【月光の神】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか   作:クックダッセ

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決して、諦めないのは間違いじゃない。

地面を粉砕して、前へ飛び出し腰に刺さっている短刀を抜く。

 

「はああああああッッ!!」

 

コボルトは僕を発見できずに、僕に奇襲されやられていく、いつも経験値を稼ぐために複数の怪物がいる場合、真正面からぶつかって倒したりしているが、三体程度ならアルテミス様から教わった弓で倒したり、今のように奇襲を仕掛けてたりする。

 

モンスターから入手(ドロップ)した魔石を自分自身で拾っていくと、サポーターが欲しいなって思ったりする。けれどウチのファミリアにそんなお金の余裕はないので、早く新しい団員増えないかなっと、呟いたりする。

 

******

 

朝から夜まで稼いだおかげで、結構な額が入った。これで豪華な食事もできる。まあ今日のご飯はシルさんに頼まれて、豊壌の女主人食べることは決定してるんだけど。

 

「いらっしゃい........って白髪頭じゃニャいかニャ。今日はここで食べていくのかニャ?」

 

「はい、シルさんに是非今日の夜ご飯はここでって言われたもので」

 

「そうだったのニャ、シルー!白髪頭がきたニャ!」

 

するとバタバタ慌しく、シルさんがお客さんに料理を提供してから、こちらに歩み寄ってきた。下にある白いサロンで手を拭きながら、僕に笑みを浮かべて出迎えてくれる。

 

「ベルさん!来てくださったんですね!」

 

「はい、あと神様も働いていますし断れないですよ」

 

「まあ!じゃあ毎日ベルさん誘っちゃいますね!」

 

「流石にお金がなくなるので無理です!?」

 

いつも僕が食べてる席に案内されて、そこに座りメニューを眺める。シルさんはミアさんに呼ばれて、「ベルさんにまだお話.......もとい接客してないのに!」と呟いて、忙しそうに厨房に戻って行った。

 

ここの店は美味しいものがたくさんある。けれど値段が高いからそこら辺をしっかり見ないと。ファミリアのために、お金は残しておきたいし。

 

店は大盛況で、僕以外の客が多くいて、一つのテーブル席を残して満席だった。隣を見ると耳がちょこんと可愛らしく尖がっていて、髪を一つにまとめ、可愛らしい顔をしたエルフが一人でご飯を食べていた。

 

その顔に見合わない悲しい顔をしていて、今にも泣き出してしまいそうなそんな表情だった。僕は声をかけようと、口を開こうとするが、蒼色の長髪の女性に声をかけられる。

 

「さぁ、注文は決まったのか?ベル」

 

「うわ!神様!今日は遅くまでバイトだったんですね」

 

「この大盛況しているところで抜けられないだろう、今日も団体客が入っている。団体客が来るまでは残業しているつもりだ、それよりも注文を聞くぞ」

 

「あ、はい、ならこのナポリタンをください」

 

「.............」

 

僕が目についていたナポリタンを頼むと、神様は目を細めてジッと僕のことを見てくる。なんだろう、ナポリタンはダメだった?いや、でも値段も安いし、量もあるからこれでいいと思うんだけど

 

「神様?」

 

「わ・た・し・は、この大盛況を乗り切ったら、バイト終わるつもりだ」

 

「は、はぁ、さっき聞きましたけど.........」

 

「...........はあぁ、ベルは全くほんとに。私もここで食べていくから、私の分も注文しておいてくれ」

 

「あ、なるほど!き、気づかなくてすみません」

 

「まあ、ベルはベルだからな。期待はしていない、ナポリタン二つでいいな?」

 

「あ、はい!お願いします!」

 

そう言って神様はエプロンをなびかせ、厨房に戻っていく。呆れて僕のこと見てたけどあれ僕が悪いのかな。と真剣に考えていると、隣のエルフの女の子と目があった。

 

僕と目があった瞬間、料理へと視線を戻した。何か物珍しそうに僕の顔を見つめていたらしく、不思議そうな、羨ましそうな顔をしていた。僕はそれが気になって声をかけていた。

 

「えっと、何か僕のこと見てたようですけど、何か用でしたか?」

 

「いえ!なんでもありません!気にしないでください」

 

「ご、ごめんなさい」

 

悩んでるようなのに、見知らぬ人の僕が声かけちゃって悪いなと思い、すぐ視線を前に戻すが、やっぱり気になる。おじいちゃんならこういう時悩んでる女の子がいるなら助けてあげなさいって言ってる。

 

「あ、あの!何か悩み事なら僕が聞きます!僕でお力になれるなら手伝いますから!」

 

「え?..........プッ、あははははははははっ!!私そんな真剣な眼差しで、お悩み聞きますなんて言われたの、初めてです!」

 

なぜか初対面の女の子に大笑いされた。真剣に聞いたつもりだったのに、すごく悲しいような。まあでもそのおかげで笑ってくれたなら、結果よかったのかなって思う。

 

「あなたのお名前は?」

 

「ぼ、僕ですか?僕はベル・クラネルです!」

 

「そうですか、私はレフィーヤ。レフィーヤ・ウィリディスです」

 

