ブラック・ブレット・オリジナル   作:水天 道中

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読者の皆さん、お久しぶりです。
ここ数日は比較的順調に活動を進められていたので、GW中の投稿を目標に頑張っていたのですが、気づいた時には意外なほどあっさりと連休の最終日を迎えてしまっていました。この場合、どう挨拶(あいさつ)すれば良いんでしょうか?
明けましておめでとう? ハッピーバレンタイン? あるいはハッピーイースター? どれを取っても、時候(じこう)の挨拶をするには中途半端なことになってしまいましたね。

さて、気を取り直して。それでは物語の一つ目の山場に向けて()き進んでいく第六章、どうぞ!


第六章 希望を背負った者たち

 午後九時。

 東國(とうごく)民間警備会社の全社員を乗せた輸送機のローター音を聞きながら、愛香(よしか)はラクシオが一同に配布した板チョコを黙々(もくもく)咀嚼(そしゃく)していた。

 板チョコは軽くてかさばらないうえに高カロリーなのでサバイバルに好適で、自衛隊などでも隊員に携帯食料としてチョコを支給しているらしい。

 愛香はフライトジャケットでやや着ぶくれした体をよじると、眼下に広がる森を眺めた。森には月明かり程度では到底見通せない深い(やみ)(わだかま)っている。

 今日(きょう)の昼聖天子(せいてんし)直々(じきじき)に行われた事前説明(ブリーフィング)によれば、影胤(かげたね)が潜伏しているのは元千葉県の房総(ぼうそう)半島付近とのことだった。

 我孫子(あびこ)白井(しらい)などの東京寄りの地域を除いた千葉県の大部分はモノリスによる囲いが間に合わなかった。

 輸送機は、随分前に国境線であるモノリスも越えている。このあたりはすでにガストレアの闊歩する危険地帯、未踏査領域だ。

 このどこかに、IP序列元百三十四位のペアが隠れ(ひそ)んでいる。他の民警(みんけい)たちも、ヘリや輸送機で各々(おのおの)の担当エリアに投下されている頃合(ころあ)いだ。

 愛香は板チョコを持つ右手が小刻みに震えているのに気づき、そっと二の(うで)をかき(いだ)く。

 これは彼らを狩りだすための言わば総力戦だ。作戦に投入された多数の民警の中には、影胤ペアより序列の高い者もいるかもしれない。

 どこに潜伏しているとも知れない影胤たちを、東國民間警備会社がいの一番に見つけて戦闘(せんとう)になる可能性はごく低い。それなのに、緊張は時を追うごとに増していく。この名状しがたい焦燥(しょうそう)は何なのか。

 不意に肩をつつかれてハッとする。

「あのさ、ちょっと聞いていい?」

 愛香と同じく緑のフライトジャケットを着込んだ雛乃(ひなの)が気づかわしげにこちらを見ていた。

「えぇ、もちろん。どうしたの?」

「病室で話してたステージⅤって、何? ガストレアはステージⅣまでしかいなかったよね?」

「……え? 雛乃、あなた民警マニュアル読んだこと無いの?」

 愛香が思わず聞き返すと、雛乃は後ろ頭を()く。

「読んだことはあるけど、細かい部分とか難しいとこはあんまり覚えてなくて……」

 唖然(あぜん)としながら首を(めぐ)らせると、彼女の正面に座る彩花(あやか)がぎくりとして視線を()らした。

「あの、東國社長?」

「……ハイ」

「仕事に必要な知識ぐらい、せめて自分のイニシエーターには覚え込ませるべきだと思うんですけど」

「ハイ、ごめんなさい……」

 彩花がしゅんと肩をすぼめると、背後でラクシオが笑みこぼれる気配。

「内地で仕事をしている分には、この先必要になる知識もそこまで重要ではないからね。でも確かに愛香(よしか)の言うことももっともだ。ここは僕からひとつ、改めて説明しようかな」

 ラクシオは「他の皆も聞いていてほしい」といって注目を集めると、ひとつ咳払(せきばら)いをして続ける。

「通常、ガストレアはステージⅠから始まって、ステージⅡ、ステージⅢと成長するごとに大きく、皮膚(ひふ)も硬くなっていくよね? それと同時に、色々な生物の遺伝子を取り込むから、どれもユニークな姿になる。よって、ガストレアへの対処法の決定版というものは存在しない」

「うん、そこまでならボクも知ってるよ」

 雛乃がこくりと(うなず)いた。

「そうだろうね。ステージⅤというのは、そんなガストレアの常識の外にいる存在だ。ガストレアは完全体(ステージⅣ)になって以後、成長はしないはずなんだけど……ステージⅤは確かに存在する。十年前、ガストレアが世界に同時多発的に現れた当時からその存在が確認されているんだ。どのように生まれたか、どこから来たのかは(だれ)にもわからないけど、とにかく大きくてステージⅣが子供に見える」

 そこで明理(あかり)も口を開く。

「おまけに、自重で(つぶ)れないように皮膚や筋肉、骨や内臓に至るまでが強化されており、他のガストレアとは比較にならないほど硬いです。ガストレアウィルスは生物を設計するデザイナーに例えられることもありますが、ステージⅤはその作品の究極形といったところですね」

「でも、モノリスがあればどんなガストレアでも東京エリアには入れないでしょ? 大きくても意味なんて無いんじゃ……」

 愛香は食べ終わった板チョコの包装紙をラクシオに手渡すと、()め息混じりに応える。

「問題はそこね。結論から言うと、ステージⅤはバラニウム磁場の影響を受けないの」

 雛乃(ひなの)が目を丸くした。いまいち危機感の欠けていた彼女も、これで気づいただろう。人類はバラニウムの(かたまり)でモノリスを作り、この十年仮初(かりそ)めの平和を保ってきたのだ。それが破られる可能性がある。

 続いて、勇磨(ゆうま)が口を開いた。

「それだけじゃない。わけても恐ろしいのはステージⅤによってモノリスが一ヶ所でも壊された場合だ。そうなると崩壊(ほうかい)した箇所からステージⅣまでのガストレアが侵入してくる。もし、それが起こった場合……」

「ど、どうなっちゃうの……?」

「──『大絶滅(だいぜつめつ)』」

 明理の言葉に、雛乃の体がびくりと強張(こわば)る。

「私たちはそういうケースのことを、そう呼びます。過去に中東やアフリカで起こったことがありますが、あれは端的に言って地獄かと」

 そこで勇磨が居住(いず)まいを正し、告げた。

「わかっただろ雛、いまが東京エリアに大絶滅が訪れるかどうかの瀬戸(せと)(ぎわ)だ。ステージⅤを人為的に呼び寄せる方法があるなんて未だに信じられないけど、政府主導でこれだけ大規模な作戦が展開されてるってことは多分、本当にある。そしてそれは、蓮太郎(れんたろう)たちが奪われたあのケースが発端になってるんだ。

 これはなにもあいつ()尻拭(しりぬぐ)いなんて話じゃない。民警全体の責務なんだ。だから(おれ)たちで、影胤(かげたね)たちを倒してステージⅤの召還(しょうかん)を止めなきゃいけない」

