【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:クックダッセ
設定をずっと考えておりまして、そのため1話からのお話を変えております。是非1話から目を通していただけると幸いです。
12話以降も頑張って更新していきますのでよろしくお願いします。
不思議の体験だった。
ただそれに尽きる。英雄譚に出てくるような精霊と話し、試練を超えて、僕の力になってくれる。そんな体験をさせてくれて、唖然とするのも仕方ない気がする。
レフィーヤも自分に力になった精霊に唖然としているようだった。レフィーヤは胸に手をやり握り拳を作り小さい声で「これで想定よりも早く…」と呟いていた。
「そろそろオラリオに戻ろう、魔法の試運転もできただろう」
「はい!」
神様が僕らが魔法の試運転をしている時膝を抱えて微笑むように見ていた体制から立ち上がり、先へ進む。
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僕の魔法は光魔法の付与だった。
詠唱すれば全身に付与され、力と速度、耐久などに補正がかかった。
ただそれだけだった。
正直僕に使えるのはここまでだった。この魔法にはまだまだ成長点があると僕の中でも感じるし、僕の中で精霊が微笑んでいるような気がする…。この魔法を使いこなすにはレベルが足りないのか、それとももっと別の要因があるのか。この魔法をもっと試してみる必要があると思った。
「大丈夫ですか?ベル」
「う、うん。レフィーヤも納得いってない顔してるけど大丈夫?」
「え、そんな顔してました…?」
僕たちは歩きながらお互いに考え込んでいるようだった。神様もそれを見て小さく笑っていたような感じがする。「まだまだだな…」っと小さく呟いていた。
レフィーヤも僕と同じく使いこなせていなかった。僕の場合は光魔法を引き出せなくて困っていたが、レフィーヤの場合は出力が高すぎて困っていた。恐る恐る魔法を出そうとすると体全身が燃えるのではないのかと思ったくらい火力が出ていた。
僕は魔法を唱えても火力不足、レフィーヤは魔法を使って少しでも出力を間違えれば自分自身の魔法で炎上する。な、なんて逆すぎるんだ…。
僕たちは森を抜け、止めておいた馬車に乗り込みオラリオを目指すのだった。
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「止まれ!」
「は、はい!」
オラリオを目指して1時間ほど経った時、アルテミス様の掛け声でレフィーヤが馬車を止める。止めた理由は簡単だった。二人の女性が手を振って馬車を止めようとしていたからだった。
「あの、すみませ「これはオラリオに向かう馬車なのかしら!」ちょっとアリーゼ…」
「あ、え、はい…」
アリーゼと呼ばれた赤髪の女性が馬車に身を乗り出し満面の笑みで、僕に質問を投げかけてきた。正直顔が近すぎて後ろにゆっくり下がりながら答えた。ち、近すぎる…。
もう一人の女性は身を乗り出すアリーゼさんを静止していた。この女性は小人族だろうか、体躯が明らかに小さかった。栗色の髪をしていて、目元だけを隠すような、金の装飾がついた白い仮面をつけていた。その仮面は穴すらなかったので前が見えているのかわからなかった。
「それで、馬車を止めて何のようだ」
「失礼いたしました、女神様。私はリリルカ・アーデ。私たちはオラリオを目指して旅をしている途中でしてよければ乗せて欲しいと思いお止めさせていただきました」
アーデさんは礼儀正しく手をスカートをつまむような仕草をしてそのまま神様にお辞儀した。貴方も挨拶しなさいとアリーゼさんを催促していた。
「失礼いたしました。私はアリーゼ・ローヴェルと申します、女神様」
「もちろんタダでとは言いません、金銭をお支払いいたしますし旅の心得もありますので護衛もさせていただきます」
神様は彼女達の心の真理を読み取ったのか、馬車の荷台を指差した。
「金銭も別にいらん。オラリオまでなら同じ目的地だ、座れ」
「「ありがとうございます」」
そしてローヴェルさんとアーデさんは僕と神様がいる荷台に乗り込んだ。
神様がレフィーヤに合図を送るとオラリオに出発した。
「それで兎君の名前は!?」
「ベ、ベル・クラネルです!ち、近い…!」
「あら、失礼!ベル・クラネル…うん!覚えた!ベルよろしくね!」
ローヴェルさんの顔がちょっと近くてこ、困る…。美人だし緊張しちゃう…。
神様が少し怒ってるような気配がするし、ちょっと気をつけたほうがいいかも…
「ローヴェルさんとアーデさんは旅をしてたって言ってましたが、観光でオラリオに?」
「いえ、私達は観光ではなく、英雄の都と言われるオラリオを次なる拠点として構える予定です」
「拠点ですか?」
「ええ、言ってしまえば、オラリオを救済します」
「ええっ!?」
オラリオを救済?その言葉はどういう意味なんだろう、アーデさんは淡々と言葉を告げていた。
僕は救済について、どういうことなのか聞こうとした時、神様が口を開く。
「お前は【
「その二つ名はあまり好きではありませんが、そうです。」
「じゃあその隣は【
