WHITE×CAT   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

 先にこれだけは言っておきますが、作者の小説のタグに一番最初から性転換があるということは……そういうことなので、苦手な方はプラウザバック推奨です。


最終試験 その3

 

 

 勢いよく起き上がったゴンは、自身が洋間におり、ベッドに寝かされていたことに気づいた。そして、左腕にギプスが巻かれ、釣られているのを見て、今はまだハンター試験の最中だったことを思い出した。

 

 そして、ゴンが窓の外の景色を見て、今はまだ正午頃だということを認識した後、ふと横を見ると――。

 

 

「おはよう、ゴン」

 

 

 笑みを浮かべ、椅子の肘掛けに肘を立てて、頬杖をつきながらゴンを眺めている見覚えのない若い女性がそこにいた。

 

 女性はとても冷淡な顔立ちをしており、美しくもどこか恐ろしい印象を受け、その笑みからは若干の敵意と好奇と僅かばかりの親愛が入り混じったような奇妙な感覚を受ける。

 

「なぁに?」

 

 その女性を見つめたまま、目を丸くしていると、女性は立ち上がった。それによって、背が高く、膝下まで届こうという長く艶やかな髪をしていることがわかる。

 

 そして、女性はゴンのベッドに座ると、ゴンの頬を片手でそっと触れたまま、顔を近づけてそのまま言葉を吐く。

 

「私の顔に何かついているかしら? それともまだ夢見心地?」

 

「ううん、お姉さん誰?」

 

 ゴンは真っ直ぐ女性と目線を合わせたまま、ハッキリとそう言い返す。それに女性は目を丸くして、少し目を鋭くして口を尖らせながらゴンの問いに答えた。

 

「誰って? ハンター試験で何度も会ったし、約束もしたでしょ? 私よ、私。忘れただなんて……絶対に言わせないわ」

 

「え……? ええっと……?」

 

 その言葉にゴンは困惑する。そして、どれほど記憶を掘り返しても、彼女のような存在に出会ったこともなく、今日このときに出会った事が初めてであった。

 

 唸り声を上げながら考え込み始めるゴンに対して、彼女は小さく溜め息を吐くと、心底呆れを含んだような目でゴンを見ながら呟いた。

 

 

「"クート・ジュゼル"よ。思い出したかしら? お馬鹿さぁん」

 

 

 それだけ言うと彼女――クート・ジュゼルと名乗る女は立ち上がってベッドから離れ、部屋の扉まで行くと、ドアノブに手を掛けたところで止まり、ゴンの方に振りかえって口を開いた。

 

「適当にスタッフを呼んで来るから横になってなさいな。馬鹿でも行儀ぐらいはよくできるでしょう? それと、私から話が聞きたいなら、さっさと念ぐらい習得して欲しいわね。二度手間じゃない」

 

 それだけ言って彼女は部屋を後にする。

 

 それまで、彼女に名乗られてからずっと固まっており、彼女の最後の話はほとんど耳に入ってなかったゴンは、その数秒後に動き出した。

 

「えぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!!?」

 

 ことの始まりは、最終試験のクート対ヒソカ戦まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴトリと落ちたクートの頭が石畳に当たる音が響き渡り、遅れて具現化されたクライストが消滅すると共にクートの体が床に叩き付けられた。頭部がなく、だらりと力なく倒れた体は明らかに即死にしか見えない。

 

 そこにいた大多数の人間が困惑する中、ピトーは目を輝かせてクートを眺め、ギタラクルは足早にその場から立ち去ろうとして黒服に止められていた。

 

 そして、ネテロ会長が呆れ顔でポツリと呟く。

 

「秘匿はどうした秘匿は――」

 

「そんなもの。所詮、暗黙の了解でしょう? 有象無象など知ったことじゃないわ。そもそも最終試験のルールでは使うなとも、殺し合うなとも言われていません。それ以前に挑戦者を待つことしかしなくなった腐るばかりの枯木に、()の勝負に口を挟まれる筋合いは無いわ」

 

 すると地面に転がるクートの首が口を開き、やや低めの侮蔑を含んだような女の声で発話した。その内容を特に表情を変えずに聞き流しながら、クートの首に問い掛けた。

 

「起きたか……"盗賊クート"。相変わらず、口が悪いのう」

 

 次の瞬間からクートの体から白煙と、全身の肉と骨格が軋み混ざるような異音が響き渡る。そして、急激にクートの体は体型が変わり、元のクートよりも細くしなやかなものとなり、少しだけ背が縮み、胸等が大きく膨らむ。

