日向であるという事   作:nyaa

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お待たせしました。・・・待ってくれている方はいるのでしょうか。

今回独自解釈、捏造等目白押しです。

ご意見/ご感想お待ちしています。


1話 日向トキ

 後に最も悲惨な大規模戦争、と呼ばれた第三次忍界大戦。

 

 その始まりは風の国、砂隠れの里の政情が不安定なことにより各国の国境付近で紛争が勃発した事から始まった。三代目風影の突然の失踪も遠因となり各国の国境付近で長引く戦いが次第に戦火を広げていき、第三次忍界大戦へと発展した。

 

 そんな中広大な領土を持つ火の国は多くの国と国境を接しており、そのせいで一箇所に多くの戦力を投入できず、未曾有の戦力不足であり結果消耗戦となる。

 

 それは未だ幼い少年少女達まで最前線にかりだされ、数多の命を散らす事になった。

 

 

 僕、日向トキが生まれたのはその第三次忍界大戦が勃発する少し前。木ノ葉名門日向一族分家、分家当主日向ヒザシの息子として生を受けた。

 

 

 齢3つを数える頃には暖かくも厳しい両親の愛を受け、僕も将来は父と同じ忍となるのだと信じ修行を始めていた。ただ、父と同じようになりたいと、丸太を突き続けた。

 

 しかし、いつの事からだっただろうか、父。ヒザシが修行をする僕に悔しそうな、泣き出しそうな表情をするようになったのは。それは、僕が模擬試合で日向暗部の方を制した時からであったか。それとも日向相談役の御歴々の方々がまるで品定めでもするかのように、修練場にいらっしゃるようになった時からであっただろうか。

 

 僕が父の表情の意味を知るのは齢5つを迎える頃、母のお腹が目立ち僕に弟ができることを知ってから少し経った日の事だった。

 

 

 

 

 

 

 木ノ葉隠れの里外れにある、広大な森林の近くに大きな日本家屋が鎮座している。塀に囲まれた広大な敷地には土が踏み固められた修練場がある、平時には日々己を高めようとする者達で活気のある場所も大戦時である昨今では利用するものも少なく寂れた雰囲気が漂っていた。

 

 しかし、今日に限っては珍しく利用者がいるようだ、年の頃は5歳程であろうか小さな体躯に修行着を着、肩まである長い黒髪を風に靡かしている少年だ。

 

 少年、日向トキは1度頷くと手のひらを前に構え、突く。

 

 ただ無心に、胸元から前に突き出す。

 

 拳を振る動作から、今日の体の調子を確かめ少しずつ振る動作に調整をかけていき、自身の理想と体を合わせていく。

 

 何度も繰り返していると、だんだんと意識が一点に収束していくように感じる。己の拳が生み出す風の音も気にならなくなる。先程までは四肢の微細な変化まで感じていた神経が意識の外に剥離していき、拳を振るうという意識までなくなる。自分が完全に虚になったような感覚の中、自分の拳が生み出した痕のみに色が付いたように見えてくる。

 

 その色を、突く。

 

 拳が形のない大気に傷をつける。それを何度も繰り返す。それを何度も繰り返す。大気はいくら割られようとも、すぐにその空隙を埋めてしまう。それでもトキは大気を突き続ける。

 

 そしてトキの拳が大気につけた傷が周囲の大気の流れに飲まれてすぐに修復しない事を確かめると、トキは拳を止めて息を吐いた。

 

 不意に拍手がした。

 

 「ふむ、大したものだ」

 

 意識を戻すと、いつのまにか修練場の入口に人影がたっていた。

 

 「己が何をされたのかすらわからないままに死んでしまいそうだな」

 

 「・・・いえ、そこまでは。ありがとうございます・・・ヒアシ様」

 

 トキは謙遜しながらも、ごまかすように持ってきていたタオルで汗を拭った。

 

 日向ヒアシ。日向宗家の当主であり父ヒザシの兄、トキから見ると叔父という事になるもトキはヒザシのヒアシを見る目に影が差す事を知っておりその影響かヒアシを苦手としていた。誰であろうとも自分に親しい人が苦手とする人に苦手意識を持ってしまうだろう。それが親であり子供であるならば尚更その影響はより大きなものとなるのは当たり前であろう。

 

 「ここにいたのか、トキ」

 

 トキは何を話せばいいのかと頭を悩ましていると不意に横から聞きなれた男の声が聞こえた。

 

 「・・・お久しぶりです。ヒアシ様」

 

 「・・・ヒザシ」

 

 そこにはトキを呼びに来たのであろう、ヒザシの姿があった。ヒザシはヒアシに向かい挨拶をするも何処か暗い表情をしている、それを見てヒアシもかける言葉を無くしてしまう。兄弟でありながらも宗家と分家の溝は深い。まして此処に両当主が呼ばれた意味を考えると来年には父親となる自身としてもかける言葉など思いつくはずもなかった。

 

 「トキ・・相談役の翁様がお待ちだ、行くぞ」

 

 ヒザシはそんなヒアシから視線を外すと、トキに言葉をかけ足早に屋内へと向かっていく。

 

 トキはそんな二人を不思議そうに眺めていたが、父に呼ばれヒアシに一礼し父の背中を小走りで追いかける。

 

 ヒアシは暫し親子の背を見つめ、自分も屋内へと足を進ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 日向本邸のさらに奥、歴史を感じさせる古い木張りがされ、厳粛な雰囲気がする部屋に厳かに声が響いた。

 

 「・・それでは今より日向一族戦評定(いくさひょうじょう)を始める」

 

 そう声を発したのは、部屋の奥議長席に座る老人だった、この老人の名は日向ホウサ。現日向相談役でありその身で日向を現しているかのように、岩山のような印象を受ける老人であった。

