【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか   作:クックダッセ

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はじめまして、この物語はヘスティア様と出会わず、アルテミス様と出会う物語です。原作通りにたどるつもりもありません。苦手な方はブラウザバックをお願いします。


僕と神様

僕はダンジョンに出会いを求めて、世界で一番熱い街、迷宮都市【オラリオ】に来た。怪物に襲われてる女の子を助けて、恋をしたりなどそんなことを求めてオラリオにやってきた。しかし現実はそんなに甘くない。

 

『ブモオオオオオオオオオオッッッ!!!』

 

「うあああああああああああああッッ!?」

 

ミノタウルスに追いかけられ、絶体絶命のピンチだ。全速力でダンジョンを駆け巡り、角を曲がり、なんとか撒こうとしているがレベル1の僕にはどうしようもない。けれどミノタウルスはもっと下の階層で現れるはずなのにどうしてこんな上層に!?

 

曲がり角を曲がった先は行き止まり。もう逃げる場所がなくなってしまった。ミノタウロス攻撃を避けて逃げ出す?僕が?冒険者になって半月の僕が?逃げられるわけがない。そんな絶対絶望の僕の目の前に現れたのは、これから僕の初恋になる人だった。

 

「ハッッ!」

 

「ブモォォ!?」

 

美しく洗礼された剣技、整った容姿、スタイルも抜群。金髪金眼の女性が絶体絶命の状況を覆し、僕の目の前に降り立った。僕はミノタウロスの臭い血潮を浴びても、変な顔はしなかった。なぜならそこに立っていたのはレベル5、第一級冒険者アイズ・ヴァレンシュタインさんな彼女についた二つ名は【剣姫】僕は生まれて初めて恋をした。

 

******

 

「神様!神様!!」

 

「どうしたベル?そんなにはしゃいで。あ、それとエイナから聞いたぞ、血を浴びて落とさずに、ギルドに来たと。私の唯一の眷属なんだ、私も怒られてしまう」

 

「あ、それはすいません神様」

 

「わかったならいい、なら夕ご飯にしよう今回は豪華だ。バイト先の豊壌の女主人から賄いをもらってきた。これを食べて明日も頑張ってきてくれ、ベル」

 

「はい!わかりました!うあわ美味しそうですね!」

 

「一応私が作ったものもあるんだぞ、是非味わって食べてくれ」

 

「はい!いただきます!............そうじゃなくて聞いてください!神様!」

 

僕が机を叩くと、行儀が悪いなという目で見られてしまった。神様は僕に「話を聞こう」と呟いた。

 

今いる場所は豊壌の女主人の3階。ここに住まわせてもらう代わりに、僕の神様がこの豊壌の女主人で働いているのだ。結構広い場所だし、部屋も2部屋ある。神様の寝室とリビングと僕の寝室でもある、現在夕ご飯を食べているところだ。ステイタス更新もここでやったりする。

 

僕たちのファミリアは僕と神様しかいない二人だけのファミリア。しかもそのファミリアが結成されたのがついこないだの話。そんな僕たちにお金もあるはずなくて、どうしようとなって途方に暮れていたところ、ミアさんに助けてもらった。僕と神様が豊壌の女主人の店主さんに助けてもらって、ここになんとか住まわせてもらえてる。

 

僕の神様、アルテミス様との出会いは僕がオラリオに向かう途中に、偶然空から光が落ちてきて、それがアルテミス様だった。神様が初めて下界に降りてきた瞬間を僕は見てしまったのだ。そして一緒にオラリオに入る時に、僕がアルテミス様の眷属になりたいと願ったのだった。

 

アルテミス様、神様は魚を突っつきながら僕の話を待っていた。

 

「ステイタス更新ですよ!いつしてくれるんですか!」

 

「帰ってきてからすぐは、ステイタス更新はしないと言っただろう。私もバイトの時もある、それに私がバイトがない日だとしてもご飯を用意して待っているんだ。それを食べてからステイタス更新するのが当たり前だろう」