「ステージⅤっていうのは、たくさんいるの?」

 その問いに、いままで事の成り行きを見守っていた彩花(あやか)が口を開く。

「目撃されてるのは十一体。奇跡的に二体だけ倒されてるね。あまねくガストレアウィルスに感染した細胞は末端染色小粒(テロメア)を修復・再生するから理論上、寿命では死なない。私たち民間警備会社の究極の目的は残り九体のステージⅤの撃滅(げきめつ)なの。ううん、人類の悲願と言ってもいいね」

 その時操縦士から「着きました」と声が掛かった。彩花は雛乃に手を伸ばし、力強く微笑(ほほえ)みかける。

「さぁ行こう、雛ちゃん。東京エリアを私たちで救うのよ」

 

 

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 作戦を終え帰投の途につく輸送機を見送ってから、彩花は(となり)雛乃(ひなの)を見た。

「ここからは、絶対に大きな音を立てちゃ駄目だよ」

「なんで?」

「ガストレアを起こすから。動物には、私たち人間みたいに朝起きて夜寝る種類もいれば、夜行性っていって、夜中に起き出して活動するのもいるの。大きな音を立てたら夜行性のガストレアを引き寄せるだけじゃなくて、いま寝てる動物も起こすことになるから大変なんだよ」

 彩花に続き、やや離れた位置に立っていた明理(あかり)も口を開く。

「私も、普段は歯を打ち鳴らした反響音で周囲の状況を探っていますが、ここからは超音波式に切り替えるつもりです」

 雛乃は「ふむふむ」と(つぶや)きながら、赤いとんぼ玉の髪飾(かみかざ)りで()われたツインテールを縦に振った。

 彩花は表情を引き締めて、周囲に視線を(めぐ)らせる。

 東國(とうごく)民間警備会社の面々が降りたのは広範な森の中だった。背の高い常緑樹が鬱蒼(うっそう)と茂り、先日の豪雨のせいか森全体が()れていて、強い湿気と夜のにおいがする。

「さて、それじゃどうする、社長? 暗すぎてお互いの顔もよく見えねぇけどよ」

 勇磨(ゆうま)の言葉に、彩花は(あご)に手を当て考え込んだ。

「ひとまず安全を確保するためにも、引き続き固まって動こう。それと、問題は……」

 そこまで言ってから、首を(かたむ)けて頭上を見上げる。三十メートルほどの高木の樹冠(じゅかん)が月を隠してしまい、森の中はひどく暗い。

明理(あかり)ちゃん、反響定位(エコーロケーション)は使えそう?」

 勇磨の隣に立つ小柄(こがら)な人影に向けて問いかけると、(よど)みない口調でいらえが返る。

「たしかに私の能力なら、この暗闇(くらやみ)でも状況の把握(はあく)は可能です。しかし緊急時のことも考えると、流石(さすが)に私ひとりで全員分の視界を補うのは無理があるかと」

 彩花は肩を落として小さく嘆息(たんそく)した。

「そうだよね……。本当はガストレアや影胤(かげたね)に居場所を知らせることになるし、あんまり使いたくなかったんだけど、これはそうも言ってられないかな」

 言いながらライトを取り出し、続ける。

「じゃあ皆、ペアごとに一列に並んで。それからラクシオさん、後ろから列を照らしててもらえる?」

「ああ、構わない。愛香(よしか)、はぐれないようにしっかりついてくるんだよ」

「大丈夫よ、背中は任せて」

 ラクシオの言葉に、愛香はすぐにアリの触角のような二本のアホ毛を小さく振って(うなず)いた。

 列の先頭に立った彩花(あやか)は、ラクシオと示し合わせてライトのスイッチ(ふた)底部を二人同時に(ひね)る。闇を切り取る光の()が様々なものを照らしだす。

 勇磨(ゆうま)はその光景に、呆然(ぼうぜん)としてしまった。

 気温はやや肌寒いほどなのに、熱帯雨林にしか生えないようなシダ植物や灌木(かんぼく)が光の届く限りどこまでも続いている。

 中には、見たこともないほどねじくれた幹を伸ばしながら周囲の木に(から)みついているものまである。絞め殺し植物というならば何度か写真で見たことはあるが、はたして黒と赤の(まだら)模様をしているものなど存在するのだろうか。

 なにより異様なのは、音だった。

 熱帯雨林の夜というと昆虫や鳥、カエルなどの合唱でかまびすしいほどなのに、この(まが)いものの森は死に絶えたかのような静寂が降りている。

「し、社長……」

 雛乃(ひなの)は気味が悪そうに彩花に寄り添った。ちらりと視線を振ると、傍らの明理も表情を強張(こわば)らせている。

「十年の間に、モノリスの外はこんなことになってたのね……。これが……『未踏査領域』……」

(おれ)たちも東京エリアからここまで(はな)れたのは初めてだけど、改めてひでぇ有様(ありさま)だな」

 ガストレアが支配する地域は、動植物の分布が滅茶(めちゃ)苦茶(くちゃ)になる。が、勇磨もここまでひどいものとなると初めて見た。勿論(もちろん)ガストレア化していない生物もいるはずだが、息を(ひそ)めているのか姿を見せない。

 彩花が歩きだしつつ腰からブッシュナイフを抜き、後ろに続く雛乃が通る際邪魔(じゃま)になりそうなものを切り払っていく。勇磨もそれに(なら)って明理の正面にできるだけ陣取(じんど)り、目につく障害物を取り除いていく。

 イニシエーターは強力な自己再生能力があるため、枝に(うで)(あし)を引っかけた程度の傷なら一瞬(いっしゅん)治癒(ちゆ)してしまうだろう。しかし痛覚はあるので、傷ついてもいいなどとは思えなかった。

「このまま森を抜けて、近場の街まで行こう」

 彩花が前を向いたまま口を開くと、雛乃が意外そうな声を上げる。

「この周囲を探せって言われてなかった? ジンカイセンジュツ……だっけ?」

「あー、それはそうなんだけど……」

 すると、勇磨の身体ごしに顔だけ出した明理(あかり)が割り込んだ。

「私も社長の意見に賛同します。こんな場所、まともな神経の人間なら長居したいとは思わないはずです。影胤(かげたね)ペアがまとも……か(いな)かはさておき、いくら彼らでも、ステージⅢやⅣの徘徊(はいかい)する森に(ひそ)んでいるとは考えられません」

(ぼく)も同感だな。きっと他の場所──」

 ラクシオがなにかを言いかけたその時、不意に上着の(すそ)が強く(つか)まれる。ぎょっとして振り向くと、明理が難しい顔でラクシオたちを押し(とど)めていた。

「どうしたんだよ、明理?」

「──シッ! ライトを消してくださいッ」

 そう言ってラクシオから懐中電灯をひったくると、有無も言わさず電源を切ってしまう。前を行く彩花も異変に気づいたらしく、光源を失った()()熱帯雨林に濃い(やみ)が充満し、視界がブラックアウトしかけた。

