外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜 作:(TADA)
短めですよぉ。
ベレスはセテスに今節の課題である盗賊の討伐の説明を受けた後、騎士団長室にやってきた。
「おお、来たかベレス」
「父さん、先生もいたのか」
そこにはソファーで呑んだくれているジェラルト、そしてなにやら怪しげな文書を書いているシェイカーがいた。
「父さん、仕事中じゃないのか?」
「セテスみたいに硬いこと言うなよ、ベレス。こんくらいじゃ呑んだ内にも入らにゃしねぇよ」
「修道院だったら昔みたいに一緒に呑んでた女に薬盛られて有り金全部奪われる心配もないしな」
「それは秘密だと言っただろうがシェイカァァァァァ!!!!」
愉悦の表情を浮かべながらジェラルトの隠しておきたかった秘密をあっさりと暴露するシェイカー。ベレスはベレスでジェラルトの酒の席での失敗なんか慣れているので「あぁ、そんなこともあったのか」程度の認識だ。
ジェラルトの威厳なんてなかった。
「あ〜、そういやベレス。ここでの生活には慣れたか?」
「いや、まだ慣れない。今朝も下着姿で部屋の外に出たらドロテアに叱られてしまった」
女性としての羞恥心が完全に欠如した発言にジェラルトは顔を覆う。
「? どうした、父さん」
「いや……なんと言うか男所帯で育ったから仕方ねぇんだが、もうちょっと自分の下着姿を見られることに何かないのか?」
「? 先生からは『女の下着は相手の隙を作る道具にもなる』と習ったけど、それが何か?」
「テメェのせいかぁぁぁぁぁ!!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!? ベレスの教育を俺に丸投げして夜の歓楽街に行くような奴に反論する権利ねぇから!!」
「あ!? テメ!! それは秘密だって協定結んだだろうが!!」
「それは書面を交わしましたかぁぁぁぁ!!! 口約束は約束には入りませんよぉぉぉぉぉぉ!!!!」
そしていつも通りの殴り合いが始まる。ベレスも慣れているので部屋に用意されている紅茶を勝手に入れてソファーに座りながら香りを楽しむ。
ベレスにとってはジェラルトもシェイカーも気心が知れた仲だ。だから隣で大乱闘が二人によって行われていてもいつものことだと流すことができる。
ジェラルト渾身のレバーブローがシェイカーに突き刺さり、シェイカーが床をのたうちまわることで4198回ジェラルトVSシェイカーの乱闘が終わる。
「そろそろ勝率が追いつくんじゃないか、父さん」
「まだだな。まだ18勝くらいこいつが勝ち越してる」
シェイカーに死体蹴りしながらジェラルトはベレスに答える。
そしてシェイカーの痙攣が止まったところでジェラルトはため息を吐きながらソファーに座った。
「あ〜、ベレス。学校はどうだ?」
「なんだその思春期の子供に何を話していいかわからずとりあえず学校のことを聞いてみた父親ムーヴ」
「テメェは死んでろ!!」
間髪入れずに突っ込みを入れてきたシェイカーにジェラルトは即座に突っ込み(物理)を入れるが、シェイカーによって振り落とした足を取られ、関節を極められる。
「うぉぉぉぉぉ!! シェイカー!! 足はそっちには曲がらねぇ!!」
「父さんの、ちょっといいとこ見てみたい」
「ベレスも乗るんじゃねぇ!! うぉ!?」
ジェラルトの断末魔の悲鳴と一緒に骨が『ポキリ』と折れる音がした。『ヤッベ、やっちまった』表情になるシェイカー、叫びをあげながらモップになるジェラルト。「父さんが骨を折られるのか……はて、何回めだったか?」と考えに耽るベレス。
一言で言って魔境であった。
とりあえずシェイカーの回復魔法でジェラルトの足が回復され、全員でソファーについて一息つく。
「それで? ベレスは何か困ったことないか? 生徒に虐められてねぇか? 虐められたらすぐに言えよ、生まれてきたことを後悔させるくらいの苦痛を与えてやるから」
「お前のそのベレスに対する過保護っぷりはなんなの?」
ジェラルトの言葉にシェイカーが突っ込みを入れると、ジェラルトは呆れたようにため息を吐いた。
