【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか   作:クックダッセ

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やはり、英雄を求めるのは間違っているだろうか。

僕は英雄を目指して、この世界で一番熱い街、迷宮都市(オラリオ)に来た。しかし現実はそんなに甘くない。

 

『ブモオオオオオオオオオオッッッ!!!』

 

「うあああああああああああああッッ!?」

 

ミノタウルスに追いかけられ、絶体絶命のピンチだ。全速力でダンジョンを駆け巡り、角を曲がり、なんとか撒こうとしているがレベル1の僕にはどうしようもない。けれどミノタウルスはもっと下の階層で現れるはずなのにどうしてこんな上層に!?

 

曲がり角を曲がった先は行き止まり。もう逃げる場所がなくなってしまった。ミノタウロス攻撃を避けて逃げ出す?僕が?冒険者になって半月の僕が?逃げられるわけがない。そんな絶対絶望の僕の目の前に現れたのは、英雄候補の一人だった。

 

「ハッッ!」

 

「ブモォォ!?」

 

美しく洗礼された剣技、整った容姿。金髪金眼の女性が絶体絶命の状況を覆し、僕の目の前に降り立った。僕はミノタウロスの臭い血潮を浴びても、変な顔はしなかった。そこに立っていたのは、オラリオに来て日の浅い僕でも知っている。第一級冒険者アイズ・ヴァレンシュタインさん、彼女についた二つ名は【剣姫】

 

「大丈夫ですか?」

 

「た、助けてくれて、ありがとうございます!!」

 

「ううん、私たちの不手際であなたを危険に晒してしまってごめんなさい」

 

ヴァレンシュタインさんは血まみれになった僕に手を差し出し、座った状態の僕を立たせてくれた。

 

「き、気にしないでください!今助けてもらったので!」

 

「ん、そう言ってもらえると助かるな」

 

僕はお礼を言って駆け出した。あぁ、悔しいなぁ。

英雄になるって誓った約束、本当に果たせるのだろうか。

 

******

 

「ベル、エイナから聞いたぞ。死にかけたんだってな」

 

「あ、はい。そこでロキファミリアのヴァレンシュタインさんに助けてもらいました」

 

「私のたった一人の眷属なんだ、死んでしまったら本当に悲しい。ベルの夢である英雄にもなれないんだからな」

 

僕達のファミリアは僕と神様しかいない二人だけのファミリア。しかもそのファミリアが結成されたのがついこないだの話。そして僕達は現在廃墟になった教会に暮らしている。

 

「はい、気をつけます」

 

「わかったなら夕ご飯にしよう今回は豪華だ。バイト先の豊壌の女主人から賄いをもらってきた。これを食べて明日も頑張ってきてくれ、ベル」

 

「はい!わかりました!うあわ美味しそうですね!」

 

「一応私が作ったものもあるんだぞ、是非味わって食べてくれ」

 

「はい!いただきます!」

 

僕の神様、アルテミス様との出会いは僕がオラリオに向かう途中に、偶然空から光が落ちてきて、それがアルテミス様だった。神様が初めて下界に降りてきた瞬間を僕は見てしまったのだ。そして一緒にオラリオに入る時に、僕がアルテミス様の眷属になりたいと願ったのだった。

 

******

 

「さあ、今日もステイタス更新をしようか」

 

僕の下半身に神様は乗っかり、神様の血を僕の背中に落とす。ステイタス更新を受けながら、神様は僕に問いかける。

神様は針でチクチク、僕の背中を刺しながら、ステイタス更新は進んでいく。そして終わったのか下半身から体重がなくなり、神様は横にずれる。僕は神様が突き出したステイタス更新の紙を受け取り凝視する。

 

ベル・クラネル

Lv.1

力 : H 198 耐久 : F 368 器用 : H 176 敏捷 : F 396 魔力 : I 0

《魔法》

【】

《スキル》

【】

 

「まだ魔法とかスキルはでないですよね...」

 

「そう慌てるな、まだ冒険者になって半月だ」

 

「それはそうなんですけどね...」

 

僕はがっくりと肩を落としながら僕と神様が食べた料理の皿をいそいそと片づける。

もっと強くならないといけないのにな....。

******

ベル・クラネル

Lv.1

力 : H 198 耐久 : F 368 器用 : H 176 敏捷 : F 396 魔力 : I 0

《魔法》

【】

《スキル》

英雄憧憬(ヒーロー・フレーゼ)

・早熟する。

夢見(おもい)がが続く限り効果持続。

・夢見の丈により効果向上。

 

ベルが皿を片付け、皿洗いをしている時、アルテミスはベルのステイタスを頭を痛そうに見ていた。

 

(これを他の神が見たら大変なことになるの目に見えてるな)

 

