外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜 作:(TADA)
奴らは一体何者なのか……!!
交流戦は黒鷲の圧勝に終わった。青獅子をベレスが叩き潰し、金鹿はペトラが叩き潰した結果だ。エーデルガルト達は動いてすらいない。
戦闘不能になったのも「私はフェルディナント・フォン・エェェェギル!!」と高らかに名乗った結果、ベレスに「うるさい」と腹パンされて戦闘不能になったフェルディナントだけだ。
「ペトラ、なかなかいい動きするな」
「先生も、動く、すごい、です!!」
ベレスとペトラの会話はどこか遠くで聞くエーデルガルト。
おかしい、交流戦の前は黒鷲の力を見せつけるつもりが、シェイカー塾の塾生の強さを見せつけられただけになっている。
カスパルは純粋に「すげぇ!」と言っているし、ドロテアは苦笑。ベルナデッタは怯えており、リンハルトは寝ている。そしてフェルディナントの痙攣は止まった。
「……ヒューベルト。私が見ているのは幻覚かしら」
「エーデルガルト様。お気を確かに。現実です」
ヒューベルトの言葉にエーデルガルトの胃痛が加速する。
『調子にノるのはそこまでだ!! アドラークラッセ!!』
「!? 誰!?」
そして突如戦場に響き渡る声。その声に反応してしまうエーデルガルト。
『誰と聞かれては答えねばなるまい……行くぞ!!』
そしてその言葉と共に大きな爆発が起き、二人の人影が現れる。
一人は黒いフードに黒い仮面のつけた男。
もう一人はセイロス教の大司教の格好をした白い仮面の女。
「俺の名前はセイロス仮面ブラック!!」
「私の名前はセイロス仮面ホワイト!!」
そして高らかに名乗りをあげるバカ二人。
「「二人はセイキュア!!」」
そして決めポーズをしている二人の背後で爆発が起こる。
それを見てエーデルガルトの頭痛が酷くなる。
ツッコミどころが多すぎる。目元を隠す仮面だけで服装はいつも通りとか、声も全く変える気ないとか、その決めポーズはなんだとか、何故爆発が起きるとか……
エーデルガルトのツッコミレベルでは追いつけない。
「……一体何者だ?」
「!?」
ベレスの言葉に驚愕するエーデルガルト。
「エーデルガルト様。ひょっとすればアランデル公の手の者の可能性が……」
「!?!?」
「……なにか?」
信じられない者をみるような目でヒューベルトを見た結果、逆にヒューベルトに訝しげに見られてしまう。
「ヒューベルト、気づいていないの?」
「まさかエーデルガルト様はあの二人が何者かわかっておいでですか? 流石は我が主」
その褒め言葉は煽りにしか聞こえないエーデルガルト。しかし他の黒鷲の学級も気づいた様子がない。いや、ベルナデッタは怯えてばかりなので判断が難しいところであるが。
「……ドロテア、あれが誰かわかるわよね?」
「いいえ、私にあんな悪趣味な仮面をつける知り合いはいないけど……エーデルちゃんは知ってるの?」
最後の頼みの綱のドロテアにも裏切られた。ここにエーデルガルトの味方はいない。
(逆に考えましょう。あれでバレないんだったら私の炎帝は絶対にバレないと思いましょう)
「ガルグ=マクの交流戦に不審者とはな……俺達も手伝おう」
「俺は面倒だけど……ま、先生がいるなら負けはないだろう」
必死にプラス思考に考えていたら青獅子と金鹿の級長がやってきた。
「ねぇ、ディミトリ、クロード。あの二人を知ってるわよね?」
「「いや、知らないが」」
そしてエーデルガルトを絶望に叩き落とした。
「ふふふ、たかだかその人数で俺達に勝つつもりなのか」
「甘い、としか言いようがないわね」
仮面をつけながら不敵に笑うバカ二人。
「それじゃあ私から行きましょうか」
セイロス仮面ホワイトはその言葉と同時に姿が搔き消える。それと同時に凄まじい轟音が響き渡る。
エーデルガルトが驚いてその轟音の方を見ると、ペトラがセイロス仮面ホワイトの攻撃を受け止めていた。
「あら、なかなかいい動きですね」
「その動き、ナギ流格闘術、あなた、何者?」
動きじゃなくて見た目でわかるとツッコミたいエーデルガルト。
そしてバトル漫画のような動きを始めるペトラとセイロス仮面ホワイト。そこだけゲームの世界も違う。
「エーデルガルト!!」
「師!?」
ベレスの言葉にエーデルガルトが振り向くと巨大なゴーレムがエーデルガルトに向けて腕を振り上げている。
(避ける……ダメ!! 間に合わない!!)
