スライム魔王の異世界旅行記   作: 22世紀の精神異常者

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一回目:×とんでもスキルで異世界放浪メシ
1.スライム魔王、異世界旅行を計画する


 やあ。

 俺はリムル。リムル・テンペストだ。

 とある世界の魔大陸、その中央にあるジュラの大森林にジュラ・テンペスト連邦国――通称魔国連邦(テンペスト)を作って、今はそこの盟主として働いている。

 え? 大した事してないって? いやいや、『君臨すれども統治せず』だよ君。

 まあ、俺自身は何という事もない、普通のスライムだ。悪者って思うかもしれないけど、悪いスライムじゃないよ!……言いたかっただけだ。すまない。

 スライムが八星魔王(オクタグラム)の一員になって盟主をやってるのがおかしいとか、“龍種”になってるのが異常だとか、そんな反論は断じて認めない。

 こうなった経緯については幹部にせかされて書いた自伝があるから、それを読んでもらえるとうれしい。幹部の奴らは皆『素晴らしいです!』って手放しに誉めてくれた、俺の自信作だ。

 

《それは私と主様(マスター)の共作です! 私と主様(マスター)の愛の結晶なんです!》

 

 ああ……そうですね……。ごめんなシエルさん。悪気はなかったんだ。

 

《……》

 

 拗ねちゃったよ……。

 

 それはそうと、実は先日イングラシア学園都市で開催されたフォーラムで、古城舞衣(マイ・フルキ)が次元間航法の理論を発表したんだ。

 古城舞衣(マイ・フルキ)は、俺が神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)と戦う少し前に助けた異世界人だ。

 彼女はユニークスキル『旅行者(トラベラー)』の保有者で、俺が神楽坂優樹(ユウキ・カグラザカ)を倒すのに一役買ったと言ってもいい人物だ。多分彼女のスキルを取ってなかったら“時空の果て”に飛ばされた時点で負けだったかもな。

 そんな彼女が「元の世界に帰りたい」という強い意志を持って、学園の異世界交流調査部門で率先して研究していた、次元を超えた転移方法、それが次元間航法なんだ。

 その理論が公開された暁に、俺は一つやりたいことがあった。

 それは、この世界でも地球でもない、どこか別の異世界に行って旅をする事。

 本当は俺のスキルで何とかなるけど、マイが次元間航法を完成させるまで待つことにして、これまで我慢してたんだ。……俺の知らないところで勝手に使って、世界一つぶっ壊しかけたバカ二人と巻き添えの一人がいたという事実はなかったことにしている。

 

《告。現実に目を向けるべきであると思われます》

 

 そんなこと言われてもね……。あれ以降ヴェルドラとラミリスは異世界への門(ディファレントゲート)に近づけないようにしてるし、問題はないよね……?

 悩みの種もあるが、そんなわけで俺は今会議室に幹部達+αを集めて異世界を旅する計画を立てている。と言っても、どんな世界かは分からないからメンバーと滞在時間を決めるくらいだけどね。ちなみにランガだけはもう決定している。

 この話(異世界旅行計画)をして真っ先に飛びついて来たのは、やっぱりヴェルドラとラミリスだった。さっきからずっと

 

「我も行くぞリムルよ! 抜け駆けは許さぬからな! なあラミリス!」

「あったりまえよ師匠! アタシ達も連れて行ってもらうからね!」

 

 なんて騒いでいる。ベレッタが頑張って宥めているが、かなり振り回されてるな……。

 その次に名乗りを上げたのは、第一秘書のシオンと第二秘書のディアブロ。

 

「不肖私めが、リムル様に纏わりつく邪魔者どもを排除して見せます!」

「クフフフフフ……。リムル様の御手を煩わせるなど言語道断。敵対するものは私が全て始末致します」

 

 ……こいつらはダメだ。ちょっと危険すぎる。二人を連れていくのは今回はなしにしよう。

 ディアブロが今にも泣きそうになっているが、無心にならねば。

 その次に言葉を発したのはベニマルとソウエイ、そしてシュナとハクロウだ。ただ彼らは、余り乗り気ではなさそうだな。

 

「リムル様の御誘いは在り難いですけど、俺には多くの部下がいますからね……。ようやく落ち着いてきたばかりですし、今回は遠慮しておきます」

「俺もベニマルと同意見です。不穏分子を一つ潰したとはいえ、他にないとは言い切れません。俺もこちらに残っておきますよ」

「わたくしは新作が製作途中ですので、今回は遠慮させていただきます……」

「儂もゴブタの奴を鍛えねばなりませんからな。今回は身を引いておきますわい」

 

 皆仕事熱心なのはいいけど、少し休んでもいいんじゃないかと常々思う。次回は強引にでも連れて行こうかな。

 というか、ハクロウの目が怖い……。もしかしてゴブタの奴、また何か余計なことをしたんじゃ……。

 俺がゴブタの方に視線(スライムに視線もくそもないけどな)を向けると、ゴブタは顔を真っ青にしてガタガタ震えていた。ああ終わったなあいつ……。

 

「ゴブタよ。お主が同行するのは儂が許さぬからな?」

「ひいっ!? オ、オイラは何もしてないっすよ!?」

「言い訳無用じゃ。覚悟しておれ」

 

 案の定ハクロウに迫られていた。ハクロウの全身から禍々しい妖気(オーラ)が漏れ出ている。もしかしたら帰って来た時にはゴブタはいなくなっているかもしれない。

 

「ゴブタ君、君の勇姿は忘れないよ……」

「ちょっ!? 何言ってるっすかリムル様!? 助けてほしいっすよ! めちゃくちゃ助けてほしいっすよ!!」

「……」

「なんで目を逸らすっすか!?」

 

 ……ゴブタの事は置いておいて、残りの沈黙組に意見を聞く。

 

「後はガビルとゲルドとミョルマイルと……それにウルティマ、カレラ、テスタロッサだな。お前らは良いのか?」

 

 俺が問いかけると、彼らは迷うそぶりも見せずに深く頷いた。

 正直予想外だった。皆ここまで真面目だなんて……。

 これじゃ同行者がランガだけになってしまう。声を掛ければついてきそうな奴は他にもいるが、今回はできるだけ幹部のみで構成したかったんだが……。

 

《私はフラメアを推薦します。幹部ではありませんが、同行者としては最適だと思います》

 

 ああそうだ! フラメアがいたか! 俺達の国のパンフレット作成を任せてたが、順調に出来ているし、旅行が好きな彼女にとってはかなり魅力的な提案なんじゃなかろうか。

 幹部ではないからこの場にはいないけど、後で話をしてみよう。

 一通り確認したが、幹部たちは皆辞退した。何だか俺だけ不真面目みたいな感じで、ちょっと悔しい。

 

《事実ではありませんか?》

 

 ……シエルさんが冷たい。一体どうしたというのか。

 結局その後、同行者はランガとフラメア、そしてベレッタを言い包めて無理矢理ついてきたヴェルドラとラミリスの四人(正確には三人と一体か?)になった。

 先行きがそこはかとなく不安である。大丈夫かな……。

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