刀奈求める楯無き者   作:乱麻@PINK

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いつになったら臨海学校に行くのか不安で仕方がない


37.臨海学校に向けて

“シュバルツェア=レーゲン”の暴走事件から一週間。

 

「隙を晒したなっ!」

 

重なり合う剣戟の、ほんの一瞬の間の取り直しを突いた攻撃だった。

ラウラ=ボーデヴィッヒの咆哮と重なるように、“シュヴァルツェア=レーゲン”の大経口レールカノンが唸りを上げる。

砲弾は寸分の狙いのブレもなく、ターゲットである織斑一夏に直撃した。

 

「うおおおおおっ!?」

 

直撃を許した一夏は紙屑の様に十メートル以上吹き飛ばされ、体勢を整える事も叶わず着地後も転がっていく。

派手に転がっていった後、二人の手合わせを見守っていた鈴音によって、サッカーボールを止めるように足裏で勢いを殺される。

 

「わ、悪い、鈴……」

 

横たわったまま見上げ謝る幼馴染へ、中国の才女は呆れを隠さずに返す。

 

「あんな至近距離から長距離砲食らうなんて、決勝戦の時のキレはどこ行ったのよ」

「いや、今日のラウラは何か動きが違うと言うか、まるで別人……」

「――――当然だ」

 

鈴音に手を貸してもらいながら立ち上がる一夏へ、ラウラは愛機の武装のパラメーターを一つ一つ念入りにチェックしながら告げた。

学年別トーナメントから四日後に健康状態チェックをパスしたラウラが学園に復帰した。

ラウラの休学中に、千冬によってクラスメイトには十分な説明がされ、彼女はドイツの一部のIS研究者の被害者という認識になっていた。

その甲斐あってか、周りから距離を置いていたラウラだったが、復学後にはクラスメイトに囲まれ多大な心配を受け、今ではすっかりクラスに馴染んでいた。本人は未だに困惑する時もあるが。

そんなこんなで、一夏や鈴音からも専用気持ちとして放課後にアリーナでの戦闘訓練に誘われる程の仲となっていた。

特に一夏からは共に同じ背中を追う者として、鎬を削り合う関係となっていた。両者の間の確執が完全に消えたとはまだ言い難いが、一夏もラウラの技量は認める所があり、ラウラも一夏の心持ちを見習う所があった。

本来であればセシリアと、訓練機の都合が合えば箒もこのメンバーに加わっていたのだが、彼女達は生憎と予定が入っていたので今日は休みである。

 

「決勝戦の時の私とは心構えが違う。私が追う教官の強さは、自らの実力を過信しているようでは到底辿り着けるものではない。たとえ相手が誰であろうと、慢心の欠片もなく全力で相手をする……一夏、お前にそう教えられた」

「いや、俺そんな事言った覚えないんだけど……」

 

そして言った相手に対してのこのフルボッコであった。

あの一試合だけの付け焼き刃とは言え、一度は圧倒したのだ。自分とラウラには埋め難い実力の差があるのを思い知らされるのは心に来るものがある。

 

「それに……自分を捨てているようでは、奴が言った教官の背中にも届かない」

 

今までとは違う複雑な気持ちを籠めて向けられたラウラの視線の先へ、鈴音と一夏も意識を向けた。

視線の先に居るのは、女子生徒として改めて転入してきたシャルロット=デュノアと刃を交える、愛機“黒雷”を纏った雪月楯無。

 

「っ――――流石、帯のクロスレンジは鉄壁だね!」

「クロスレンジしかないんだから、当たり前だろ」

 

シャルロットの近接武装、“ブレッド=スライサー”による斬撃を、二刀の防御でいなし続ける楯無。

反撃をしようという意思は見られない。どうやらそういった訓練のようだ。

一閃を受け流し、シャルロットの体勢を崩して仕切り直した楯無は、右手に持った“黒夜”を肩に担ぎながら苦笑いを浮かべた。

 