 服を引かれ、勇磨(ゆうま)戸惑(とまど)いつつ(かが)み込む。

「何だってんだ、さっきから?」

「とにかく静かに。全員、頭をできるだけ低く」

 直後、愛香が小さく(うめ)いた。

「うぐッ、ケホッ。なに、このにおい……ッ」

「におい? どんな?」

 ラクシオが小声で()くと、愛香(よしか)は鼻と口を手で(おお)いながら苦しそうに答える。

「なんか、ものが(くさ)ったみたいな……」

 そこまで強烈な悪臭はしないけどな、と思いかけてすぐに首を振った。彼女は、アリのガストレア因子を体内に宿したイニシエーターだ。きっと勇磨たちには感知できない(かす)かな臭気も敏感(びんかん)にキャッチしてしまうのだろう。

「いまは我慢(がまん)してください、愛香さん。──そろそろ来ます」

「来るって、まさか……」

 その時、勇磨も強烈な悪臭を感じて思わず鼻を押さえる。同時に断続的な震動(しんどう)徐々(じょじょ)に近づいてきた。

 懸命(けんめい)に息を殺していた勇磨は、そこで森の奥に短く点滅(てんめつ)する光を見とがめる。

 ──なんだ、あれは。

 胸の内の疑問を解消する間もなく薄青(うすあお)い鬼火のような光はぐんぐん近づいてきた。ややもせず、勇磨たちの目と鼻の先を、複数の歩行肢(ほこうし)をもった異形(いぎょう)の怪物が横切っていく。

 耳障(みみざわ)りな羽音を立てて蝟集(いしゅう)するハエを従えながら、巨大生物は深い森の奥へと消えていった。

 明理(あかり)がそっと首を伸ばし、様子を探る。

「ガストレア、完全に通過しました。気づかれた様子はありません。もう安全だと思います」

 その言葉に勇磨はそっと体を起こしながら、大きく息を吐きだした。

「何だったんだ、いまのガストレア。体の上でなんか光ってたよな?」

 見ると、明理は(あご)に手を当て考え込んでいる。

「全体的な姿は昆虫のようでしたね。そして光る器官を備えているということは、ホタル……?」

「それからさっきのにおいだけど、セルシア(いもうと)が育てている花に似てるものがあったね。あのにおいで羽虫をおびき寄せて花粉を運んでもらう種類の花だ」

 ラクシオの言葉を聞き、勇磨も(うな)った。

「つまり、花とホタルが混ざった()()混合ガストレアってことか? 珍しいな」

「それに、そこまで特殊進化した個体だと、ステージⅢだろうね。見つからなくてホントよかった」

 彩花(あやか)のコメントに首肯(しゅこう)を返してから、勇磨はハッとして顔を上げる。

「こんなところで呑気(のんき)(しゃべ)ってる場合じゃなかった。やっぱり森の中は危険だ。早いとこ先に進もうぜ」

 

 

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 少し進んだところで開けた道に出た。足場が柔らかい地面から舗装(ほそう)されたアスファルトに変わる。道路の両側から(おお)い被さるように樹林が伸びていた。

 天を(あお)ぎ、息を深く吸ってみる。酸素が多いせいか空気だけは美味(うま)い。そのまま道なりに進んでいくと、ようやくメタセコイアやカエデのような馴染(なじ)みのある植物が見え始めた。が、カエデは春先なのに紅葉していたし、下草も根腐(ねぐさ)れしたような茶褐色(ちゃかっしょく)になって(ひど)い悪臭を(はな)っている。

 いつの日か、人類がガストレアに勝利したとして、ここまで徹底的(てっていてき)破壊(はかい)された環境を再生する(すべ)があるのだろうか。

 勇磨(ゆうま)が物思いにふけっていると、不意に雛乃が口を開いた。

「そういえば、変なんだよね。ここに来てから少し体が軽いし、気分も良いんだよ」

 不思議そうに手を開閉する雛乃に、彩花がかすかに笑みこぼれる。

「バラニウム磁場は、(ひな)ちゃんたちイニシエーターにも少しだけど影響(えいきょう)するからね。モノリスの外に出ると一時的に気分が良くなったり、ハイになったりする()が多いんだって」

「──おっと」

 その時、背後から聞こえたラクシオの声に振り返ると、明理が足を止め周囲に視線を巡らせていた。

「今度はどうした?」

 問いかけると、明理は口元に人差し指を当てる。

「すみません。ほんの少し、時間をください」

 そう言うや(いな)(ひとみ)鮮紅(せんこう)(しょく)に変えると、目も開けていられない風圧と共に明理の姿が()き消えた。辺りを見回すと、ほどなくして彼女が傍らに立つカエデの枝の上に立っているのに気づく。

 (つか)()遠くを眺めていた明理は一つ(うなず)くと、コトッという控えめな靴音とともに戻ってきた。

「間違いないですね。この先で、ガストレアと民警(みんけい)が交戦しています」

 その一言で、全員に緊張が走った。

「他にわかったことはあるか?」

「はい。大きさから考えて、おそらく獲物はステージⅣ。場所は五百メートルほど先の森の中です」

 そこでわずかに言い(よど)むと、明理は言いづらそうに続ける。

「交戦中の民警は、私が確認できた範囲では一組だけでした。完全体を相手に、まさか正面から挑んでいるとは思えませんが……」

「……。──社長」

 顔を上げると、彩花も頷きを返した。

「助けに行こう。いまならまだ間に合うかも」

 各々のペアが素早く肩を組むのを見ながら、勇磨(ゆうま)も明理と並ぶと彼女の腰に手を回す。明理の力強い手も勇磨の腰に回された。

 明理とアイコンタクト。彼女の黒瞳(こくどう)が再び深いクリムゾンに変わっていく。

 次の瞬間(しゅんかん)、巨人の手で押しつぶされるような衝撃(しょうげき)(おそ)われた。明理が跳んだのだ。彼女は、勇磨を抱えたまま二十メートルほども跳躍(ちょうやく)していた。

 上着が強風であおられ、空中で一瞬(いっしゅん)ぴたりと静止。直後に自由落下の軌道を描き、猛烈(もうれつ)な勢いで森が迫ってくる。

 明理は太い枝の一つを見定めると、両足で着地し、再跳躍。そのまま東國(とうごく)民間警備会社の面々は忍者よろしく樹上を飛び移っていく。

 ()の葉が(ほお)(かす)め、視界が上下左右にめまぐるしく振られる。

 勇磨は情けなくも明理にしがみついていた。彼女が跳躍するたびにかかる強烈なGに振り回され、落下しそうになる。

「見えました、あそこです!」

 明理が指差す先に視線を向けるが、枝葉が幾重(いくえ)にも折り重なって視界が悪い。おそらく視覚的に捉えたというより、反響定位(エコーロケーション)で探知したのだろう。

 勇磨が明理の肩を短く三回タップして合図すると、明理はシャチの跳躍力でもって大きくジャンプ。吹き飛ばされるような加速度に歯を食いしばっていると、やがて圧力がふっと消える。

 風鳴(かざな)りの音に薄目(うすめ)を開けると、もうそこは五十メートルの空の上だった。

 さきほど明理が指差した辺りに目を()らすと、一人の少女が森の中でうごめく巨大生物に向けてアサルトライフルを振っている。恐慌をきたしているようだ。

「落ちます」

 明理の合図を境に慣性力が消え、(いや)な浮遊感が勇磨を襲う。重力方向に体が引っ張られて根源的な落下の恐怖が全身を駆け抜けた。

 だが明理は危なげなく太い枝に足を()くと、見事に落下衝撃を殺しながら、そこで勇磨の肩を二回(たた)く。放すぞ、という合図。

 あわや地面にぶつかる直前、勇磨は前転して落下のダメージを逃し着地。人心地(ひとごこち)つく間もなく少女の肩に手を置き強く揺さぶる。ほぼ同時に、他の面々も勇磨の周囲に次々と着地した。

