スライム魔王の異世界旅行記   作: 22世紀の精神異常者

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大幅に遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした
今後も恐らく更新は遅くなるかと思いますが、どうかご容赦ください
毎日更新できるかも、なんてほざいておいて、全くだらしのない話です……


16.そうだ ダンジョン、行こう。

 次の日の朝。

 

「……なあ、なんでお前がここにいるんだ」

 

 ラミリスが俺の布団に潜り込んでいた。

 確かコイツ、ヴェルドラと一緒の部屋に寝てたよな? わざわざこっちに来る必要なんてないんじゃなかろうか。

 騒がしくないのでまあ許すが、とりあえず訳は聞いておきたい。

 ベッドシーツに顔をうずめているラミリスに声を掛けるが、反応がない。

 わざわざ優しく起こすのも馬鹿馬鹿しくなったので、摘まみ上げてみると……

 

「ヴッ……ヒック……ウゥ……」

 

 大粒の涙を流して泣いていた。

 

「なっ!? ちょ、どうしたお前!?」

「……ウゥ……師匠が、師匠がベッドを独り占めして……」

「……」

 

 何ともアホらしい理由だった。いや、元からこいつらはアホか。考えるまでもなかった。

 

「はぁ……それで、俺の布団に潜り込んだってか?」

「……うん」

「まあ、とにかくヴェルドラの奴は一発殴っておくよ」

「――ッ! ありがとーリムル! やっぱりリムルは優しいよね!」

「変わり身が速いな……」

 

 俺がヴェルドラをシメると言ったら、さっきまで滝の様に流れていた涙がピタッと止まって、屈託のない笑みを浮かべた。

 ……ええと、気が付けば布団が水浸しになっているんだが、ラミリスはこんな物理法則を真っ向から無視した様な量の水を、その小さい体のどこに収めていたのだろう。

 

「……なんか、アタシに失礼なこと考えてない?」

「い、いやそんな事はないぞ!?」

 

 勘の鋭い妖精だった。

 

     * 

 

 あれから暫くラミリスと話をして、ヴェルドラの部屋にカチコんでぶちのめしていると、やがてムコーダさんの「朝食出来たよー!」という招集の言葉がかかった。

 俺は皆と一緒に階下へ降りていった。

 

「ん、おはよう」

「おはよう。もうそろそろ支度できるから、席についていてくれ」

 

 うーん、ムコーダさんは早起きだなあ。最近はこのスライムボディで寝るのにも慣れてきていたから、結構長く寝る事が多いんだよね。それでどうしても前世より幾らか遅く起きることになる。

 俺もこれからは少し早めに起きるようにしようかな。

 

「おお、いい匂いがするではないか! どうなのだ、あとどれだけかかる?」

「はは、五分もすれば出来上がるよ。ちょっと待っててね」

 

 ヴェルドラは既に席についている。朝食が運ばれてくるのをそわそわしながら待っていた。

 

『全く、儂らと同じドラゴン、しかも長命だと言うに……』

 

 ゴン爺さんがそんなヴェルドラを見て呆れている。……まあ、気持ちは分かるよ。実際何というか、本当に天災級(カタストロフ)の『竜種』なのかと聞きたくなるほどだ。

 考えてみてほしい。日本の漫画に毒されて決め台詞やら決めポーズやらを多用し、デザートのプリンであっけなく釣られる奴が、世界最強格なんだ。……こんな事言ったって、誰も信じやしないだろう。

 もう少ししっかりしてほしいものだなあと、勝手ながら思った。

 

「お待たせー、今日はハンバーグだよ」

 

 暫くしてムコーダさんが食事を持ってやってきた。それらを丁寧に皆の前に並べていく。

 今日の朝食は白米にグリーンサラダ、そしてハンバーグ、のようだ。朝からがっつりした肉料理が出る事にちょっとびっくりしたけど、ムコーダさんの従魔たちの様子を見て納得した。

 

『うむ、美味いの。肉にかかっている甘めのタレが良い』

『がふがふ……ふう、おい主よ、おかわりだ!』

「全く、フェルは食べるのが早すぎなんだよ……スイもさ、もうちょっとゆっくり味わって食べてよ」

 

 皆恐ろしいほど食いつきがいい。大きめの皿からはみ出してしまいそうなほど大きなハンバーグが、あっという間に消えていくのだ。生前の俺があんなことをしたら、絶対胸焼けする、と言うか食べきれないだろう。あれを毎日三回は繰り返しているとすれば、ムコーダさんは大物かもしれない。

 

「……っと、そういえばリムルさん達って今後の予定は……?」

「あ、ああ……そういえば、考えてなかったな」

 

 そうだ。俺達はこの後ムコーダさんの家を出る。ここにずっとお世話になる訳にもいかないからね。と言っても、俺達はこっちに来て間もないから当てが在る訳ではない。

 当然、予定なんてなかった。

 

「それなら、ダンジョンなんてどうかな? 多分リムルさん達の実力なら、ちょっとしたアトラクションみたいな感じになっちゃうかもしれないけど」

「ダンジョン!? 何々、アタシ達の真似をしている不届きものはすぐに殲滅――ふぎゃっ!?」

「お前は少し黙っててくれ……それで、ダンジョンって?」

「ああえっと、ダンジョンは簡単に言えば、あちこちにある魔物の巣窟って感じかな。中はよくゲームとかに出てくる感じの奴で、中にいる魔物を倒すとアイテムがドロップするんだ。ダンジョンはダンジョンコアって言うのがあるんだけど――

 

 この後三十分くらい説明を受けた。

 

     *

 

「……なるほど、つまり幾層にもなる魔物の楽園を駆け抜けて、アイテムがっぽがっぽ、と言うわけだな! 楽しそうではないかリムルよ!」

「いやお前ちゃんと話聞いてた?」

 

 碌に説明を聞いていない気がする。

 まあ何はともあれ、ダンジョンについては分かった。中々楽しそうなので、これからはダンジョン巡りなんかいいかもしれない。

 となればおすすめの場所を聞いておきたい。さっきの話ぶりだと、ムコーダさんは結構な数のダンジョンに潜っているみたいだから、いいダンジョンもたくさん知っているだろう。……ダンジョンに善し悪しがあるかは知らないが。

 

「うーん、そうだな……」

『主殿よ、儂が寝ていたところはどうか? あそこならこの者共もそこそこ楽しめるじゃろう』

 

 不意に、ゴン爺さんが口を挟んでくる。っていうか、ゴン爺さんダンジョンで寝ていたのか。勇者だなあ。

 

「ああ、確かに良いね!」

「それで、そこはどこなんだ?」

「ブリクストっていう街にあるダンジョンだよ。あそこは結構深いから、リムルさん達には楽しいと思うよ!」

「ブリクスト、ね。分かった、そこに行ってみるよ」

 

 これで目的地は決まった。丁度皆朝食を食べ終えた所なので、食後の挨拶をして出発の準備だ。

 ダンジョン、楽しいといいなあ。

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