どうもー、海軍本部大将のシアですぅ。私は今ぁー、センゴクさんにぃー、叱責を受けておりますぅー。
「おいシア!!目が明後日の方向を向いておるぞ!!ちゃんと真面目に話を聞いておるのか!?」
いやぁ、センゴクさんマジギレ。
まあこうなった原因は私だから一切反論の余地も無いんですけどね。原因は、先日私が四皇の赤髪のシャンクスと戦ったこと。
いやぁ、あの
私、今怒ってるんです。絶対赤髪と次会った時はインペルダウン送りにしてくれるわ!!
「シア!!聞いておるのか!?また目が明後日の方向に向いているぞ!!」
「あーー!!!センゴクさん!!そんなに言わなくても良いじゃないですか!!?私だって戦いたくて戦ったんじゃ無いんですよ!?それに、赤髪とは死合いをしたんじゃなくて試合をしたんです!!お互い本気じゃ無かったし!!」
あーあ。ついかっとなって反論しちゃったよ。センゴクさん、さっきまでも十分に赤くなってたのに、今じゃもはやマグマが煮えたぎってると錯覚しそうなくらいに赤黒いし熱い。
「そうであってもだ!!そもそも、どこの海軍本部大将がふらっとパトロールに出掛けたら四皇と戦うことになるのだ!!!?それに、赤髪からはあくまでも頼んだだけと聞いている。お前が断ればそんな事態にはならなかったんじゃないのか!!?」
「はははぁー。確かにその通りです······」
「全く······まさかお前まで問題を起こすなんて夢にも思っていなかったのだがなぁ。まあいい。お前のことだしこんなことは滅多にないだろうから、今回は特別にお咎め無しとするが、今後このようなことが無いように」
「はい!勿論です。それじゃあ失礼します!!」
説教が終わった瞬間私は脱兎の如くセンゴクさんの執務室から逃げ出した。
その時センゴクさんが呆れたような眼差しで此方を見ていた気がするが、気のせいだろう。
そんで、前もちゃんと見ずに廊下を疾走していたからだろう、誰かとぶつかってそのまま押し倒してしまった。
「あ痛たたぁー······すいません、前も見ずに走っていたものですから」
我ながら前を見ずに走っていたとはかなりの苦しい言い訳だが、私はぶつかった相手に取り敢えず謝った。
「大丈夫だよぉ······それにしても、君がこれほど急ぐなんて、何かあったのかい?」
「いえ、特には何も。ボルサリーノさん、本当にすみませんでした。完全にこちらの不注意でしたので」
「問題無いよぉ。あっしも特に怪我はしてないからねぇ」
と、そこまで会話をしてようやく気付いた。私がボルサリーノさんを床に押し倒したまま話をしていたことに。
「はっ!!?すいません、すぐに退きますから!!」
私はボルサリーノさんの上から退くとすぐに立ち上がった。
「うーん、あっしとしてはもう少しそのままでも良かったんだけどねぇ」
「もう、ボルサリーノさん!冗談は言わなくて良いんです!!」
「···········冗談だよぉ。まさかあっしがそんなことを言うはずが無いよねぇ?」
「今の間は何だったんですか?······まあ良いです。私はこれから仕事しなければならないので失礼します。ボルサリーノさんもお仕事頑張って下さい」
「分かったよぉ。それじゃあねぇ」
ボルサリーノさんとも別れて私はセリカ准将の所まで来た。
「あっ!!シア大将殿!!何処に行ってたんでありますの!?丸一日も空けて!!」
セリカも私に会うなり説教をかましてきた。
「あー、それについてはあとで話すから、先ずは仕事を先にしないと······」
「······まぁ良いでしょう。ただし!仕事が終わればその一日間、シア大将殿が何をしていたのから隅から隅まで話して頂きますわ。御覚悟下さいませ」
「分かったよ······」
「それでは、シア大将殿が不在でした一日間で溜まったこちらの書類と、今日の分の書類全て目を通して判子をお願いしますわ。途中でサボらないで下さいね」
「············」
そして、仕事が終わる頃には私は真っ白に燃え尽きた。まさか、書類仕事がこんなにも辛いなんて······少しはガープさんの気持ちも分かりましたよ。
これは、逃げ出してでもサボりたくなる仕事量です。もう少し、労働環境の改善を世界政府に要求したいですね。働き方改革ですよ!!
でね、さっきから本部を歩いてると、どの海兵も私の方を見るなり小さく悲鳴を上げて、敬礼してるんですよね。私ってそんなに怖い顔してましたっけ?
「ねぇ、君」
私はそこらにいた海兵に話しかける。
「ひっ、あ、シア大将閣下!私に何かご用でございますか!?」
「うーん、まあ用と言えばそうだね。ねぇ君、私の顔って怖い?」
「い、いえ、決してそのようなことはございませんが······強いて言うならば、失礼ですが幽霊のように見えます。はい。」
なんか気まずい。相手に言わせといてあれだけど、うん。ちょっと傷つく。それに、頑張って行ってくれた海兵もなんかいけないことを言ってしまった雰囲気を出してるし。震えてるし。
「正直に言ってくれてありがとう。それじゃあ仕事、頑張ってね」
「は、はい!!」
と、見知らぬ海兵との一幕を終えて私は更に気を落としている。
「はは、は·······幽霊みたいな顔······」
多分、私は今、世界の終わりのような顔をしているのだろう。
「ひっ、た、大将閣下、どうされました!?」
そんな私を見かねたのか、時折私を心配して話し掛けてくる海兵もいるが、私は「何でもない、大丈夫だ」とだけ言っておつるさんの所に向かっている。おつるさんならきっと私を慰めてくれる。そう信じて。