「おいッ、しっかりしろ! 大丈夫かッ?」

 マフラーを巻いた少女は(はじ)かれたように顔をこちらに向けるが、勇磨(ゆうま)を見ると幾分(いくぶん)か落ち着きを取り戻したようだった。

「あ、あなたは……?」

「君を助けにきた。ここにいるのは全員味方だ。プロモーターは?」

 すると、大きく見開かれていた少女の両目から涙がぼろぼろと(こぼ)れ落ちる。

「あ、あぁ、あ……」

 その時、ずしんという重低音が伝わってきた。続いて、腹の底に(ひび)く低いうなり声がすぐ近くで聞こえ、恐る恐る顔を上げる。

 樹冠(じゅかん)の奥から、縦に並んだ三対(さんつい)(ひとみ)がこちらを凝視(ぎょうし)していた。

 身長は六メートル以上ある。爬虫類(はちゅうるい)特有の獰猛(どうもう)な顔に長い首。吹き出物のような細かいいぼが顔中を(おお)っており、風上にいる勇磨たちにまで肉が腐ったような強烈な口臭が(ただよ)ってくる。両腕は骨が進化して(つばさ)状になっており、目が本来ついているべき辺りの他にも、小さいものが四つもある。

 それはおとぎ話のドラゴンの姿に似ていた。

 間違いなくステージⅣのガストレア。(おそ)らく爬虫類と鳥類の因子が何種類か混ざっていると思われるが、ここまでステージが進行すると元の生物が何だったのかを特定するのは難しい。

 そこで勇磨はドラゴンが先ほどから(くわ)えているものの正体に気づき、思わずうめき声をあげた。

 

 ──青年の体を頭からむさぼっている。

 

 状況から考えて、まず目の前の少女の相棒だろう。政府がなりふり構わない物量作戦をごり押しした時点で、犠牲者(ぎせいしゃ)の存在は頭の片隅にあったが、あえて意識から閉め出してきた。それなのに。

 ドラゴンに視線を釘付(くぎづ)けにされながら、ラクシオが口を開く。

「いいかい、(みんな)。ここは僕と愛香(よしか)で時間を(かせ)ぐ。その(すき)に君たちはその()をできるだけ遠くへ逃がすんだ」

 勇磨は、油断なくドラゴンに視線を()えながらも、(あわ)てて割って入った。

「ちょっと待ってくれ、それじゃアンタらは……」

「大丈夫、勝算はある。僕だってこんな場所で死ぬ気はないし、愛香も絶対に守ってみせるさ。勝算……といっても、僕たちだけでこのガストレアを倒せるとも思えないけどね……」

 緊張(きんちょう)(はら)んだラクシオの声に、前方の彩花(あやか)は小さく首肯(しゅこう)する。

 今度は背後の明理(あかり)が早口で切り出した。

「先ほど跳んだ際、ここから(およ)そ八百メートル南東に防御陣地(トーチカ)らしき建物を確認しました。行動開始次第、私がそこまで全速力で運びます」

 ドラゴンは(いま)(おそ)ってくる気配をみせず、じっくりと味わうように遺体を頬張(ほおば)っている。

 と、その時、不意にドラゴンが天を振り(あお)ぎ、(あぎと)に引っかかった遺体の(あし)(のど)に流し込み始めた。

「愛香ッ!」

 ラクシオが叫ぶと同時に、勇磨(ゆうま)両脇(りょうわき)を大小二つの人影が突っ込んでいく。

 ふっと(するど)い呼気。

天童(てんどう)戦闘(せんとう)(じゅつ)二の型十番──」

 ラクシオの跳躍(ちょうやく)瞬間(しゅんかん)、周囲の空気そのものが彼に()み抜かれたかの(ごと)く張り詰める。

「『隠禅(いんぜん)(てん)(めい)()』ッ!」

 後方宙返りしつつ()り出されたラクシオの右足は、ドラゴンの下顎(したあご)にクリーンヒット。パァンという快音(かいおん)と共に五トンはありそうな巨体がぐらりと(かし)ぐ。

 一方、下段では愛香がバスタードソードを振りかぶっていた。助走をつけて飛び出した少女の矮躯(わいく)が空中でぎりぎりと音がしそうなほど捻転(ねんてん)していく。直後、パワー特化型イニシエーターの膂力(りょりょく)による剣撃(けんげき)がドラゴンの前肢(まえあし)──その手前の地面に炸裂(さくれつ)

 発生した衝撃(しょうげき)()は地震同然に地を揺すりあげ、(たた)きつけられる土塊(つちくれ)粉塵(ふんじん)に窒息しかける。

 勇磨は咄嗟(とっさ)に顔を(おお)うが、背後から(そで)を引かれ振り向くと黒髪の少女と視線がぶつかり、慌てて互いの腰に手を回した。

 勝負の行方(ゆくえ)を見届けたい気持がいや増したが、いまはそんな時間はないのだ。

「いきますよッ」

 声とともに見えざる手に()しつけられるような圧迫(あっぱく)感が(おそ)う。冷たい風が(ほお)を叩き、風圧に(あらが)いながら(うす)く目を開けると、そこはもう空中だった。明理(あかり)は勇磨を支えながら、助けた少女を反対の(わき)に荷物よろしく抱えて必死に歯を食いしばっている。

 明理は太い枝に両足を()くと、再跳躍(ちょうやく)。今度は五メートルほど(はな)れた木の枝に飛び移り、目にも留まらぬ速度で小刻みに連続ジャンプ。やがて、彩花を(ともな)った雛乃(ひなの)が合流してきた。

「さっき言ってた建物って!?」

「こっちです。ついてきてください!」

 勇磨は必死で明理に(つか)まりながら後ろを見て、驚愕(きょうがく)に目を見開く。獰猛(どうもう)なハンターは前傾姿勢になると、禍々(まがまが)しい咆吼(ほうこう)とともに木々を()み倒しながら猛追(もうつい)してきていた。いかなラクシオといえど、やはり完全体(ステージⅣ)撹乱(かくらん)は荷が重かったらしい。

 彼らの無事を(いの)る一方で想像以上のプレッシャーに叫びだしそうになりつつ、勇磨は思考を(めぐ)らせた。

 ここまでで一つわかったことがある。おそらくあのガストレアに飛行能力は無い。でなければ空から追跡してくるはずだ。地上からの追跡ならそのうち限界がくる。

 だが直後、突如(とつじょ)として大音量の重低音がびりびりと空気を震動(しんどう)させてきた。ドラゴンの追跡が()み、音の方に進路を変えていく。

 逃げおおせたのは僥倖(ぎょうこう)だったが、勇磨は音の正体に気づいていた(ゆえ)に手放しでは喜べなかった。

 ──どっかの民警(みんけい)ペアが森で爆発物(ばくはつぶつ)を使ったな……くそッ、なんてこった……!!

