【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:クックダッセ
僕が魔法を授かって1週間が経った。
僕はオラリオの城壁の上でリリさんに師範されている最中だった。
「振り込みが甘い。得物を振る時は常に必殺であり続けなさい」
「剣を使っているのなら
「速度をもっとあげなさい。ベルの取り柄は速度です」
ス、スパルタすぎる…。でも村にいたあの頃に比べればマジではあるんだけど…。
しかしリリさんは教え方が上手い。レフィーヤの教え方も上手かったが、申し訳ないが、リリさんと比べるのが悪い。幾度の戦場を駆け回り、救済してきた彼女は熟練の実力者のリリさんから師範していただけるなんてこんな機会はない。
「私は
僕とリリさんは一旦休憩という事で、僕は座って水分補給をとっていた。
リリさんは障壁から見える都市外を見つめていた。まるで自分が歩んできた軌跡を辿っているようなそんな気がした。
「フィアナ騎士団は知っていますか?」
「もちろん知っています!」
フィアナ騎士団。古代の時代は種族差別が特に
「私は女神フィアナに憧れていたの」
少し悲しそうにリリさんは告げる。
身長に合わない、白銀の槍を手に持ち肩で支えた。
「父と母からフィアナ騎士団のお話を聞いて
「けどね、女神フィアナはいなかった」
「だから私が
「
リリさんは笑顔で僕に答えた。
オラリオにはフィン・ディムナという最も
「確かに、ベルが思い浮かべた私のように一族の再建を掲げる男性がいるわ。......私は彼を超えるわ」
「けど目的は一緒なんじゃ…」
リリさんは彼を超えると宣言してみせた。
けど目的が一緒なら協力していくのはダメなんだろうか?
「一緒に協力というのは確かにそうね。けどねベル、私負けたくないの彼に」
リリさんは笑顔でそう言い切った。その笑顔は目元は隠されて見えないけれど、快晴の空が祝福しているように太陽が当たり、リリさんを眩しく照らしていた。
確かに名声としてはフィン・ディムナさんの方が高いのかもしれない。けどそれは現状の話だ。いつか、いや近い未来きっと追い抜くとそう感じた。もしかしたらリリさんは負けたくないと
「では1週間訓練を続けてきて、死なない程度にはなりました」
「へ?」
白銀の槍を僕に向け、そう宣言した。
嫌な予感がすると同時に僕の頬から汗が垂れる。リリさんはニコニコしながら貴方も早く構えなさいと言うように僕に視線を向ける。
僕は死の危険を感じながら『アルテミスの剣』を構える。
「では、逝きますよ」
「ちょっと言い方が違うような!!…ってアアアアアア!?」
これ以上は思い出したくない。リリさんは剣術に対しての言葉責めと物理的な責めが交差して僕の体はぐちゃぐちゃになった。
******
「フッッ!!」
僕はアルテミスの剣でモンスターを両断する。
現在9階層僕一人でダンジョン探索中だ。久しぶりのダンジョンに帰ると冒険者としての
てかリリさんオラリオ来たばっかりなのにいつダンジョンについて調べたんだ?「まだすべてではないですが、下層くらいの知識は8割ほどわかってるわ」と言っていたが、知識も僕負けてるのかよ...
そして今回訓練ではなく、リリさんに「休息として、ダンジョン探索をしてみなさい」と。ダンジョン探索が休息なのか...
そんなことを考えていると、四方八方からキラーアントが現れる。数える限り系8体。
前から襲いかかる鋭利の鉤爪を後方に跳躍し躱す。
「【
光の加護が僕を包み込んだ。モンスターの後ろに着地した僕はそのまま背中を晒している無防備の体を魔石ごと貫いた。貫いた後、リリさんの神速のように横にいるキラーアントを薙ぎ払いをし、魔石を砕く。僕が今まで覚えた知識と技術、そして魔法を組み合わせて前方に見えるモンスターを全て屠る。
なるほど、そういうことだったんだ...
