この話から総雅たちは大人になってます
一から教わり始めてもう数年経った
父上と母上の才能はちゃんと受け継いでおり、学べば学ぶほど才を出していき、学問は母上の一歩手前まで及び剣術では──
「はっ!」
「うん、良い剣筋だ。本当にこの数年で強くなったよ」
「いつまで余裕でいられますかね!」
あの時は手も足も出なかったけど今は互角に戦えていた
父上の教えは厳しかったけどそれでも逃げず、飲み込むようにしてたからな
「これでも結構焦っているんだよ」
「そんな焦り全く感じませんけど」
「相手には心情を見せない、強さが同じぐらいなら尚更だよ。僕の場合は炎蓮とか相手だったからね」
父上の相手は次元が違ってたからな……
俺の場合は父上と姉上しか知らないわけだし
父上の攻撃は重いとかではなく、ただひたすらに速い
本気で戦った時なんてその剣さばきが見えなかったほどで、鍛錬を積んできたから見えるようになった
氣も使えるらしいがそれがどんなものかはわからない
「さて、そろそろ終わりにしようか」
「わかりました。次で決めてみせます」
「そう簡単にはやらせないけどね」
剣を構え、父上に向かって走る
父上は目にも止まらない速さで剣を下ろす
けどその剣が振り下ろされるほんの僅かな一瞬、普通の人なら何が起きたかわからないほどの速さの中、背中に回り込む
お互い高速での戦いだが、その速さで背を捉えれば勝ちだ
「総雅の反射速度と思考は本当に自身の強さだよ。それと全てを見据える眼もある」
「父上が教えてくれましたからね」
「ちなみにあそこで振り下ろさなかったらどうしてたんだい?」
「どのような行動をとってもそれに合わせられるようにしてました。だから賭けですがあの場では確実に父上に一本取れてましたよ」
「こちらに合わせてその裏をかくんじゃどうしようもないか。でも本当に強くなったよ」
俺は父上に勝てるようになった
まだ負ける時もあるがそれでも全敗という訳では無いし、勝てるようになってからは勝率は三割はいってるだろう
……ただし姉上には全敗中
あの人は父上ですら勝てなくなり、まだ推測だがこの大陸で一番強いはず
「お二人共、お疲れさまです」
「おや、優奈くん。彩歌がもう呼んでるのかな?」
「はい、そろそろ終わる頃だからって。なのでお二人共回復させますね」
「僕はいいよ。この後はゆっくりできるからね。それじゃあ彩歌との鍛錬も頑張って」
「はい!」
父上は疲れを一切感じさせずにその場から離れていった
「じゃあ総雅くん。回復させるね」
「ああ、頼む」
今からやるのは姉上との鍛錬で氣の扱いについてだ
俺は戦闘用に使えるが優奈は氣の扱いに長けていて、氣を流し込み体力や傷を治すことが出来る
書で氣をそのように使っている人達がいることを知り、戦えないからって頑張って同じような使い方をできるようにしたんだけど
確かその人たちを……五斗米道?だったっけ
「はい、おしまい」
「ありがとな、それじゃあ行くか」
「うん」
少し歩いたところで、ふと空を見上げた
特別な意味はなく、本当に偶然だったんだ
「流れ星か?こんな明るいうちに?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
俺が気にすることじゃないか
でもこれが不吉な事じゃなければいいんだが
「お待たせしました、姉上」
「ううん、大丈夫。優ちゃんもありがとうね」
「いえ。これぐらいお易い御用です」
「姉上、早速始めても?」
「私はいつでも構わないわ。総くんの好きな時に始めて」
姉上は剣を構えないけれどどこにも隙は存在してない
けれど別に勝つことが目的じゃない。認められるのが目標だ
俺は剣に氣を集め、姉上に攻撃を仕掛ける
それを当然のように姉上は攻撃を防ぐ
父上の一瞬の攻撃ですら直前で動きを変え、そこに攻撃をできたが、姉上相手だとその方法ですら通用しなかった
「日に日にちゃんと強くなってるわね。お姉ちゃん嬉しい」
「ぐっ……」
「さあ、総くんのその強さを私に見せて」
「はい!」
姉上は攻撃の速度、威力、思考、あらゆること全てにおいて俺よりも上だ
だから一箇所に攻撃しても通じるわけない
だから俺はある攻撃方法を考えた
「回り込もうとしても無駄。それじゃあ私に届かないわよ?」
「知ってますよ、そんなことくらい」
姉上に攻撃して、少しだけズレてまた攻撃
そうして円のように攻撃していき後ろに下がる
「下がった?何を考えてるのかしら?」
「それはこういうことです!」
剣に乗せた氣をその場で固定し、全方位から攻撃できるようになった今、その固定を外し全て同時に斬撃を衝撃波のようにして飛ばす
これが俺の考えた氣の扱い方だ
姉上が気が付かなかったのは、空中に固定中は景色と同化し、飛ばす時に初めて見えるようになるためだ
「斬った空中の箇所に氣を固定し、複数攻撃ね……考えはとても素晴らしいわ。それでも私には届かない」
「なっ!?」
姉上は剣を地に突き刺し、周囲に氣を張り巡らせた
その氣の中にある俺の衝撃波はまるで時がゆっくりになったかのように動きが遅くなった
「これが私の使い方。何人で来ようと一人ずつ斬る為に考えたの」
この技はどう考えても俺の技とは相性が悪すぎる
もうちょっとだったのに届かなかったか……
「全方位からの攻撃ね。それにもし防ぎきっても総くんの攻撃が続くだろうし、あなただけの戦い方を見つけたわね」
「でも姉上には届きませんでした。近づいていると思ったのにまた離されて……」
「私はお姉ちゃんなんだもん。かわいい弟に負けないようにして、いつまでもかっこいいお姉ちゃんでいないとね」
姉上はこちらに笑顔で語りかける
本当にいつまでも勝てないなぁ
「でも優ちゃんには氣の扱い方は負けちゃったわね。私は怪我を治すなんてできないもの」
「でもわたしは戦えません。だからそれ以外で総雅くんを支えれるようにしなくちゃって思ったんです」
「総くんは優ちゃんを守り、優ちゃんは総くんを支える。ちゃんとお互いのことを考えた結果なったのよね」
俺が優奈を守る。けれど守るってことは戦わなくてはならなくて傷つくことになる
だからどうすればいいか悩んでたところ書物を見つけ今のように傷を治すことが出来る氣の扱い方を覚えたんだ
「もう二人に教えることもなくなっちゃったわね。あとはどれだけ自分で才能を伸ばせれるかになるわ」
「ありがとうございます。姉上の教えがあったから俺は強くなることが出来ました」
力は身につけた。誰にも負けないような力を
後はこの国が終わりに近づいているか見に行くべきか……
戦い方としては無双7の司馬師、司馬昭をイメージしてくださるといいです