 視線を振ると、明理の表情も曇っている。彼女も(すで)に気づいているのだろう。これでは、あのドラゴンを()いた意味が無くなったばかりか、(むし)ろこれまでより危険が増した可能性すらある。

 そこでふと前方を見て、勇磨は思わず声を上げた。

「明理、まずいぞ……(がけ)だッ」

 前方に切り立った崖があり、その下に広がる広大な森までは三十メートルほどの高さがある。

 しかし、明理は速度を(ゆる)めない。歯を食いしばったまま前方を見据(みす)えて──。

 ──いや、違う。何かがおかしい。

 確かに、明理は先ほどから変わらず木々を飛び移りながら勇磨と少女を運んでいるが、どうもその足取りは安定性に欠ける。

「おい明理、聞こえたか? 崖だって! おい!」

 不意に脳裏に電光が走って、勇磨の顔から()()()せた。

 彼女は逃げることに集中しているのではない。

 先刻(せんこく)爆発音(ばくはつおん)で聴覚ダメージを負ったのだ。

 しかしそれを理解したところで勇磨にもどうしようもない。いまは高速機動中で、その動作のほとんどを明理が制御している。もし彼女が着地をし損じれば、即座に三人とも地面に激突して大ダメージを負うことになる。

 次の瞬間(しゅんかん)、崖を飛び出し空中に投げ出された。

 ヒュオン、と強風が吹き、一瞬(いっしゅん)奇妙な上昇感に見舞(みま)われる。慣性力と万有引力が打ち消し合い、ぴたりと空中の一点で静止した。

 勇磨(ゆうま)たちが自由落下の軌道に入ろうとした──その時、右肩が脱臼(だっきゅう)しそうなほど強く引っ張られて落下が停止する。ぎょっとして見上げると、彩花(あやか)間一髪(かんいっぱつ)で勇磨の(うで)(つか)んでいた。

 彩花は必死で腕に力を込めながら笑顔をつくる。

「ギリギリ間に合ったね。大丈夫、三人とも?」

 理解が一瞬追いつかなかったが、よく見れば彼女の腰を抱えた雛乃(ひなの)が反対の(てのひら)から発生させた分子間力で崖の側面に(つな)()めていた。

「大丈夫じゃねぇよ。実は、さっきの爆発で明理が耳をやられたらしくて、意識が無いんだ。このままじゃ全員まとめて落ちるぞ」

「──だい、じょうぶ、です……どうにか、持ち直しました……」

「お、気づいたか、よかった。その()のこと、絶対に放すなよ?」

 まだ明理の表情は苦しそうだったが、確かな動作で(うなず)きを返す。

「雛、なんとか引っ張り上げられねぇか?」

「無理だよッ。いまだって支えるのでやっとなのに、ここから四人も引っ張り上げるなんて!」

 勇磨は頭上に向けて声を張り上げるが、それに対し雛乃はとんでもないというように首を振った。

「──なにやってるのよあなたたち!」

 そんな叫び声が突然(とつぜん)頭の上から降ってきたかと思うや、崖の上の森から小さな人影が飛び出し、勇磨たちの目の前を通過する。

 巨剣(きょけん)を背に差した愛香(よしか)は、眼下(がんか)の森に()っ込むと、素早く方向転換。明理と少女を両手で抱えて一気呵成(いっきかせい)に引き上げた。同様の手順で勇磨と彩花も立て続けに救出すると、残った雛乃だけは分子間力と全身のバネを利用して自力で上がってくる。

 全員がへたり込んだところに、やや遅れてラクシオも追いついてきた。

「さっきのガストレアはどこかへ行ったみたいだね。(みんな)怪我(けが)は無いかい?」

「おかげさまで、な……」

「し、死ぬかと思った……」

 勇磨が(こた)えると、彩花も栗色(くりいろ)の長い髪を振り乱し、肩で息をしながら(つぶや)く。

「まだ、耳がよく聞こえませんが、とりあえず助かりました」

 明理の言葉に一瞬(いっしゅん)怪訝(けげん)に目を細めたラクシオだったが、すぐに表情を改めると、続けた。

「まずは、トーチカを目指そうか。積もる話は、安全を確保してからだ」

 

 

      3

 

 

 (なわ)梯子(ばしご)を伝って崖を降りると、油断なく歩く。大分(はな)れたとはいえ、一度周囲の森を起こしたのだから、さらに注意する必要があった。

 時折勇磨(ゆうま)は地面に耳を当て、明理に高い枝に上らせて高みから危険がないのを確認させる。

 用心深く進んだ先には、明らかに人工物と思われる建物があった。小さな石積みの平屋で、ボロボロだが風よけくらいにはなるだろう。

 勇磨たちは互いに顔を見合わせて(うなず)きあう。ガストレア大戦時に築かれた防御陣地(トーチカ)で間違いなかった。

 道中、拾い集めてきた枯れ木を積み上げると、携帯燃料から火を移す。(またた)く間に炎が伸び上がり、石壁のあちこちにオレンジ色の光を散乱させた。

 全員で腰を落ち着けてから、勇磨が(となり)に座る相棒に耳の具合を(たず)ねると、すぐに微笑(ほほえ)みを返す。その反応に、内心で胸を()で下ろした。明理の反響定位(エコーロケーション)の精度も、(かす)かな音を(とら)える聴力(ちょうりょく)があって初めて発揮されるものだ。先刻(せんこく)のような爆音(ばくおん)は最悪、彼女の戦線離脱に直結する。

 続いて、勇磨はやや離れた位置で(ひざ)を抱える人物にそっと視線を送った。ハーフアップにした茶髪ロングヘアーの少女は(うつ)ろな(ひとみ)焚火(たきび)を眺めているが、(すで)に十分な落ち着きを取り戻しており、先ほど自己紹介も済ませている。

 名前は小鳥遊(たかなし)和穏(かのん)。六日前、モデル・スパイダーに(おそ)われていたところを勇磨ペアが助けた少女だった。ちなみにIP序列(じょれつ)は三千九百八十位とのことで、新米だろうと当たりをつけていた勇磨と明理は軽く意外の感に打たれた。

 勇磨は彼女の傍らに置かれていたアサルトライフルを指さす。

「その銃、見てもいいかな?」

「……はい、別にいいですよ」

 和穏は(つか)()不思議そうにこちらを見るが、すぐに首肯(しゅこう)とともに銃を差し出してきた。

 それを両手で受け取り、(あらた)める。和穏が使っていたサイレンサーのついたアサルトライフルは、司馬(しば)重工の二〇二七年モデルだった。

 勇磨は仔細(しさい)に検分するフリをしながら、傍らの少女の顔をそっと盗み見る。

 それにしても目の前で相棒を食い殺された直後だというのに、彼女のこの落ち着き払った態度はなんなのだろう。初対面時の印象から、それなりに信頼関係を築けたペアだと思っていたが、勇磨の間違いだったのだろうか。

 そこまで考えて、違う、と首を振った。

 おそらく、凄惨(せいさん)な光景を()の当たりにしたことで、気持ちの整理がつけられないでいるのだろう。司令塔兼精神的支柱であるプロモーターの喪失(そうしつ)は、幼い女児の精神を残酷に痛めつける。