回避も防御も間に合わないと思うエーデルガルト。しかし、エーデルガルトの前にベレスが剣を持って立ちふさがる。
「師ぇ!!」
「斬」
「……え?」
ベレスが呟くと同時に巨大なゴーレムが真っ二つになる。剣の動きが全く見えなかった。その剣筋を見て目を輝かせている青獅子の剣士がいるがそれは無視する。きっと戦いを挑んでベレスにコテンパンにされるのだろう。
ゴーレムが破壊されたにも関わらず、セイロス仮面ブラックは不敵な笑みを止めない。
「戦いとは数である!! これだけのゴーレムを止められると思うなら止めてみるがいい!!」
『なぁ!?』
その言葉と同時に大量のゴーレムが現れる。これだけのゴーレムを同時に操る時点で大分人物が限られてくるかもしれない。
希望を持ってエーデルガルトはベレスを見る。
「前衛はゴーレムの攻撃を受け止めるだけに集中して、魔道士組はとにかくでかいのを撃ち込んで!! 弓兵組はゴーレムの動きを阻害させることを考えて!!」
「違う!! そうじゃない!!」
「エーデルガルト!! 遊ばないで!!」
「私が悪いの!?」
ベレスの言葉に驚愕するエーデルガルト。しかし、エーデルガルト以外はベレスの指示に従って戦っている。
「エーデルガルト様。今は奴らを倒すことだけを……奴らの背後関係は後で調査します……」
「……ええ、そうね」
ヒューベルトの言葉に遠い目をしながら答えるエーデルガルト。背後関係を調査しても何も出てくることはないだろう。なにせ相手はベレスの教師とセイロス教の大司教だ。調査する必要もなく誰だかわかりきっている。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 唸れ!!! オデの筋肉!!」
そして真正面からゴーレムと力比べをしているラファエル。ふた回りも大きいゴーレム相手に互角に力比べできるラファエル。
「ラファエル!! そのまま止めていてください!!」
「おう!! 任せとけ……ウォ!?」
そして動きを止めているゴーレムに高火力の魔法を叩き込む若干15歳の天才児リシテア。ラファエルの顔ギリギリに容赦無く叩き込むことにエーデルガルトは軽くドン引きする。
「シェイカー先生直伝槍術・竜槍」
そして死んでいるフェルディナントの槍を拾ってゴーレムに6連同時に槍を叩き込むベレス。
自分では前衛は動きを止めるだけに尽力しろと言っときながら、自分は平然とゴーレムを叩き潰すベレス。
「先生は槍も扱えるのですか?」
「うん? あぁ、先生に鍛えられてな。一通りの武器は使える」
近くにいたイングリットに答えながらゴーレムの頭を槍で吹き飛ばすベレス。
「師、魔法も!! 使えるの!?」
エーデルガルトはゴーレムに斧を叩きつけながらベレスに問いかける。しかしエーデルガルトの一撃はゴーレムを傷つけることもできない。
「いや、魔法の才能は全くないと先生のお墨付きだ」
そしてエーデルガルトの一撃ではどうにもならなかったゴーレムを相手に拳で消しとばすベレス。その所業にエーデルガルトは軽く引いた。
「ふむふむ、使えそうな奴のピックアップは済んだな」
そしてかなり不穏なことを呟いているセイロス仮面ブラック。
「セイロス仮面ホワイト!! 遊びは終わりだ!!」
「これから面白いというのに……仕方ありませんね」
セイロス仮面ブラックの言葉にセイロス仮面ホワイトはペトラを蹴り飛ばした勢いで伸身宙返りをしてセイロス仮面ブラックのところまで戻る。身のこなしが一宗教の大司教の動きじゃない。
そしてセイロス仮面ブラックはズビシとベレスに指を突きつける。
「新任教師ベレスよ!! ナギ流格闘術には究極奥義がある!! 貴様はそれを使って我らの合体攻撃を相殺してみるがいい!!」
「……ナギ流格闘術にも詳しい。一体何者なんだ」
貴女の先生でしょう、とツッコミたいエーデルガルト。しかし突っ込めない。