「そうです!」
「神様ご存知なんですか?」
「ああ、何年も前からいろんな町や村を回って困ってる人を救済し、都市外に潜む凶悪モンスターなんかを討伐している人物達だ」
僕はそんな噂すら聞いたことがなかった。というか都市外にそんなに凶悪のモンスターがいるのかと思った。
僕が馬車に揺られているアーデさんを見つめると、それに気づきニコッと微笑んでくれた。僕はドキッとして顔を赤らめたが神様から太ももをつねられ「ギャッ!?」と情けない声を出してしまった。
「都市外の脅威になるモンスターはできる範囲で片付けてきたので、次はオラリオのダンジョンそのものを救済します」
す、すごいスケールだ。ダンジョンそのものを救済?言ってることが理解できない…それが理解しているのか神様は何も言わずに考え込んでいた。
「そ、そういえばアーデさんとローヴェルさんの主神様はどこにいらっしゃるんですか?」
「リリと呼んでいいわ」
「アリーゼでいいわよ!」
「え、えっとじゃあリリさんとアリーゼさんで…」
なんか距離感がすごい…
特にアリーゼさんはすごい顔が近いし、顔が近いし、顔が近い。
神様がなんだか睨んでる気がするし…
「それで私達の主神の話だったわね、はっきり言うと3年前からステイタス更新してないの」
「え!?3年も更新なしでここまで!?」
清々しい顔でリリさんは答えた。アリーゼさんの顔も見るとふふんっ!と自慢げだった。3年も更新なしで救済を行なっていたんだ…
「元主神ならいるけどね、あの忌々しい神め」
「ヒッ!?」
「お前の主神は何をしたんだ…」
リリさんあんな聖女みたいな立ち振る舞いしてるのにあんなドス黒い声出せるのかと思い、顔を見てみると何事もなかった顔で微笑んでいた。き、気のせいだったのか…?
「【
「3年前はLv.5でしたね」
「私はLv.4です!」
つ、つよおおおおおお!?お、おかしいオラリオの冒険者でもないのに都市外でレベル5とレベル4!?
僕もあんまりまだ詳しくはないけど、都市外ではダンジョンはないため。モンスターと頻繁と戦うということはないため、ランクアップがしづらく、都市外でレベル2でもあれば重宝されると神様から聞いた。
そして情報交換が続いた。都市外のモンスターはどんなのがいたのか、現時点の都市外の様子などを神様は聞いていた。
僕も話を聞いてはいたが、何を言ってるのかわからなかった。アリーゼさんも理解しているのかしていないのかふふんっと誇っているだけだった。
リリさんも気になるのか、今現状のオラリオの様子や僕達、アルテミスファミリアのことを聞いてきた。
そして時間が過ぎて、オラリオに着く直前になった。
「ふぅ、お互い良い情報交換でしたね、アルテミス様」
「あぁ、それでオラリオに来たらファミリアを探すのか?」
神様は降りる準備を静かに始めていた。
リリさんの顔を一瞥もせずに、回答を投げかけていた。
「まだ決めていないのが現状です。でも話を聞く限り探索系のファミリアに入るのが良いでしょうね」
「私たちはオラリオで一番強いロキファミリアに志願してみようかしら!」
「確かにそれがいい、お前たちのレベルであれば入れると思うぞ」
アリーゼはリリさんの言葉を待つ前に身を乗り出して無理矢理静止させた。
リリさんは少し笑顔が引き攣っていた。
「それでベル、貴方は英雄を目指していると聞いたけれど師はいるのかしら」
「師ですか、一応同じファミリアのレフィーヤから教えてもらっていますが、師という師はいないです」
「なら、ベル。私が師となり教えて差し上げましょう。これは決定事項です」
「へっ…….?」
「まあ師匠がいても、関係なかったですけどね!」
「アーデ!今回はいつになってやる気ね!バーニングしているわ!」
僕は戸惑い、神様はため息をつき、レフィーヤは「勝手なこと言わないでください!!」と怒鳴っていた。アリーゼさんは屈託のない笑顔でリリさんの事見つめてるし、リリさんも自信満々で笑ってるだけだし。
か、
「では行きましょうか!ベル!」
「ちょ、引っ付かないでください!?」
「おい!【
リリがベルの腕にくっつきオラリオ観光をしようとする。それをアルテミスは許さんとばかりにリリをベルから剥がそうとする。
アルテミスは「やっぱりこいつだけ乗せずに置いて行けばよかった」と騒ぎながらオラリオを闊歩する。
「アリーゼさん、リリルカさんって普段からこんな感じで人懐っこいんですか?なんか意外で…」
「いえ、私も驚いているの。アーデがここまで心許す相手いるなんて」
アリーゼは3人の光景を物珍しそうに見ていた。いまだに3人は暴れてるというか、まあ主に暴れてるのは二人だが。
「何ならアーデは下品な男の子がいたら『テメェらそんな汚ねえ口で喋りかけるんじゃねえよ。テメェらの股にぶら下がってる汚ねえもんぶち抜いてやろうか』とかいう….」
ここまで喋ったところでアリーゼが後方に吹っ飛ばされた。神速だった。突如消えたアリーゼにレフィーヤは驚き正面を見ると、笑顔のリリルカ・アーデが立っていた。
「私がそんな下品な事言うわけないじゃない、ねぇ?」
「は、はい!リリルカさんはそんな事言いません!!」
聖女の一端が見えた気がする瞬間だった?