 

 そして、頭部は急激に髪が伸び、顔付きも温厚そうな男性から、冷淡で妖艶な女性へと変化した。

 

 さらにひとりでに体が立ち上がると、頭を掴んで拾う。そして、接合部に乗せると白煙が立ち登った直後に接合された。首を鳴らして感覚を確かめていると、クートの手の中に"柄と鍔までしかない刀"が具現化され、それを握り締める。

 

 そこには氷の女王、あるいは闇の女帝とでも形容されるような凍てついた雰囲気と、悪意に満ちた笑みと存在感を放ち、人間離れした美貌を持った女が立っていた。

 

「いいこと教えてあげる。クート・ジュゼルはね。ハンター協会は何故か隠してるけど女性盗賊なの。全て()がひとりでしてきたことよ。要するに、今までのはぜーんぶ。ただの遊びってこと」

 

 女――クートは具現化された柄を手の中で遊ばせながら、ヒソカにそう言う。そして、ふとした瞬間に柄を持ち――空を切るように軽くヒソカに向かって柄を振る。

 

「へぇ、それは――」

 

 ヒソカが口を開こうとした瞬間、ヒソカの胴体と背後の壁を、斜め入った線のような切れ込みが走る。遅れて、ヒソカから鮮血が飛び散り、その傷の深さを物語った。

 

 ヒソカが驚き目を見開き、反射的に凝を行うが、クートの持つ柄に変化は見られず、手の中で柄を回すばかりだった。

 

 そして、クートは心の底から愉しげに、そして嘲笑うような笑みを浮かべながら口を開く。

 

「お馬鹿さぁん。まだ、試合中で、私と貴方は殺し合いしているのよ? 一瞬でも気を抜く奴がある? 初見殺しは貴方だけの専売特許じゃないの」

 

「――――!」

 

 ヒソカは残った片手にトランプを構え、未だクートに付いているバンジーガムを引き寄せる。クートの体は一切、動かず、その代わりにヒソカ自体がパチンコで射出されるように跳び、クートへと迫った。

 

「が……!?」

 

 その直後、ヒソカは自身の胸に何かが突き立ち、強制的に空中で縫い付けられるように止められた。その瞬間、再び、ヒソカがクートを凝で見ると、やはり柄に変化は見られない。しかし、今度は柄の存在しない切っ先がヒソカの胸へと向いていることを確かに見た。

 

 柄を振ったときに起きた斬撃のような切れ込みと、今自身の胸で柄を中心に突き立つ何か。それらから考え、今のクートの念能力をヒソカは断定する。

 

(間違いない……"柄から伸縮自在の見えない刃を具現化する能力"だ……♦)

 

 クートの具現化速度に、不可視の伸縮自在の刃。それが合わさればこれほどまでに強力な能力になる。あるいはそのような能力のために、異様な具現化速度が身に付いたのか。どちらにせよ、それ以上、ヒソカが考えることはない。

 

(ああ……折角……ここまで引きずり出せたのに……♧)

 

 ヒソカの意識は失血によって、視界が外側から白く染まるように急激に弱まって行く。薄れゆく意識の中、ヒソカは最後にクートに向かって届くことのない手を伸ばした。

 

(もっと……もっともっと殺り合いた――)

 

 そして、彼は意識を失った。

 

「精々、頑張った方じゃないかしら? まあ、私の"幻想虎徹(イマジンブレード)"はまだ三段階上がありますけれど。5分の1はクート・ジュゼルを攻略できたわね」

 

 クートは誰に言うわけでもなく、そう呟くとヒソカを宙から降ろし、柄を服のポケットに入れてから、ヒソカの腕を拾って断面につけると、胸の傷口にもう片方の手を添える。すると、ヒソカの傷から白煙が上がったと思えば、既に跡形もなく再生しており、気絶したヒソカだけが残った。

 

 それからクートは散乱しているオリハルコンのトランプを全て集め、ミニアタッシュケースに戻し、ヒソカの横に添えた。そして、小さく息を吐いてからポツリと呟く。

 

「はいはい、私の負け負け。じゃあ、次の試合よろしくね」

 

 そう言ってクートは外野へと戻るために歩き出し、ヒソカは黒服たちに担架で運ばれて行った。

 

 外野についても、あまりのクートの変貌に誰も声を掛けられずにいると、クラピカの目の前を通り過ぎるときに足を止めた。

 

「あ、そうそう。クラピカ」

 

「…………あ、ああ……なんだ?」

 

