勇磨の容姿モデルは漫画B・Bの蓮太郎、性格はSAOのキリトと七つの大罪のメリオダスのMIX。
明理の容姿モデルは
彩花の容姿モデルはSAOのアスナ。
雛乃の容姿モデルはSAOのユウキと延珠のMIX。
バルバトス兄妹は完全オリキャラ。
愛香の容姿モデルは火垂と東方ProjectのリグルのMIXです。
以上、長くなってしまいましたが、悪しからず。
それでは激動の第二章、スタートです!
少女、
生来規則正しい生活を送ることが得意だった明理は、本来一般的な小学生が目覚めなければいけない時間よりも大幅に早く目が覚めてしまうのだ。
昨日も遅くまでアクションゲーム
まずはしばし勇磨のどこか線の細い中性的な顔を眺め、ゆっくりと身体を起こす。そして彼の
十秒ほどで覚悟を決め、薬品の入った注射器を自分の左
チクリと
やはり、自分で注射をするという恐怖にはなかなか慣れるものではないな、と思いながら、明理は詰めていた息をそっと吐いた。
自分たちイニシエーターには一日一回の浸食抑制剤の注射が義務づけられている。
なんとか日課を終えると、今度はベッドを立って朝のコーヒーを
ひと通り身支度を済ませてコーヒーをひと口
「ん、あぁ……。相変わらず早ぇなお前は……」
「勇磨さんが遅いというのもあると思いますよ。私が早起きなのは認めますが、
勇磨はまだ頭が完全に
「いや、だってお前、いま何時だと……」
目覚まし時計を見て一度固まった勇磨は、顔を上げてしばらく考え込んだ後、再び
「──二度寝するなあッ!」
やや大きめの声で
明理の日課が浸食抑制剤のセルフ投与なのに対し、
それはズバリ、VRMMORPG内における肩慣らしだ。
何でも勇磨
まぁ確かに彼の言う理論もあながち間違ってはいないと思うが、正直なところ明理はまだ身体が未熟なため、寝起き早々に仮想空間にダイブするのは出来れば
そんな明理の心中などいざ知らず、勇磨は独り元気に準備運動をしていた。効果があるのか
今日明理たちがダイブしているのは、フィールド名『草原』。
その名の通り、広い草原が三百メートル四方ほどの範囲でシステム的に区切られた
「よーし、こんなところで良いか。明理ー、んじゃ始めるぞー」
「勇磨さんは
すると、勇磨は
「んー……そりゃあやっぱり慣れだな、慣れ。明理もあと何回かダイブを経験すりゃあそのうち慣れるさ」
「はぁ……」
「そんじゃ、準備は良いか?」
勇磨の言葉に仕方なく
勇磨はもしかすると『仮想空間だと、明理が能力を使えないためフェアに戦える』ぐらいに思っているのかもしれないが、明理はこれまでの経験則から、ある仮説を立てていた。
それは『身体はあくまで現実世界に存在するわけなのだから、能力は
実際、明理はこれまでの数十回にも及ぶダイブの中で、力を解放している時と同じような感覚に襲われたことが何度かある。あれは実は『現実世界の明理の身体は能力を解放している状態』なのではないか。
そんなことを考えながら、明理はバチッと音がするほどの勢いで
きっかり三秒後、明理と勇磨は同時に足元の下草を
三十秒後。
明理は、首筋に見事に
「大丈夫ですか、勇磨さん」
「あ、あぁ……大丈夫、だい、じょう……?」
勇磨は言いながら、明理の足下で顔だけもち上げた姿勢で硬直する。
「……?」
「あッ、いやッ、なんでもねぇ、大丈夫だ……ッ」
突然
「ふぅ……。いやぁ、明理は強いなぁ!」
何故か視線を合わせようとしない勇磨を見ていると、不意に頭の中にある考えが浮かぶ。
直後、明理は無意識に勇磨の