「だけど、シャルも射撃型ですって顔しながら結構苛烈な近距離択を取るよな。これで崩された先にパイルバンカーが待ってると思うと恐ろしいぜ」

「強い方が帯の好みでしょ!? それに、その方が都合がいいからね。帯と一緒に居る事にとっても、僕のこれからにとっても!」

 

シャルロットのやる気に満ちた返事に、「はいはい、そーですね」と苦笑いを深める。

IS学園暗部への参加。学園での不測の事態に対応するには、当然戦闘能力も求められる。

中距離戦を主にしているシャルロットであっても、クロスレンジを磨く事は悪い選択肢ではなかった。

 

「あの二人、付き合ってるのかしらね」

 

鈴音は今度は自分の番かと“双天牙月”を振り回しながら言った。

 

「シャルロットが転入し直してきてから、ずっとあんな感じだもんな」

「訓練に精が出ていていいではないか」

「いや、それだけじゃなくて。学校生活の殆ど一緒に居るじゃんか」

「……言われてみれば、シャルロットは楯無にべったりだな」

 

ラウラも鈴音の挑発を受けるようにプラズマ手刀を展開しつつ、これまでの二人を想起する。

既に別室になっているが、それでもおはようからおやすみまで、と言えるぐらい一緒であった。ラウラと言う通り、シャルロットが楯無の後ろを着いて回っているのが実状だが。

 

「だが、楯無は簪とも親しいと記憶しているが」

「あと、生徒会長ともよく訓練してるよな。確か楯無と名前一緒なんだよ」

「楯無本人はどう見てもそっち寄りなんだけどね。こりゃ休日明けの臨海学校、一波乱あるかもねー」

 

そのまま準備完了とばかりに打ち合い始めてしまった二人を他所に、一夏は「あっ」と間抜けな声をあげた。

今の鈴音の言葉で思い出した。休日明けの臨海学校。

慌てて立ち上がった一夏は、「じゃあ、もう一回やるか」と構えを取り始めた楯無へ大声で呼び掛ける。

 

「楯無、付き合ってくれ!」

 

――――この瞬間。

アリーナの空気が完全に死に、荒れに荒れた後に一夏は『妖怪主語足らず』の仇名を頂戴した。

 

 

          ◇

 

 

翌日、俺と一夏はモノレールのレゾナンス駅に降り立っていた。

 

「いやあ、鈴に言われなかったら臨海学校の買い出しの存在を忘れるところだったぜ」

 

昨日公衆の面前で俺に告白してきた一夏が、うっかりうっかりと頭を掻きながら能天気に笑っていた。

ショッピングモールである『レゾナンス』にやってきたのは、一夏の言っている通りの用事だ。

明後日に迫った臨海学校。それに向けての買い出し。海で遊ぶ時間もあるようだし、水着なども必要になるだろう。

 

「珍しいな、一夏はそういう所しっかりしてると思ってた」

「ちょっと考える事があってさ。悪いな、付き合ってもらって。頼れるの楯無しか居なくて。用事とかなかったか?」

 

それは一夏にとっては、何て事のない気遣いだったのだろう。

だがしかし、それは俺にとって今一番思い出したくない地雷だった。

 

「無かったよ。……あぁ、無かったから、本当は簪の買い物に付き合おうと思ってたんだ。そしたら、『シャルロットと行くから楯無は絶対着いてきちゃ駄目』って、さ……はは、ははは」

 

何の感情もない。その言葉に込められていたのは唯只管の拒絶だった。

俺の乾いた笑いが空気を震わせ、一夏へ俺の絶望を伝える。

多分一度も見せた事のない幼馴染の感情に、流石の一夏もドン引いていた。

 

「わ、悪い……」

「別にもういい……まぁ、野郎の買い物に女子を誘っても仕方ないしな。こんな俺でよければ好きにしてくれ……」

「そう言ってもらえると助かる。ちなみに楯無は何か買うのか?」

 