「貴方の復讐したい幻影旅団はね。私ほどじゃないけど、ほぼ全員が私にみたいに、今の貴方には超能力にしか見えないことをしてくるだろうから、精々愉快な死に方をしなさい? ま、貴方なら頑張れば半壊にするぐらいは出来ると思うけれど? そうそう、こういうことを夭折って言うのよね。アハハハハ!」

 

「――な」

 

 およそ、これまでのクートからは想像も出来ないような皮肉が飛び出し、絶句するクラピカ。それを言い放ったクートは、直ぐにピトーの下に向かおうとしていた。

 

「…………おい、待てよ! そんな言い方ないだろ!?」

 

 しかし、それをクラピカの仲間のレオリオが怒り、止めようとして、クートの肩に手を置いた。

 

「がっ!?」

 

 次の瞬間、レオリオは投げつけられて宙を舞い、外野側の壁に激突した。

 

「テ、テメェ……何しやが――あ……」

 

 地面に倒れたレオリオが顔だけ上げると――レオリオのすぐ側にしゃがみ込み、大きく目を見開き、瞳孔が開き切った目で、首を大きく傾けながら無言で見つめるクートと目があった。その様は幽鬼のようであり、みられていると自然と沸いてくる恐怖により、レオリオは冷や汗を流しながら閉口する。

 

 30秒程その時間が続いた後で、クートは小さく鼻で笑い、目と口を細く歪めて笑いながら口を開いた。

 

「こういうときにはやっと黙るのね? 馬鹿で、口だけは達者で、感情に振り回されるだけの小煩い男。自分のハンター試験ですら、自分は大した貢献もせず、仲間と呼ぶ尻拭いにおんぶに抱っこの貴方が……付け上がるんじゃないわよ」

 

 それだけ言うとクートは立ち上がり、ピトーの下に向かう。今度は止めるものはいなかった。

 

「あ、主様……?」

 

 最初は目を輝かせていたピトーだったが、あまりもの精神上の変貌ぶりに、思わずそう呟く。そして、それの返事は、熱い抱擁だった。

 

「ああ、ピトー! ピトー! 私の愛しい猫! 見ててくれたかしら私を! これが私よ! 私なのよ!」

 

「ニャ!?」

 

 堪らないといった表情で、ピトーの全身を撫でるクート。その表情は親愛と共に恍惚を含んでおり、またその手つきも若干性的なものであり、ピトーは体を強張らせる。

 

「ああ……本当に可愛い……私の伴侶。大好き、大好きよ! 愛してるわ! 食べちゃいたい……」

 

「あ、主様……わ、わかったから止めるニャ! ちょっと離れるニャ!?」

 

 遂にピトーの耳に甘噛みを始めようとしたクートを慌てて止めるピトー。そんなピトーにクートはキョトンとした様子で首を傾げていた。

 

(や、ヤバい……思っていたのと別方向の薮蛇だった!?)

 

 数分前にクートが、()とやらになることをとても楽しみにしていた自分を八つ裂きにしてやりたいと、ピトーは考えていた。

 

(通りで主様が、絶対に使いたくないと言っていたわけだよ!? 何これ……本当に何これ!?)

 

 傍若無人に尾ヒレと足ヒレがついて、水中から陸上生活に適応したぐらい今のクートは異常な物体である。これを自分の主人と認められるかどうかで、ピトー目を回しそうであった。

 

「ちょいとピトーくん。クート(その)ことで話せるかの?」

 

 すると、ネテロ会長がピトーを呼びつける。とりあえず、事情を知りたいピトーは、これを助けとばかりに飛び付いたが、今のクートをひとりにすることになると気付き、ブリキ人形のようにクートの方に振り返ると、まだキョトンとしているクートに声を掛けた。

 

「主様……お願いですから、大人しくしててくださいね?」

 

「…………? 私はいつでも優しくて大人しくて親切よ? まあ、でもピトーの頼みならわかったわ」

 

 何をわかったのだろうかと、ピトーには不安しかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、何から話そうかのう」

 

「なんでも話してください……お願いします……」

 

 ラウンジの椅子でネテロ会長と向かい合った僕は、五体投地寸前だった。

 

 違う……違うんだよ……僕が想像してたのは、もっとこうカッコいい主様とかなんかそういうのをイメージしてたのに……。なんで女性になるの? なんであんなに傍若無人なの? なんで僕に対してあんなにエロいの?