「あ、ちょッ。ごめッ、わる……悪かった、悪かったって! 明理さん
「いまの反応、さては見ましたね?」
「だから悪かったって言ってんだろッ。いい加減スネはヤメロォ……ッ」
しばらく子供じみた小競り合いを続けていると、不意に笑いが込み上げてくる。気づけば勇磨も笑みこぼれていた。
「まぁ勇磨さんですから、許してあげます」
「え? それってどういう──痛いッ。だから蹴るなって、おい……ッ。蹴る場所を変えれば良いってもんじゃねぇぞコノヤロッ」
現実世界に戻ってきた明理は、ヘッドギアを外すと再び笑いの波をぶり返す。
「フフッ、さっきのは面白すぎますよ勇磨さんッ」
「へぇ……。こっちは足が部位欠損するかと思ったっての……」
明理は部屋の隅に置かれた姿見を首を伸ばして見る。当然、能力を解放したかどうかが見てわかる訳はないので、いまの明理の
「さて、それじゃあ今度は、本格的に
「おう、後で庭に集合な」
勇磨もそういって、いつも通りにやりと笑った。
自宅の庭に移動すると、そこには
「──ハアッ」
「──アハハッ、まだまだぁッ」
「あれは……どう見ても……」
「……ですね……」
勇磨と二人で
「あ、勇磨くんおはよー。遊びに来ちゃった♪」
「いや、『遊びに来ちゃった♪』ってアンタ学校……あ、まだ時間あるか……」
少女、
「……とりあえず、住居不法侵入で通報して良いですか──うおッ、ちょッ、木刀投げるのはナシ!」
一転、笑みを張りつけたまま勇磨と中庭で追い駆けっこし始めた彩花に、呆れてものも言えない明理だった。
「あ、それ楽しそう! ボクも混ぜてー」
「あのですね
しかし当の茶髪ツインテールの少女も悪びれもなく応える。
「でもボクたち仕事仲間じゃん。
「あくまでも、これは常識的範囲内での話です……。もっと常識を
「じゃあ良いじゃん! ボクたちは仕事仲間、そして仕事仲間の家に仕事の訓練をするために来た。ね?」
「はぁ……」
1
結局、朝の訓練は桐谷ペアと東國ペアのタッグマッチという形で行われることとなった。
場所は、東國民間警備会社事務所からほど近い市民体育館。早朝ということもあって人は少なく、彩花が交渉役となって穏便に貸し切らせて頂く。
勇磨と明理、彩花と雛乃は距離を取って
彩花は先ほど手にしていた木刀一振り。だが雛乃の方は両手の周りを比較的がっしりした
対してこちらの装備は一貫して簡素なもので、なんの
互いの手の内その他は知っているので早速始めようとしたが、そういうところは
「改めて名乗るね、勇磨くん。私は序列三千七百位、東國彩花」
「ボクも同じく序列三千七百位、モデル・ゲッコー、
彼女はゲッコー、つまり
そこそこの高位序列者が場にいることを知り、体育館入り口にいた数人のギャラリーが、背後でわずかに沸く気配。
明理も
「それでは私も名乗ります。序列二万四千六百八十位、モデル・キラーホエール、浪川明理」
勇磨はちらりと
しかしいま、彼女は恐らくまったく本気ではない。加えて、明理の因子は
そんな勇磨の
「大丈夫ですよ、勇磨さん。社長達が相手である以上本気は出しませんが、その代わり手加減もしません。やるからには必ず勝ちにいきましょう」
勇磨もその言葉で、完全に気持ちを切り替えた。
周囲に
明理、雛乃の
「さぁ、いっくよーッ!」
雛乃の元気な掛け声を合図に、二人が同時に突っ込んできた。
勇磨は目を見開いて彩花の木刀の動きに集中。彼女の基本スタイルは突き技だ。
まずは
VRMMORPGで使う剣技のひとつ、『ブラッド・サーキュラー』。内側の剣が相手の
