とある科学の超人(リミットバースト)   作:はらしょ。

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やっと本編に貴船が関わります!


きっかけ

8月19日。

俺は今、第2学区にやって来ている。

学園都市には全23の学区があり、第2学区ってのは兵器や爆発物、自動車関連学校の実験サーキットなど、とにかく騒音が多い施設が集まっている学区だ。

基本的に俺は第7学区から出ることは少ないので、必然的に他の学区にはあまり行ったことがないが、その中でも滅多に来たことがない学区である。

今日はこの第2学区にある風紀委員の訓練施設に行くためにやって来た。

白井によると、一応あいつと現場は体験してるから、訓練の見学でもして来いってことらしい。

あいつは用事で着いて来れないらしいけど話は通してあるから俺でも問題なく入れるらしい。

しかしここどこだ?

さらっと聞いた話じゃあここら辺にある筈なんだけどなぁ。

とりあえず目の前にある工場にでも入ってみるか。

「誰もいねぇ」

なんとなく入ってみた工場には誰もいねぇし、休憩時間だからみんな出払ってるってわけでもなさそうだ。

工場内にある機械はどれもボロボロでちゃんと整備されたのもだいぶ前のことだろう。

あたりには何かの部品と見られる物が中途半端な数散らばっていた。

きっと随分昔に使われなくなった工場なんだろうな。

しかし汚ねぇなぁここ。

使わねぇなら使わねぇでちゃんと片付けて行けよなー。

ちっ、こんな所に用はねぇ、早くしねぇと集合時間に遅れちまう。

ガサガサ…。

あれ、今なんか物音がしたような。

「あのー、もしかして誰かいたりしますー?」

返答はなし。

ただの偶然かぁ。

でも風も全く吹いてねぇしなぁ。

こんなとこだしネズミでもいんのか?

「がはっ…」

「ッ!?」

お、おい今明らかに人間の声らしき物音が聞こえたんだが!?

はっ、ははっ!幽霊くんこんな時間から張り切ってんなぁ。そんなんだったら1番忙しい時に調子出ないよぉ?そんなんだから腐った人間なんかに人気取られちゃうんだってぇー!

………。

まさか本当に幽霊とか?

い、いやぁ有り得ねぇ。

ここは科学の街学園都市だぜ?

でも気になるなぁ。

なんか分かんない?

俺はホラーとグロいのが大嫌いなんだけどさぁ。

スマホとかでよく検索しちまうんだよなぁ。

であとちょっと下にスクロールしちまうと見えちまうってとこでめちゃくちゃ迷って結局見ちまう。

結果めちゃくちゃ後悔しちまうが…。

とりあえず音がした方に行ってみるか。

怪しいやつが隠れてるってことも有り得るし。

確かあっちら辺だったよな。

この工場にある機械の中でも一際でかい機械。

なんの機械かはわからねぇが確かにあの方向から声がした。

誰か隠れてるとするならあの機械の裏とかだろう。

「おい!やましいことがあるなら出て来なさいそこの変質者!全くこんなことしてお母さん泣いて…」

「嘘…だろ…」

これなら幽霊や変質者の方が100倍マシだったぜ。

機械の裏にいたのは幽霊でも変質者でもなかった。

そこに転がってたのは死体。

いや、正確にはあと少しで死体になるであろうボロボロの少女だ。

しかしこの際そんなことはどうでもいい。

その少女の顔を見て俺は驚愕した。

「御坂さん!?一体何があったんだ!」

「はぁ…はぁ…」

「しっかりしろ!…くそっ!」

御坂さんの体の状況を確認する。

出血量は絶望的で、身につけているシャツ、茅色のベストでさえもが赤黒い血に染まっていた。

大量の濃ゆい血の匂いに吐き気が込み上げる。

「くそ何してんだ俺は…」

残った理性でなんとか衝動を抑え込む。

これは御坂さんなんだぞ。

御坂さんを見て気持ち悪いと思った自分。

そんな自分にとんでもなく腹が立った。

しかし、俺は見てしまった。

御坂さんの肘から先。

本来そこにあるものはあるべき場所を離れ、数十センチ先の地面に捨てられたように転がっていた。

切断なんて綺麗なもんじゃない。

その断面はとてつもない力で無理やり引っ張られたようにぐしゃぐしゃになっていた。

肉は飛び散り、ちぎれ損ねた筋肉は飛び出している。

我慢の限界だった。

1度せり上がってきた胃液はもう止まらない。

「おえぇ…」

鼻の奥に酸っぱい匂いが広がったと思った瞬間、俺は吐いていた。

吐瀉物はボトボトと地面に落ち、血と混ざり合い奇妙な模様を作り上げる。

そこで冷静さを取り戻した俺はあることに気づく。

血が乾いていない。

血液が乾ききる時間ははその場の状況で変わるがここまで全く乾いていないとすると、まだ犯人は近くにいるはずだ。

「御坂さん…」

御坂さんの息は止まっていた。

白井が知ったらどうなっちまうんだろうなぁ。

自分も死ぬなんで言い出さなきゃいいが。

いや、ないか。

あいつなら犯人をぶっ殺すまで死なねぇか。

でも、そんなの似合わねぇよなぁ。

こりゃあ集合時間に間に合いそうにない。

「もしもし、白井か?」

「「はいもしもし。あなたから連絡なんて珍しいですわね」」

「いきなりで悪りぃが今日の予定は無しだ」

「「はぁっ!そんなの困りましすわ!今日だって無理言ってお願いしたんですってのに!」」

「ちょっと外せない用事が入っちまった」

「「こら!待ちなさっ…」」

悪ぃなぁ白井。

よし。

待ってろよクソ野郎。

 




今日も読んで頂きありがとうございます!
レベル6シフト計画の所は自分でも好きなところなので書くのが楽しみです!
貴船の活躍を期待しといて下さい!

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