だってセイロス仮面ブラックとセイロス仮面ホワイトが金色になっている。
「あれは……ハイパーモード!! あれを使いこなせるのか!!」
ベレスは驚愕した声を出しているがエーデルガルトはもう疲れた。
「流派!! ナギ流格闘術は!!」
「王者の風よ!!」
「全身系列!!」
「天破狂乱!!」
「「見よ!! 東方は紅く燃えている!!」」
そして決めポーズを取っているバカ二人。しかしその決めポーズに比例するかのように二人の体が黄金に輝いている。
「「究極!! 超級覇王雷影弾!!」」
『うわ!!! キモ!!!!』
思わず生徒達の声がハモる。それもそうだろう。超級覇王雷影弾という技はセイロス仮面ブラックが高エネルギー体を身にまとったセイロス仮面ホワイトを打ち出す技だが、なぜか打ち出されたセイロス仮面ホワイトの顔だけはそのまま残っている。
見た目はギャグだが、威力はガチらしく地面を抉りながらベレスに向かってくる。
「師ぇ!!」
エーデルガルトの言葉に振り向くことなくベレスは迫り来るセイロス仮面ホワイトの前に立ちふさがる。
「ナギ流格闘術が最終奥義!! 石破天驚拳!!」
そして今度はベレスが極太のエネルギー体を打ち出した。そのエネルギー体の先端には驚の字が浮かんでいる。
(私はもう突っ込まないわよ!!)
そしてエーデルガルトはツッコミを放棄した。
そしてぶつかり合う高エネルギー体同士。しかし、決着はすぐについた。
『せ、せんせい!!』
そう!! ベレスの石破天驚拳がセイロス仮面達の超級覇王雷影弾に打ち負けたのだ!! 打ち負けたベレスは超級覇王雷影弾に轢かれて天高く打ち上げられる。
「未熟!! 貴様が石破天驚拳を使うには明鏡止水の心が足りていない!!」
そしてセイロス仮面ブラックが何か言い始めた。
「よいかベレス!! ナギ流格闘術とはただの格闘術にあらず!! 天然自然の力を借りて戦うべき武術!! 貴様は小手先だけの技術に頼っていて、肝心の天然自然の力を借りれておらん!!」
「貴方に……貴方にナギ流格闘術の何がわかる!!」
血まみれになりながら(メルセデスが必死にライブをかけている)叫ぶベレス。
「愚かぁ!!」
そして今度は元の位置に戻ったセイロス仮面ホワイトが何か叫び始めた。
「力に飲み込まれた者のナギ流格闘術など恐るるに足らず!! 天然自然の力を借りてこそ真のナギ流格闘術となるのだ!!」
もう意味がわからない。エーデルガルトの近くで「天然自然、力、借りる……は!? 師匠、言う、そう言うことでした!!」と何か開眼しているペトラをエーデルガルトは見なかったことにした。
「ふん、貴様がそれでは生徒達も強くなれまい」
「一生そこで這いつくばっているがいい」
「「ふはははははははは!!!!!」」
そして高笑いで消えていくセイロス仮面達。取り残された生徒達とort状態になっているベレス。
「……師?」
とりあえず心配になってエーデルガルトはベレスに声をかける。
「私は……弱い……!!」
いえ、十分に人外です。とつっこめる勇気ある生徒はいなかった。
ベレス
私が……負けた……?
エーデルガルト
あの二人がバレないんだったら私は絶対に大丈夫ね!!
ペトラ
天然自然、力……
ナギ流格闘術
参考流派:流派東方不敗
セイロス仮面ブラック セイロス仮面ホワイト
一体何者なんだ……
そんな感じで交流戦編でした。え? 交流戦やってない? ナギ流格闘術を収めたベレスとペトラちゃんがいる時点で青獅子と金鹿に勝ち目ないですよ。
そして書いているうちに好き勝手やり始めたバカ二人。最初はこんなに暴れさせる予定なかったのに好き勝手し始めおった。そしてベレスに強化フラグが立ちました。これ以上ベレスを強化してどうする。
次回から更新の間隔は空くと思います。ゲームで内容確認しながらだと時間かかりますね。