WHITE×CAT   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

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三次試験

 

 

 午前6時を過ぎたところで飛行船から降ろされた。そして、三次試験会場は砂色の新品のチョークのような形をしたトリックタワーなる施設の屋上。これを一番下まで降りることが三次試験の試験課題らしい。

 

 ちなみに説明は、三次試験の試験官の代理としてビーンズくんが務めていた。

 

「さて主様。早速、飛び降りて下まで行くのニャ」

 

「いきなりステージをレイプしようとするのは止めようかピトー」

 

 とは言ったものの実際のところ、これはどうすればいいのだろうか? このままでは業を煮やしたピトーがトリックタワーをへし折り兼ねないので、早いところ下に降りる方法を探さなければ――。

 

「ん……?」

 

 ふと、受験者の大きな吹き矢を持ち、サングラスを掛けた黒人男性がしゃがんでいたので、そちらに目を向けると、床がクルリと回転して、男性は下に降りていった。

 

 ああ、そういうシステムなんだ。

 

 試しに男性が降りた床に触れてみるが、ロックされているようで動く様子はない。

 

 少しだけ円を使って確認をすると、降りた先のエリアは全て扉のついた小部屋になっており、どうやらそこから個々あるいは集団の課題がスタートするシステムのようだ。

 

「一人部屋がほとんどだな」

 

 となるとピトーとは一旦、分かれることになると考え、一抹の不安を覚えていると、ピトーは何故か俺に抱き着いて、歩きづらくなるほど密着してきた。

 

「これならひとつの床を二人で通れますニャ」

 

 それはシステム的にはどうなのだろうかと考えたが、それに試験課題は下まで降りていくだけだから問題ないだろう。なにより、ピトーを俺の目の届かないところに置いておくのがまだ危な過ぎる。

 

 ピトーと少しだけ話し合ってそう決めたので、近くの回る床を探し、ピトーを抱き着かせたまま、そこから降りた。

 

『「「――――――!?」」』

 

「あっ! 二次試験のときの!」

 

 その瞬間、驚愕した視線が2つと、恐れた視線が1つ。そして、人当たりの良さそうな聞き覚えのある声掛けがひとつ聞こえた。

 

 見れば真っ先に目に入ったのは二次試験のときの緑の服を着て釣り竿を持った少年、それから虚勢を張ってはいるが明らかに怯えが混じった視線を向ける銀髪で猫目の少年。そして、金髪で青い民族衣装を纏った青年……男だよな? それとスーツ姿でサングラスを掛けた男性の4人が小部屋の中にはいた。

 

「おはよう、またあったな少年」

 

「俺はゴンだよ!」

 

「おう、じゃあ俺はクートで、こっちは連れのピトーだ」

 

「…………よろしく」

 

 とてもよろしくしたく無さそうなよろしくをありがとうピトー。後でお話が必要そうだな。

 

 他の方々は特にアクションを起こして来ないので、彼らから一旦視線を移して、壁に貼ってあった説明文に目を向ける。

 

《多数決の道:君達5人は ここからゴールまでの道のりを 多数決で乗り越えなければならない》

 

 そして、円柱状の台を見れば丸とバツのボタンがついたタイマーがひとつ残っていた。他の方々の手首を見ると既にはめられているようなので、これが最後なのだろう。

 

「主様、どっちがつけるニャ?」

 

「じゃんけんにしよう。最初はグー!」

 

 じゃんけんの結果は俺が勝ったので、俺が手首にはめることになった。タイマーをはめると、壁の一部が上にせり上がり、鉄扉が姿を現した。そこには扉を開くか、開かないか多数決を取るように指示があった。

 

 もちろん、丸を押しておこう。こんなところでチームプレーを乱すわけにはいかないからな。

 

 ゴンは俺に続いてすぐに押したようだが、他の方々はしばらく動きを見せなかったので、不思議に思い、鉄扉を指差しながら彼らに問い掛けた。

 

「少し遅れて入ってきて、こんなこと言うのもなんだが、行かないのかい?」

 