 

ど正論だった。これは完全に僕が悪い。神様は僕のダンジョン帰りを待ってご飯を作ってくれているんだ。暖かいうちに食べないとダメだろうと僕は反省した。

神様はハムハムと小さい口で、ご飯を食べ進めていた。僕も早くステイタス更新をして欲しいので、モグモグと食べ進めた。

 

******

 

「さあ、お待ちかねのステイタス更新だが、なぜそんなにステイタス更新をしたいんだ」

 

僕の下半身に神様は乗っかり、神様の血を僕の背中に落とす。ステイタス更新を受けながら、神様は僕に問いかける。

 

「まあ、色々あったのでダンジョンで」

 

「あぁ、わかったぞミノタウルスから襲われてて、いろいろな経験をしたから、ステイタス更新をしたかったのか」

 

「まあ、そんなところです、アハハハ」

 

「ムッ、何か誤魔化してるなベル」

 

神様は針でチクチク、僕の背中を刺しながら、ステイタス更新は進んでいく。そして終わったのか下半身から体重がなくなり、神様は横にずれる。僕は神様が突き出したステイタス更新の紙を受け取り凝視する。

 

ベル・クラネル

Lv.1

力 : I 82 耐久 : I 20 器用 : 73 敏捷 : H 127 魔力 : I 0

《魔法》

【】

《スキル》

憧憬一途(リアリスフレーゼ)

・早熟する。

懸想(おもい)が続く限り効果持続。

懸想(おもい)の丈により効果向上。

 

「神様!これって!!」

 

「ああ、そうだ。ベルの初めてのスキルだ」

 

「やったッ!!僕にスキルだッ!!」

 

僕がベットでぴょんぴょん飛び跳ねていると神様は立ち上がり、僕も飛び跳ねるのをやめた。なぜなら神様は自分のよく使っている弓を持っていたからだった。しかも矢付きで。

 

「ちょっと!?神様!?何をするつもりですか!?」

 

神様は弓を構えながら、近づいてくる。その顔は笑っているが目が笑ってない。目から光が消えていた。怖い、怖すぎる。神様は何回か怒ったことがある。だから神様は怒ったら、本当に怖い人だと、理解していたはずだった。しかし今回も神様を怒らせてしまったみたいだった。

 

「ベル。私が司ってるものを言ってみろ」

 

「は、はい!貞潔と狩猟です!」

 

その言葉を発した瞬間僕は理解した。このスキルが発現した理由は、アイズ・ヴァレンシュタインさんに恋したからだ。そして僕の神様は貞潔を司る神。男女の恋愛を許すはずもない。

 

「ご、ごめんなさいいいいいいッッッ!!!」

 

「許すか!!」

 

神様はギギギッと弓から音をさせて、矢を放った。僕は今日二度目の死を感じ取った。

 

 

******

 

「聞いてくれヘファイストス!私のベルが!ベルがああ!!」

 

「はいはい、泣かないの。これでも飲んで落ち着きなさい」

 

「ありがとう」

 

アルテミスはヘファイストスとよく飲みに行くお店で待ち合わせをして、訪れていた。アルテミスはヘファイストスからもらったお酒をチビチビ飲み始めた。初めてヘファイストスはアルテミスのことを心配していた。彼女はこの都市に来たばっかりだし、拙いところもあったが、心配はしていなかった。

 

天界の頃からの知り合いで、彼女は一人でなんでもこなしてしまう神だったからだ。まあ、その神があの神(炉の女神)だったら世話を焼いていただろうが。

 

けれど初めてアルテミスから飲みに行きたいと言い、出会った瞬間に涙目で抱きついてきたのだ。これを心配しないわけにもいかないが、内容を聞くと、ヘファイストスは呆れて声も出なかった。

 

「で、そのあなたの唯一の眷属、ベルが取られてどうしようって相談でいいのね?」

 

「う、うん。恥ずかしながらそういった相談だ」

 

「プッ」

 

「な、なぜ笑う!!」

 

