スライム魔王の異世界旅行記   作: 22世紀の精神異常者

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18.ブリクストに着きました。

「それじゃー、リムルさんお元気でー!」

『次に会ったら、絶対に貴様らを地に伏せてやるから覚悟してくことだな!』

『そうじゃの……儂も、次に会う時にはぎゃふんと言わせてやりたいのお』

「あはは……ムコーダさんも、皆も元気でなー!」

 

 カレーリナの外、外壁のすぐそばの平原にて。

 結局、ムコーダさん達は門の外まで見送りに来てくれた。ホントに優しい人だなあ。

 俺達は既に支度を終えている。俺は背中から蝙蝠の翼を出し(こっちの方が雰囲気があるからね)、ヴェルドラは竜形態に戻っている。

 ランガは俺の陰の中で待機、フラメアは俺の腕の中だ。

 ラミリスは……ヴェルドラの手の爪にぶら下がっていた。大丈夫なのか、アレ? 飛ばされたりしないだろうか。

 俺が苦笑いして息を吐くと、それが首筋にかかったらしいフラメアがぶるりと身震いした。

 

「はうぅ……恥ずかしいですよリムルさん……」

「我慢してくれ。俺も結構アレなんだから」

 

 ……その、何というか、フラメアが妙に恥ずかしがるものだからこっちもそういう気分になってくる。スライムになって結構経つし、漢としての意地って言うか、そういうのは割となくなってきたと思ったんだけどなあ……。元男として虚しい話だが。

 

「何を呆けておるのだ! 早く行くぞ!」

「そうよ! アタシの事は乙女として見てくれないくせに! リムルのバカ!」

「……話がかみ合ってないぞラミリス」

 

 ただまあ、ヴェルドラの言う通りもうそろそろ出発するとしよう。

 俺は背中の翼を大きく羽ばたかせ、晴れ渡った空へと舞い上がっていく。ヴェルドラもそれに続き、ゆっくりと浮上して来た。

 

「それじゃー、また今度ー!」

「はーい! ダンジョン攻略、頑張ってくださいねー!」

 

 ムコーダさんと言葉を交わし、ブリクストの方向へ飛び始める。

 ……最初に知り合えたのがムコーダさんで、本当に良かったな。そんな事を、思った。

 

     *

 

「ひゃあああぁぁぁっ、速いですよぉ!」

「ごめんなフラメア……このくらいじゃないと日没までに間に合わなさそうだから……」

 

 大空にフラメアの絶叫が響く。同時にフラメアの涙が宙を舞う。

 現在俺達は、ブリクストに向かって全速力……の半分のさらに半分ぐらいの速度で飛んでいた。そうでもしないと門が閉まっちゃうって、ムコーダさんに言われたからね。

 本当は一日で済む距離じゃないらしいけど、そんなの俺達には関係ない。

 ただ、俺やヴェルドラ、ラミリスは問題なかったけど、フラメアにはかなり厳しい状態だった。俺が多重結界なんかで保護しているから問題はない筈、なんだけどな……。

 どうやらフラメアは、高いところがかなり怖いらしい。……テーマパーク建設計画の時にあんな目に合ってるわけだから、仕方ないか。それまではガビルの飛空龍(ワイバーン)に乗って写真を撮ったりと、問題はなかった訳だが……。

 …………ヴェルドラ許すまじ。

 

「な、リ、リムルよいきなり殺気だってどうしたというのだ!?」

「……いや、ちょっとね……ヴェルドラ君、君に与える罰を考えていたのさ」

「なっ!? わ、我はあの後何もしておらんぞ!」

 

 おっといけない。妖気(オーラ)が漏れ出ていたようだ。

 やはり俺もまだ未熟な部分があるようだ。精進せねば。

 

《……告。個体名:フラメアの気絶を確認。……全く何やってるんですか主様(マスター)……》

 

 ……え? マジ?

 腕の中のフラメアを確認してみると、思い切り白目をむいていた。

 ……や、やりすぎたああぁぁぁーーーっ!

 

     *

 

「……ふぇ……? ここはどこです?」

「ブリクストの近くだ。もう後五分もしないで着くんじゃないかな」

「…………そういえば、なんで私寝てたんでしょう?」

「……し、知らないなあ。疲れてたんじゃないのか?」

「うーん、そんな感じじゃなかったんですけど……」

 

 飛び続けてあれから数時間。ようやくブリクストの外壁が見えてきたところで、フラメアが目を覚ました。

 ……俺の妖気(オーラ)に当てられて気絶したことは覚えていないようだ。良かった。

 

《個体名:フラメアに思念伝達――

 

 うわああぁぁやめて!? お願いだからやめて!?

 

《……仕方ないですね。今度体を貸してくれたら、許してあげます》

 

 ど、どういう事? それ大丈夫なの?

 

《できないのであれば――

 

 わかったわかった! 貸す、貸してあげるから許して、ね?

 

《……分かりました》

 

 ……ふぅ……なんとかなった。どうにかしてシエル先生を説得できた。

 俺は、自分の失態がバレずに済んだことで、安どのため息をついた。

 と、そんなくだらない事をしているうちにブリクストはすぐそこまで迫っていた。ブリクストの街はかなり大きくて、カレーリナよりも規模があるんじゃないか、と思う。

 

「おお、これは期待できそうではないか! 我を存分に楽しませてくれそうだ!」

「なんでそうお前は上から目線なんだよ……」

 

 興奮気味にはしゃぐヴェルドラにツッコミながら、少しずつ高度を下げていく。

 地面が近づいてくるのを見て、フラメアも一安心したようだ。腕の中でため息をついている。

 門に並ぶ人たちの姿が少しずつ大きくなっていく。どうやら向こうもこちらに気付いているようで、ちょっとした騒ぎになっている様に見えた。

 ……まあ、そりゃそうか。でっかいドラゴンが迫ってくるんだ、仕方ない。

 俺達は、無用に刺激しないよう、少し離れた所に降りた。

 

     *

 

 そして、列に並んで数時間。ようやく俺達の番となった。

 

「ギルドカードを提示してください」

 

 門番の兵士に言われ、俺達はカレーリナで作ったカードを差し出す。兵士はそれを見て、俺達の方に一度視線を移し、軽く頷く。

 そして、ギルドカードをこちらに返してきながら、笑顔で言った。

 

「ブリクストへようこそ!」

 

 ――ブリクスト、到着だ。




暫く放置していたら転スラの雰囲気が分からなくなりました助けてください
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