 そういうとハッとした様子で他の方々はボタンを押し、多数決は丸が5人で鉄扉が開き、三次試験が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 吹き抜けのリングのような場所に出るまでに、左右を選ぶときに人は無意識に左を選びやすいので右に行った方が安全という理論を聞いたこと以外は特筆すべきことは特に何もなかった。

 

 ちなみに俺は右にしていた。ふと目に入ったピトーの尻尾が右に揺れていたからである。

 

 石のリングを挟んで向こう側には、フードつきのローブを纏って手枷をはめられた人間が5人いることがわかった。そのうちの一人の手枷が解除され、ローブからスキンヘッドの体格のいい傷だらけの男が出てくる。

 

 男たちは超長刑期の囚人らであり、彼らとひとりずつ何かしらのルールで戦い、3勝すれば通ることが出来る。逆に囚人らは一時間毎に一年刑期を短縮する恩赦があるので、全力で足止めをしようとしてくるとのこと。

 

 そして、最初の相手は説明をしたスキンヘッドの男らしい。

 

「うーん、どう見ても軍人か傭兵上がりっぽいし、景気づけに俺から行こうかな?」

 

「クートさん頑張って!」

 

「主様ファイトにゃ!」

 

 ゴンくんとピトーの声援受けてリングに出た。後続のためにも早く終わらせたいので、スキンヘッドの男に声を掛ける。

 

「ルールは?」

 

「デスマッチだ!」

 

「へぇ、じゃあ殺されても文句はないな。もちろん、いいぞ」

 

 俺としてはだが、加減も何もしなくていいので一番やりやすい課題だな。

 

「その覚悟見事! それでは……勝負!!」

 

 俺は襲い掛かってきた囚人の男に対応せず、そのまま何もせずに立っていた。当然、囚人の男は俺の喉を潰しに掛かりながら捩じ伏せようとした。

 

「なに……!?」

 

 しかし、当然ながら1mm足りとも男の行動で揺らぐことすらない。囚人の男からすれば俺の体は固定設置されたブロンズ像か何かを相手にしているような気分であろう。実際にはそれを遥か超える強度なのだがな。

 

 俺は無理矢理囚人の男の腕を振りほどき、開始位置に投げ飛ばしておく。そして、ふと疑問だったことを聞くことにした。

 

「なあ、超長期服役囚らしいが、お前は何年刑期があるんだ?」

 

「強盗殺人で199年だ……」

 

 なんだ。やはり無能力者で考えた場合の定義か。思わず、"それなら参考までに"と呟いてから俺は言葉を溢した。

 

「俺に求刑された刑期は、28億8074万3719年と169日だ」

 

「は……?」

 

 次の瞬間、男の目の前に移動して顔面を掴んだ。その直後、遅れて俺が踏みしめた石畳が炸裂するように砕け散り、爆音を響かせる。

 

「10秒やる。よく聞け」

 

 絶句している囚人の男の顔を掴んだまま、俺は笑顔で問い掛けた。

 

「殺す」

 

「ヒィ……ま、参った! 俺の負けだ!?」

 

 顔から手を離してやると囚人の男は膝から崩れ落ち、何度も転倒しながら俺から逃げるように去っていった。オーラも使ってないため、根性のない奴だと思い、小さく溜め息を吐いてから受験者側へ戻った。

 

「28億年ってマジか……」

 

「死刑がないってのも考えものだよな。こうして、俺みたいな奴は司法取引で全て消化して出て来ることもできているからな」

 

「お、おう……!?」

 

 サングラスの男性――確かレオリオくんは、独り言の呟きに俺から返答されると思っていなかったらしく、酷く驚いた様子だった。

 

 そして、2戦目。相手は青い肌にものすごい顔をした男の囚人である。それには金髪の青年――確かクラピカくんが行った。まあ、どう見ても相手は虚仮脅し(こけおどし)なので、何も問題はあるまい。

 

「なぁ……」

 

 そんなことを考えていると、まだ少し俺とピトーへの怯えが感じられる銀髪の少年――キルア=ゾルディックに話し掛けられ、そちらに意識を向けた。

 

「なんで、さっき殺さなかったんだ……?」

 

「んー? 俺が人を殺すときは自分にとって心底邪魔だと思ったときだけだよ。死体を見て、気持ちいいと感じる奴はそんなに居ないしな。君はそのクチかい?」

 