 

「まず、分かりにくいので、便宜上、男の方をクートくん、女の方をクートと呼ぶぞい?」

 

「はい……」

 

「クートはのう。クートくんが最初に発現した――"矮小な男と高飛車な女(ジキルとハイド)"という特質系と操作系の念能力じゃ」

 

 ジキル博士とハイド氏というタイトルは知っていた。主様のお気に入りの本で、昔も今も一番分かりやすい場所の本棚に置いてある本だ。

 

 ジキル博士が夜な夜な、薬でハイド氏という似ても似つかない存在になって、悪事を働き、最終的には薬のせいでジキル博士でいれる時間がほとんどなくなって、それを苦に自殺するって話だっけ? 主人公は刑事さんなんだよね。まあ、僕が読んだ奴は、一巻の文庫本の奴だし、流し見してたから間違ってるかもしれないけど。

 

「知っているのなら話は早いのう。ぶっちゃけ、そのままの念能力じゃ。言ってしまうと、普段のクートくんの自制や抑制が完全に外れて、常に半ば暴走状態なのがクートじゃな。見ての通り、あらゆる意味で強くなる代わりに、社会的信用や人間関係に大打撃を与える珍妙な能力じゃ。ある意味、誓約になっているのかも知れん」

 

「ええ……」

 

 なにその意味のわからない能力と、誓約は……?

 

「また、"幻想虎徹(イマジンブレード)"という女性体でしか使えない制約を掛けられた念能力がクート自身の精神と直結させて、性能を劇的に高めているのじゃが、それを更に"G・B(ゴッド・ブレス)"の弱点として共有させることにより――自身の精神と直結しているイマジンブレードが折られない限り、いかなる手段を用いてもゴッド・ブレスが停止しないという"魔人"が誕生したんじゃ。ちなみに、このふたつの念能力はクートが勝手に作ったらしい」

 

 "イマジンブレードはオリハルコンの強度を超えていた上、ゴッド・ブレスが完成した医療用ナノマシンじゃから、貧者の薔薇(バラ)の直撃もほぼ効果なかったしのう"とネテロ会長は呟いていた。

 

 存在の根底がギャグじゃん……いや、結果は洒落になってないけど。どこから突っ込んでいいのこれ……。

 

「それにしてもクートの奴、やはりイマジンブレードをへし折られたからか、昔に比べて――随分、丸くなっておったのう」

 

「――――――――ニャ?」

 

 今までの会話で、一番意味のわからない言葉が出て来て、僕はそれまで考えていたことを手放した。

 

「一応、本人の悪いところを言ったり、アドバイスしておったじゃろ?」

 

「アレ、アドバイスだったの!?」

 

「そりゃあ、根っこの方はクートくんじゃからのう」

 

 そ、そう考えればそういう風に……いや、しないよ!? どう考えたって意地の悪過ぎる罵倒だよ!?

 

「ネテロ会長は主様のこと随分、よく知ってるねぇ……」

 

「そりゃあ、わしはクートと拳を交えたひとりじゃからのう。それと、捕らえられた後、ハンター協会に自分の念能力を、自発的に洗いざらい全て話した念能力者の犯罪者は後にも先にも、クートくんぐらいじゃと思うぞ」

 

 あ、その光景はなんか容易に目に浮かぶなぁ……ってそれどころじゃないよ!

 

「あ、主様を戻す方法は!? 戻るんだよね!?」

 

 少なくとも戻ってるし、私が来てから女性になったことは一度もなかったもの。何か方法はあるはず!

 

 するとネテロ会長は、僕から目線を外し、頭を掻いた後にポツリと呟いた。

 

「一応、クートくんのときに致命傷を受けるとクートになり、クートからは任意の切り替えでクートくんに戻れるんじゃが……クートからクートくんへの任意の切り替えはクートが行うんじゃ」

 

「え? あの自己愛の塊みたいな主様が、人格を切り替えなきゃ戻らないの……?」

 

「それだけならまだいいのじゃが……ジキルとハイドは操作系と特質系の念能力と言ったじゃろ? なので、あれは人格を作っているのではなく、実際にはクートくんの人格そのものを操作して、クートになっており、記憶や人格は完全に同一のものなんじゃ。じゃから……クートはクートくんの記憶を完全に自身が体験したものだと完全に思い込んでおる」

 

「え゛……それって戻るように促しても、クートが理解してないからほぼ不可能ってことだよね?」

 

「左様、それゆえ、一度クートになると、クートの気分次第で最低でも1週間、長いと一年以上元に戻らないこともあるらしい……というか、あったのう。まあ、なんかの拍子に戻ると思うぞい」

 

 つまり、どうしようもないということだった。

 

「ク……」

 