「娘を持った父親の気持ちは童貞のお前には理解できないだろうな」
「はぁぁぁぁ!? 童貞ちゃうし!! 美少女に逆レされたから童貞ちゃうし!!」
シェイカーの発言にマジ驚愕顔を浮かべるジェラルト。珍しく自爆したことに気づいたのかやっちまった表情になっているシェイカー。
「え? お前の初めて逆レなの? マジで言ってんの?」
「うるさい黙れ」
「うっわ、引くわぁ。童貞喪失が逆レとかドン引きですわぁ」
「黙れぇぇぇぇ!!」
指をさして嘲笑うジェラルトにマジギレしているシェイカー。
「父さん、先生、ちょっといいだろうか?」
「おう、なんだ」
「逆レとはなんだろうか?」
ベレスの言葉にスクラムを組んで小声で会議を始めるジェラルトとシェイカー。
「おい教育係、保健体育の授業はどうした」
「バッカ。保健体育の授業は親の役割だろ」
「バカはテメェだ。娘に子供の作り方を教えるとか犯罪の匂いがやばいだろ」
小声で会話しているためにベレスには二人の会話が届かない。するとシェイカーがベレスの方を向いて質問をしてきた。
「ちなみにベレス。赤ちゃんはどこから来るか知っているか?」
その質問にムッとするベレス。シェイカーはいつまでもベレスのことを子供扱いするが、ベレスだってもう結婚しててもいい年だ。それくらい知っている。
「男女がキスをするとコウノトリさんが運んでくるんだろう。私は詳しいんだ」
「おいおいおい」
「純粋すぎて目が潰れそう」
二人して目を覆うジェラルトとシェイカー。戦闘力は高いがそれ以外はゴミなベレスちゃん爆誕である。
「そういえば先生に相談があるんだ」
「おう、なんだ」
「ベレス、お父さんには?」
「ない」
ベレスの容赦のない一言によってジェラルトが崩れ落ちたが、二人は無視する。
「実は今節の課題で盗賊の討伐を命じられたんだ」
「らしいな。クレイジーサイコマザコンから聞いてる」
「クレイジー……なんだって?」
「気にするな」
シェイカーが気にするなというからベレスは気にしない。
「訓練を積んでいると言っても生徒達は人を殺したこともない子供ばかりだ。どうやったら味方の被害をゼロにできるだろうか」
ベレスの言葉にシェイカーは何やら頷いている。
「なるほどなるほど。心優しいベレスは生徒達に傷ついて欲しくないわけだ」
「その通りだ」
ベレスの言葉にシェイカーは指をピッと立てる。
「それだったら簡単だ。ベレスが先乗りして盗賊を皆殺しにすればいい」
「なるほど。流石は先生」
「いや、ダメだからな」
「「なぜ!?」」
ジェラルトの言葉に驚愕の声(ベレスは無表情だが)をあげるシェイカーとベレス。
ため息を吐きながらジェラルトは説明をする。
「それだと生徒達の課題にならないだろうが。士官学校に通う生徒の多くは将来国を背負う立場になる人物が多い。そういう子供に色々な経験をさせるのも士官学校の役割だ」
「レアがそこまで考えているとは思えないけどな」
「シェイカーとレア様の関係ってなんなの? 言っとくが以前の学級別対抗戦みたいなことしたら超叱るからな」
「? 先生とレア様は学級別対抗戦で何かしていたか?」
ベレスの言葉にマジ驚愕顔を浮かべるジェラルト。それに対して首を傾げるベレス。
ベレスの記憶が確かならば学級別対抗戦は『セイキュア』という正体不明の二人組が出てきた以外は何もなかったはずだ。
「おい鬼畜クソ外道。どういうことだ?」
「知らないのか? 仮面で顔を隠すと正体はバレない……!!」
「そんなバカな……!? いや、ベレスが気づいていないってことはマジなのか……!!」
何故か驚愕の表情を浮かべているジェラルトが印象的なベレスであった。
ベレス
戦闘力は高いがそれ以外の能力が軒並み低い処女先生。
ジェラルト
一回だけベレスをシェイカーに預けて風俗に行ったことがある。
シェイカー
童貞は逆レで奪われた。
シェイカーを逆レした犯人
とあるサカの民の少女。
そんな感じで新しい月の開始です。
そういえば最初の課題は盗賊の討伐でしたね。作者は普通に忘れていてプレイしていて『あ』って声が出ました。
そして月末まではフリータイム……つまり何を書いてもありってことだな……!!