 勇磨は弾倉(マガジン)(はず)し、装填(そうてん)された弾丸を(のぞ)き込んだ。

 黄金色の薬莢(やっきょう)の先端でブラッククロームの弾頭部分が焚火のオレンジ色を(にぶ)く反射する。

「これは……支給品か?」

 顔を上げると、和穏はこくりと(うなず)いた。

「出発前、渋木(しぶき)さんが持たせてくれたんです。『未踏査領域では何が起こるかわからないから』って」

 渋木堅志(かたし)というのは先ほど殉職(じゅんしょく)した彼女のプロモーターである。初対面で勇磨を『泥棒のガキ』呼ばわりした彼の敵意に満ちた視線は記憶に新しいが、あれは獲物を横取りされた怒りからくる自然な態度だった。相棒に人並みの気遣(きづか)いをできる程度にはマトモなプロモーターだったということだろう。

 アサルトライフルを返しながら、勇磨(ゆうま)はこの場で胸の内の疑問を解消するべきかどうか迷ったが、同業者として必要なことだと思い直し、口を開く。

「君のプロモーターについて、一つ聞かせてほしい。(おれ)達が初めて会った時、彼は鉛弾(なまりだま)を使っていたよな? あれはどうしてだ?」

 その言葉に、明理(あかり)を除く同僚(どうりょう)たちが目を丸くした。当然だろう。ガストレアには、バラニウム製の武器を使うことが鉄則である。民警(みんけい)をやっていてそれを知らない者がいるとはとても思えない。

 渋木(しぶき)本人が相手なら一も二もなく(つか)みかかっているところだが、いまの和穏にその苛立(いらだ)ちをぶつける気には流石(さすが)になれなかった。

「私も、初めは反対したんです。バラニウム製の武器を使わないなんて無茶(むちゃ)です、って。ですが、渋木さんは聞いてくれませんでした。『ガストレアも、脳か心臓を()けば倒せる。それを知っててバラニウムに頼るのは臆病(おくびょう)者の甘え』だそうです」

 和穏(かのん)華奢(きゃしゃ)な膝を抱えた手に力を込めて、ぎゅっと目を(つむ)る。

「私があの時、もっと説得できていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに……ッ」

 勇磨は顔に出さずに嘆息(たんそく)した。気難しい性格だろうとは覚悟していたが、ここまでとは。これでは、彼の死を(いた)む和穏があまりに不憫(ふびん)ではないか。

 確かにガストレアの急所は脳と心臓の二つであり、この部位は基本的に再生不能とされているため、その意味では渋木の発言も正しいといえる。

 だが、大多数のガストレアの姿形は千差万別。心臓はおろか脳の位置さえ判然としないものも少なくないだろう。強靭(きょうじん)になった皮膚や筋組織の硬度も加味すると、通常の(けん)(じゅう)(だん)で抗し切れる状況は一層(いっそう)限定されることになる。

 また、幼体(ステージⅠ)とて決して(あなど)れるものではない。急所を確実に(ねら)おうとすれば、発現した因子に関する正確な知識が必要になってくるし、現に六日前の戦闘(せんとう)では、勇磨たちが()けつけるまで彼らは単因子相手にろくなダメージを与えられず苦戦していた。

 唯一(ゆいいつ)の救いは渋木がこの戦いにまでそういった見当違いの矜持(プライド)をもち込んでいなかったことだが、それも彼が死んでしまったいまでは(むな)しいばかりだ。

 そこで彩花(あやか)がおそるおそる口を開く。

「えっと、和穏ちゃん? その言い方だとまさか渋木(しぶき)さんは、さっきも通常弾を使ってた……?」

 その問いに勇磨はぞっとして視線を戻すが、和穏は静かに首を縦に振っただけだった。

「『俺は後衛だから無理に前に出る必要は無い。お前が勝てそうになかったら逃げれば済む』って言われて。でも、あんなドラゴンみたいなガストレアを見たのは初めてで、私、足が動かなくて……ッ」

 嗚咽(おえつ)を漏らし始めた和穏の背中をさすりながら顔を上げると、彩花が沈痛な面持(おもも)ちで首を振り、ラクシオは顔に手を当て項垂(うなだ)れている。

 そのまましばし彼女に泣かせてやってから、頃合(ころあ)いを見計らって「落ち着いたか?」と(たず)ねると、和穏は小さく(うなず)いた。

 勇磨は表情を改めると彼女の両肩に手を置き、(ひとみ)をまっすぐ見据(みす)えて慎重(しんちょう)に切り出す。

和穏(かのん)、大事なことだからよく聞いてほしい。もし、君が渋木のやり方に疑問を感じたなら、その気持ちを大切にするんだ。彼の意見には正しい部分もあるけどリスクとリターンが全然釣り合ってない。ガストレアとの戦闘(せんとう)は、少しの油断が命取りになる。バラニウムでもなんでも、使えるものは徹底(てってい)的に利用するぐらいの心構えでいないと、命がいくつあっても足りたもんじゃないぞ」

「それから、あんまり自分を責めなくていいんだよ。和穏ちゃん達が今回の作戦に参加したのは東京エリアを守りたいと思ったからでしょ? だったら何も(くや)むことなんてない。だってそれは和穏ちゃんも渋木さんも、民警(みんけい)として立派に戦ったってことなんだから」

 微笑(ほほえ)みを浮かべる彩花の言葉に、和穏は泣き笑いのような表情になって、一度ゆっくりと頷いた。

「はい……ありがとうございます」

 そこでラクシオが明るい声を出す。

「さて(みんな)(のど)(かわ)いてないかい? いくらか飲み物を持ってきてるんだけど」

 そういって、彼がザックからスポーツ飲料のボトルを出すと、残る六人で顔を見合わせる。特に辞退の声も上がらず、その場で一息つくことになった。

 (たきぎ)()ぜる音を聞きながら、勇磨(ゆうま)は首を(かたむ)けて頭上を眺める。崩落(ほうらく)したトーチカの天井から(のぞ)く空には、鋭い月が(かがや)いていた。

 ペットボトルに口をつけつつふと(となり)を見ると、和穏(かのん)焚火(たきび)を眺めながら顔をパタパタと(あお)いでいる。

「暑いならマフラー取ったらどうだ?」

 すると彼女はこちらを見上げて困ったような笑みを浮かべた。その表情の意味を(はん)じかねて勇磨が内心で首を(かし)げていると、反対側の明理(あかり)(たず)ねた。

「そういえば和穏さん、いまさらですが、あなたは何のガストレア因子が混じってるんですか?」

 その問いに和穏は一瞬(いっしゅん)動きを止めた後、苦笑混じりに口を開く。

「そうですね。勇磨さんたちには、二度も命を救われました。いまさら隠すのも変ですよね……」

 勇磨たちが顔を見合わせるなか、和穏はマフラーにゆっくり手を掛けると、脱ぎ去った。

 トーチカ内に静かな驚愕(きょうがく)(ふく)らむ。

 彼女の首筋に三本、(なな)めに刻まれているのは、魚類の(えら)に他ならなかった。

 雛乃(ひなの)が狐につままれたような顔でこちらを見る。

「こんなことってあるんだ?」

「ああ。混ざり合ったガストレア因子が発現する時、元になった動物因子が強く作用して骨格や身体(からだ)の作りそのものが変化する子も、数は少ないけどいる。鳥類のガストレア因子を宿したイニシエーターの中には、(つばさ)が生えてる子もいるしな」

