外道、フォドラに立つ〜召喚士と英雄の日常外伝〜   作:(TADA)

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おい、誰だ。セテスさんが子安声で教会ナンバー2だから絶対に裏切るって言ってた奴は


セテスさんは苦労人枠に決まっているだろ……!!


セテスの受難

 「ジェラルド殿でもあの男は止められないのか……」

 「あいつを止められる存在を俺は見たことがねぇよ」

ガルグ=マク大修道院の入り口、そこでセテスとジェラルドは世間話をしていた。

 「しかし、あの男と関わってから大司教が壊れ始めている気がしてならない。このままでは信者達から不信感を持たれてしまう」

会話の内容はガルグ=マク大修道院にやってきて常に話題を提供する男、シェイカーのことであった。

セテスの言葉にジェラルドは困ったように頭をかく。

 「レア様を見た感じだと壊れ始めると言うより素が出てきてるって感じだけどな」

 「それを言わないでくれ……!!」

ジェラルドの言葉にセテスは苦々しげにつぶやく。

 「あいつらは昔からそうだ……!! ナギ様と一緒にこっちを一方的に振り回しといて後は丸投げ……!! ガルグ=マク大修道院の建設もどれだけ大変だったと思ってるんだ……!! レアの奴はさも『自分が苦労してました』面しているが、実務的なことをやったのは全て私だぞ……!! くそ、レアもグラーフもナギ様もみんな死ねばいいのに……!!」

そして割と盛大なネタバレをかましてしまうセテス。だが、大人であるジェラルドは「あ、こいつもシェイカーに振り回されている人間なんだな」と思って突っ込むような野暮な真似はしなかった。