リリさんがダンジョンに僕を行かせてくれたのも、単にダンジョンに慣らさせるものだけじゃなかった、成長の実感をさせる方法の一つとしてリリさんは見ていたんだ。
モンスターの処理が終わり、先へ進むと違和感を感じた。
静かすぎる。
広い
重い
「ミノタウロス…」
赤かった。これまで冒険者の返り血を浴びたのかくらい
そして冒険者から戦利品として奪ってきたのか、僕の身長より大きい大剣をガガガッと地面に引きずりながら現れた。
『ブモオオオオオオオオッッ!!』
恐怖に頭が埋め尽くされる前に、僕の腰に刺さっている鞘を触る。その鞘の中から神様が『大丈夫』と呟いた気がする。多分神様の声は幻聴だし、僕の思い過ごしだと思う、けど今の僕にはどんな魔法よりもありがたい
考えろ。僕は来た道を帰る選択肢もある。今の僕なら魔法込みで逃げられる。モンスターがいたとしても今の僕なら切り抜けられる。だけど他の人は?リリさんの修行の中で視野を広げるのは
ならすることは一つないだろベル・クラネル!あの冒険者が逃げるまで時間を稼ぐ!
「おおおおおおおッッッ!!」
僕は雄たけびを開戦の狼煙とし、走り出した。
******
「で結局心配なのねアーデは!」
「心配です......ベルが可愛すぎて他の冒険者に食べられないか」
「心配ってそこですか!?」
アリーゼ、リリルカ、レフィーヤがダンジョンのモンスターを軽々と屠りながら闊歩していた。
リリルカがベルを一人で送りだした張本人なのだが、結局心配でダンジョン探索をしていたのだった。
9階層にLv.5、Lv.4、LV.2がいるのは
「そういえばリリさんとアリーゼさんは【ロキファミリア】に入ってないんですか?今日は【ロキファミリア】の遠征があるそうですけど」
「そうなの!レフィーヤ聞いてよ~アーデがまだ入るときじゃないって何故か止めるのよ!」
「探索系ファミリアは沢山あるわ、そんな早くに決める必要はないでしょ」
「でも私の目的は知ってるでしょ、アーデ」
「.....」
後ろから複数の足音が聞こえた。
遠征中の【ロキファミリア】だった。フィン・ディムナ、リヴェリア・リヨス・アールヴ、アイズ・ヴァレンシュタイン、ティオネ・ヒルテ、ティオナ・ヒルテ、ベート・ローガの面々がリリ達の方に進んできた。
「お、おい。お前ら【ロキファミリア】だよな...」
「いえ、私たちは【ロキファミリア】ではないんですけど」
「失礼、僕たちが【ロキファミリア】だけど、何か用かい?」
「チッ」
傷が深く、血を滴らせている冒険者がレフィーヤに話しかけるとフィンがその間を縫って割り込む。
リリは面倒になる前に撤退しようとした時に、冒険者に話しかけられたので撤退する機会を失って舌打ちをした。
「この奥の
「ミノタウロス?9階層に現れたのかい?」
「ちょっと待ってください、その子供の容姿教えてください」
リリが焦った様子でフィンより前に冒険者にでて詰め寄る。
レフィーヤとアリーゼはリリと同じ予感をして表情が固まっていた。
フィン達【ロキファミリア】は一歩引いた。だがその中でも、ベートは心底めんどくさそうにしていたが。
「白髪...白髪のガキだ。俺はそいつが戦ってるの横目に逃げてきたからそれ以上は見てねぇ」
逃げた後悔なのか、それとも自分が情けない不甲斐なさなのか、恥を忍ぶように冒険者は下を俯いていた。
そこからは神速だった。リリは指をさしていた道に駆け込み、それに続いてレフィーヤとアリーゼが飛び出す。
それを見てアイズも同時に追いかけるように飛び出す。
「おい!アイズどこに行くんだ!」
「ちょっとあんた達!」
それに続くようにベート、ヒルテ姉妹がそのまま飛び出した。
一番先頭で走るリリは白銀の槍を取り出し、白き輝きを出していた。その白き光が影のように地面に伸び行く先を照らしていた。その光に導かれるように迷わず分岐路を駆けていく。
これはリリのスキル、
自分が行きたい
