私は、何故か海軍に居る   作:うどん麺

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4.センゴクさんとサカズキさん

 

 

 

何時も通り海賊討伐の任務を終えて本部に報告のために帰ってきた。

偉大なる航路(グランドライン)に存在する海軍本部、通称マリンフォードは多くの海兵が住めるだけの住宅施設なども豊富である。

特に私としては日本風の建築物が多く見られるのはとても良いポイントだと個人的に思っている。

 

だから、今まで貯めたお金を使ってこの本部に自分の日本風建築の屋敷を建ててしまった。

その為に貯めた金の大半は消し飛んじゃったけどかなり良い出来の屋敷が出来たと思う。若干サカズキさんの家とイメージが被らなくもないけど、私は非常に気に入っている。

 

と、話は逸れてしまったけど実は中将って思ってたより忙しかった。確かに申請すれば休暇はちゃんともらえるけど、おそらく前世よりハードに働いている。そりゃあ、勿論海賊と実際に戦うわけだから命の危険もあるし······だけど、それを除いてもデスクワークも前世より大変だった。

中将だって中間管理職だ。下から持ち上がってくる報告は非常に多いし、酷いときは一日中書類整理に費やしていたりする。

 

あれだ、ガープさんが楽してるのは“海軍の英雄”なんて大層な称号を持っているからに違いない。ある意味あの人は特別だ。なんか、そう。どう言ったらいいのか分からないけど、一言で言えば自由人。

それはそれは、ガープさんの思いのままに動いて思いのままに休む。

センゴク元帥とはたまに追っ掛けっこしている風景を見られるのは本部の名物だ。まあ、それに巻き添えにされたら堪ったものじゃないけど。

 

そうだ、サカズキさんと言えば大多数の人にとても怖い、厳しいという印象を持たれがちだけど、私はそうは思わない。確かにあの人の掲げる正義と行動に思うところはあるけど、ちゃんと真面目に職務に取り組んでいる人には何かと便宜を図ってくれるし、私の時もそうだった。

私が家を建てたときにも、和風建築の設計士の人を紹介してくれたのがサカズキさんだった。

 

「セリカ少佐、それでは私はここで。今日の仕事は以上です」

 

「はい。お疲れ様ですわ、シア中将殿」

 

セリカには一端の別れを告げて私は一人センゴク元帥の執務室に向かった。

 

 

 

■■■■

 

 

 

センゴク元帥の執務室

 

「失礼します」

 

「おお、シア中将か、早速報告を頼む」

 

「わかりました、先ず、今回の任務では爆音海賊団船長ウィリスを含む団員全員を捕縛しました。また、今回の任務で哨戒した海域においてはそれ以外の海賊は見られなかったので、しばらくは安全かと───」

 

「ご苦労だった、ああ、それとこれは直接君に関係することではないが····セリカ少佐に関することだ。この度の任務の功績を以て、セリカ少佐をセリカ中佐に任命することが決まった。この事はセリカ中佐の上官であるシア中将にも報告する必要があると判断しての事だ」

 

「それはそれは、ありがとございます。セリカも喜ぶでしょう」

 

「それと、これは確定した予定だが······サカズキ、クザン、ボルサリーノの大将就任と同時にシア中将も大将就任となる。少なくともこれは二年以内の事になるだろうから心して置くように」

 

うげっ!何で私が大将になることが確定してるんだ!?普通大将って三人じゃないのか!?

 

「待ってください!センゴクさん。大将って三人までじゃないんですか?」

 

「そうなんだがな······五老星がその制度を無効にしたんだよ。だから、制度上は何人大将がいても良いことになった。ただ、大将への昇進は以前よりも厳しいものになるそうだ」

 

成る程、納得······昇進が難しくなるのならばまあ、そんなに増えることは無いだろうからね。

 

「そうですか、それならばまあ納得は出来ますね······あ、そうそう。もう一つ報告しておきたいことが。ある意味こちらの方がウィリスの捕縛よりも大切ですね。えーと、これです」

 

そう言いながら私は能力を発動させて闇の中に手を突っ込む。

 

「何だ────それは!?」

 

センゴクさんが驚愕する。それもそのはず、私が闇の中から取り出したのは紛れもなく、悪魔の実だった。

 

「そうです、悪魔の実ですね。少なくともこの模様が私の記憶には無かったのでセンゴクさんに見せようと思って持ってきたんです」

 

「ううむ·········この模様の悪魔の実は私も知らないな。それはそうと、それはどこで?」

 

「その悪魔の実ならば爆音海賊団の船で見つけましたよ。沈める前に回収しておきました」

 

「何はともあれ、お手柄だったな。何の能力かは不明だが海賊の手に渡れば驚異になるやも知れなかった」

 

「ええ、ですから私が持ってきたのです。」

 

「そうだな、能力が分からないのなら私の方から科学班に調査を手配しておこうか?」

 

「ええ、是非ともお願いします。報告は終わりましたのでこれで失礼しますね」

 

「ああ、それではな」

 

そうして私は執務室を退室した。

 

 

 

■■■■

 

 

 

「あっ、サカズキ中将。お久し振りです」

 

私が本部の廊下を歩いているとたまたまサカズキさんに遭遇した。

 

「ああ、シア中将か、久し振りじゃのう儂に何か用があるんか?」

 

「いえ、特には。たまたま見掛けたものですから、久しく会っていなかったので声を掛けました。もしかして迷惑でした?」

 

「いや、儂も丁度時間が空いとったところじゃけぇ、少し話し相手になれぃ」

 

「ええ、私でよければ是非とも」

 

「そう言えばシア、任務で海賊討伐に行った言うとったが、どうやった?」

 

「ええ、勿論捕縛しましたよ」

 

「そうか」

 

「そうだ、サカズキ中将。サカズキ中将は大将就任の話は既に聞きましたか?」

 

「ああ、儂もセンゴクさんから聞いちょる。流石の儂もちょいとばかし驚いたがのぅ」

 

「そうでしたか······どうやら私もそのようでして。若輩者ですが、これからよろしくお願いしますね」

 

「ああ、大将の任、確と全うせい!」

 

「はい!それでは、サカズキ中将。これで失礼します」

 

「ああ」

 

私はサカズキさんの下から離れて今度は自分の家に向かった。

わりかし本部の建物からは近いので便利だし、私も剃を全力で使ったのでものの十数秒で到着した。

 

そして私はご飯と風呂に入った後に、任務後の疲れを癒すように眠りに入った。

 

 

 


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