 

 日向ホウサの右前に日向宗家当主日向ヒアシが座し向かい合うように、日向分家当主日向ヒザシが座り横に日向分家日向トキが座していた。

 

 「はっ、本日の戦評定に関しましては」

 

 部屋の隅に控えていた進行役の者が口を開いた。

 

 「日向分家日向トキ殿に関してでございます」

 

 少しだけ、ヒザシの肩が震えたような気がした。

 

 「現在木ノ葉隠れは大戦において人手不足により後手に回らざるをえず、十分に戦線に忍を供給できず戦線の忍を失う悪循環に陥っております、それに伴い火影様より我ら旧家から一定の戦力を出すようにとのことです」

 

 現在の戦争に参加する忍の平均年齢はとても幼い、それは里の戦力が低下している証であり。今の木ノ葉隠れに忍の成長を待つ余裕などないという証でもある。

 

 「・・・昨今、旧家の序列に変動の兆しがあります」

 

 進行役の言葉に部屋の空気が急激に冷却されたような気がした。それは日向家の者には到底許せるものではないからだ。

 

 この最強の忍里と呼ばれる木ノ葉隠れの里には、そう呼ばれるに相応しい優秀な忍達がいる。そしてこの木ノ葉隠れを古くから支え続ける名家も多い、それでも我ら日向こそ最強だという自負はいささかも曇らない。

 

 日向は木の葉にて最強。

 

 そしてそれはうぬぼれではなく事実なのだ、日向一族ほぼ全員が開眼している白眼の血継率の高さに体質的に高いチャクラコントロールを備えている為、戦闘型の忍だけではなく才能に左右される希少な医療忍者と、安定して高い実力を持つ戦闘型の忍を多数輩出している。

 

 そして日向は一族を宗家と分家に分け分家には忠君愛国教育を取り入れており、木ノ葉隠れ並びに宗家に対し献身的精神を築かせている。その形として「籠の中の鳥」の印が額に刻ませてさえいる。

 

 滅私奉公。

 

 そう呼ぶのが相応しい程の献身と人材を持って日向一族は誇るのだ、我ら日向は木の葉にて最強だと。

 

 だからこそ、譲ることの出来ない事がある。

 

 「・・・うちはか」

 

 ヒアシが苦く表情を歪ませ、吐き捨てる。それを受け、進行役は正にと頷きを返す。

 

 「うちは一族より生まれた鬼才。うちはイタチ既に単独で任務を受け里に貢献しております」

 

 進行役は一度相談役をチラとうかがい、ヒザシを見る。

 

 「対して我が日向一族からは彼、うちはに見合う戦力を出す事ができませんでした。しかし」

 

 トキはヒザシの握られた手が震えるのをみた気がした。

 

 「日向トキ殿、僅か5歳の若さで日向流、拳、内、外の三道を修め、既に日向暗部すら凌駕する実力を持つと聞き及んでおります」

 

 沈黙が間に挟まった。

 

 「・・しかし、我が息子はようやく5つを迎えようとしているところ。未だ戦地を踏むには幼いかと」

 

 「なにを申されるのですか!聞くところによればうちはの者も同じ年の頃だというではありませぬか、にも関わらず我ら日向が歳を言い訳に申せばそれこそ日向の名を落とします」

 

 「ぐっ、しかし!!」

 

 この男が、日向が言いたいこと等わかっている、それでもとヒザシは口を開く。

 

 「・・やめよ」

 

 「ホウサ様・・」

 

 今の今まで黙したまま沈黙を保っていた相談役が静止の声を発した。目の前の岩山のような老人には、潰されてしまいそうな存在感を発していた。

 

 「分家日向トキには、呪印を刻み次第任務についてもらう」

 

 「ヒザシ、親である前にお主は忍である事を、なにより日向である事を忘れるな」

 

 冷たい声には頑固さが宿っていた。

 

 「元より此度の評定の内容は我ら相談役からの決定済みの事、覆すことまかりならん。日向トキよ」

 

 相談役のホウサはその岩山のような顔から覗く白の瞳でトキの体を射抜く。

 

 一方トキの小柄な体は絶えず小刻みに震えていた。それは当たり前の事であろう戦争に行くそれは死に触れるという事だ、齢5つといえども両親に忍を持ち、忍の名門に生を受けた為トキは死を知っている。しかしそれは何処か遠くで起こった事であった為、実感を伴わない経験だ。半端な経験と知識がトキに恐怖をそして嫌悪感を与えていた。

 

 当初トキはどうしてそれに自分が関わらなければならないのかと思っていた。忍としての教育は受けたがアカデミー生ですらない自分が戦争に、それも今は消耗戦という名のもと使い捨てにされるであろうことに理不尽を感じていた。

 

 しかし、自分が日向の中でも異才を発揮し、十分戦力になる存在である事は理解していた。今は戦時中であり、忍の数が圧倒的に少ない中で幼いという道理を受け入れる余裕など木ノ葉隠れにはないだろう、ましてや日向相談役の方々からの指名だ、断る事などできるはずもない。

 

 分家の者は「籠の中の鳥」を意味する呪印を額に刻まれることで宗家に縛られ、死ぬまで宗家のため木ノ葉隠れに尽くさなければならない。

 

 「・・謹んでお受けいたします」

 

 ただこうべを垂れ、受け入れた。視線の先にある自分の震える手の先が滲むのを知りながらも。

 

 日向トキはこの日、5つの誕生日に真の意味で分家となり日向であるという事を知った。

 

 




改)ヒアシ。ヒザシ。・・何度も書くと、どちらがどちらなのかわからなくなります。
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