彩花の木刀を弾いたところで、攻撃のヒットを確信するが、そうは
今度はこちらからだ。勇磨は右手を引き戻し、単発突き込みの『スラスト』から四連続技『スクエア』へ。更に左の剣で二連続技『ジ・アーク』、合計七連撃を放つ。
勇磨は基本的に『持ち前の高い記憶力と運動神経でアクションゲームの動きを再現する』という、明理に言わせると『剣道の達人が使う戦法の十倍おかしい』戦法をとる。
だがそれは彩花も無論知るところ。勇磨の木刀の動きをしっかりと捉え、着実に弾き、また
勇磨は今度はあえて距離を取り、彩花の攻撃を誘う作戦に出た。彼女は勇磨の思惑通り防御を捨てて突っ込んでくる。勇磨は彼女の攻撃を数発かわしたあと、反撃に左の木刀を振りかぶる──フリをしてそのまま投げ捨てた。
仕事仲間にして友人──
──『
ならばいまここで、その力、存分に試させて
──天童式戦闘術一の型八番──。
「『
「えッ、ちょッ」
彩花が目を見開いた直後、彼女の腹に
「ケホ……ッ。ちょっと勇磨くん? 女のコを
「いや、仕方ないだろ勝負なんだから……。──ホラホラいくぜぇッ」
勇磨が殴りかかるのと同時に、彩花の
──二の型十六番──ッ。
「『
彩花は、勇磨の回し
「くおッ」
勇磨はバックステップを
勇磨の右眼の黒目内部に、
足元に転がった木刀をつま先で弾き上げると、そのまま二刀を本能のままに振るう。
二刀流上位剣技、『サターンズ・ギア』。十六連撃。
勇磨は静かに残心すると、そこで我に返り、
「……。……あッ、
左
「いったたた……。もー勇磨くん、
「ごめんごめん、ついアツくなっちまった」
「じゃあこの勝負は引き分けだね」
「え、なんで、
「勇磨くんは反則減点だから、私と同点なのッ」
「えー、謝ったじゃんかよぉ……」
そんなことを言っている間にも、もう一つの勝負も決着がつきそうだった。
しかし、勇磨はそれでも相棒に対する絶対的な信頼感から、頭の後ろで手を組むと口を開く。
「勝ったな」
「雛ちゃんがね」
「へッ、明理が、だよ」
「えぇ? だってあの状態だよ?」
「彩花さんこそ、明理の
雛乃は、フェイントを交えながら突進を繰り返しているが、明理はそれらには目もくれず、時折襲い来る攻撃だけを確実に
あれでは三六〇度あらゆる方向に目があるのと同じことだ。さすがは彩花に
雛乃は苛立たしげに大きく跳び上がると
ちなみに、彼女愛用の靴もウチの
「明理ちゃーん、降参してくれても良いよー」
しかし、明理は動かない。雛乃はそのまま明るい声を出す。
「そっかぁ、じゃあ仕方ないね。ちょっと痛いよ?」
雛乃は足をたわめると思い切りバネの力を貯める。
「リザードファング、モード『
雛乃が腕を後ろに持っていくと、彼女の装備する
あれが彼女の武器、リザードファングの特徴。その時々に応じて、通常形態を含めて三つのモードに変形出来るのだ。
次の瞬間、イニシエーターの
と、思いきや、雛乃が着地したのは明理のわずか一メートル手前だった。雛乃はあえて決着の一撃を浴びせると見せかけて、フェイントをかけたのだ。
そのまま彼女は地面と平行に跳ぶと、体育館の横壁に張りつく。そして再び
「モード『
図らずも義眼を発動していた勇磨には、その決定的な瞬間を見ることができた。
明理が雛乃と激突する寸前、彼女の腕が振り抜かれる。そして二人が
「グエッ」
雛乃の奇声とほぼ同時に床面が爆裂。白煙が吹き上がる。
それが晴れた後に見た光景を、果たして勇磨以外の