一夏の問いに、俺は首を横に振った。「準備がいいな!」なんて感心されたが、実際の所はそうではない。

三日前、朝起きると俺の部屋の前にボストンバッグが置いてあった。置かれていたバッグは俺の家にあったもので、一応相棒にスキャンさせても危険物は入っていなかった。

なので部屋の中で確認した所、中身は夏用の私服と水着だった。それは確かに俺が去年まで使っていたものだったし、新たに買い足されていたものもあった。

誰が送ってきたかは知らないが、候補は一人しか居ない……のだが。あの人が俺の事を気に掛ける理由はもうない。何かしらの目的があると見るのが妥当かもしれないが、その内分かるだろう。

そんなわけで、俺の準備は万端だ。なのでレゾナンスに到着した今からは、一夏の買い物の付き添いぐらいしかやる事が無い。

 

「それにしても楯無、やっぱりお前の私服って男っぽくないよな」

「ほっとけ。一夏みたいにがっちりしてないんだよ。本当の女よりかは男っぽいけどな」

 

包村帯として活動していたせいか、何となく束姉に買ってもらった私服や自分で選んだ服もユニセックスの物が多かった。

シャツとパンツもボディラインが出ないゆったりめのサイズ。喉仏はそもそも相棒の待機形態で隠れている。更に上からロングカーディガンを羽織っているので、包村帯の変装無しでも初対面ならぱっと見では男だと分からない、かもしれない。

ちなみに一夏も私服である。シャツにズボンとシンプルなものだが、一夏自身の素材が凄いので絵になっていた。ちなみに最初は制服で来ようとしてやがったのは内緒だ。自分の存在の重要さを少しは考えてほしい。

そしてやってきたのは男物の服屋。今は店内の敷地三分の一程を水着コーナーに割く程の気合の入れっぷりで、俺達を歓迎していた。

 

「よし、それじゃあ水着を着ていくから、感想頼むぜ!」

「そんないい顔で言われても困る。男色カップルだと思われるから勘弁してくれ」

 

俺のクレームも全く無視して、一夏は幾つかの水着を持って更衣室に突撃していった。店員が取り付く島もない電光石火である。

店員が俺の方をちらちらと見ていたが、女性的な笑みを浮かべて「こんにちは」と相棒に答えてもらえば、彼女だと思われたのかすごすごと引き下がられた。複雑である。

それと同時に、着替え終わった一夏の水着ファッションショーが開催された。

詳しい事は割愛するが、こればっかりは俺じゃなくて篠ノ之辺りを連れてきた方がよかったんじゃないかと思う。

こうしてばっちり今年の水着をゲットした一夏。IS学園の女生徒の需要が満たされた瞬間である。

 

「次はどうするんだ。服か?」

「いいや。実はこの間日用品とか買い溜めしたんだ。服も家から持ってきたのがあるから。臨海学校の準備はこれで大丈夫だと思う」

「……つまり俺は、あの誰も待っていない寮の部屋にもう帰らないといけないのか?」

「トラウマになり過ぎだろ。……実は、臨海学校の買い出しってのは建前でさ。本当は別に付き合ってほしい事があるんだ」

 

一夏が照れくさそうに頬を掻きながらそんな事を言う。

こいつがこんな風に照れを見せるなんて珍しい。一体どんな用事だ。

 

「七月七日。七夕なんだけど……実は、箒の誕生日なんだ」

「篠ノ之の……あぁ、成程」

 

束姉の所に居た時の俺の記憶が、一つの疑問を解消した。

嘗て、束姉のラボにあったカレンダーに、大きく赤丸が描かれていた。

確か日付は七月七日。束姉に何か用事でもあるのかと問えば、『世界で一番大切な日』と返ってきた事を憶えている。

その時の束姉の表情はとても優しくて――――何となく、その表情を向けてられる相手が羨ましいなんて、そんな事を思ってしまっていた。

 

「それで、俺に何をしろと」

「プレゼントのアドバイスをしてほしいんだ。俺、こういうセンスまるでなくてさ」

 

どうやら、先程一夏が言っていたちょっと考える事とはこの事らしい。

何と言うか、こうして一夏が女性の事で悩むとは意外だった。

 