「く?」

 

「クソ能力過ぎる……」

 

 ハズレにも程があるでしょう主様の特質系念能力!? よく主様はそれで折り合いをつけて前向きに生きようっていう気になったね……あ、だからエンジョイ&エキサイティングとか言ってたのか……一周回ってどうにでもなれと。

 

「ピトー! 私の愛しい猫! 何故かレオリオがすぐに"まいった"を言ったから私ハンターになったわ! 不必要に執拗な拷問をしようとしたのに少し残念だわ……」

 

 するとハンターになったらしい主様が凄い速度で僕の隣に現れて、喜びつつも少し不満げな表情をしていた。来た拍子に私の3倍以上の質量がありそうな主様の胸が揺れ、猛烈に複雑な気分になる。

 

「――――ニャァ! こうなったら主様、表に出るニャ! 僕が勝負に勝ったらジキルとハイドを切り替えて貰いますニャ!」

 

「あら、いつもみたいに遊びたくなったのね? 可愛い私の子猫ちゃん。いいわ、疲れるまで遊びましょう?」

 

 是が非でも主様を元に戻してやる! この主様、キモい!

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「もうむり……」

 

「あら、今日はいつもより早いのねピトー? もう、疲れたのかしら? まだ、私のイマジンブレードはLV2よ? うふ……うふふふふ!」

 

『ゲギョギョギョギョギョ!』

 

 つっよ……なにこれ……。あのサメみたいな形になったイマジンブレード、主様の思い通りにとんでもない曲がり方するし、身体能力とか、オーラ量まで元の主様よりも劇的に上がってるし、いくら傷を負わせても瞬時に再生するし、主様が笑うと剣も笑ってるし……。

 

 

 え……これ……ジンってどうやって主様倒したのよ……。

 

 

 僕はその疑問を最後に今後の不安を感じながら意識を手放した。

 

 

 

 

 




※クートちゃんの見た目は特に設定していませんが、fateのセミラミスとか、ぬら孫の羽衣狐とか、そっちのタイプの雰囲気をした美女ですね。中身は、似ているものを強いてあげるとすれば、とてつもなく殺伐としたONE PIECEのハンコックみたいなものです。後、乳酸菌とってます。


分かりやすい例え(トライエース):
・クートくん→ガブリエ・セレスタ
・クートちゃん→イセリアクィーン


~クートの念能力~
矮小な男と高飛車な女(ジキルとハイド)
 特質系・操作系の複合念能力。自身の人格から抑制や自制を外して半暴走状態にし、その上で女性的な人格へと変える念能力。それに伴い、肉体も女性のモノへと変化する。そして、その様はまさに傍若無人。
 元々はこの世界においての幼少期に、殺したいほど憎いと感じた相手ができたときに発現した。女性人格は考えられる限りの拷問を与えてから殺し、男性人格に戻った後には、家族や町民から悪魔と恐れられ、それに至った記憶と血腥い感覚だけが残った。
 その後は使えば問題は解決するが、敵が増える。敵は問題を生み、再び、使用する。そうして、無限ループとなり、気がつけばほとんどの時間をクートは女性人格で過ごすようになった。そして、気付けば日の当たる場所は遠く、深く暗い場所でしか生きれない身になっていた。それが盗賊クートが生まれた理由ある。
誓約:
・無意識下での社会的信用の破壊
・無意識下での人間関係の破壊


幻想虎徹(イマジンブレード)
 女性人格が、前世の記憶から作り出した具現化系・特質系・操作系の複合念能力。能力が付加された一本の刀の柄を具現化する。LV1‐LV2‐LV3‐LVMAXの四段階があり、それぞれがやや異なる特性を持つ。
制約:
・女性体でなければ具現化できない。
・女性体になると強制的に具現化し、女性体である限りは消すことは不可能。
・同時に1本までしか具現化できない。
誓約:
・イマジンブレードは自身の精神と同調しており、砕け散れば心が壊れる。

LV1:不可視で伸縮自在の刃
LV2:己の意思の通りに動く生きた剣
LV3:?
LVMAX:?


G.B(ゴッド・ブレス)
 女性人格が、前世の記憶から作り出した具現化系、特質系、操作系の複合念能力。自身の体内で常に具現化されているナノマシンそのもの。ナノマシンに付加された機能としては、傷を負っても瞬時に回復でき、致命傷を受けても死なず、病気にもならず、歳を取らなくなる不死のナノマシン。
誓約:
・イマジンブレードの損壊状態に合わせてゴッド・ブレスは機能を停止する。


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