雛乃はイニシエーターの膂力によって振り降ろされた木刀の一撃により、その全身を体育館の床にめり込ませていた。
決着、である。
明理は、もう大分前から勝敗の
「雛乃さん、大丈夫ですか?」
「…………」
沈黙していた雛乃だったが、すぐに床に手を突くと跳ね上がって四つん這いのまま明理から距離を取る。
「まったく、明理ちゃんは強いなぁ。全然
床を突き
明理は微笑を浮かべて雛乃を見る。
「一つだけアドバイスです、雛乃さん。攻撃する時にいちいち掛け声をかけているようでは、どんなフェイントも私を含め、私以上強いイニシエーターには効きませんよ」
「うーん、でもこうしないと締まらないっていうか、いまいち力が湧いてこないんだよねー」
「例えば、それを心の中で言うだけに
「そっかぁ。……うん、練習してみる」
勇磨はふと、先ほど思ったことを指摘してやる。
「そういや雛、さっき
雛乃ははにかみながらスカートを押さえる。
「もう、勇磨ったらどこ見てんのさッ」
明理が
「勇磨さん、そういうことをデリカシーがないと言うんですよ?」
そこで隣の彩花がパンパン、と手を打ち鳴らす。
「さぁ、試合も終わったことだし、学校行かないと
その言葉に、勇磨もハッとして腕時計を確認する。
途中から朝練であることを忘れて没頭していたが、もう始業時刻の四十分前に
2
青空教室には今日も沢山の『子供たち』が集まっており、楽しそうにお
しばらくするとスーツを着込んだ黒
早速授業が始まったが、クラスでもずば抜けた頭脳をもつ明理にとってこれほど退屈な時間はない。
国語の授業は空を飛ぶ
昼休みとなり、皆で元気よく走り回っていたとき、明理のスマホが鳴った。
立ち止まり、応答ボタンに触れる。
「もしもし、どうしました?」
『こっちだ、明理』
思いの
用件は実に簡潔なものだった。
なんでも政府からの呼び出しで、重要な用件があるので防衛省まで来い、ということらしい。
どうやら、先日戦ったモデル・スパイダーの一件が
しかしおかしな話だ。何故いつも
考えれば考えるほどわからなくなっていく疑問を
昼下がりの庁舎は
勇磨達が入り口で名前を告げると中に通され、第一会議室と書かれた部屋の前まで案内される。
勇磨が彩花に代わって扉を開けると、中を見て思わず声を上げる。小さな扉からは想像できないほど中は広く、中央には細長い
そして案の
仕立ての良いスーツに
一体、これからここでなにが始まるってんだ?
勇磨達が部屋に足を踏み入れると、中に詰めていた人間たちの雑談がわずかに収まる。そのまま、部屋の中ほどまで来ると、近くにいたプロモーターやイニシエーターの会話が耳に飛び込んできた。
「これからなにするって?」
「なんかこの間倒されたガストレアの事で聴取だと。なんでこんな回りくどい方法取るかね」
「なんでも、『感染源』が見つかってないらしいぞ」
「えー? それチョーヤバいじゃん」
勇磨は正面を向いたまま黙考する。
彼らの話が本当ならば、勇磨達が倒したガストレアは『感染者』であり、『感染源』の方は見つかっていない。となると、更にもう一人以上の『感染者』を出したガストレアがまだこの東京エリア近辺をうろついているということになる。確かにそれは一大事だ。もっとも、政府が『バイオハザード警報』を出していないこの状況自体、異常なのだが。
しかし、どういうことだ? ここ最近で見つかった獲物は勇磨達が倒したあの一体だけではないのか?
そこで勇磨は、視界の端に奇妙なものを捉える。
恐らくイニシエーターなのだろうが、
──なんだアレ?