注意なのはその道が危険な
「止まれ」
「私急いでいるのですが、退いてくれませんか?」
リリは道標を遮るように立つ獣人がいるせいで止まざる得なかった。
その獣人の正体は【猛者】オッタルだった。
「【猛者】!?なんでこんなところに!」
「【猛者】ってあの【猛者】?オラリオ雄一のLv7の!?」
流石にオラリオにいなくてもリリもアリーゼも知っている。
リリに関しては7年前に起こった大抗争で戦った一人でもある為、【猛者】の存在は知っている。
オラリオ唯一のLv.7オッタル。【フレイヤ・ファミリア】の団長にして、最強の冒険者として名が挙がる一人。
頭部からは猪人の特徴である猪の耳が生えている。身長は2Mを超える大男で、筋骨隆々の肉体をしていて素人が見ても最強という一言が相応しいそんな風貌をしている。
「貴方がここで私たちを止める理由はないんじゃないかしら?」
「手合わせ願おう」
「殺すぞ、猪野郎、その道譲れって言ってんだ。その頭についている耳は飾りか?耳にも筋肉が詰まって聞こえねえのか?」
アリーゼが疑問を投げかけると、回答が意味不明すぎてついにリリが切れた。
リリが一気に距離を詰め、オッタルに仕掛ける。それに続くようにアリーゼもレフィーヤも仕掛ける。
(強い…!)
(ビクともしない!)
(私のことは気にも留めてない!!)
二撃。リリは一撃目の薙ぎ払いで元の位置に押し戻される。アリーゼとレフィーヤは纏めて元の位置よりも先に後ろに戻される。
オッタルをこの三人で攻略するのは不可能。リリが苦虫を噛み潰したような顔をしたあと、風が吹いた。
「邪魔、しないで!」
「ヌッ...」
「「「「今!!」」」」
「テメェ!誰に剣を向けてやがる!」
そのまま4人がオッタルの隙をついて駆け抜ける。それを許さんとばかりに追撃をしようとするが、ベートがそのままオッタルの追撃の一撃を受ける。そのままヒルテ姉妹も到着し、ベート達もアイズ達を追いかけるように駆けていく。
******
英雄とは───────────功績である。
とある聖女は常にそう考える。
過程なんてどうでもよくて結果さえ残せば、それを英雄と呼ぶと、そう今でも思っている。
だから救った。モンスターに襲われ壊滅しそうな町を。
だから屠った。都市外に住む凶悪モンスターを。
だから殺した。
救えなかった町、取り逃したモンスター、救えきれなかった人も沢山いた。
天秤にかけた。一を救うのか、百を救うのか。リリルカ・アーデは後者を迷わず選んだ、救えなかった一に謝罪をしながら。
だから救って、屠って、殺しまくった。そうして産まれたのが人々からは聖女や女神など称えられてる【
だから思った、過程がどんなに曲がっていても救えたらそれは英雄なのだと、一を救えなくても百を救えばいい、百を切り捨てて千を助けよう。別に一を救わないわけではない、一を捨てないといけない選択が迫られた時、彼女は躊躇なく選択する、慈悲もなく選択する。
あぁ、これが私が望んだ英雄。これが私の目指す
******
「ッ...があぁ!」
ミノタウロスの大剣の一撃を受け、何とか受け切ったものの壁に打ち付けられ、肺に入っている空気がすべて押し出される。
血が落ちる、背中が熱い、腕も脚も、痛い箇所がないくらいだった。もう立つなと、脳が、体が悲鳴を上げていた。ミノタウロスは傷なんて一切なく、獲物をしとめようと一歩、一歩前へ進む。
僕は必死に体を起こそうと腕を立てる、けど僕の体は起きてくれない、あの脅威から逃れるために足を立てる、けれど動かない。
死が迫ってくるのを感じる。一歩また一歩と近づいてくる。
「ベル、よくやったわ」
無様に倒れ伏す僕の目の前にリリさんが颯爽と英雄のように現れる。白銀の槍を閃かせ、ミノタウロスに向き合う。
そして、僕を安心させるように、笑顔でここまで頑張った功績を認めていた。
だからここからは
また僕は助けられる?あの時のように...?
