呪術転生 〜とりあえず死にたくないです〜 作:匿名中
少し薄い部分もありますが、おいおい修正しますのでとりあえずどうぞ!
動き出しは早かった。
「妖刀斬法・極の番『転身』──」
上空に佇む五条の元に、ムラマサが跳躍し迫る。
刀身を鞘に収めたままの五条に鋭い視線を向けるムラマサがそう短く唱えると、彼の体を淡い呪力が包み込んだ。
六眼を持ち、呪力という呪力を正確に視認する五条だが、今この瞬間ムラマサの姿を正しく認識できなくなる。
ムラマサの姿が、見知らぬ武人の姿と重なった。
「
上空とはいえ、未だ五条とムラマサの距離が十メートルほどあったのに関わらず、ムラマサが抜刀。
鈴の音が鳴るような美しい音が宙に響き、次いで水面に広がる波紋のように、円を象る鋭い斬撃がムラマサの周囲に広がった。
呪力によって編み出された斬撃と見抜いた五条は、自身を包む無限を強化して斬撃を受けようとし──
「ッ!」
瞬時に無下限術式の蒼を用いて回避。
夜空でなお明るく光る白髪がわずかに斬撃の餌食となる。
「(これは術式が解除されたわけじゃないな。無限が機能しない……?)」
六眼が無かったら危なかったな、と。
背中に冷たいものが走るのを感じながら、五条は再度蒼を用いて向かってくるムラマサへ瞬間移動。
五条の瞬間移動は場所から場所へワープするのではなく、場所から場所の空間を蒼で圧縮することで瞬間的な移動を可能としている。
つまりは五条の移動には速度という要因があり。
「お返しね」
「グッ」
その勢いのまま呪力を込めた拳を叩き込めば凄まじい威力となる。
ムラマサは腹部へ打ち付けられた拳をなんとか刀身の腹で受けてみせるが、空中で堪えるといったことは不可能だ。
五条が拳を振り切ると、ムラマサはまるで流星のように森へと叩き落とされた。
強く背中を地面へとぶつけるムラマサだが、彼は呪霊。先の五条の呪力を伴った一撃ならまだしも、呪力を伴わない衝撃は見た目こそ派手であってもダメージはない。
それ故に、五条の追撃があるのは自然のものだった。
「はい、おかわり」
地面を転がりつつ受け身を取って態勢を整えたムラマサの背後に五条が移動。
先ほど打ち込んだ右拳を再度ムラマサの背中へと打ち込む。
先とは異なり、勢いをつけての攻撃ではないが、五条の打撃は基本無下限術式の蒼を細かく間に入れている。
つまりは、攻撃箇所と自身の拳の間にある空間を蒼で瞬時に圧縮して加速させているのだ。
結果、先と同様の非常に鋭く重い一撃となる。
「──ッ!」
「お?」
無防備に背中へ一撃を与えられたムラマサは口から血によく似たどす黒いなにかを零し、次いで地面を数度跳ねるレベルで吹き飛ばされてるが、即座に立ち上がると居合の形を取る。
そして、再度ムラマサの身に淡い呪力が宿った。
此度の構えは五条も知るものであった。
「シン・陰流──簡易領域」
半径五メートルの円の簡易領域の展開。
領域対策で編み出されたものであるが、こういう場合でも扱える全自動反射。領域に踏み入った者に対して即座に最速の攻撃を行える迎撃術であった。
「なるほど、刀を扱う術式に限定した
六眼で捉えられた呪力と術式でようやく思考が完結する。
おそらく、ムラマサの術式は防御不能とする術式。そして、術式の奥義とも云える『極の番』が刀と限定した術式や技の
通常のシン・陰流の簡易領域なら特別怖くないが、防御不能で最速の反射攻撃が来るとなると警戒が先に立ち、少しばかり五条の手が止まった。
そこに荒谷の横槍が入る。
いつのまにか立ち止まっていた五条の背後に移動していた荒谷。
現状込められる限りの呪力を持っての左拳を繰り出した。
術師は殺さない。特に高専関係者で恩師に本気でなんてもってのほかだが、五条相手の場合本気でいかないと逆にやられかねない。
そうして、彼の左拳が五条を包む無限へと。
先のムラマサの術式といった例外を除き、本来五条に攻撃は届かない。
しかし、またしても届かないはず攻撃が無限を抜き去った。
「チッ!」
だが、その攻撃も五条が紙一重で回避したことで不発。
そして、先程ムラマサに無限を抜かれて驚愕していた五条だが、今回は余裕を感じさせる笑みを浮かべていた。
「良いファッションしてるじゃん、明仁。それ、
荒谷の両腕に巻かれた包帯へ視線をやりつつ、そう言葉を放った五条は次いで荒谷へ左回し蹴り。
「それはどうも!