「えっとそれで何を悩んでたんですか?」

 

「はい、聞いてくれますか?私は........」

 

レフィーヤさんが言いかけたところで、大きな雑音が入る。店も少しは落ち着いてきたと思った矢先、豊壌の女主人入口が揺れる。そこで入ってきたのは、【ロキ・ファミリア】彼らが現れたからだった。

遠征の帰りにここの場所で打ち上げをするんだろう。団体客というのは彼らのことだった。

 

【ロキ・ファミリア】の主神。ロキ様が乾杯の温度をとった瞬間。店が騒がしくなる。お酒を口に放り込み、出てきた料理を豪快に口の中で運ぶ。その中には、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインもそこにはいた。実際その人を僕は見つめていた。目が離せなかった。

いけないと、僕は首を横にふり、惚けた顔を直しレフィーヤさんと向き直す。

 

「えっとそれで、続きを聞いてもいいですか?」

 

「あ、はいそうですね。私は.........」

 

「おい!アイズ!あの話聞かせてやれよ!」

 

次は一人の男の人の声と被り、聞こえて来なかった。あの人は僕でも知っている。【凶狼(ヴァナルガンド)】ベート・ローガさん。第一級冒険者で、【ロキ・ファミリア】の最前線で闘っている、狼人(ウェアウルフ)そんな彼からの言葉で僕は悔しさを握りしめることになる。

 

******

 

「神アルテミス、もう上がっていいよ、悪かったね、ここまで残してしまって」

 

「いいや、困ったときはお互い様だ。私もここに住まわせてもらってる身だ。助けるのは当然だろう」

 

「そう言ってもらうとありがたいよ、ほらあんたの眷族のところに行ってあげな」

 

「ああ」

 

アルテミスはエプロンを脱ぎ、制服を脱いだ。脱衣してる場所は自分たちのホーム、アルテミスの部屋だ。服をかけ、いつもの服に着替える。そのままベルが待っていると思うので下に降り、ベルの元へ向かう。

 

「待たせた.......」

 

「雑魚には釣り合わなねぇんだよ!アイズ・ヴァレンシュタインにはな!」

 

声が聞こえた、すでに団体客の【ロキ・ファミリア】がいて、その周りはよく騒いでいるはずなのに、その声がよく響いた。何か大切なものを踏みにじられてる気がした。

 

「クッッッ!!」

 

「クラネルさん!?」

 

白い髪の男の子が出ていく。それを追うように山吹色のエルフの少女も追いかけていく。アルテミスはあれがベルということを理解した、そしてなぜ出て行ったのかも理解した。それを理解した上で、店の中にある弓を装備し、矢を貶した本人、ベート・ローガに向かって放つ。

 

「ッッ!?」

 

「流石は第一級冒険者というところか、実力はある。だが気品はかけらもないようだな」

 

「あ?なんだテメェ」

 

ベートは放たれた矢を瞬時に掴み取り、アルテミスを睨み付ける。手に力を込め、矢をへし折る。まるでなんのつもりだと言わんばかりの行為で、だがアルテミスはそんなのお構いなく、弓を構えて離さない。

 

「ひとつ言っておこう、今店から出て行った白い髪の男は私の眷属だ。貴様が笑っていた男でもある」

 

「はあ?もしかしてあのトマト野郎なのか?こいつは傑作だな。ああいう雑魚は、自分の弱さを呪って巣穴から出てこないことだな」

 

「ベルが雑魚であろうが、弱虫であろうが、英雄であろうが、彼は私の眷族だ、どんなことがあろうとあの子は私の子供だ。我々神々は【アルカナム】を使うことはできない、できることといえば彼らの背中を押すことだけだろう」

 

アルテミスの身体から光が漏れ出す。神威だ。アルテミスは譲れないものために、彼女は無意識に神威を発動した。その反応に気づき【ロキ・ファミリア】の大半は青ざめる。『やってしまった』と。

 

アルテミスは弓を構えるのをやめ、落ち着いたのかそのまま神威も消えていく。【ロキ・ファミリア】の面々はほっと胸を撫で下ろす。

だがアルテミスの怒りはまだ収まらない。

 

「きっとベルはダンジョンに赴いただろう、助けに行きたい。だが神々である私は助けにはいけない。無事に帰ってくることを願うことばかりだ。これでベルがダンジョンから戻ってこなかったら、貴様らを絶対に許さない!!」

 

神々はなんでも笑って受け流す。それが神の印象だろう。しかし彼らにはアルテミスがどう見える。笑って受け流すことはなく、隠すことなく怒りをあらわにしている。きっと大半は逆鱗に触れてしまったとそう感じるのだろう。だが、少数の上級冒険者は子供想いの神様だと思っていた。

 

愛し、可愛がり、愛おしく、ベルのことを思っていると。逆も然り、敬い、愛おしかったに違いない。そう、【ロキ・ファミリア】はアルテミスに許されないことをしてしまった。

それにいち早く気付いた、小人(パルゥム)はすぐさま動く。

 

「アイズ、リヴェリア。彼をダンジョンから連れ戻せ。早急にだ」

 

「わかった」

「任された」

 

