スライム魔王の異世界旅行記   作: 22世紀の精神異常者

2 / 19
2.いざ、異世界へ!

 俺達は異世界に行くため、封印の洞窟最深部へと向かった。

 本当は迷宮の最奥に魔方陣を設置したかったんだが、いつまた二人がやらかすか分からないからな……。

 封印の洞窟は今の所誰も利用していないし、近寄る人もいないから丁度良かった。

 そもそも、ヴェルドラの妖気(オーラ)で発生した魔力の残滓が強くて、低級の魔物は未だ近寄れない。だから問題が起こる心配もほぼないって訳だ。……ほぼ、だけどな。

 

「こ、ここが封印の洞窟ですか……。何だか禍々しいですね……」

 

 ぽっかりと開いた穴の先に広がる闇を見て、フラメアが不安げな表情で呟く。

 そういえば、当たり前だがフラメアがここに来るのは初めてだったな。

 フラメアも魔国連邦(テンペスト)に来てからかなり力がついてきたが、少しキツかったか。

 でも、入れないことはなさそうだな。

 

「我の力、凄かろう、恐ろしかろう! 敬ってくれてもよいのだぞ! クアーーーッハッハッハ!」

「そうよそうよ! 師匠はすごいんだから!」

 

 相変わらずバカ二人は五月蝿い。ここに来るまでも度々騒いでいたから、段々鬱陶しくなってきたぞ。

 一回黙らせようかと手を挙げた所で、フラメアがおずおずと切り出した。

 

「え、えっと……ごめんなさい?」

「ん? どうかしたかフラメアよ」

「その、なんて言いますか……普段のヴェルドラさんを見てると、ちょっと威厳が……ハハ……」

「なぬうっ!?」

 

 うわあ……。フラメアの奴、すごいハッキリ言ったな。

 ヴェルドラが物凄く悲痛な表情を浮かべて落ち込んでいる。まあ、これで静かになったし良しとしよう。

 若干拗ねているヴェルドラを引き摺って、洞窟の最深部へと入っていった。

 中は明かりがないため、肉眼では何も見えない。だが俺達には魔力感知があるから、困ることはないのだ。

 

「うう……真っ暗で怖いです……」

 

 ……フラメアの事を忘れていた。俺の腕をがっちり掴んで震えている。

 俺は慌てて周囲を照らした。暗闇の中に、俺たちの姿が浮かび上がる。

 周囲が見えるようになると、フラメアも安心したのか頬が緩んだ。

 

「全く、乙女の事も気遣えないなんてリムルもまだまだね!」

「う、五月蝿いぞラミリス! 余計なことを言うな!」

 

 ここぞとばかりにラミリスがからかってくる。

 俺は今度仕返ししてやろうと心に誓ったのだった。

 

     *

 

 少しも落ち着くことがなかったが、ようやく洞窟の最深部に着いた。

 かつてヴェルドラが封印されていた場所だ。

 そこはかなり平坦な地面が広がっており、魔方陣を設置するには最適だった。きっとヴェルドラが昔均したのだろう、ヴェルドラ様様である。

 俺はその中央に立ち、魔方陣を設置する。正確には俺じゃなくて、シエルさんだ。頼むぞシエル先生!

 

《……はあ。分かりました》

 

 ねえ、その、うん、ごめんね? 謝るから許して?

 

《……》

 

 ダメだこりゃ。

 まあ、俺の頼みは聞いてくれたので良かった。

 シエルさんが俺の体を操って、物凄い勢いで魔方陣を描いていく。一分もしないうちに、転移魔方陣が出来上がった。

 ちなみに、行先の座標はランダムにしてある。ここに行きたい、って場所がないし、そもそも行ったことある異世界があの無限機関(メビウスシステム)で滅びかけた世界しかないからな。

 そういえば、ミッシェルはうまくやっているだろうか。あれから一年位経ってるけど、今の所連絡は来ていないから問題はないのだろうが、少し気になる。今度こっそり遊びに行こう。

 

「早く行くわよリムル! そんなボーッとしてないで!」

「そうだぞリムルよ! 今は呆けている場合じゃないぞ!」

「何か悩み事ですか? 我が主よ」

 

 俺が思考に耽っていると、ヴェルドラとラミリスがせかしてきた。

 ランガは俺の事を心配して、陰から顔を出してこちらを見てくる。

 

「いや、別に何でもないよ」

 

 そうだな、ミッシェル達の事を考えるのは後回しだ。今はこれから行く異世界に思いを馳せる時だな。

 俺は皆を魔方陣の中央へ呼び、揃ったところで魔力を流した。

 魔方陣が眩い光を放って、洞窟をさらに明るく照らす。俺達の視界が白一色に染まった。

 そして光が収まった時、目の前に広がる景色はガラッと変わっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。