それを両腕を交差させて受け止めた荒谷は至って真剣に言葉を返しながら、内心バレバレかと舌を打つ。
その言葉のやり取りを最後に、呪力のみによる単純な撃ち合いへと移行。遅れてムラマサがそこへ飛び入って参加し、五条を挟む。
無下限術式による防御がムラマサ・荒谷に通用しないと判断した五条は自身の周りに展開してる無限を解いて肉弾戦。
二対一の現状。
無限の防御も通用しない相手二人との攻防。
「領域使ったわりに元気だね、君」
「ガ……ッ!」
それなのに、五条に一撃も与えられない。
それどころかムラマサの攻撃繰り出したことで空いた腹に、カウンターの蹴りが突き刺さった。
「ク……ソッ……」
ダメージの重なった体にトドメと言わんばかりの蹴りを食らったムラマサがたまらず膝をつく。
呪力による回復も領域を使ったことにより満足に行えない。
ほぼ限界だった。
「……ッ!」
それを確信した荒谷は五条の放つ裏拳を掻い潜ると、五条への攻撃ではなくムラマサの方へ踏み出し、五条の間合いから逃すべく襟を掴んで自身の背後へ放り投げた。
雑な逃し方だが、五条相手に荒谷が出来るのはこれで精一杯だった。そのレベルで、五条の体術レベルは凄まじかった。
不意に、避けてはカウンターを打ち込むばかりだった五条が、初めて荒谷の拳を受け止め、握り込んだ。
「変わらないね、明仁」
懐かしむように目を細め、荒谷の顔を見つめる五条。
「そういう五条さんも、特に変わらないですね」
拳を込める力をそのままに、自身より五センチほど背の高い五条を見上げるようにして荒谷は言葉を返す。
「そうかな? これでもオマエが居なくなってから色々あったんだよ?」
「……でしょうね」
色々あった、と。
五条がそう呟くと同時に荒谷の拳を握る手に力が込められる。
それに気付いた荒谷は、その色々に様々な後悔を滲ませているのだと感じ取れ、どこか悲しげに呟いた。
おおよそ四年間だ。
術師・呪詛師と立場が異なりはするが、どちらも特級であることは変わらない。
お互い変わるには十分な時間だろう。特に呪詛師という立場上、様々な悪事に手を染め、また見ることになった荒谷の四年間は御三家として忙しい日々を送っていた五条よりも凄惨なものが多くあっただろう。
なのに。
「そんなに変わりないですかね、俺」
苦笑いをわずかに浮かばせて思わずそう呟いた荒谷に、五条はわずかに視線を下げて口を開いた。
「うん。あの頃からなんも変わってない。その目を見れば分かる」
六眼だからではない。
自身が教職につき、生徒を持っていった中で特に目についた存在である荒谷明仁。
悪人は裁かれ、善人は報われるべきと。
ある村で過去の親友と任務で保護し、その親友が末に選んだ道とは真逆を歩んでいった自慢の生徒だった荒谷。
その決意を強く灯した瞳は呪詛師となった今でも、暗く濁りを宿した奥でも燦々と輝いていた。
だからこそ、五条は後悔する。
「僕が目を離したせいで……ッ!」
思い返すは過去の自責。
術式故のフットワークの軽さから安易に任務で海外へと飛んでいた間の、呪術界上層の強行が行われた日。
荒谷にも関わりがあった術師を中心に声と圧力をかけて、顔見知りの術師には全力が出さないであろうという荒谷の優しさをも利用するかのような、反吐が出る目論見とともに、排他が行われた日だ。
上層部から関係者に緘口令が布かれたために、事態の把握が遅れてしまった伊地知が慌てて五条に連絡し、戻った時には全てが終わった後だった。
学生時代に親友が一般人を呪殺した時は、まだ彼自らの意思だった。
それが、荒谷の場合は術式の危険性ということだけで追い出しただと?
