あんな変態技術ハピちゃんはないよ」
「ハピは課題追加、と」
「うぼわぁ」
ハピから乙女から漏れてはいけない系の悲鳴がでたが、白虎の学級では珍しくもないのでスルーされる。
「それじゃあ、各自、フレンの探索結果報告」
「あ、はい。私からですか? あ、級長だからですか。はい。え、と。不審者がヒルダさんを誘拐しようとしていたので助けました。フレンさんはいなかったです」
「はい!! ペトラも、不審者、見つける、しました!! 殲滅、する、した、です!!」
「お~、マリアンヌとペトラは不審者発見、殲滅、と。他」
「じゃあ、私がいいかしら~」
そう言って手を挙げたのはメルセデス。シェイカーが頷くのを確認してからメルセデスは口を開く。
「私は不審者をみつけたから後をつけたのよ~。そしたら同じく不審者をつけてたリシテアと合流してね~」
「相手の人数が多く、深追いは危険だと思って戻ってきました。不審者がいったのはたぶん方角的には寮のほうだと思います」
「メルセデスとリシテアはいい判断だ。ラファエルは何かあったか?」
シェイカーの言葉にラファエルは自信満々に胸を張る。
「オデは道に迷って大変だったぞ!!」
「アビスの最深部のほうに行きそうだったからハピちゃんが回収しときました」
「ハピさん、ありがとぅなぁ」
ラファエルの言葉に驚愕顔を浮かべるハピ。
「え!? 嘘でしょ!? ハピちゃん、お礼言われたんだけど!!」
「ハピがこんな可哀想な人に誰がした」
シェイカーの言葉にペトラとラファエル以外の全員がシェイカーを指差したが、シェイカーはそれを無視した。
「というわけで報告を纏めると大量の不審者がガルグ=マクの地下に集まってるわけだ。マリアンヌ、これをどうみる」
「は、はい。どこかの勢力が教会に対して何かをやろうとしていて、フレンさんはそれに巻き込まれた可能性が高いです」
シェイカーの質問にすらすらと答えるマリアンヌ。その答えにシェイカーは満足そうに頷く。
「勢力に対しての心当たりは?」
「私が倒した不審者の言葉に帝国訛りがあったのでおそらくは帝国かと」
「うむ、合格」
シェイカーの言葉に安堵のため息をつくマリアンヌ。何せここでミスするとハピと同程度の地獄をみることになる。
すると今度はリシテアが手を挙げる。
「先生、何故帝国が教会に介入してくるのですか?」
「教会を邪魔だと思っている勢力が帝国には大規模にある。そういうことだ」
シェイカーの言葉に全員が考える姿勢(ハピは眼が死んでいる)になるのをシェイカーは手を叩いて止める。
「まぁ、今回はやみうご……げふんげふん、その勢力は気にしなくていい。何せ今回の課題はフレンの探索だ」
「はい!! その途中、不審者、邪魔する、したら、どうしますか!!」
ペトラの言葉にシェイカーは爽やかな笑顔で答える。
「殺せ」
「表情と言葉の内容があってない件について」
「別に珍しくもないでしょう」
速攻で突っ込むハピとリシテア。
それを無視してシェイカーはマリアンヌに視線を向ける。
「さて、この後はどうする?」
その言葉にマリアンヌは少し考えるが、すぐに口を開く。
「メルセデスさんとリシテアさんが発見した不審者を追いかけます」
「ちょい待って級長。アビスの地下は製作者の性格の悪さが全面にでてるくらいの迷宮だから下手したら遭難するよ」
「では何故不審者達は道がわかっているのでしょうか」
マリアンヌの言葉をハピが止めるとマリアンヌが不思議そうに首を傾げた。
「あ!!」
「どうしましたか、ペトラさん」
ペトラの言葉にマリアンヌが尋ねると、ペトラががさがさと道具袋を漁って一枚の紙を取り出す。
「私、斬る、した、不審者、これ、持つ、してました!!」
ペトラから紙を受け取ってマリアンヌがそれを確認する。
『製作者監修!! アビス地下迷宮完全攻略ガイド!! 大丈夫!! ファミ通の攻略本だよ!!』
無言になる白虎の学級。そしてシェイカーはやれやれと首を振った。
「全く。教会の最高機密を売り払うなんて悪い奴がいたもんだな」
「大師匠、最近妙にお金持ってたよね」
「ははは、臨時収入が入ってな」
「と、とりあえず不審者達はこの地図をもとに動き回っているということですね」
「そういうことに……お」
「先生、どうかしましたか?」
マリアンヌの言葉にシェイカーは一度魔法陣を展開して確認するように頷く。
「その不審者集団と黒鷲の学級が戦闘状態に入ったみたいだな」
「「戦闘!!」」
戦闘という単語に白虎の学級の脳筋二人組がいきり立つが、即座にイングリットにステイさせられていた。
シェイカーと同じようにハピも魔法陣を展開して何かを確認する。
「あ~、確かに戦闘状態になってる場所があるね。不審者と黒鷲の学級かはハピちゃんにはわからないけど」
「それだけの広域探査魔法が使えるだけでもすごいことなんですけどね」
「いや、ハピちゃんの場合は比較対象が変態だから」
「ハピは課題追加、と」
「うぼわぁ」
リシテアの言葉にうかつな返答をしたハピが地面に倒れこむ。
「あの、ハピさん。戦闘状態になっている場所はどのあたりでしょうか?」
「ハピちゃんには方向しかわからないけど、あっちのほう」
マリアンヌの言葉に倒れこみながらも腕だけで方向をさす。
壁であった。
「……地図を頼りに向かうしかないでしょうか」
「マリアンヌさん!! オデにいい考えがあるぞ!!」
マリアンヌの呟きにラファエルが満面の笑みを浮かべて手を挙げる。
そしてマリアンヌに促されると、ラファエルはそこらに転がっていた巨大な岩の塊を持ち上げる。
「どぅぅぅぅぅぅぅぅりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
そして思いっきりそれを壁に投げつける。
投げつけられた巨大な岩の塊は壁にぶつかって、壁を砕く。
唖然としている白虎の学級の面々にラファエルは真っ白な歯をみせて笑う。
「壁を全部壊せば一直線だぁ!!」
「流石の俺もその発想はなかった」
ラファエルの言葉に思わずシェイカーが呟くのであった。
マリアンヌ
最近は級長の立場にも慣れてきている
ハピ
凄腕の魔法使いなのに褒められたりお礼を言われることが少ない
ラファエル
道がないなら作ればいいじゃない(壁破壊
シェイカー
脳筋の発想にドン引き
ヒルダ
地上に戻って「マリアンヌちゃぁぁぁぁん!!」と叫びながらアビスにいこうとしたのをクロードに止められた
更新しなくてすいませんでしたぁ!!(伸身土下座
そして話の内容が進んでなぁい!! 今回で謎の存在炎帝とあわせるつもりが無駄に長くなったのでここで一回切ります。次回こそみんな大好き炎帝登場です!!
いやぁ!! 仮面被ってるからこの作品的に炎帝の正体はバレないかもなぁ!!(フラグ
次回もいつになるか未定ですが気長にお待ちいただければ幸いです