朝、それなりに早い時間に目覚める
隣の寝台を見てみると優奈の姿はない
優奈は朝食の準備をしたりするため俺よりも早く起きている
部屋で着替え、顔を洗い、朝食を食べに食卓へ行く
夕食は全員集まるが、朝食と昼食はバラバラだ
母上は書庫に篭ったり仕事したり、父上は農作を育てたり子どもたちに剣術を教えたりしている
姉上は……わからない
「おはよう、総雅くん」
「ああ、おはよう」
優奈はいつも俺を待っていてくれて、俺と朝食を食べる
前に冷めてないかと聞いたら、どうやら優奈の分は俺のと合わせて作ってるらしく温かいご飯のままだから安心した
というかいつも合わせてるって手間暇かけてるよな
「優奈、今日は何か予定はあるか?」
「ううん。特にはないよ」
「そうか。じゃあ俺と街に行かないか?」
「総雅くんとお出かけ!?もちろん行くよ!」
「わかった。今日はなんでも買ってやるよ」
金ならそれなりにあるし、優奈にはいつもいろいろと助かってるってのもあるからな
これぐらいは出さないと
「なんでも買うって総雅くんがお金出すつもり?」
「そりゃそうだが」
「そんなの悪いよ。自分のものは自分で買うよ」
「いつものお礼みたいなもんだから気にすんな」
「うーん……じゃあお互い半分ずつお金を出そ?そうすれば欲しいものたくさん買えるし」
「俺は別に全部出してやるけど、本当に半分ずつでいいのか?」
「それにね、買ってもらうよりも一緒に買ったっていう方がわたしは嬉しいし、お互いが出し合えばその分沢山使えるでしょ?」
確かにそれは優奈の言う通りだな
俺一人よりも優奈と二人ならより多く使えることになる
「でもね、わたしにとって一番嬉しいのは、総雅くんと一緒にいられることだから」
「あ、ああ。俺もだよ」
優奈は……こういう恥ずかしがることを普通に言ってくるんだよなあ……
しかも本人は気づいてないし
「それじゃ準備できたら屋敷前で待っててくれ。俺は母上に出かけることを言ってくる」
「うん。じゃあ準備してくるねっ」
優奈はパタパタと走っていく
さて、俺も母上に報告しに行くか。といっても声色で心情を読み取れるらしいからわかるんだろうけど
朝から昼の間はだいたい書庫にいることが多いから、書庫の部屋の前から声をかける
「母上、今よろしいですか?」
「構いませんよ」
「では失礼します」
許可をもらい、扉を開け書庫に入る
書庫にある机に本を重ね、母上は本を読んでいた
「どうしましたか?」
「今から優奈と街に出かけます」
「そうですか。ぜひ素敵な一日にしてきてくださいね」
「はい。それでは行ってまいります」
屋敷前に出ても優奈はまだ居ない
女の子の支度は時間がかかる時があるからな、それぐらいわかっているさ
「ごめんね、待たせちゃったね」
「気にすんなって。あれ、髪型変えたのか?」
優奈は普段髪の毛を後頭部でまとめ垂らしている髪型をしている
けれど今はまとめているのを一つじゃなく、二つにしている髪型になっている
「うん。どうかな?」
「ああ、似合っている。可愛いと思うぞ」
「えへへ、ありがとう」
「さてと、それじゃ行くぞ」
手を差し出し、優奈は手を繋いでくる
いくら住んでいる街といっても俺たちはまだ子どもだ
はぐれたら大変だし、めんどくさい事になる
ならこうして手を繋いでいればはぐれることはない
「どこから行きたい?」
「服屋さんからでいい?前に気になった服があるんだよ」
「わかった」
服か。優奈はお洒落な物を着ててよく見栄えがあると思う
背伸びせずに自分に似合う物を着てるってのもあるな
「おや、司馬昭さま。今日は王元姫さまとお出かけですか?」
「おじさん。こんにちは」
「ああ。たまには街に出て一日過ごすのもいいかなって」
「今日は総雅くんから誘ってくれたんです」
「お、おい!優奈!」
「相変わらず仲が良さそうで。お二人の将来が楽しみですわ」
「俺たちはもう行く!街で問題があるならすぐに言ってくれよな!」
母上や姉上に知られるのは別にいいんだが、他の人に俺から誘っただなんて知られるとなんか恥ずかしい
だから逃げるようにしてそっから移動した
俺たち司馬一族は名族と言われてるが、そんなの関係なく街の人たちと接している
盗人が出るなら俺でも捕まえるし、不満があるならその声を聞きすぐに改善したりしている
だからさっきの商人の親父さんともよく話したりしてる
「総くんに優ちゃん?」
「姉上?」
「もしかして二人っきりでお出かけかしら?」
「そうなんです。彩歌さんは?」
「私はちょっとお散歩中」
姉上が街に出て散歩?なんか珍しいな
でもやる事がなかったり、そういう気分になったりでもしたんだろ
「二人の邪魔しちゃ悪いからもう行くわね。次は三人で行きましょ?」
「はい!楽しみにしてますね!」
「私もよ。それからあまり遅くならないこと、いいわね?」
「ええ、わかっていますよ」
「ならよし!それじゃーね」
我が姉ながら本当に掴みどころのない人だ
あれでまだ大人じゃないんだからいろいろと怖い
あれから服屋で何着か買って、装飾屋に行きお揃いの首飾りを買ったりした
あと姉上が街に出てた理由もわかった
どうやら散歩と言いつつ街を警邏してたらしく、一人盗人を捕まえたって言うことを後から街の人から聞いたんだ
「通りすがりで颯爽と捕まえて行ったとか……姉上らしい」
「やっぱり彩歌さんはかっこいいよね」
「高すぎる壁だけどな……それよりお前はいつまでそれを見ているんだ」
「だって総雅くんとお揃いなんだもん」
「まあ喜んでるならそれでいいか」
今日は俺にとっても優奈にとっても楽しい一日になった
こんな日がいつまでも続いてくれればいいんだけどな
今回は日常編
次で少年時代は終わりになると思います