いけしゃあしゃあと、荒谷が暴れ出したのだと
体が燃え上がったかのような感覚に陥る。
血液が熱を帯びて体中を巡る。
腹の底からマグマが湧いてきたかのような錯覚、内臓全てが焼けてどうにかなりそうな感覚。
これが腸を煮え繰り返るということかと二十歳を過ぎて初めて自覚した。
五条は、あの日のことを忘れはしない。
「おっと」
不意に荒谷の背後から五条の顔目掛けて刀が飛んでくる。
それを、首を傾げることで避けてみせるが、咄嗟のことだったからか荒谷の拳を握る手の力が弱まったために離してしまう。
幸いと言わんばかりに後退する荒谷。
そんな彼の背後を見れば、膝をついて息絶え絶えなムラマサが刀を投げたかのような姿でこちらを見ていた。
荒谷自身も、五条から距離を取るとムラマサを守るかのように前に立っている。
良い
呪霊故に本気で祓おうと思ってはいたが、言葉なくとも互いを考えている動きにとても感嘆する。
その姿から、学生時代の荒谷を思い起こした。
「………ッ!」
もう我慢できなかった。
呪術界で呪詛師認定されていることなど知らない。
この四年で数多の人を手にかけたであろうことなどもう頭になかった。
あんなに誠実であった彼が、いまこうして自分と敵として向かい合っている現状なんて心の底からうんざりしている。
馬鹿馬鹿しい。絶対に可笑しい。
五条は真剣を表情に浮かばせて、ひどく嘆願的な表情を浮かばせて視線の先で警戒している荒谷に右手を伸ばした。
「明仁、頼む。戻ってこい……ッ!」
もしこの手を取ってくれるのであれば、自分の出来ることはなんでもしよう。誰であっても黙らせよう。
彼を思う呪術師は多い。彼らも必ず力になってくれる。
呪詛師として身を落とさざるを得なかった荒谷の名誉を回復するためなら何年時間を費やしても協力してみせようと。
そう誓いを込めた右手だった。
瞬間、荒谷の表情に悲痛なものが走った。
ムラマサは荒い呼吸を重ねるだけで変わりはないが、荒谷だけは五条の言葉に劇的な変化を起こしていた。
帰れるなら、どれだけ良いだろうと。そう心の底から思う荒谷の表情は悲しげだ。
今差し出されている五条の右手を取って、自分の知る全てを知らせて、これからを共に出来たらどれだけ良いか。
およそ五条なら、表面的にはほぼ無罪へとこじつけることはできるのだろう。呪詛師から呪術師へと籍を戻してもくれるはずだろう。
俺が高専を出てから四年間を全て明らかにしたとしても、必ずそうしてくれるという信頼はあった。
だが、それは叶わないのだ。
「ごめんなさい、五条
それだけではないのだ。
今、自分が抱えているものは必ず彼の重荷になる。彼のこれからの邪魔に必ずなってしまう。
今、自分の
だから、荒谷は泣きそうな表情を浮かべながら、右腕を包む包帯を取って行く。
包帯を取り除いて。
宿儺に見せたように五条へと右腕を伸ばして。
悲しみに歪んだ口を開いて。
「もう、戻れない」
そう呟いた。
彼の右腕に刻まれた呪印に呪力が走った。
♦︎ ♦︎ ♦︎
上層部から危険な術式とされている、荒谷の術式名は『
儀式を模して呪力を流すことでさまざまな効果を得ることができる術式だ。
それには降霊術や精霊術といったものも含まれており、これを応用することで呪霊を生み出すことが出来ていた。
儀式という形を持って編み出た呪力に自身の呪力を加え、またそれに指向性を持たすことで自らの望むものを生み出すことも可能な術式。
込めた呪力量と触媒によっては、相手に特効となる術式を持つ呪霊すらも招喚することができる。
彼の呪力量だからこそ可能としていることも多いが、便利な術式であると。
この術式を見たものは皆そう思う。
だが、それは決して『召喚』ではない。
呪霊を自由に産み出す術式では決してなかった。
彼の術式は、あくまで『
自身の呪力を対価として、未だ形を成していない呪霊の器を用意して招き喚んでいたに過ぎない。
ムラマサという呪霊も、呪具である妖刀村正に集う呪力とその深層で未だ自我を持たないムラマサという意識を呼び起こし、形を整えて呼び出したに過ぎない。
だからこそ、呼び出した呪霊が祓われない限りは呼び出すのに使用した呪力が荒谷の呪力に還元されることはないのだ。
そして、その術式の性質上、一つ特殊な事例がある。
既に出現している呪霊。土地神といった、風土に由来した精霊に近い呪霊の存在。
呪霊自体、生まれた場所から離れないという性質を持つが、上記のような呪霊はそれが非常に顕著になる。