勇磨が思わず顔をひねって彼女と視線を合わせようとしていると、プロモーターらしき青年がなにごとか合図を送り、少女はすぐに降りてしまう。
逆さまになっていた、ということはそのような生態をもつ生物のガストレア因子が発現した
と、その時、部屋の扉が外側から開かれ、民警達のお喋りが止む。
入ってきたのは、勇磨と同年齢くらいの黒服の少年と、彩花と同じデザインの黒セーラーの美少女の二人組だった。少年は遠目にもわかるほどぎょっとした顔をした後、少女と何事か言葉を交わす。
その時「アァー?」というガラの悪い声がして勇磨はそちらを見る。そしてぎょっとした。
燃え上がるように
見間違いようがない。あの特徴、
民警業界では言わずと知れた大手企業『
闘神は聞こえよがしにがなりながら、ズカズカと先ほど入ってきた少年達の元に歩いていく。
「おいおい、最近の民警の質はどうなってんだよ。お前等みてぇなのが民警だと? ガキが」
勇磨が
「あぁ?」
「アンタどこのプロモーターだ。用があるならまず
──直後、将監がいきなり少年に向かって頭突きを食らわせた。他の民警たちが「ヒョー、痛そーっ!!」といって
「
少女が叫んだが、同時に少年は右手を床に突くと、高速で一度バック宙をして
将監は「ほぉー……」と意外そうに
「テメェ、ムカツクやつだな」
「アンタほどじゃねーよ」
少年が、
不穏な空気を感じ取った勇磨はひとり、スタスタとその
「おいガキ、テメェ、プロモーターなら道具はどうした。そんな
「道具……?」
「ああ? 決まってんだろ──イニシエーターだよ」
「なッ。イニシエーターは……ッ」
「──おー! もしかして
「あ?」
将監に負けじと声を張り上げながら勇磨が近づいていくと、言うまでもなく
「お前は……ッ。
「よッ」
勇磨が片手を上げて
「おい、なんだガキ、テメェも民警か? 挨拶の
その言葉にも勇磨は
「なんなら、試してみるかい?」
全力のドヤ顔を見せつけられた将監の怒りは、どれほどのものだっただろうか。やがて何を思ったのか、無言で
民警の中には、キチンと自分の哲学をもって戦う者もいる。しかし、ただ暴れる場所が欲しい者や、逃げ込むための隠れ
ただ、その中でもよりによって、高位序列者に目を付けられてしまうとは、こちらの彼も引きが悪かったらしい。
勇磨は気持ち肩をすくめて気分を切り替えたあと、図らずもハズレクジを引いてしまった目の前の少年に向き直る。
「危ないとこだったな。頭はどうもなってないか?」
「大丈夫だ。あぁその……助かったよ、ありがとう」
「なに、当然のことをしたまでさ」
あくまでもキザな態度を取り
「まったく、なに格上相手に
「いや、だってよ、あのまま
「はぁ……」
どちらからともなく
3
その時、再び会議室の扉が開かれ、制服を着た
「ふむ、空席一、か」
見れば確かに、勇磨たちの正面一つ
「本日集まって
勇磨は鼻から小さく一つ息を吐く。さしずめ、
周りを見渡すが、当然
「よろしい。では辞退はなしということで進行する。続いて依頼の説明だが──この方に行って貰う」
次の
『ごきげんよう、
彩花がカッと目を見開き、同時にその場にいた社長格の人間たち全員が泡を食ったように立ち上がる。
勇磨も信じられないという表情でパネルを見つめていた。
ウェディングドレスに似た純白の礼装に雪を被ったような白髪──見
その隣には、つかず離れずの距離で影のように
『それでは
そして二つ目。このガストレアに取り込まれていると思われる
最後の言葉と同時に、ELパネルに別ウィンドウが開かれ、ジュラルミンシルバーのスーツケースの写真がポップアップ。さらにその下に成功
「おい、あの報酬本気か……?」「なんて額だ……」「一匹のガストレアにこれほどとは……」
その時、民警の中から一人、挙手する者が現れた。
「そのケースの中身、聞かせていただいてもよろしいですか?」
『あなたは……?』
「
『……お
「
問題は──なぜそんな簡単な依頼を、破格の依頼料で、しかも民警トップクラスの人間達に依頼するのか
聖天子の
『……それは知る必要のないことでは?』
「かもしれません。しかし、あくまでそちらが手札を伏せたままならば──ウチはこの件から手を引かせていただきます」
木更が
『……ここで席を立つと、ペナルティがありますよ』
「覚悟の上です。そんな不確かな説明で、ウチの社員を危険に
木更は立ち止まると半分だけ振り返り、
なんと
しかし次の瞬間、
『
「私だ」
勇磨を始め、全員の視線が声の主に集まる。そこでぎょっとした。
たったいままで確かに空席だったはずの大瀬社長の席に仮面、シルクハット、
「なッ、なんだこいつは!?」「いきなり現れたぞ!!」
その時、蓮太郎が目を見開く。
「お……お前は……ッ」
「いよっと」と掛け声を上げて男は体を
「お初にお目にかかるね、無能な国家
男は言いながら、シルクハットを取って体を二つに折り畳み、
「端的に言うと──キミたちの敵だ」
「お前ッ……!」
蓮太郎が恐怖に駆られて
「おお、元気だったかい里見くん」
「どっから入ってきやがった!」
勇磨を始めとした列席者達は訳がわからなくなっていた。蓮太郎とだけ面識がある? どういう事だ?