ヘファイストスがおかしくて笑うと、アルテミスは立ち上がり顔を真っ赤にして、ヘファイストスに怒鳴った。ヘファイストスはお酒を少し飲んで、口を開いた。

 

「ごめんなさい、アルテミスが恋愛話を持ってくるとは思っていなかったですもの」

 

ヘファイストスは笑いが堪え切れてない口調でアルテミスに伝える。アルテミスはカアアッと顔を赤くして、立ち上がり手で机を叩きながら立ち上がり、ヘファイストスに猛抗議を始めた。

 

「ち、違う!断じて恋とかというものではない!!私の眷属のベルを盗られて、寂しいとか心が痛いとかしか思ってないぞ!!」

 

「それが恋じゃない」

 

「なんだと!?」

 

アルテミスの驚いた顔に、ヘファイストスは机に突っ伏して、笑い出すそれも大笑いだった。アルテミスはそのヘファイストスを見て、ムッと頬を膨らませ、そのまま座る。

 

「それでどうして盗られたと思ったの?」

 

「そ、それは秘密だ」

 

「え?」

 

アルテミスはあのスキルは希少(レア)スキルだということを理解していたからだ。だからそのスキルを公にすればベルに神が群がるかもしれないというアルテミスなりの考慮だった。

 

じゃあなぜベルに伝えたというと、隠し事をしたくなかったからだ。ベルは冒険者いつ命を落としてもおかしくない職業。その時にもしかしたらこのスキルの存在を知っていたら、生き残っていたかもしれないという状況が来るかもしれない。だからアルテミスはベルにはスキルを隠さなかったのだ。

 

「ふーん、まあいいわ。私も恋愛っていうのはよくわからないの。私ってそういうのは無縁だから。けど眷属として私の子供達は愛してるわよ。アルテミス、あなたは眷属としてベルを愛してるの?」

 

「ああ、それはもちろんだ。ベルは内気で優柔不断でダンジョンに出会いを求めてやってくるような不純な子だが、やるときはやる子だ。私と初めて出会った時もそうだ、ベルは私がオラリオの壁から落ちたと思い込んだみたいでな、助けに来てくれたんだ」

 

アルテミスは少しお酒を飲んでから、ベルについての心の内を明かす。

 

「その時になんでいい子だろうと思ってしまったんだ。そして一緒に暮らしていくうちにな、ドキドキが止まらなくなり...............」

 

「もういいわ、お腹いっぱい」

 

「なぜだ!ここからがいい話なんだぞ!」

 

「だってベルのことを話すあなた長いのだもん」

 

「うっ、それはごめん」

 

「やっぱり恋なのね」

 

「ち、違うぞ!私はだな!?......」

 

アルテミスとヘファイストスとの言い合いが続いていく、ヘファイストスがからかい、アルテミスが真剣に答える。ヘファイストスはアルテミスの言葉を聞きながら、アルテミスは変わったなと思っていた、一人の男の子せいだけでアルテミスはこんなに表情が変わる。

 

笑ったり、泣いたり、怒ったり。天界いる時だと想像もできなかったとヘファイストスは思う。ヘファイストスは葡萄酒を飲みながら、顔を真っ赤にして、抗議しているアルテミスを見て微笑んでいた。

けれど天界にいた頃も喜怒哀楽が激しいときはあったなとヘファイストスは思う。あの子(炉の女神)と一緒にいるときは、とても仲良さそうにいたと。

 

「ヘファイストス!聞いているのか!?」

 

「えぇ、聞いてるわ」

 

彼女二人のトークはまだ終わらない。

 

 

 




アルテミス様ははベルくんと出会い、恋というものをしています。(まあ、頑なに認めませんが)アルテミス様とヘスティア様とはたどるものが同じではないと思っています、けれど最初のミノタウロスやアイズさんに恋するのは、そのままにしました。ここからどういう展開にしようとかは考えてませんが、作者の気まぐれです。次回も続けていくのでお願いします!

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