その土地だからこそ、その呪霊が存在しうる場合はそれが外には出てくることは絶対にない。
そういう呪霊に対して、荒谷の術式は効果の対象とすることが出来る。
行動範囲が生まれた時から制限されてる呪霊に対して、対価を払うことで招いて喚ぶことができる術式効果。
当然、その場合は好きに形を変えることはできない。
既に存在を成したものをそのまま招喚するだけだ。
利点は少ない。
自身の術式では生み出せない呪霊を、術式効果に乗せて縛りを加え、呼び出すばかり。
一から呪霊を産み出す呪力がない分、呼び出した呪霊を使役できる加減は縛りに左右されてしまうため、利点より不利点が強い。
この術式だけではなく、特級レベルの呪力を有する荒谷の呪力を加味すれば生み出せない呪霊の方が少なく、利点などあってないようなものだ。
だが、誰も手が出せないような、それこそ
呪術界の上層部でも禁忌とされている存在。
封印され、漏れ出る呪力も僅かとなった呪霊は記録上でもその存在は消去されて術師の記憶から取り除かれる。
特級もかくやと思うような厳重な封印により、もう関わる必要すらなくなった存在は歴史に残る必要はないのだと。
ただ、そういった呪霊が封印された土地には呪力が溢れ落ち、時には踏み込んできた人間を自身の封印の内側に招き入れてしまうような『神隠し』を生じてしまう。
誰が呼んだのか、そういった土地を『禁足地』と呼んだ。
そして、そんな禁足地の一角。
呪術の全盛期・平安より後に生じた地でありながら、かの三大怨霊である平将門との関わりがあったという説を持つ土地に封印されし存在。
現千葉県市川市八幡に位置する、『足を踏み入れると二度と出てこられなくなる』という伝承とともに今も有名な森。
名を──
♦︎ ♦︎ ♦︎
音が消えたかのような感覚に、五条は陥っていた。
目の前に突然現れた、真っ白な着物を羽織る美しい女性の存在に目を奪われる。
それ故か、夜の森に吹き荒れる風に、何故か白い花弁が混じっているのに気付かない。
違和感。違和感。違和感。
呼吸も忘れた五条は、自身の六眼を持って異常を捉えられていても動くことが出来ていなかった。
ふと、伏せられていた彼女の視線が五条へと向き、微笑んで、ゆっくりと口を開く。
「やぁ、初めまして。現代最強くん」
刹那、五条の全身に悪寒が走った。
「葵ッ! みんなを集めろッ!」
反射的に声を荒げて背後へそう言い放つと、五条は差し出していた右腕をさらに持ち上げて、構える。
術式順転『蒼』と術式反転『赫』。
ほとんど自動で練り上げられるようになった負と正のエネルギーを術式に流して、それを手元で衝突させる。
虚空に生まれた、仮想の質量の生成。
この時、五条に手加減の三文字はなかった。
「虚式・
瞬間、彼の前に形を成した『破壊』が顕現した。
地も森も空気も、その全てを抉り、その全てを消し飛ばさんとする暴力の象徴ともいえる異次元の何か。
どれほどの硬さを有していようが、どれほどの呪力を有していようが、防ぎようもない破壊の一撃。
正真正銘、呪術師最強が有する必殺であった。
触れる全てを散らしながら向かってくる仮想の質量に、女はただ微笑んで迎える。
呪力の放出は見られない。それどころか呪力が強まる様子もない。
側から見て直撃すると思った瞬間。
「───」
『破壊』が消失した。
仮想の質量が霧散したわけでもない。はては受け止めたわけでもない。
爆発したかのような衝撃も風圧も、そういったものすら一切感じさせず、消失という言葉ですら生ぬるいような現象の寂滅であった。
女は茈によって荒れた大地を見渡しつつ、攻撃を繰り出した五条へと視線を戻すが。
「おや、逃げたね」
そこには既に五条の姿はなかった。
その一言で荒谷が呪力の探知を行うと、どうやら東堂や加茂、メカ丸の機体すら居ないことに気付く。
虚式・
荒谷もムラマサも、どのタイミングでどちらに逃げたのか分からなかった。
その中で、女──『八幡の藪知らず』だけがある方向に視線を向けていた。
まるで、視線を向ける先に逃げたのだと分かっているかのように。
ふと彼女が足先を視線の方向へと向けた瞬間。
「待て」
荒谷の右腕に刻まれた呪印から呪力で象った鎖が三本現れ、八幡の藪知らずを拘束。
その行動に、彼女は困ったようにため息をついた。
「僕の役割は、君の守護。それには君を害する敵の排除も含まれてると思うけれど?」
「……五条さんらは敵じゃない。今はもうお役御免だ。帰ってくれ」
額に汗を滲ませながら、そう冷たく言い放つ荒谷。その背後のムラマサもいつのまにか鞘のうちに刀を収めながら、すぐに抜刀できるよう柄へ手を伸ばしていた。