「フフフ、ちゃんと正門からお
──殺……させた?
「おおそうだ。この機会に私の
「──はいパパ」
そこで、蓮太郎の影がゆらりとブレたかと思うと、彼が振り返るよりも早く、彼と木更の間を少女が歩き過ぎてきた。
勇磨の首筋の毛がゾッと逆立つ。いつからあそこにいた?
ウェーブ状の短い黒髪、フリル付きの黒いワンピース。腰の後ろに交差して差された二本の
「うんしょっ」といって手を突き足を上げ、
「蛭子小比奈、十歳」
「私の娘にして──イニシエーターだ」
──イニシエーター!? この男、民警なのか!?
小比奈は眠たげな顔でゆっくりと首を巡らせると、やがて控えめに
「ねぇパパ、あいつテッポウこっち向けてるよ、斬っていい?」
「よしよし、だがまだ駄目だ。我慢なさい」
「うぅー……」
そこで勇磨は、彼女の腰の小太刀の鞘口から小さく血が
蓮太郎は銃を構えたまま、空いた手で
「ここに何の用だ……ッ」
「ああ、挨拶だよ。私もこのレースにエントリーすることを伝えておきたくてね」
「エントリー……?」
「そう──『
その単語を聞いた瞬間、
「『七星の遺産』? なんだよ、それ」
「おやおや、君たちは本当に何も知らされないまま、依頼を受けさせられようとしていたんだね、
「ならあの日、お前があの部屋にいたのは──」
「ご明察。だが追っていた
「
影胤は両手を大きく広げて卓の上で回転した。
「諸君ッ、ルールを確認しようじゃないか!
『七星の遺産』はガストレアの体内に取り込まれているだろうから、手に入れるには感染源ガストレアを殺せばいい。
──その時、あさっての方向からギィン、という金属音がして、
「黙って聞いてりゃあごちゃごちゃと──うるせぇんだよ!!」
次の瞬間、影胤の
「ぶった
だがバシィッという
「なッ──」
何が起こった!?
一瞬のことだったが、将監の剣と影胤の間に青白い
──あれは、まさか……?
そうこうしている間にも、反動で下がった闘神が、背後に絶叫。
「
直後、すさまじい勢いで壁面を駆け上っていく少女に気づいた。
「
少女──夏世の瞳が赤い残像を残して
夏世が将監の剣を
逆巻く衝撃波が、将監のドクロスカーフをなびかせた。
勇磨はゴクリと固いツバを飲み込む。
なんて連携だ……! これが、千番台か……!!