「………………いや」

 

 まあ、他に理由があるとすれば、あのスキンヘッドの囚人がデスマッチに参加したこちらの心意気を見事と言っていたから、というのは多少あるかも知れないが、今加味するようなことでもない。

 

「あんまり深く考えないでいい。己の想いに殉じ、偽らない。好きに生きさえすれば、いつか理不尽に死んだって笑って許せるだろう?」

 

 まあ、最近は死ねない目的が出来たので、この生き方も多少変わるだろうが、根本はそう変わるまい。それにこちらを伝えた方が、きっとキルアくんのためになる。

 

「…………そんなもんか?」

 

「そんなものだよ人生なんてな。堕ちるところまで堕ちて、今は娑婆で普通に暮らしてる極悪人のアドバイスさ。というか俺のこと覚えてない? もう何度もゾルディック家には行っているし、君にも会ったことあると思うんだけど?」

 

「え……?」

 

 最近はナイフの依頼、ぶっちゃけキルアくんの父親のシルバ=ゾルディックにオリハルコンのナイフの製作を依頼されたので、それを作っているしな。もう1ヶ月も掛からず、完成する筈だ。

 

「…………ああ! いたなアンタ!? 親父達の知り合いじゃん……なんだ緊張して損した」

 

「よしよし、思い出してくれて俺は嬉しいよ」

 

「撫でんな」

 

 うん、このふてぶてしいクソガキっぷりがキルアくんの持ち味だな。さっきまで借りてきた猫みたいで、こっちが気味悪かったぐらいだ。そういう意味じゃ、ピトーとも似ているかも知れないな。

 

 そんな話をしていると、ちょうど青い肌の囚人がクラピカくんに叩き付けられてノックアウトしたところだった。

 

 その後、3戦目の女性の囚人が、2戦目の囚人が気絶しているかどうかでしばらく時間を使った後、レオリオくんが解決し、女性の囚人の胸を揉み、じゃんけんに負けて50時間足止めを食うハメになった。何を言っているがわからないと思うが、要約するとそんな感じである。要するに野郎は女には勝てないということだ。

 

 4戦目はゴンくんが細い男性の囚人の蝋燭を吹き消して勝ち、受験者らが3勝したため、5戦目が行われることはなかった。

 

 囚人ども女性しか働いてねぇじゃねぇか。というか、この恩赦の調子だと、年内にあの女性は出所してそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「掃除するニャ」

 

 リングからとても近い場所に設置された待機部屋に入ったピトーが開口一番に言ったのがそれであった。

 

 確かに50時間も待機する部屋にしては多少汚いような気がしないでもないため、ピトーは気になったのだろう。何せにゃんこはとても綺麗好きの生き物なのである。

 

「~♪」

 

 鼻歌を歌いながらしばらく掃除をするピトー。男衆は邪魔にならないように部屋の外にいるか、部屋の隅に立っていた。

 

「ふんにゃぁ!」

 

 そして、10分ほど経ったところで掃除が終わり、ピトーが一番に2~3人掛けのソファーにダイブし、そのまま占拠した。

 

「ふわぁ……」

 

 最後に欠伸をすると、ピトーは眠ってしまい、小さくて可愛らしい寝息が聞こえ始めた。なんで一動作、一動作がイチイチこんなにも可愛らしいのだろうな家のピトーは。

 

「少しいいか?」

 

「ん? 別にいいぞ」

 

 オリハルコンの詰まったキャディバックを部屋の隅に立て掛けていると、クラピカくんから声が掛けられた。妙に真剣な表情をしており、並々ならぬ覚悟で俺に話し掛けてきたということが伝わってくるため、そこまで気負われてもこちらとしても微妙な気分なのだが、仕方あるまい。

 

「28億年の刑期が司法取引で全て減刑されることは、貴方ほどの者となると普通のことなのだろうか……?」

 

 ふむ、俺ではなく世界の法制度についての疑問か。まあ、念能力者のみが入る刑務所があるという情報すら、当然厳重な情報規制が敷かれているので、そう思うのも無理はないところだろう。