 へぇ、と(つぶや)きながら雛乃が首を巡らせると、視線に気づいた愛香(よしか)が髪を押さえて苦笑した。

「私のアホ毛(コレ)はそういうのじゃないからッ」

「改めまして、私は小鳥遊(たかなし)和穏。モデル・ツナのイニシエーターです」

 勇磨は感嘆(かんたん)吐息(といき)を漏らしかけてから、そこで彼女の台詞(せりふ)をすぐには理解できなかったことに気づく。

「あ、えっと、ツナっていうと、つまり……」

 困惑して彩花(あやか)の方を見ると、彼女も(あご)に手を当てて考え込んでいた。

「アレだよね? サラダとかに入れる、マヨネーズで()えると美味(おい)しいやつ」

「あ、ボクそれ好きだよ〜」

「単品では缶詰(かんづめ)が主流ですかね。ちなみに私はサンドイッチが好きです」

 ()(じゃ)()な笑みを浮かべる雛乃に続き明理まで真面目(まじめ)な顔でそう返してきたところで、和穏が(あわ)てた様子で「ちょっとちょっと!」と言う。

「私の因子の話なのに、なんで食べ物の話になってるんですか!」

 (ほお)を膨らませて(こぶし)を振り回すハーフアップの少女に、勇磨は思わず苦笑いを漏らした。

「あぁいや、ごめん。ツナって言われるとどうしても食べ物の方を想像しちゃってさ」

「食べ物の因子ってなんですか、マグロですよぅ」

「あぁ、マグロね、そういやそうか」

 そこで、愛香が気づかわしげに口を開いた。

「でも、マグロって、大丈夫なの? その……」

 彼女が視線を振ると、ラクシオも一つ(うなず)く。

「そうだね。マグロといえば、止まると死んでしまう魚として有名だ。でも、君はそんな(ふう)には見えない。そこはどうなってるんだい?」

 和穏は得心がいったように「あぁ」というと、微笑を浮かべて答えた。

「確かにそうですね。私の場合、力を解放している間だけは、動きに連動して呼吸が止まってしまいます。でも、それもみなさんが思ってるほど危険じゃないんですよ。どこかが少しでも動いていれば呼吸が止まる心配もないので」

 勇磨は、あらためて感嘆の吐息をつく。たったいまラクシオが指摘した通り、マグロといえば一生泳ぎ続ける魚という印象が強いが、彼らの特徴はそれだけではない。瞬間(しゅんかん)的には時速八〇〜一〇〇キロもの速度を出すことができ、水生動物の中でもかなり速い部類に属する。

「じゃあ、君の能力は……」

 勇磨が呟くと、和穏はこくりと頷いた。

「雛乃さんと同じスピード特化型。ですが、力を解放している間は体の動きを止められなくなるので、持久型ともいえますね」

 次に、和穏は後ろに手を回すと、持っていた武器を体の前に持ってくる。

「私の武器はこのバラニウム製の細剣(レイピア)です。戦闘(せんとう)では一気に切り込んでラッシュを浴びせ、また(はな)れて能力解除、という動きを繰り返す感じになります」

「ヒット&アウェイ、というやつですね。それでは、体内浸食率の上昇も(おさ)えられるのでは?」

 明理の問いに、和穏は笑みを浮かべた。

「はい。私は呼吸できなくなるリスクを最小限に抑えるために、攻撃(こうげき)の間以外は能力を解除しているので、浸食率も他のイニシエーターよりセーブできることになりますね」

 そのとき、勇磨のスマホが(ふる)える。ディスプレイを見ると、メールの着信を示す輝点(ドット)が点灯していた。

 勇磨がアイコンに触れようと指を動かしかけた時、再びスマホが震動。画面一杯に表示された着信名は渚島(なぎしま)だった。

 向こうもいまが蛭子(ひるこ)影胤(かげたね)追撃作戦中なのは百も承知のはずだが、だからこそ伝えなければならないことがあるのだろう。ハンズフリーに切り()え差し出すように持つと、応答ボタンに触れる。

『勇磨くん、無事かい? 例の民警(みんけい)サイトの不自然な表示の解析結果が出たんだよ』

 何の話かと思ってから、勇磨が倒したガストレアの目撃情報がサイトに表示されていなかったことを思い出した。

「やっぱり、情報の更新が(おく)れてただけじゃなかったのか?」

『うん。そして、かなり厄介(やっかい)なことがわかった。まぁそれについてはさっき送ったメールに資料をまとめてあるから、またそっちの状況が落ち着いたらゆっくり目を通してほしい。いまはそれより、良いニュースが入ったから是非(ぜひ)知らせておきたくてね』

 渚島は勿体(もったい)ぶるように一拍おいてから、続ける。

『いま、作戦に参加しているすべての民警の位置情報をGPSで追跡しているんだけど、どうやら蛭子影胤が見つかったらしい』

 その言葉に、全員で顔を見合わせた。

「どこでだ?」

 ラクシオが取り出した地図を地面に広げる。渚島(なぎしま)が告げたポイントを探すと、すぐに見つかった。直近の海辺の市街地だ。

『民警たちは、そこからすぐ近くの丘付近に集まってきていてね。総出で奇襲(きしゅう)を仕掛ける手はずのようだ。君たちも合流を急いだ方がいい』

 勇磨は手短(てみじか)に謝意を告げてから、通話終了ボタンを押し、大きくひとつ溜息(ためいき)をつく。

 顔を上げると、隣の和穏(かのん)が不思議そうな顔でこちらを見上げていた。

「あの、いまの電話はいったい……?」

「あー……。ウチの後援者(パトロン)に政府の役人がいんだよ。あの人もいまは、日本国家安全保障会議(JNSC)の作戦本部にいるはずだから、(つか)んだ情報を教えてくれたんだろ」

 勇磨が話している間に彩花(あやか)が早速荷物を畳み始め、ラクシオは焚火(たきび)を踏み消している。

「さて、(おれ)たちはもう行くけど、君はどうする?」

 和穏はプロモーターを失っているため、作戦本部に連絡すればすぐにIISOの職員が身柄(みがら)を引き取りに来るだろう。立ち上がりながらそう提案するが、彼女は意外にも静かに首を横に振った。

「いえ、私も行きます。ここで勇磨さんたちと出会えたのも何かの縁。渋木(しぶき)さんの分まで、みなさんと一緒に戦わせてください」

 勇磨は彩花と顔を見合わせ小さく笑いあうと、表情を改めて街の方角を見る。とにかく、この戦いの結末だけでも見届けなければ。

 

 

 鏑矢(かぶらや)弥由紀(みゆき)は、東京エリアの未来を()けて、全力で疾走していた。

 時折振り返り、追跡者の気配を確認しながら、(すで)に二キロは逃走している。

 平常時であればこの程度の道のりなど、体内にガストレア因子を宿す弥由紀にとってはどうということもない距離(きょり)だ。事実(ひたい)には汗の一滴も浮かんでおらず、足取りそのものは軽い。