 「お父さんとセテス。ちょうどいい」

 「おお、ベレスか。どうし……」

話しかけてきたベレスに笑顔で対応しようとしたジェラルドの表情が固まる。セテスもベレスの格好を見て驚愕していた。

そんな二人を見てベレスは不思議そうに首を傾げた。

 「どうかした?」

 「いやお前がどうした!? その格好はなんだ!?」

ジェラルド渾身の叫びである。その叫びに他にいた人々もベレスの格好に注目する。そして男性陣の鼻息は荒くなった。

不思議そうにしながらベレスは着ている服のスカートを摘まみ上げる。

 「ああ、この格好は普段着ている服が全部洗濯中でね」

 「「だからって何故メイド服!?」」

そう、ベレスは何故かメイド服を着ていた。そして頭には猫耳カチューシャをつけ、猫尻尾までつけている。

 「何故と言われても大司教からもらった服がこれだったからとしか言いようがないんだけど」

 「「大司教……!!」」

苦々しい二人の呟き。何故か空に映るレアが満面の笑みを浮かべてサムズアップをしている映像を幻視した。

 「あ〜、うん。ベレス、あまりその格好でうろつくな」

 「? 何故?」

羞恥心というものがないベレスは不思議そうに首を傾げる。その可愛らしさに男性陣だけでなく女性陣も顔を赤くする。

ジェラルドは頭痛を抑えながら口を開く。

 「その格好は若い連中には毒だ。だからだよ」

 「ふむ、そんなものなのか。わかった」

お父さんのいうことを素直に聞くいい子なベレスちゃん。ジェラルドパパにはこのまま娘の情操教育をちゃんとして欲しいものである。

 「そうだ、二人に聞きたいことがあるんだ」

 「コホン。ふむ、何かね?」

先ほどまでの狼狽はなかったことにして厳しい表情をしてベレスを見るセテス。そこにはベレスを怪しんでいる教会のナンバー2の姿があった。

だが、そんなことに無頓着なベレスちゃんはとあるものを取り出す。

 「私はみんなに落し物を届けているんだけど、これの持ち主がわからなくて」

そう言ってベレスは二冊の冊子を取り出す。二人は差し出された冊子の覗き込み

そして絶句した

 『ジェラルド×セテス 俺の剣をお前の鞘で鎮めてくれ R-18』

 『レア×ベレス セイロス様が見てる R-18』

とてもおぞましいものであった。

 「あ〜、ちょっと待て。おい、セテス殿。これはなんだ?」

 「いや、私も知らない」

二人の会話を聞いてベレスは不思議そうに首を傾げた。

 「二人が出てきている本だったから二人のものかとも思ったんだが、違うんだね」

 「「当たり前だ!!」」

恐怖に満ちた顔で叫ぶセテスとジェラルド。だが、これで二人の会話をどこかうっとりとしながら見ていた女性信者の正体がわかった。

これの読者だろう。

 「ベレス、まさかこの中身は見たか?」

 「うん? ああ、中に名前が書いてあるかもしれないから確認したよ。それよりお父さん、尻の穴は出すところであって入れるところじゃないぞ」

 「説明はやめてくれ!! それだけでどんな内容が想像できちまう!!」

ジェラルドの精神に多大なダメージ。純粋とは時に残酷である。

 「お、なんだなんだ。珍しいメンツだな」

そこにやってきたのは(おそらくは)元凶であろう黒フード。

セテスとジェラルドは血走った目でシェイカーを締め上げる。

 「おいおい、何の真似だよ」

 「「黙れクソ野郎。あれは何だ?」」

二人の言葉にシェイカーは不思議そうにしていたが、ベレスが持っていたものに気づいたのか納得したように頷いた。

 「ああ、よくできているだろ?」

 「「やはり貴様が元凶かぁぁぁぁぁ!!!!!!」」

 「まぁ、落ち着け。俺の言い分を聞け」

怒りのあまりボルテージを振り切った二人をベレスが物理的に沈静化し、とりあえず話し合いになる。

 「それでシェイカー殿、あれは何だ?」

 「なんだなんだセテス!! 真面目ぶりやがって!! 昔にお前が奥さんに送ったあっまあまな手紙の内容を発表してもいいんだぞ!!」

 「貴様が何故それを知っているぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」

シェイカーの軽い煽りにすぐさまブチギレる胃痛担当。

それをジェラルドが宥めてから本題に入る。

 「そう、あれは俺がパルミラ人だった時のことだ」

 「「ボケはもういらん」

 「つまらん奴らだな」

シェイカーは本気でつまらなそうにしながらも二冊のおぞましい存在の説明を始める。

 「それな、レアと話をしていたら最近寄付金が少なくなって困っているって話になってな」

 「……まあ、そうだな」

シェイカーの言葉にセテスは頷く。そしてシェイカーは自信満々に頷きながら口を開く。

 「そこでそれですよ」

 「「説明になっていないが!?」」

本当に一切説明になっていなかった。だが、シェイカーは逆に呆れるような表情になる。

 「おいおい、二人共俺と付き合い長いんだから理解しろよ。レアなんか一発だったぞ」

 「貴様らキチガイと一緒にするな」

マジ切れ表情をしながらシェイカーの胸ぐらを掴むセテス。さりげなくキチガイ扱いされた大司教がいた気がするが、ジェラルドは聞かなかったことにした。

 「つまり寄付金の代わりにそいつを売って金にしようって寸法よ!!」

 「そんなことで金が集まるわけがないだろう!!」

 「いや、すでに10年分近い寄付金が集まったが?」

 「なん……だと……!?」

長年頭を痛めてきた財政問題がウルトラCの解決をされていて驚愕顔を浮かべるセテス。

 「最初は女性向けでセテスとジェラルドだけのつもりだったんだけどな、レアの奴が男性向けも必要だと言い始めてな。急遽、レア×ベレス本も作った。レアの相手役はレアの強い希望でベレスになった」

 「待て待て待て、これは一般販売されているのか?」

セテスの言葉にシェイカーは笑顔でサムズアップする。

 「帝国王国同盟貴族平民とわず大人気だぞ!!」

その言葉にセテスはついに吐血した。胃が壊れたらしい。ジェラルドも疲れ切った表情を見せながら口を開く。

 「お前、これ熱心な信者から怒られなかったか?」

 「熱心な信者と言うか、女神をすごい尊敬しているメルセデスには怒られたな。しまいには『シェイカー先生に女神様は本当にいるって教えてあげますねぇ』って言って俺の塾に来た。スカウト予定だったけど想定外の来られ方をしたなぁ」

どこか遠い目をしながら呟くシェイカー。その姿に少しだけ溜飲を下げるジェラルドとセテス。

主にこいつでも想定外のことが起きるんだな、って意味で。

 「ところで先生。これの持ち主はわからないか?」

 「ああ、何だと思ったら落し物だったのか」

 「いや大陸中に販売されている代物だったらいくらシェイカーでも持ち主なんかわからねぇだろ」

 「わかるぞ」

 「わかるのかよ!?」

まさかの宣言に驚愕するジェラルド。それに対して何でもないかのように説明するシェイカー。

 「一冊ずつに特別な術式を入れてあってな。購入した人には新刊が出たら通知がいくようになっているんだ」

 「何で貴様は昔からそう言う高度な魔術をくだらないことに使うんだ」

 「趣味だ」

セテスの本気で呆れた言葉に即答するシェイカー。そしてシェイカーは本を受け取ると魔術を起動する。

 「あなたの持ち主は誰だろな、と。お、出た」

 「誰だ」

セテスはこれの持ち主に一言言ってやろうと思っていた。こんな本は即座に白金処分である。教会の財政問題はシェイカーに別の方法を考えさせればいい。そう考えていた。

そしてシェイカーはイイ笑顔で口を開く。

 「フレンのだな」

今度こそセテスは致死量の血を吐くのであった。

 




セテス
付き合いの長いレアとシェイカーに今日も胃痛ダメージを与えられていたらまさかの身内の裏切りにあった。

ジェラルド
完全に巻き添えを食らった騎士団長。

ベレス
落し物センター

メルセデス
シェイカーはきちんと面倒みてあげなきゃ!! という間違った使命感を燃やしてしまいシェイカー塾に入塾した生徒。

同人誌
原作:レア
漫画:シェイカーのゴーレム

フレン
腐ってやがる……!!




この話を書くにあたってセテスとフレンのことを調べたら重大なネタバレを食らった作者です。そのためにセテスとフレンとも旧知ということを無理やりねじ込む。書き始める前に調べておけばよかった。

ちなみにフレンが腐った理由は作者のファーストプレイ時に「なんかこの娘腐女子っぽい」という印象を受けたため。ある意味でフレンが一番の被害者。

そしてスカウトしたかったメルセデスを無理矢理スカウト。前回のマリアンヌ以外はスカウトしたいキャラはこういうネタ回でスカウトしていく予定です。
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