「……──ヒッ、ヒヒッ、ヒヒヒヒヒッ。いやいや、さすが大口をたたくだけのことはある。ちょっとだけ見直したよ。だが残念ながら……」
白煙が徐々に晴れ、怪人の姿が明らかになる。それを見て、将監は
「なんだよ……そりゃあ……」
「──キミでは及ばなかったようだ」
影胤の仮面から二十センチほどのところで、将監の剣は不可視の壁に
「下がれ将監!」
そこで
その時を見計らっていたかのように、集まっていたすべての社長とプロモーター、そして一部のイニシエーターたちが自衛用のピストルを抜いて一斉に引き金を引きまくった。勇磨も撃つ。隣の彩花も撃つ。ラクシオも撃つ。
耳を
それはドーム状のバリアだった。
拳銃弾がバリアに当たると、けたたましい音と共にあさっての方向に跳ね返る。勇磨達の所に飛んできた
勇磨も
「そん……な……」
蓮太郎が忘我の表情で声を
一方で勇磨は先ほどの奇妙な
やっぱりか、こいつの能力は……ッ。
「どうだい?
「……バリア、だと? お前、本当に人間なのか……!?」
「人間だとも。ただこれを発生させるために、内臓のほとんどをバラニウムの機械に詰め替えているがね」
「機械……ッ!?」
「そう! 私は選ばれた人間、人の上を行く人!
改めて名乗ろう! 里見くん! 私は元陸上自衛隊東部方面隊第七八七機械化特殊部隊『新人類創造計画』蛭子影胤だ」
三ヶ島が
「ガ……ガストレア戦争が生んだ対ガストレア用特殊部隊ッ? 実在するわけが……」
「信じる信じないはキミの勝手だよ。まぁ何かね里見くん? つまり私はあの時まったく本気ではなかったのだよ、悪いね。まあそんなお詫びの気持ちも含め、キミにプレゼントだ」
影胤は音もなく蓮太郎の目の前までやってくると、マジックショーさながらに白い布を自分の
「絶望したまえ民警の諸君。滅亡の日は近い。行くよ小比奈」
「はい、パパ」
「それでは──ごきげんよう」
二人は
勇磨を含め、室内にいた人間はしばらくの間、動けなかった。
勇磨も
その時、蓮太郎の肩に手が置かれ、ビクリとなる。木更が厳しい表情で
「里見くん、説明なさい。あの男とどこで出会ったの?」
「それは……」
蓮太郎が言い
「天童
「答える必要はない」
重い沈黙が下りかけたその時、突然半狂乱の
「たッ、大変だぁぁッ。しゃッ、社長が……ッ、社長があああッ」
「おい! どうした!?」「何があった!」と社長格の人間達が口々に呼びかける中、彩花が冷静に口を開く。
「欠席した
「様子がおかしいぞ」
勇磨がそう返した直後、男が続けて叫ぶ。
「社長が……自宅で殺された……! ──死体の首がッ、どこにもないんだァッ」
全員の視線が、蓮太郎の目の前に置かれた箱に向けられた。
箱の一辺は三十センチほどある。蓮太郎は
──しばらくそれと対面した後、蓮太郎はゆっくりと蓋を下ろす。
拳を握る手が震え、蓮太郎は震える声を
「……ぁ……の……野郎ぉッ!」
『
『事態は
ケース奪取を
「──聖天子様」
彩花だ。彼女はヘイゼルの瞳に見たこともないほど厳しい色を浮かべ、続ける。
「今度こそケースの中身、教えていただけますね?」
聖天子は目をつぶり、小さく
『ケースの中に入っているのは『七星の遺産』。邪悪な人間が悪用すれば、モノリスの結界を破壊し──東京エリアに『
はい、ここまでお付き合い下さりありがとうございます。というのも今回、原作や漫画B・Bのネタをふんだんに盛り込んだ結果なんとFT二次創作を含めても最長の一万八千字超えを記録してしまったからです汗
因みに今回のお話は、原作の第一章後半が丁度終わったところですね。前回より該当箇所の総合ページ数が少ないのにボリュームが増すとはこれ
まぁ自分としては原作のストーリーは基本的に変えずに蓮太郎達とは別の視点から物語を描きたいと思っているのですが、ここまで原作等のネタを使っていて、アカバンされないかちょっと心配だったりします笑
しかし! 自分も原作第八巻を熱望し、漫画B・Bの作風をこよなく愛するファンの端くれ。このまま自分の道を突き進んでいきたいと思います!
それでわ、しーゆーあげいん!
〈加筆修正一覧〉
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