「……まぁ、分かった。アドバイスくらいならいいぞ」

 

どうせ篠ノ之なら一夏から貰えば何でも喜ぶのは分かっている。正直アドバイスも何もない。

それに一夏自身で、ある程度の目星は付けているらしい。それなら尚更楽な仕事だ。

一夏の案内のままに、俺達は店を移動する。当然レゾナンスの階層的には女性物を多く取り扱うフロアだ。以前刀奈と来た辺りか。

 

「確か……ここだ」

 

到着した店は、女性用のファッション小物を取り扱う店だった。

遠目からでもシュシュやヘアゴム、ネックレスやイアリングなどのアクセサリー等の品揃えが確認出来る。

いざ入室しようとする一夏だが、中々歩が進まない。後ろにくっついてる俺もつっかえていた。

 

「どうした、早く行こうぜ」

「いや、それは分かってるんだけど……入り辛い」

 

まぁ、気持ちは分からなくはない。明らかにここは女性用の店。野郎二人が入店しようとするのは些か以上に奇怪な光景だろう。

事実、店員が何だ何だとこちらを見ている。現状俺達は唯の不審者だった。

 

「……仕方ねえな」

 

こうして誰かの為にうんうん悩んだりする幼馴染を見るのも貴重だ。

買い物に付き合うって決めた以上、協力してやるか。

くしくしと手櫛で髪を整えて、出来るだけ真っ直ぐ降ろす。IS学園に入ってからは簪がしっかりとドライヤーで乾かして櫛で梳かしてくれるおかげで、随分と髪質が良くなってしまった。

相棒がテキストモニターを投影したのを確認して、店員へ近付いていく。

 

『すみません、少しあの人とお店の中を見てもいいですか?』

 

投影モニターに映される文字を読んだ店員は、俺が言葉を発さない事を不思議に思ったのかこちらを見た。

それに対して俺は困ったような笑みを浮かべる。すると、何となく事情を察してくれたのか「ごゆっくりどうぞ」と言って店の奥へ引っ込んでいった。

振り向いて一夏へ、俺は『大丈夫だって』と文字に起こしながら手招きをする。

恐る恐る俺の元へやってきた一夏は、『一体どういう事か』と言いたげだった。

 

「いいって言うんだから早くしようぜ」

「そりゃ、そうだけど……」

 

一夏にしか聞こえない小声で急かすと、状況を理解してないままプレゼント候補を物色していく。

俺としても状況を理解しない方が助かる。幼馴染にこういう事が出来ると知られるのは気まずい。

 

「これはどうだ?」

 

一夏が見せてきたプレゼント第一候補はピンク色の大きな鳥の羽型のネックレスだった。

 

『篠ノ之ってこういうのが好きなのか?』

「意外かと思うだろうけど、結構女の子っぽいのが好きなんだ。本人は隠してるみたいだから、話には出さないけどさ」

 

意外も何も、俺は篠ノ之の事を殆ど知らない。

日常的な会話する事は殆どないクラスメイトだ。寧ろタッグマッチのパートナーを務めた縁もあって、簪の方がよっぽど話しているだろう。

 

『まぁ、色やデザインはもう少し地味な物の方が無難だと思うぞ。アクセサリーってのは悪くないんじゃないか』

「そ、そうか。シルバー系とかいいかな?」

『最終的にはお前のセンスに任せるけど、困ったらそれにしようぜ』

 

後は指輪とか買わなければ多分大丈夫だろう。

それからもプレゼント選びは続く。人形やらブレスレットやらの嗜好品を多く選ぶのは、家庭的な一夏自身の価値観ではなく、あくまで篠ノ之へのプレゼントとしての観点を持っているからだろう。

それだけ一夏は本気だった。本気と書いてガチだった。

そんな本気なプレゼント選びも、そろそろ佳境に入っていく。

 

「後は……これかな」

 

そう言って取ったのは、白に赤のラインが入ったリボンだった。

 

『いいんじゃないか』

 