素早くアイズとリヴェリアが店の外に出ていく。街の中を第一級冒険者が駆け抜けていく様は何かあったのだろうか?と騒がしかった街は、少し静かになる。それを見送るフィンは、アルテミスの前に跪く。

 

「神アルテミス、申し訳ない。うちの団員があなたの団員を傷つけてしまいました、ここに【ロキ・ファミリア】団長として謝罪します」

 

アルテミスは表情の一つも変えずに、息を吐いてから目を閉じて口を開く。その言葉を待つように、フィンも身動き一つ取らずに、言葉を待っていた、他の団員もそうだ。

 

「もしこのままベルが帰ってこなければ、私はお前たちを許すことができないだろう。ただ、憎みはしない。約束しよう」

 

アルテミスの言葉で団員は固まっているが、何を感じているのだろか。これこそ神と思っているのだろうか。アルテミスはベルが座っていた、席に座り、ただナポリタンを見つめていた。ベルとアルテミスが一緒に食べるはずのものだったものだ。

 

「無事でいてくれ、ベル」

 

息を吐くように小さい声だったが、この店にいる全ての人に届いていていた。アルテミスも仲良かった豊壌の女主人の店員も全員心を不安にしながら待っていた。

 

******

 

「ちくしょう!ちくしょう!」

 

走る走る。悔しくて、悔しくて、悔しくて!何も言い返せない自分も、こんな弱い自分も!憎い!何もしなくても、何かあるんじゃないかと期待していた自分に!

 

泣きながらバベルに向かう。時には人をぶつかりながら、お構いなしに先は先へ走る。強くなりたくて、もうこんな思いしなくていいように。

走り続けて息を切らしながら、ダンジョンに入っていく、目の前にいるのはゴブリンだ、短刀を抜きみっともなく、八つ当たりするように僕は、怪物を屠る。

 

「ああああああああああッッ!!」

 

もっと奥へ、もっと速く強くなるために!僕は目の前に現れる、ゴブリンを倒して倒して、奥は奥へ進む。

 

******

 

なんなんですか!あのヒューマン。心配でついてきましたけど、動きもまるで素人、ああ!そこで躱せばいいのに危なっかしい!私の魔法で援護を!そうしようと何回思ったことか、けれど援護できない。

 

彼の必死さ、彼の足掻きを見ていると心をがうずく。手を出すなとそう言われてる気がして、見ていろ、これが男だ!と言わんばかりに。なんでこんなに私の心をかき乱すんだろう。こんな気持ち私は知らない。

 

******

 

一体どれほど経ったのだろう。もう太陽が昇り、オラリオに降り注いでいるが、ベルは未だに帰ってこない。このまま帰ってこないと思うと心が張り裂けそうだった。朝日が上り、色々な人が活動している中。彼は未だに帰ってこない。

 

「ベル」

 

「神様」

 

ベルの声が聞こえた。ハッと顔を上げると傷だらけで、山吹色のエルフの少女に肩を借りながらやっとの姿で歩いてきたと思わせた。けれどこの女の子は誰だ?確かベルを追いかけていた子か

 

「【ロキ・ファミリア】はどうした?」

 

私が疑問かけると、ベルは「ロキファミリア?」と言っていたので、ロキファミリアと会っていないんだろう。あの【剣姫】は何やっているんだ。と乗り込みに行こうかと思ったところ、山吹色のエルフが呟いた。

 

「あの、神様。【ロキ・ファミリア】は確かにいたんです。けれど彼の必死の足掻きを見て、手を出せなかったんです、私もそうでした。だから私から【ロキ・ファミリア】に頼んで、帰ってもらったんです。彼は私が連れ戻すからって」

 

「そういうことだったのか」

 

エルフの少女がベルに危機が迫った時、何かしらの援護をしたのかもしれない。怪物を倒す魔法ではなく、支援魔法の類いをかけたのかもしれない。だがここに立っているのは、怪物に打ち勝った、紛れもない勝者。私はベルが勝者になってくれてとてもとても嬉しい。

 

「神様」

 

「なんだ?」

 

「僕もっと強くなりたいです」

 

「ああ、強くなれるさ。ベルならきっと」

 

そのまま、私は目から熱い何かをこぼしながら。ベルを抱きしめた。ベルは安心してそのまま眠ってしまっていた。そして疑問だったのだが、このエルフの少女はどうするのだろうか、それだけが疑問だった。

 

「ここまでベルを連れてきてありがとう」

 

「い、いえそんな、私がしたくてしたことですし!」

 

「それでお前はどうするんだ?これから」

 

私が笑いかけるとその少女は、スカートを小さい手で握り締め、意を決したように、顔を真っ赤に染めながら、彼女は想いを叫んだ。

 

「私をこのファミリアに入れてください!」

 




レフィーヤ・ウィリディス
Lv.2
力 : C 785 耐久 : D 689 器用 : C 768 敏捷 : C 796 魔力 : B 802
《魔法》
【アルクス・レイ】
・単射魔法。
・標準対象を自動追尾。
・詠唱式【解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】


《スキル》
妖精追奏(フェアリー・カノン)
魔法効果超上昇

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