1ヶ月も投稿を開けてしまい、申し訳もございません。
練習航海······今までにも何度か私が引率したことはあるが、簡単に言ってしまえばそのままの通り、航海の練習が主だ。
そもそも、私には誰かに何かを教えるという行為はとても下手くそだ。まあ、何て言うか理論派ではなく感覚派とでも言ったらいいのか······
私に大した指導なんてできないから、いつもゼファー先生の指導を受けている訓練生からすればとても拙い指導になっていると思われる。
私自身、ゼファー先生が教官だったので、ゼファー先生が教官としてどれだけ適切な指導が出来ていたか、それは時間が経った今だからこそ良く分かるというもの。
あ、そうそう。私一人では訓練生の指導には不安があったから、セリカに無理を言って着いてきてもらいましたよ。
「セリカ准将、態々忙しいのに付き合わせてすみませんね」
「いえ、シア大将殿のお願いとあらば断る訳にはいきませんわ。それに、シア大将殿は放っておくといつの間にかどこからか新しい仕事を拾ってきてしまうんですから······私としましてもシア大将殿がいつ過労で倒れるかヒヤヒヤするものですわ」
「それはすまなかったな。私としても最近部下に過労だと良く言われるからこれでも仕事量は調節しているつもりなんだけどなぁ」
はぁ。と溜め息をするセリカ。
「まあ、シア大将殿がそう言うのでしたら私は一向に構わないのですわ」
いやぁ、そう言われましても私としてはそんなに働いている自覚なんて無いんですけどねぇ······
ほら、サカズキさんなんてあの人いつ休んでるんでしょうか?ってくらい働き者ですからね。ホントに。いつ行っても書類に追われていたり、遠征任務で留守にしていたり······
あの人こそ海軍の真の働き者と言ってもいいと思うんですけどね。
センゴク元帥はまあ、海軍一の苦労人だ。いつもガープ中将とおいかけっこしているのを見るし、仕事をサボったクザンさんを捕まえて仕事させるのもセンゴクさん。更にその上に膨大な量の書類を捌いているというのだから、あの人の仕事量は考えただけで卒倒しそう。
それに、各種会議を取り纏めているのも考えるともう·······
まあ、そんな他の人の仕事は置いておいて。
いやぁ、本当に訓練生の人達、真面目で助かりますねぇ。
これが既に卒業して正式な海兵になってから数ヵ月も経てば、本当に真面目な一部の海兵を除けば殆どのやつが何処かしらで手抜きを始める。
まあそれは数年もすれば無くなるのだけど·······
その辺私は甘いので3度目までは見逃しているが、仏の顔も3度まで。というわけで4度目を発見したら流石に怒ります。
これがサカズキさんに見つかれば叱責どころか除隊処分にされることも珍しくない。それも一発目でだ。
そのように、セリカが指示をして、訓練生が行動する。それを暢気に見ているが、その私の視線は勿論のこと、我が愛しの娘、ノエルに向けている。
ああ、なんて可愛いんだ。とりわけノエルは他の訓練生よりも頑張っている。他の訓練生が体力作りで腕立て伏せ100回するなら、他の人よりもそれを早く終わらせて1回でもより多く実行しようとする。
船上での戦闘を想定した戦闘訓練でも、今までの努力の積み重ねによって身に付けてきた身体能力と技術で、年上の訓練生相手に次々と勝利を重ねている。
さて、そんな訓練に真摯に取り組んでいる娘を見て保護者(私)がどうなるのか·······
それはもうメロメロである。そう。ハンコックの能力で石化されたような感覚を覚える。
だって、本当に可愛すぎてヤバイんですよ!!汗を流しながら辛い訓練に歯を食い縛りながら頑張るノエルちゃんを見ていると······そりゃ応援したくなります!!
贔屓はしないと言いましたが、誰も応援しないとは言っていません。
贔屓は、いくら身内だからって、それは不公平だし何よりノエルの為にならない。それに、一人の教育者としてそれはやってはいけないことだ。
でも、たまに居るんですよねぇ。自分の子供だからって色々優遇しちゃう海兵が。
そんなことをもし見つかれば減給や降格されるんですけどねぇ······子供が好きなのは分かりますけど、公私の区別くらいはハッキリつけましょうよ。私はそう思いますね。
でもっ!!声を掛けるくらいなら許されるはず!!
私はノエルや他の訓練生が鍛練を終えたのを見計らってノエルに話し掛けた。
ノエルに近付くと不意に良い香りが漂ってくる。ノエルちゃん凄い!訓練の後で汗だくなのにこんなに良い香りがするなんて!!とても羨ましい!
「ノエル」
「あっ、おかあ───シア教官、どうされましたか?」
流石ノエル。公私の区別はつけているようだ。流石に訓練あとだし気が緩んでるかなとも思ったんだけど、寸でのところで言い直した。まあ、及第点だろう。
だが、私としては不満しかない。
だって、ノエルに教官って言われるとなんだか疎遠な感じがするし、嫌われた感じもするから嫌だ。
だが、今は仕事。嫌でも公私の区別は大事。
テキトーにそう暗示して再び口を開く。
「ノエル訓練生。君は良く頑張っているな。他の訓練生よりも努力が目立つ」
ああ······どうしてこんな上から目線の言い回ししか出来ないのだろう。これ程自分の立場を恨んだことはない!!
普段とのギャップにノエルも目を白黒させていたが、そこは持ち前の順応力で即座に返事をして来た。
「お褒めいただきありがとうございます。シア教官」
とまあ、そんな会話をしていて私が面白いはずもないし、きっとノエルも嫌だろうからそこで切り上げて、後は家に帰ったら全力でノエルを褒めて可愛がってあげるのだと心に決めて、私は他の訓練生にも労いの声を掛けるのだ。
そうした方が訓練生のモチベーションも上がるだろうしね。やっぱり、辛いことをした後には労うのが一番。
取り敢えず各自に短いが休憩を取らせて、私もセリカ准将と練習航海の今後の予定の詳細を決定する。
あくまでも練習航海なので、身体作りよりも航海能力の方の育成をメインとしているので、普段の訓練と比べれば地味だ。
だが、海兵としてはこの航海能力は必須なので、訓練生中に何度も行うことになる。たまに海賊に襲われることもあるので、教官として船に乗り込むのはいつも相当の実力者ばかりだ、
ゼファー先生然り、私然りだ。
ともあれ、私はノエルを見ているとしよう。
ああ、本当に癒される·······