アイズさんが助けてくれなければ死んでいた
あれもこれも全部僕が弱かったから、力が足りなかったから。全部全部助けられて今がある。
じゃあいつ僕は強くなるんだ?ずっと助けられて、今は無様に転がってるだけ。
幼い頃に誓った約束は?お義母さんに誓った約束は?初めて神様に遭った時に誓った約束は?
全部果たせない。ベル・クラネルは英雄にはなれない。
『ベル、さっさと救って帰って来い』
『ベル、英雄になろう。これから始めるんだ私とベルの
「違う...」
「....ベル?」
僕はリリさんの腕を掴む。
今でもこれ以上立つなと警告を体が出している。でもそれ以上に体が発熱し、血が沸騰してる感覚がある。
「ここで倒れて運命を全部任せるなんて….違う」
「……」
約束を誓った。あんなに強かった人が、もう歩くことすらも苦痛になって椅子に座って、何でもないような顔をしていたあの人と。
約束を誓った。誰よりも可憐な人が、満月の月光に照らされながら微笑んでくれたあの人と。
約束を果たすために僕は!
「決めたんだ…英雄になるって!誓ったんだ!英雄になるって!」
深紅のミノタウロスは僕が死地に踏み込むのを歓迎をするかのように、僕が踏み出すのを待っていた。
僕はリリさんを超えて先に行く。
『
いつかの修行の際にリリさんが言っていたことを思い出した。
前へ進もう。もう後ろを振り返る必要はない。
前へ進もう。約束を果たすために。
一歩、砕けそうな脚を前へ。
一歩、心折れそうな脆弱な心を前へ。
『冒険者は冒険しちゃいけないの、分かった?ベル君』
ごめんなさい。エイナさん、僕はこれからエイナさんの言いつけを破ります。
今日、ベル・クラネルは前へ進むために、約束を果たすために、英雄になるために。
今日僕は初めて冒険をする。
******
「リリさん!何で止めてくれなかったんですか!」
「彼を止める資格は私にはないです、英雄への切符は誰にでも平等にあるのです」
「けど!無茶と無謀は全く違うわ!」
リリに詰め寄るレフィーヤとアリーゼは何故止めなかったのかと問い詰める。それをリリはベルから一切目を離さず、その戦いを目にする。
実際は止めなかったのではない、止められなかったが近い。
あの眩しい輝きを、リリでは持ちえない英雄へ向かう光を止められなかった。
「やあ、初めましてというべきかな、【
【ロキファミリア】が状況を確認すべく、近づく。それを気にする暇もないのかリリはベルから目を離さない。
「おい、あいつってアイズに助けられたトマト野郎か!?ハハハッ!傑作だな!」
「黙ってろ犬風情が、殺されたいのか」
「アァ!?」
「あの子Lv.1なんでしょ、絶対やられちゃうよ」
ベートが笑い、ティオナがただ残酷な真実を告げる。
冒険者になってまだ1ヶ月半、何があっても勝てないと、そう熟練冒険者は思った。
「ンー、けど状況は違いそうだよ」
「…..おい、どうなってやがる」
「ああああああああああっっ!!」
『ブモオオオオオオオオッッ!!」
怪物の鮮血が舞う、怪物の一撃が誰もいない地面を破壊する。怪物の股を
怪物の大剣をまともに受けるのではなく、受け流しその反動で
「あの子、Lv.1じゃなかったの!?」
「あの少年は本当に駆け出し冒険者だったのか?」
「ひと月前、ただの駆け出し冒険者として僕たちの目には映っていた。だが英雄の階段を駆けあがるように少年は今怪物と対峙している」
「何が起こってやがる...」
「冒険、彼の冒険」
ティオナ、リヴェリア、フィン、ベート、アイズはベルの冒険を目に焼き付ける。
ひと月前、そこら辺にいる冒険者となんら変わらない少年がいた。
ベルに特別な才能はなかった。災禍の怪物からも
「てかあの魔法何!?アイズと同じ
ティオネが驚くように叫んだ。