素直にそう思った。篠ノ之は普段からリボンで髪を結っている。

身に着ける物は相手からの好感度ありきな所もあるが、篠ノ之ならそれも問題ないだろう。

俺の表情からこれが当たりだと思ったのか、将又最初からこれに決めていたのか。

 

「これにする」

 

神妙な面持ちで言ってレジに行く一夏の後を追い、会計の様子を伺った。

 

「プレゼント用でお願いします」

「畏まりました」

 

支払いを済ませると、店員は慣れた手つきで梱包をしてくれていた。

包装しながらちらりと、俺と一夏を微笑ましそうに見ている。

 

「今日のデートでの、隣の彼女さんへのプレゼントですか?」

「え?」

 

一夏の素の驚きの声の聞きながら、俺は声に出さず苦笑いを浮かべる。

まぁ、そう見えるよな。出来れば勘違いしたままで居てほしかったが、言われてしまえば仕方ない。

 

『いいえ。違いますよ』

「そうなんですか。失礼致しました」

 

店員が慌てて謝ってくるが、『慣れてますから』と宥める。

呆けた一夏が梱包されたプレゼントを受け取ったのを確認して、一夏を連れて退店した。

レゾナンスでの目的は果たした。さっさとIS学園に帰った方がいいだろう。

モノレールの駅まで向かい始めたのだが、俺の隣を歩く一夏の穴が開く程の視線が痛い。

 

「……何だよ」

 

流石に我慢が出来なくなったので、一夏をじろりと睨む。

 

「あ、わ、悪い。……その、ここで今の楯無を見てると、ある人を思い出してさ」

「ある人?」

 

分かっている答えを惚けながら問う俺は随分と滑稽だ。周りに知人が居なくて助かった。

一夏は言っていいのか悪いのか悩んでいたが、話す気になったようだ。

「他言無用だぞ」と念を押したうえで、俺にしか聞こえない程小さな声で言ってくる。

 

「俺、この間の休みにここで包村帯さんにあったんだ」

「へえ。それはまた有名人だな」

 

一夏の話を疑う事はしなかった。何しろ俺自身の話だ。

別にあの時の事を口止めした憶えもない。言い触らされる事は構わなかったが、一夏自身がそういうリスクを考えてくれて助かった。

 

「それに、あの人はこの間のタッグマッチトーナメントの決勝にも来てたみたいなんだ」

「……ありえない話じゃないな」

 

俺の肯定に一夏も頷く。

包村帯は世間的には篠ノ之束の庇護を受けた人間となっている。事実世界大会にもその推薦枠という反則技で出場した。

それだけコネクションがあれば、秘密裏にどこかの国家に所属し、IS学園の来賓として来ていてもおかしくないと考えたのだろう。

 

「ラウラか暴走したあの時、熱くなった俺を楯無が吹き飛ばしただろ。その時、俺に通信を入れて宥めてくれたんだ」

「そうだったのか。それからは?」

「いや、それきり。包村さんのIS――“黒鉄”からの通信だと思ったんだけど、“白式”のログにも相手のコアの履歴は残ってなかった。まぁ、当たり前だよな。束さんと同じぐらい、世界各国が探してるような人だし」

「そうだな」

 

一夏の納得に適当に相槌を打つと、モノレールの駅のホームに辿り着いた。もう直IS学園行きのモノレールがやってくる。

手で髪を乱しながら、俺はぼんやりと相棒が一夏に伝えた事を考えていた。

守るという行為から最も遠い存在。織斑一夏が追ってはいけない背中。

俺と“黒雷”の翼は、一人の少女が本当の名前で笑えるように救う為の翼。

守らなければならないものなんて、俺には一つも残ってない。だからその為の力だって必要ない。

――――だから、もし。俺が守る為の力を欲したとして。何が理由になるかなんて分からない筈なのに。

俺の隣で笑ってくれる一人の少女の笑顔が、頭から離れなかった。




野郎とのデート5000文字くらい書いてどないすんねん
楯無の身長やら体格は、箒とほぼ同じかほんの少し男っぽいぐらいの設定です。
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