 しかし、呼吸だけは荒く乱れていた。過度の緊張と姿の見えない敵に対する恐怖で、足がもつれかかる。それはどこに(ひそ)んでいるとも知れない捕食者に(おび)える小動物にも似ていた。

 そう、これは()わば戦略的撤退。敵前逃亡や臆病(おくびょう)(かぜ)に吹かれたなどといった言葉で片づけていい問題では断じてない。必死に自己弁護を試みながら、一方で脳の別の部分が状況の分析を進める。

 先刻(せんこく)、弥由紀を含む十四組と一人の民警(みんけい)が集合し、蛭子(ひるこ)影胤(かげたね)奇襲(きしゅう)を計画。荒れていた手柄の分配の件についても、作戦に参加した民警全員で平等に山分けということで一応の決着をみた。

 各々(おのおの)が準備を終え、弥由紀もプロモーターの()(げき)(しゅ)一旦(いったん)二手(ふたて)に別れて潜伏し、ついに突入が決行される──そこまではよかった。

 弥由紀は正面に見えてきた森に()け込み、柔らかい土をにじると複雑に張り出した木の根を飛び越える。

 ──およそ二分。

 民警チームの(だれ)かが嚆矢(こうし)となる一発目の銃弾を(はな)ってから、弥由紀の相棒との通信が切れるまでに要した時間である。

 無線機から途絶音を聞いた瞬間(しゅんかん)、ここに留まっていては駄目だという理性の警告に従い、弥由紀は戦場も(かえり)みず逃走に移った。すべてはこの世界を存続させるために。

 そこで手近な茂みに飛び込むと身体を半回転させ、息を(ひそ)めてたったいま自分が来た方向を(うかが)う。

 敵の追跡能力はおろか、現在追われているのか(いな)かすら不明だが、周囲の状況からひとまず一番の脅威(きょうい)は去ったと判断。続いて、自分の胸になにをなすべきかを問う。

 あの戦況では、自分の相棒を含め全員がほぼ間違いなくやられてしまっただろう。自分のような生き残りがいるなどという楽観的な憶測は捨て去るべきだ。

 ならば次にすべきことは決まっている。一刻も早く他の民警を見つけ出し、救援を要請するのだ。

 しかし、同時に迷いもあった。確かに自分があの場に残っていたところで何かが変わったとは思えない。だがいまの自分の行動は果たして本当に最善の選択といえるのか? 襲撃(しゅうげき)作戦に参加した民警は一人一人が歴戦の猛者(もさ)たちだ。彼らが束になっても(かな)わなかった相手を倒せる者が残っているのか? 仮に残っていたとして、弥由紀が逃げた先で彼らのうちの一ペアでも見つけ出せる可能性は?

 馬鹿(ばか)な。自分は何を考えているんだ。いまはそんな心配をするより行動するべき時なのに。

 弥由紀は首を振ると、心に(わだかま)る様々な疑念や不安を振り払うように、再び駆け出した。




自分は新作をひとつ書き終えた時、達成感を覚えると同時に前回の投稿日に目が留まります。そこで毎度のように自身の遅筆ぶりを痛感するのですが、前回投稿したの、もう去年のクリスマス前なんですよね。正に光陰(こういん)矢の(ごと)し……。
余談ですが前回の後書きで、年末帰省できるか心配だ、といったお話をしたかと思います。あの結果だけ報告致しますと、案の定というべきか、見事に電車が止まっていました。雪で。お陰で生まれて初めて正月(さん)()(にち)を実家以外の場所で過ごす羽目に。
加えて、紅白歌合戦の視聴や初詣も経験せずに新年を迎えることになったわけですが、それでも今では問題なく日常を送ることができています。人間の感覚とは不思議なものですね。……いや、この場合自分の拘りの無さに危機感を覚えるべきなのか……?

まあ、そんな状況下で執筆された今回ですが、まずは新たに名前が判明した登場人物の紹介から。
和穏の髪型は作中で『ハーフアップにした茶髪ロングヘアー』という表現を使っていますが、厳密には『この素晴らしい世界に祝福を!』のアクアをイメージしています。
渋木についてはコミック版で防衛省に召集された民警の内、将監の頭突きを受けた蓮太郎を見て(はや)し立てていた青年を参考にしました。しかし、別に彼を渋木として書いているつもりはなく、ベレー帽を被っている以上の共通点は無いため、ほとんどオリキャラに近い状態です。

ちなみに実は、今回のサブタイトルの『希望を背負った者たち』は原作第一巻のサブタイトル『神を目指した者たち』に対応させたかたちになっています。このアイデアを思いついた当初はそこそこの手応えを感じましたし、書き進めていくうちに様々な意味を織り込めたと思ったんですが、やはり細かすぎて伝わりませんでしたかね、ハイ。
また、今回の内容について二点ほど注釈をば。
まず勇磨たちがニアミスした発光器官をもつガストレアは、原作で伊熊ペアを(おそ)ったホタルのガストレアです。これは描写からわかった方が多いと思いますが、問題は次。
和穏たちを襲ったガストレアは、里見ペアを襲った個体です。こちらについて、原作とコミックで描写が多少異なっており、自分はコミック版のデザインが気に入ったためそちらを採用しました。
勇磨たちが襲われている最中に聞こえた爆発音が夏世の使用した四〇ミリ榴弾(りゅうだん)によるもの、蓮太郎が見た服の切れ端が渋木のものという設定で書いています。

原作の該当箇所は第三章の終わり一歩手前まで。時系列としては今回のお話の終わりと時を同じくして、本シリーズでも度々扱ってきた「あの人」の話が衝撃(しょうげき)的展開をみせる、という感じです。
ちなみに原作やアニメでは簡潔な描写だけで終わっていたこのシーンですが、コミック版だと、もりのほん先生のアレンジによりトンデモない感動シーンに生まれ変わっています。できることなら是非すべてのB・Bファンの目に焼きつけていただきたい。
また、今回の最後のシーンについてはコミック第二巻ラスト、影胤の襲撃を受けた蓮太郎を救うべく延珠が救援要請に向かった場面を意識して作りました。ここも原作とはほんの少し異なる描写がなされていましたが、ご存知の読者の皆さんにはコミック版の緊迫感に近いものが伝わっていることを祈っています。

それから、コミック版B・Bについてもう少しだけ。
今月二十七日をもって、B・Bはコミック第一巻の初版発行から九周年を迎えます。
自分が購入したのも随分前ですし、現在では入手方法があるのかどうかも定かではありませんが、もし機会があれば購読することを強くお勧め致します。というのも、コミック版B・Bは自分がこの『ブラック・ブレット・オリジナル』を書くきっかけになったほどの素晴らしい作品だからです。
先ほどの繰り返しになりますが、原作とは異なるアレンジがいくつも組み込まれているので、原作を読み込んだ方でもまったく問題なく楽しめるつくりとなっています。

さて、今回でようやく原作第一巻も佳境に入り、段々と最初の節目が見えてくる(ころ)となってきました。ここまでくるのに、実働期間だけでも約一年半。いやー、長かったですね。
次回はバトルシーンを多めにして盛り上げていけたらと思っていますから、楽しみにしていてください。
それでわ、しーゆーあげいん!
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