プロローグ
理想を夢見た者に、 は絶望という試練を与える。
◇
むかし、むかし。まだ世界が天界と冥界に挟まれていた頃のお話。
天の国から人の生きる様を観察し、神に報告する天使たちがいた。グリゴリ天使団と呼ばれる者達だ。
彼らは人を見ているうちに、人に焦がれ、人に恋をし、その愛を伝えたくなった。
故に、天から墜ちる禁忌を犯した。
地上への逃避を図る堕天使達と、それを阻止する天使達。
かつての友を切り裂き、撃ち抜き、砕き割った。
結果、天使達は七人もの堕天使を取り逃した。
その者達の名は、
セムヤザ
アザゼル
エゼキエル
サリエル
アラキエル
アルマロス
バラケル
この七人は互いを支え合いながら、自分達が人と共に暮らすことのできる楽園。
「タワー」を築き上げた。しかし、その栄華も廃れる時がやってきた。
天から降り立った一人の人間によって、七人の堕天使は皆、天界へと連れ戻された。
これは、人類史に残ることのなかった、かつてのお話。
どのような秘術や魔術、科学をもってしても観測することの叶わない、
だが、何の因果か。それは呪いか。
はたまた黒き天使による無限の中の「一回目」が起こした偶然か。
それは、数多の世界の中の一。
魔術王は、彼らを見出した。
▽△▽
それは、瞬く間に起きた。
天界に存在するあらゆる天使が、その一瞬を目撃した。
七人の堕天使の魂を閉じ込め、封印している牢獄。
七本指の「ミカエルの右手」。その指全てが、切り離されて消失したのだ。
その影響は、右手を創りだしたミカエルにも現れ、右手にあるすべての指が粉末状に崩れて、さらには肩に至るまでの全てがひび割れた。
私はただ事ではない、これまでになかった異常を察知して、彼に電話をかけた。
「どうなっている?ミカエルの右手はどうなった?」
彼は少し焦っているのか、若干いつもより早口でこの状況を説明した。
「・・・脱獄?誰かが手を引いている、と・・・その誰かって言うのは、誰なんだ?」
その問いに、彼は「ソロモン」と答えた。
「ソロモン?あれはただのイスラエルの王だろう?魔術王と称えられてはいるが、こんなことができるとは思えないが・・・まぁいい。それで、どうすればいい?」
彼は、ある男の名前を私に示した。それは私が最もよく知る、唯一無二の友の名前だった。
「成程。分かったよ。神の意志は絶対だからね」
私は「彼」との通話を切ると、すぐさま友人の元へと向かった。
「さぁ、イーノック。第二次堕天使捕縛作戦の開始だ」
To be continued・・・