「時間、ぴったりね」
8月21日、18時半。
俺は、例のボロアパートへとやって来ていた。
「今日、御坂さんも来るらしいぞ」
「お姉様が?それは確かなの?」
「ああ。ほぼ確実だ。実験の開始時刻も知ってる様子だった」
「はぁ、あいつと戦っても勝てないことはお姉様が1番分かってる筈じゃない」
「死ぬつもりなのかもな」
「え?」
「そもそも、お前らが作られた理由ってのは、御坂さんを128回殺すのと同様の結果を得るためだろ」
「そうだけど?」
「なら、超電磁砲にそんな価値がないって思わせれば良いんだよ。科学者たちに分からない程度に手を抜いてさっさと殺されちまえば、科学者たちだって本当にこんなやつを128回殺したとしても一方通行はレベル6になれるのか?そう思うはずだ」
「はぁっ!?意味分かんない!私たちを助けるためにお姉様が死ぬなんて、そんなのダメに決まってるじゃない!」
「そんなのおかしいです……」
「ああ。それにやつらには樹形図の設計者がある。今御坂さんが死んでも、また再演算されたら犬死にだ。まあ、さすがに考えなしってわけじゃねえだろうけど」
本当に馬鹿だよなぁ。
妹達が死んで御坂さんが哀しむように、あんたが死んだら哀しむやつだらは周りに沢山いるだろ。
「お前らに御坂さんの足止めを頼みたい」
「じゃああんたはどうすんのよ?まさか1人で一方通行に挑むっての?」
「そのつもりだ」
「死ぬのが分かってるのにそんなことはさせるわけないでしょ!?」
「そ、そうですよ。危険すぎます……」
「俺は絶対に死なない。絶対に、だ。こんなことお前たちにしか頼めない。頼む!」
「ったく。しょうがないわねぇ」
「はぁ……。でも、足止めって一体どうやって?」
「ありがとう。お前たちには妹達の真似をして、今日の実験は中止になったと御坂さんに伝えて貰いたい」
2人の容姿は御坂さんとそっくりだし、きっと妹達との違いも無いはずだ。
実験の直前に戦場にいるはずの妹達と遭遇したら御坂さんも不思議に思うだろうし、そこでこいつらが今日の実験は中止になりましたと伝えれば、大丈夫だろう。
これなら御坂さんは大人しく寮に帰るだろうし、万が一にバレたとしても、しばらく時間は稼げるはずだ。
「確かに、それならお姉様の足止めは出来るわね」
「御坂さんがどういうルートを通って実験がある場所に行くかは分からねえが、そいつはお前らで何とかしてくれ」
「今回の実験は第7学区で行われるので、多分そこを探せば何とかなるかと思います」
「頼む」
これで、御坂さんとこいつらはしばらく実験場には来ないだろう。
あとは、俺が一方通行を倒せば全て解決だ。
学園都市第1位とサシで戦えるなんて光栄なもんだ。
現在19時12分。
そろそろ動き出すか。
「じゃあ御坂さんを探さなきゃいけねえし、そろそろ行くか」
「お姉様を見つけたら私たちも行くから。それまでにあんなやつ倒しちゃいなさい!」
「きっと勝てるって信じてます!」
「よし!こんな実験は今日で終わらせるぞ!」
今日もお読み頂きありがとうございます!
あまり詳しくはないのですが、しおりという機能を3人に使って頂いているみたいでとても嬉しかったです!