俺達は異世界に行くため、封印の洞窟最深部へと向かった。
本当は迷宮の最奥に魔方陣を設置したかったんだが、いつまた二人がやらかすか分からないからな……。
封印の洞窟は今の所誰も利用していないし、近寄る人もいないから丁度良かった。
そもそも、ヴェルドラの
「こ、ここが封印の洞窟ですか……。何だか禍々しいですね……」
ぽっかりと開いた穴の先に広がる闇を見て、フラメアが不安げな表情で呟く。
そういえば、当たり前だがフラメアがここに来るのは初めてだったな。
フラメアも
でも、入れないことはなさそうだな。
「我の力、凄かろう、恐ろしかろう! 敬ってくれてもよいのだぞ! クアーーーッハッハッハ!」
「そうよそうよ! 師匠はすごいんだから!」
相変わらずバカ二人は五月蝿い。ここに来るまでも度々騒いでいたから、段々鬱陶しくなってきたぞ。
一回黙らせようかと手を挙げた所で、フラメアがおずおずと切り出した。
「え、えっと……ごめんなさい?」
「ん? どうかしたかフラメアよ」
「その、なんて言いますか……普段のヴェルドラさんを見てると、ちょっと威厳が……ハハ……」
「なぬうっ!?」
うわあ……。フラメアの奴、すごいハッキリ言ったな。
ヴェルドラが物凄く悲痛な表情を浮かべて落ち込んでいる。まあ、これで静かになったし良しとしよう。
若干拗ねているヴェルドラを引き摺って、洞窟の最深部へと入っていった。
中は明かりがないため、肉眼では何も見えない。だが俺達には魔力感知があるから、困ることはないのだ。
「うう……真っ暗で怖いです……」
……フラメアの事を忘れていた。俺の腕をがっちり掴んで震えている。
俺は慌てて周囲を照らした。暗闇の中に、俺たちの姿が浮かび上がる。
周囲が見えるようになると、フラメアも安心したのか頬が緩んだ。
「全く、乙女の事も気遣えないなんてリムルもまだまだね!」
「う、五月蝿いぞラミリス! 余計なことを言うな!」
ここぞとばかりにラミリスがからかってくる。
俺は今度仕返ししてやろうと心に誓ったのだった。
*
少しも落ち着くことがなかったが、ようやく洞窟の最深部に着いた。
かつてヴェルドラが封印されていた場所だ。
そこはかなり平坦な地面が広がっており、魔方陣を設置するには最適だった。きっとヴェルドラが昔均したのだろう、ヴェルドラ様様である。
俺はその中央に立ち、魔方陣を設置する。正確には俺じゃなくて、シエルさんだ。頼むぞシエル先生!
《……はあ。分かりました》
ねえ、その、うん、ごめんね? 謝るから許して?
《……》
ダメだこりゃ。
まあ、俺の頼みは聞いてくれたので良かった。
シエルさんが俺の体を操って、物凄い勢いで魔方陣を描いていく。一分もしないうちに、転移魔方陣が出来上がった。
ちなみに、行先の座標はランダムにしてある。ここに行きたい、って場所がないし、そもそも行ったことある異世界があの
そういえば、ミッシェルはうまくやっているだろうか。あれから一年位経ってるけど、今の所連絡は来ていないから問題はないのだろうが、少し気になる。今度こっそり遊びに行こう。
「早く行くわよリムル! そんなボーッとしてないで!」
「そうだぞリムルよ! 今は呆けている場合じゃないぞ!」
「何か悩み事ですか? 我が主よ」
俺が思考に耽っていると、ヴェルドラとラミリスがせかしてきた。
ランガは俺の事を心配して、陰から顔を出してこちらを見てくる。
「いや、別に何でもないよ」
そうだな、ミッシェル達の事を考えるのは後回しだ。今はこれから行く異世界に思いを馳せる時だな。
俺は皆を魔方陣の中央へ呼び、揃ったところで魔力を流した。
魔方陣が眩い光を放って、洞窟をさらに明るく照らす。俺達の視界が白一色に染まった。
そして光が収まった時、目の前に広がる景色はガラッと変わっていた。