 

「誰か、捕まえたい者でもいるようだな。その様子だと復讐か」

 

「……ああ、私はクルタ族だ」

 

 それからクラピカくんの口から直接聞かされた。クルタ族と緋の目、そしてクルタ族を滅ぼした幻影旅団のこと。クラピカくん自身が幻影旅団への復讐者だということを。

 

 思ったよりも重い内容を聞かされ、なんとも言えない気分になったが、とりあえず疑問には答えてあげよう。

 

「いや、その辺りは安心していい。多分、今のところ俺にしか出来ない方法での司法取引だったからな」

 

「それは?」

 

 そのまま、口を開こうとしたが止まる。こっちの情報は念よりも遥かに口外したらマズい情報だからである。しかし、今さらそれを伝えないのも釈然としないだろう。ならば真実を適当に伝えるに限る。

 

「大きなお舟で外に行って、"希望"をひとつ持ち帰ってきただけだよ」

 

「…………馬鹿にしているのか?」

 

 ちなみに俺がハンター協会との司法取引で、暗黒大陸から持ち帰ってきたのは、発電する鉱石である。

 

 まあ、俺が公式に暗黒大陸に行ったのは、その一度きりだが、過去に非公式に行ったことがあったためにできた裏技だな。

 

「ハンター志望ならその辺りは自分で探すんだな。少なくとも数十億年単位の減刑は、クモには不可能だ。それだけは保証するよ」

 

 いや、ホントさ。暗黒大陸はマジでヤバいよ。出来ればもう二度と行きたくないと割りと本気で思うもの。

 

「そうか……すまない、少し熱くなってしまった」

 

「いや、別にいいさ」

 

 俺も家族や親しい友人が殺されれば、殺した奴を地の果てまで追い掛けて、(くび)り殺すだろうからな。気持ちはわからなくもない。

 

「もうひとつ聞いていいか?」

 

「なんなりと」

 

「幻影旅団について知っていることは何かないか?」

 

 まあ、やはりと言うべきか、それを聞いてきたか。はてさてどう誤魔化すべきか、そんなことをする義理も特にないのだが、クモとは知らぬ関係でもないので、あまり関係が悪化するようなことはしたくはないのだがな。

 

 普通の人間なら、別にそのまま教えてクモに送り込むぐらいしても、アイツらは暇潰しができたぐらいに対応して、殺した感想を俺に伝えてくるようなこともして来そうなものだが……この子はマズいな。

 

 それとなく推し測ってみたが、この子の才能なら、幻影旅団への復讐のみに特化すれば、壊滅は不可能だとは思うが、文字通りの意味で半殺し、あるいは半壊ぐらいには出来るのではないかという予想が立った。

 

 流石にそんな奴を送り込んだことがバレれば、未来永劫クモに恨まれそうなものである。

 

 とするとやはり、間違ったことは言わないが、聞かれていないことは答えないというのが正解か。

 

「もちろん、知っているよ」

 

「――!? 本当か!?」

 

「ああ、何せ俺の顧客の一人だ」

 

 そう言って俺はキャディバックから一本、オリハルコンの延べ棒を取り出して机の上に置いた。

 

 話を静観していた残りのメンバーで、それによって一番目の色が変わったのは、レオリオくんだった。

 

「お、おい……嘘だろマジか……まさかオリハルコンか……?」

 

「ご明察。純度ほぼ100%のオリハルコンだよ」

 

 まあ、これ一本で小国同士なら戦争が起こりかねない程度には貴重かつ高額な品なので、その反応も当然だろう。

 

「それがクモとどう関係が――」

 

「俺がオリハルコンの武器職人で、クモの団員の一人に売ったってことだ。残念だが、それ以上は話せない。こっちも商売でやってるから、顧客の個人情報を漏らすような輩は信用におけないからな」

 

 その言葉にクラピカくんは顔をしかめて閉口する。俺が商売人となればそれ以上の内容を聞き出すのは、ほぼ不可能だと気づいたのだろう。実力の差もわかっている様子であり、とても利口な子であることがよくわかる。

 

「おい、なんでだよ!? クモを庇うってのか!?」

 