仲間であるはずの三人の間で流れる数秒間の沈黙と緊張。
その中で、八幡の藪知らずは観念したかのように肩をすくめると、やれやれと首を振ってみせる。
「仕方ない。今回は帰るよ」
「……あぁ、助かった。ありがとうな」
「お礼を言葉だけで済ますのは怠慢だよ。良い布生地を所望する」
「……分かったよ」
そのやりとりを最後に、彼女の姿が霧散する。
元の場所、つまりは現在自分たちのアジトとしている場に還ったのだろう。
それを見届けて、荒谷は大きくため息をついた。
「ムラマサ、無事か?」
「……すまない、少し休息が欲しい」
「だよな」
ある程度落ち着いたとはいえ、呪力の消費が激しかったムラマサを見て、荒谷は両目を閉ざす。
向かっていた長野の支部。
そこにいるであろう敵の戦力と削られた自分たちの力量を考えて。
「撤退だ。急いで戻ろう」
「承知した」
そう決断するのであった。
♦︎ ♦︎ ♦︎
呪術高専の東京校。
山奥に位置する上、夜中であるせいか何処か不気味な印象を感じさせる景色の中、その校庭に四つの影が現れた。
五条、東堂、加茂、メカ丸の四名だ。
「葵、二号館の一階に哨子がいるはずだ。その子を連れて手当してもらってくれ。運が良ければすぐに治してもらえる」
五条が加茂に視線をやりつつ、全身に切り傷が刻まれた東堂にそう告げる。
反転術式が使えるが他人の治癒に使えない五条には重傷である加茂を治すことはできないための判断だ。東堂もそれに異論はない。
だが、哨子のやつ酒飲んでなければいいけど、と小さくボヤく五条に東堂は一つの疑問をぶつけざるを得なかった。
「五条悟……
東堂のその声にも、身体にも震えはない。
だが、彼に視線を向けた五条は心の内ではあの女に対して明確な恐怖があると感じ取った。
五条は、東堂の視線から目を背けると小さく応える。
「わからない」
疑問を口にした手前ながら、東堂はやはりと納得した。
遠目から見て、見た目の美しさと反するかのような呪力の禍々しさ。あれほどの存在がいれば呪術界に、もしくは師である九十九由基から聞いているはずだ。
それが伝わってないということは、つまりはそういうことなのだ。
「けどな……」
そんな五条の答えからそう結論つけた東堂だが、ふと五条へ視線を戻すと、彼の表情に怒気が宿っていた。
「アレは絶対に明仁のやり方じゃねぇ。誰かが明仁にやらせやがったんだ」
そうでもなきゃ、あそこまでの存在を明仁が表に出してくるはずがないと確信する五条は、携帯を取り出すと踵を返す。
「葵、悪いけどここは頼む。僕はちょっとやることができた」
「……どうするつもりだ?」
東堂の問いに、歩みを止める五条。
誰かに電話すべく携帯に耳を当てながら、彼は東堂へと振り返る。
「決まってるだろ」
「明仁にアレを押し付けた奴を引きずり出す」
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
前書きでも述べたように、日刊二位となりましたので、大急ぎで執筆させていただきました。
いかがだったでしょうか?
オリジナル要素が多いので、それでも読者の皆様に楽しんでいただければ幸いです。
改めまして、日刊二位。
まさかそこに至れるほどのお気に入りや評価が来るとは思っておらず、お気に入り・評価をしてくださった読者の皆様にはとても感謝しております。感想も、少し返信の時間をとれておりませんが、全て拝見しております(時間が取れ次第、必ず返信いたします)。
おかげさまで二位を取れ、それによる執筆意欲が掻き立てられ、早い更新をさせていただくことができました。
本当にありがとうございます!!
更新してから今日まで、小説情報のアクセス解析を見ながらニヤニヤと、お気に入りが増えるたび笑顔が増え、評価が入るたびにガッツポーズをしておりました。
読者の皆様がおかしいと感じない範囲で物語をオリジナルで進めていきますので、ご期待に添えましたらこれからも応援していただければ幸いです。
次の更新がいつになるかはわかりませんが、気長に待っていただければと思います。
改めて、今回の日刊二位達成、それによるお気に入り登録、評価、そしてご愛読、本当にありがとうございました!!!
《謝辞》
焼きそば様、かり揚げ様、骸骨王様、みみお様、羽柴光秀様、minotauros様
上記の皆様による誤字修正報告、ありがとうございました。
最初から最新話までの修正、非常に助かりました。
お礼申し上げます。