「不幸だ~!!」
人口230万人、そのうち学生が8割を占める科学の街、学園都市。
そこに少年の声が響く。
「「「「「「「「「「待てや、上条!!」」」」」」」」」」
少年を追いかけているのは10人ほどの男の集団。
「くそ~、助けるんじゃなかったぜ・・・・」
ウニの様な黒いツンツン頭が特徴の少年、上条当麻は先ほどの事を思い出していた。
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「あ~、腹減ったな~」
当麻は兄が持ってきた
今日もすっかり日も暮れてしまったのでファミレスで夕食を取ることにした。
「おっ、今日はこの苦瓜と蝸牛の地獄ラザニアってのを食べてみっか」
好奇心から新メニューと書かれたそれを頼もうとした時だった。
「ん?あれは・・・・」
当麻は近くに座っていた少女とその少女に絡んでいる不良が目に入った。
「何話してんだろ?」
当麻は目を閉じる事で聴覚を強化し、男の話を聞いていると自分が欲しかった
が聞こえてきた。
「
仕事を早く終わらせるために当麻は席を立ち、男に向かって歩く。
「だから「ちょっと~」ああっ!?」
男が振り返り当麻の顔を見た瞬間、表情が警戒の色を帯びる。
「てめぇ、上条当麻!!」
「ども」
男が叫ぶと当麻は手を伸ばし、男の頭を掴む。
「店内ではお静かにっと」
思いっきり男にアイアンクローを決め、ダウンさせるとそのまま引きずり店を出た。
「おっ、おいっ!!上条がいるぞっ!!」
「なにっ!?しかもうちの仲間を引きずってんぞ!!」
「おいっテメェ等、やっちまえ!!」
外で喫煙していた不良達が当麻を見つけ襲いかかる。
「くそっ、仲間もいたのかっ!!」
当麻は男を植木に放り込み、ダッシュで逃げだすとそれを合図に男たちも当麻を追いかけ始めた。
当麻は逃げて逃げて逃げまくって、橋まで逃げて来た。
「や、やっと巻いたか?」
当麻が流石に息切れを起こしながら男たちがやって来ないかと心配して後ろを振り向いた。
バチッ
「・・・・・・マジか・・・・・」
聞こえて来た電撃の音に当麻の顔が真っ青になる。
「アンタさ~、あの不良達を助けて危ない目にあって・・・・」
そう言いながらゆっくりと歩いて来ているのは先ほど男に絡まれていた少女だった。
「熱血教師のマネでもしてんの?」
少女は若干、怒りながら近寄って来る。
この街は最先端科学の街という顔の他に、能力者育成組織という顔も持っている。
そんな街では不良=強いは成り立たない、むしろ名門校に通っている学生の方が強い傾向にある。
そしてその少女はこの街でも五本の指に入る程の名門校の制服を着ている。
つまり・・・
「ん?最終的に何十人単位でいたあいつ等が来ないのってまさか・・・・」
「そうよ、私が焼いといた」
「マジか・・・・」
当麻を追いかけていた不良達は彼女の存在で一瞬のうちに狩られる側の立場になっていたらしい。
「アンタを狙ったなら当然でしょ」
少女は何か悪かった?みたいな顔で当麻にそう言った。
「止めてやろうぜ、俺なら大丈夫だってのはお前も知ってるだろ?」
ハッキリ言って数に頼って襲いかかってくるレベルの不良達なら何十人でも撃退できる程に当麻は強かった。
「それでも私はアンタを守るって決めてるんだから」
少女は手に電撃の槍のような物を作りだした。
「あの~、言ってる事とやってる事が違うような気がするのですが・・・」
当麻は冷や汗を滝のようにかきながら質問する。
「だってアンタは私が強くないと思ってるから私に頼らないんでしょ?」
「いや、いくらレベル5でも女の子に頼むのはどうかと思うんで・・・・」
「それでも私の方が強ければ頼めるでしょ?」
「だからアンタより私の方が強いって認めさせるんだコラー!!」
少女は手に持った電撃の槍を当麻に向かって投げる。
「ちょっと!?上条さんは無能力者なんですよ!!」
当麻は慌てて右手を前に出して電撃の槍を受け止めた。
それを見た少女はすぐに次の行動に入った。
少女はポケットから何の変哲もないゲームセンターのコインを取り出し、上にはじく。
「っ!!」
当麻はすぐに反応し、右手に魔力を集め前に突きだす。
その瞬間、当麻に向かってオレンジ色の光線が伸びる。
しかしそれは当麻の右手に触れた瞬間何事も無かったかのように消える。
「さすがにこれは上条さんでもビビりましたよ?」
手の中にあるさっき少女が飛ばしたコインを見つめながら言った
しかし少女は俯いて反応しない。
「御坂?」
「・・・・・なんで・・・・」
「ん?」
「なんでアンタに追いつけないのよっ!!」
少女が顔を上げて当麻に怒鳴る。
「私がどれほど努力して、
少女はこの街に来て少年に追いつき、追い越して、守れるようになる為に努力してきた。
この街に七人しかいないレベル5という名の地位に着くまでに血反吐を吐くような努力をしてきた。
しかし力を付ければ付けるほど、目の前の少年が見えない事が分かってきた。
「でもどんなに努力してもアンタは私のはるか先にいる・・・」
当麻を少女は睨む。
「だからいい加減、アンタの背中を守らせろって言ってるのよ!!」
自分の強さを認めさせるため、少女は全力で能力を使い特大の雷を当麻に落とした。
「ハァ・・・ハァ・・・」
土煙の向こうを少女は睨みつける。
「あぶね~、気が付かなきゃ焦げ炭になってたぜ」
「っ・・・・・」
少女は右手を掲げ、なお余裕そうに立っている当麻に唇を噛んで悔しがる。
「急がなくてもいいからさ」
当麻がゆっくりと歩み寄る。
「ま、何時か追いついてくれよ」
当麻は俯いている少女の頭をクシャクシャっと撫で、そのまま歩いて行った。
「・・・・・ほんと、悔しいわ・・・・」
取り残された少女は呟く。
「アンタにそう言われれば諦められないじゃない・・・・・・」