「善悪や倫理観は関係なく、使ってくれる者のために作られる。そして、武器ではなく人が人を殺す。武器ってものは、本来そういうものだ。観賞用じゃないんだよ、俺の武器はな。だから仮に俺の武器で、俺を殺そうとする奴がいても、それはそれで素晴らしいことだと思うぞ」

 

「ぐっ……コイツ……本気で言ってやがる……」

 

 顧客を庇っているんじゃなくて、仕事に誇りを持っている。そう思って欲しいものだな。まあ、嘘はついてはいないし。

 

「それにクモにも作ったが、今キルアくんの親父さんにナイフを作っているんだぜ? 盗賊はダメで、暗殺者はイイってのは虫の良過ぎる話だろ?」

 

「本当なのかキルア!?」

 

「ああ、親父の趣味がベンズナイフ集めだからな。その延長線で依頼したんだと思う。オリハルコンのナイフなんてあれば仕事にも使うだろうしさ」

 

「…………それにしたって何か教えてくれたっていいだろ!」

 

 レオリオくんは感情に訴え掛ける人間のようだ。まあ、個人的には理屈っぽい者よりも、そういう奴の方が人間らしくて好きだな。

 

 ひとまずこの辺りで、言っても後でクモに言い訳の出来る情報を与えることが得策か。わざわざ協力して進む課題で和を乱すのも本意ではない。

 

「んー、そうだな。じゃあ、これだけは教えておく。アイツら、9月のヨークシンドリームオークションで、仕事をするらしい。デカいオークショニアを襲うのか、マフィアンコミュニティを血祭りにあげるのかは知らんが、何れにせよ、相当死ぬぜ?」

 

「――――本当か!? いや、それだけでも十分な情報だ。ありがとう」

 

「な、なんだよ……結局教えてくれるのかよ」

 

 二人ともそれなりに納得してくれたようなので、一先ずは一件落着だろう。そこまで考えたところで、会話に全くゴンくんが入って来なかったことに疑問を覚え、室内のゴンを探すと――。

 

 

「ふにゃ……」

 

「ク、クートさん助けて……」

 

 

 いつの間にか、ピトーにゴンが抱き枕代わりに使われており、若干首が絞まっていることに気づいた。どうやらゴンは寝ているピトーの脇を通り過ぎてしまい、引きずり込まれたらしい。

 

「お、おいゴン大丈夫か!?」

 

「くっ……なんて力だ! びくともしない!」

 

「うぉ!? なんだこれなんで動かねーんだ!? というか、起きろよ猫の姉さん!」

 

「Zzz」

 

 なんだこれ面白い。

 

 

 

 ちなみにその後、50時間の待機は、部屋の本棚あった本を読んだり、DVDを見て平穏に過ごして終えた。謀らずも、50時間でクラピカくんとレオリオくんとも仲良くなれた気もする。

 

 その後の三次試験は、普通にクリアできた。何せ、ゴロゴロ転がる岩はピトーがデコピンで粉砕するし、マルバツ迷路はピトーが勘で一度も行き止まりにならずクリアし、地雷つきの双六はピトーが好きで地雷をイチイチ踏みながらやっていたからである。課題レイプな気もするが、ピトーはスゴく楽しんでいた様子だったので何も言えなかった。

 

 そして、最後の別れ道――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「方法があるから、長く困難な道にして、装置を黙らせるニャ」

 

 長く困難な道と短く簡単な道を提示されると、とりあえずピトーが長く困難な道を提案し、全員がそちらを押す。

 

 その直後、ピトーは短く簡単な道の鉄扉に対してヤクザキックを放ち、扉を大きく陥没させて吹き飛ばしたのであった。

 

 そして、俺を含む全員が目を点にする中、ピトーは一言呟いた。

 

 

「この手に限る」

 

 

 これはあれだ。試験官に何か言われたら、待機部屋に置いてあったDVDに問題があったと言って押し通す他ない。決して、俺が"あれはマスターキーだ"やら"100%OFF"等とピトーに吹き込んだせいではないと思いたい。

 

 三次試験自体は2時間以上制限時間を残して、全員で通過することが出来たのだった。

 

 

 

 

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