ベルを包み込んでいる白き光が、ベルの速度を力を向上させていた。出力が前よりも遥かに上がっていた。白き光が怪物の振り下ろしを躱し、白き光の速度を持って怪物の腕を、足を、胸を抉る。
「私が修行した時は、ベルの魔法は出力が全然足りない状態でした」
「けど見てアーデ、今はすごい
「....精霊が叫んでる」
「どういう意味?レフィーヤ」
「精霊が無理矢理ベルの体に光を流してる...負けるなって叫んでる」
ベルの輝きは出力をあげるかのように明らかに増えていた。
無理矢理ベルの
けど全員わかっていた、そんな使い方をしていたら
破邪の一撃は使用不可。平行詠唱は今のベルでは不可能、そもそも
だからベルは破邪の一撃に代わる、月光の一撃を放つ。月光の一撃を放つために
ベルは今ある全てを『アルテミスの剣』に乗せて、光を収束させる。本来、光を通さぬはずの漆黒の刃が、収束する魔力によって白銀へと変貌していく。
ミノタウロスは拳を地につけ、猛牛のように全身で受けて立つと、月光の一撃を跳ね返さんとする。
「うおおおおおおおおおっっ!!」
『ブモオオオオオオオオオッッ!!』
静止した世界を突き破り、両者が激突する。
「馬鹿が」
「若い…」
ベートが、リヴェリアが、ここにいる全ての人が選択肢を間違えてると。
だがたった一人、リリルカ・アーデだけはあの姿を覚えていた。
夕陽が照らしていた城壁でリリは彼に心得を授けた。
『ベルに私のとっておきの必殺技を教えましょう』
(全ての筋力を右足に込めて押し出す!)
白き光を纏った少年の速度が、物理的な限界を突破する。
リリの必殺技は
英雄譚にはこう描かれていた。
〜〜あぁ、誰よりも小さき身体で先陣を切る勇気ある種族、恐ろしい怪物が立ち塞がろうとその小さき身体は進むことをやめない〜〜
だからこそ前へ進む、恐れずに前へ、全てを乗せて前へ進む。
それを皆、勇気と呼ぶ。
白き光と一緒に想いも乗せてミノタウロスの強靭な角とぶつかる。
互角、拮抗する両者、体力も披露も限界に近い。
「ああああああああっっ!!」
『!?』
だが勝敗を分けたのは想いの強さだった。
幼少期のころから英雄に憧れた少年、もう先が長くない人との約束、女神と誓った約束を果たすために。
そして、強靭の角を砕く。
その勢いを殺さず、ミノタウロス真上に飛び、重力に逆らわず剣先を体勢を崩したミノタウロスに刺す。
「【
圧倒的な白き光がミノタウロスの上半身を消しとばした。そこに残ったのはモンスターの灰と祝福するように降り注ぐ白き光だった。
ベルはそのまま死んだように倒れ伏し気絶していた。祝福の光を浴びながら。
「ベル!!」
レフィーヤが涙を流しながら寝たままのベルを自分の膝に乗せる。レフィーヤは泣きじゃくった子どものように彼の名前を連呼していた。
そして彼の冒険を見た彼ら彼女らは全身の血を沸騰させるような熱狂を、久しく忘れていた冒険を思い出していた。
「.....アーデ、私決めたわ。彼のファミリアに入る」
「.....やっとですか、私はもう彼に
アリーゼはレフィーヤに抱きかかえられているベルを、欲しいものが見つかった子どものように目を輝かせ、リリに告げた。
それを聞いたリリは笑顔でベルを見つめていた。
「彼はなんて名前なの?」
アイズが一歩前に出て、リリに話しかける。
けれどお互いの顔を見ることはなかった。ベルからひと時も目を離さずに、そう淡々と告げていた。
「ベル、ベル・クラネル」
ここにいる冒険者はもう彼の名前を忘れることはないだろう。
次回はこの続きを書くか、ベルの幼い頃の話と神様の出会いを書いた0話を書くか、リリとアリーゼの出会いの物語を書くか、にします。一応アンケ出しておきますが参考程度にしますので悪しからず。
次のお話は短めにします。リリとアリーゼのステイタス公開は次回にします。