アルテミスは溜息を出しながら、このスキルを出したきっかけでもある【剣姫】を思い出して少しイラっとした。

なんで私の眷属なのにポッと出の女に自分の眷属がスキルを覚えないといけないんだと、

けどアイズのおかげでスキルを覚えられたからとグルグル脳内を駆け回っていた。

 

「ちょっと出かけてくる!!」

 

「あ、はい...」

 

アルテミスが絶対しないような、ドンドンと足音を立てながら出て行った。

ベルはそれに少し戸惑っていた。

 

******

 

「聞いてくれヘファイストス!私のベルが!ベルがああ!!」

 

「はいはい、泣かないの。これでも飲んで落ち着きなさい」

 

「ありがとう」

 

アルテミスはヘファイストスとよく飲みに行くお店で待ち合わせをして、訪れていた。アルテミスはヘファイストスからもらったお酒をチビチビ飲み始めた。初めてヘファイストスはアルテミスのことを心配していた。彼女はこの都市に来たばっかりだし、拙いところもあったが、心配はしていなかった。

 

天界の頃からの知り合いで、彼女は一人でなんでもこなしてしまう神だったからだ。まあ、その神があの神(炉の女神)だったら世話を焼いていただろうが。

 

けれど初めてアルテミスから飲みに行きたいと言い、出会った瞬間に涙目で抱きついてきたのだ。これを心配しないわけにもいかないが、内容を聞くと、ヘファイストスは呆れて声も出なかった。

 

「で、そのあなたの唯一の眷属、ベルが取られてどうしようって相談でいいのね?」

 

「う、うん。恥ずかしながらそういった相談だ」

 

「プッ」

 

「な、なぜ笑う!!」

 

ヘファイストスがおかしくて笑うと、アルテミスは立ち上がり顔を真っ赤にして、ヘファイストスに怒鳴った。ヘファイストスはお酒を少し飲んで、口を開いた。

 

「ごめんなさい、アルテミスが恋愛話を持ってくるとは思っていなかったですもの」

 

ヘファイストスは笑いが堪え切れてない口調でアルテミスに伝える。アルテミスはカアアッと顔を赤くして、立ち上がり手で机を叩きながら立ち上がり、ヘファイストスに猛抗議を始めた。

 

「ち、違う!断じて恋とかというものではない!!私の眷属のベルを盗られて、寂しいとか心が痛いとかしか思ってないぞ!!」

 

「それが恋じゃない」

 

「なんだと!?」

 

アルテミスの驚いた顔に、ヘファイストスは机に突っ伏して、笑い出すそれも大笑いだった。アルテミスはそのヘファイストスを見て、ムッと頬を膨らませ、そのまま座る。

 

「それでどうして盗られたと思ったの?」

 

「そ、それは秘密だ」

 

「え?」

 

アルテミスはあのスキルは希少(レア)スキルだということを理解していたからだ。だからそのスキルを公にすればベルに神が群がるかもしれないというアルテミスなりの考慮だった。

 

「ふーん、まあいいわ。私も恋愛っていうのはよくわからないの。私ってそういうのは無縁だから。けど眷属として私の子供達は愛してるわよ。アルテミス、あなたは眷属としてベルを愛してるの?」

 

「ああ、それはもちろんだ。ベルは内気で優柔不断でダンジョンに出会いを求めてやってくるような不純な子だが、やるときはやる子だ。私と初めて出会った時もそうだ、ベルは私がオラリオの壁から落ちたと思い込んだみたいでな、助けに来てくれたんだ」

 

アルテミスは少しお酒を飲んでから、ベルについての心の内を明かす。

 

「その時になんでいい子だろうと思ってしまったんだ。そして一緒に暮らしていくうちにな、ドキドキが止まらなくなり...............」

 

「もういいわ、お腹いっぱい」

 

「なぜだ!ここからがいい話なんだぞ!」

 

「だってベルのことを話すあなた長いのだもん」

 

「うっ、それはごめん」

 

「やっぱり恋なのね」

 

「ち、違うぞ!私はだな!?......」

 

アルテミスとヘファイストスとの言い合いが続いていく、ヘファイストスがからかい、アルテミスが真剣に答える。ヘファイストスはアルテミスの言葉を聞きながら、アルテミスは変わったなと思っていた、一人の男の子せいだけでアルテミスはこんなに表情が変わる。

 

笑ったり、泣いたり、怒ったり。天界いる時だと想像もできなかったとヘファイストスは思う。ヘファイストスは葡萄酒を飲みながら、顔を真っ赤にして、抗議しているアルテミスを見て微笑んでいた。

けれど天界にいた頃も喜怒哀楽が激しいときはあったなとヘファイストスは思う。あの子(炉の女神)と一緒にいるときは、とても仲良さそうにいたと。

 

「ヘファイストス!聞いているのか!?」

 

「えぇ、聞いてるわ」

 

彼女二人のトークはまだ終わらない。

 

 

 

 




色々改変済みです
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