弱小国の王太子に転生したから死ぬ気で国を生き残させる 作:ほそほそピーナッツ
四大貴族の了承を得た俺は、得意気な足取りで王宮に面して位置する議会へと向かう。
そう、議会である。
なんでも五代ぐらい前の国王が横暴だったらしく、それひ反感を持った貴族達が反乱を起こしたらしい。その時なんとか反乱を鎮めたい国王が提案したのが、議会制度である。
議会と言っても日本だとかの議会制度とは程遠い物である。議員は貴族の中から選ばれるし、明確な権力を持たない。
だが、実際にはレシツィア王国の貴族達の代表みたいな物であるから、そこで決まったものはほぼ強制みたいな物である。
***
「うわぁ、思ったよりもずっと立派な建物だなぁ!」
議会へと着いた俺が最初に思った感想はそれであった。
大理石が積み上げられた議会は、門から見るとまるでそびえ立つ壁の様に大きく、立派な代物だったのだ。
「下手したら王宮より立派なんじゃ無いのか?」
そんな俺はの感想に、俺の背中から返答が来た。
「はっはっはっ、流石にそれはないでしょうよ。王宮の方が議会より余程立派で御座います」
突然聞きなれない声が響いたものだから、驚きながらも後ろを振り返る。
そこに居たのは、三十路過ぎたくらいの、髪を刈り上げた巨漢だ。身長は190cmを軽く越しているだろうか。その姿は圧巻、その一言に尽きた。
「だ.....誰?」
そんな間抜けた俺の疑問に、男は慌てて頭を下げて名乗りを上げた。
「これはこれは、失礼致しました。王太子殿。我が名はアーチボルト=ルナール=エルチゾイデで御座います。」
エルチゾイデ家、南部諸貴族を束ねる長と言っても良い大貴族である。
「あぁ、宜しくな」
その巨体に若干困惑しながらも挨拶を返した。
「して、わざわざここまで来まして一体何の用で御座いましょう?」
以外とストレートにエルチゾイデは用件を聞いてきた。
さあ、ここからがもう一つの山である。
***
議会と言っても、議員達は現代日本と比べて大分適当であるため、議会があろう他の用事があったらそちらを優先してしまうらしい。
言わば議会は暇な貴族達の交流会、の様に成り下がって居るらしい。
だが、どこから聞きつけたのか、今日の議会はやけに議員の揃いが良いらしい。
だからか、さっきから議会の職員達が忙しそうにあっちに行ったりこっちに来たりを繰り返している。
「中々慌ただしくてすみませんね、王太子様」
そうエルチゾイデは己の巨体を縮こませながら謝ってくる。
「いや、大丈夫だ。エルチゾイデ。中々に今回の法案は貴族達の関心が高いようだからな。提案者としても嬉しい限りだよ」
そう答えるとエルチゾイデは豪快に笑いながらこう言った。
「ハッハッハ、そりゃあ関心は高いでしょうよ。特に純粋な領土税じゃあ稼ぎの少ない中小貴族にとって、国税の汚職は大事な収入ですからなぁ」
案外簡単に汚職を大っぴらにする事に俺は少々驚く。
そうすると、俺の驚愕に答える様にこう続ける。
「家みたいな大貴族になると、わざわざ汚職なんてしなくても充分やっていけるだけは稼げるのでねぇ」
「そ、そうなのか」
「ええ、中小の貴族の一番の支出は近隣の大貴族への贈答とかが多いですから、家は贈る方じゃなくて貰う側ですし」
そう言っていると、後ろから近付いてきた比較的背の高い、The大人、という感じの女性がエルチゾイデの巨体を肘でついた。
「痛っ!?何なんだよ、ミース」
エルチゾイデは話を止め、大袈裟な反応をした。
「ちょっと、あんた話し過ぎなのよ。そんな事言ってると周りの貴族から反感を買うわよ」
ミースと呼ばれた女性はこちらを一瞥すると向き直り、綺麗な礼をしながら名乗る。
「突然の割り込み失礼致しました。私、エルチゾイデ家の秘書を務める、ワーシャル=ミースと言う者です。以後お見知り置きを、王太子様」
「ぁ、ああ、分かったよ。宜しく」
やっぱり日本じゃ男子校に通って居たせいか、若干綺麗な女の人に挨拶されると照れてしまう。
ミースは俺の返答を聞くと、未だ文句を言っているエルチゾイデを無理矢理引き連れながら離れて行った。エルチゾイデの巨体を引っ張れるとなれば、見た目によらず、案外力があるらしい。
その後も暫く、議会の職員に議会の案内を受けると、いよいよ審議を行う本会議場へと連れられた。