感想や評価ありがとうございます。とても励みになります。毎日投稿しておりますが、ストックなどは特に作っていないので毎日書いております。まだ頑張れる気がしますので、しばらく続くと思います。
~トーナメント表の原作と比べた変更点~
・53(ポックル)→399(ピトー)
・191(ボドロ)→400(クート)
・その状態でハンゾーとピトーの位置交換(初戦がピトーとゴン)
「ベッドにゃあ!」
ポスッと軽めの音を立てて、ピトーは最終試験会場へと向かう飛行船で与えられた自室にあるベッドにダイブしていた。今度はちゃんと二人部屋である。
ピトーは猫らしく毛布やふかふかした場所で寝るのを好むので、無人島では砂浜でシートを引いて寝ていたので、言及はしていなかったが、ピトーなりに我慢したり、苦痛だったりしたのかも知れない。
「ふにゃ……」
すると案の定、すぐにピトーは眠ってしまったので、起こさないように毛布を掛けておいた。瞬時に寝れて、中々起きないピトーちゃんなのである。
『えー、これより会長が面談を行います。番号を呼ばれた方は二階の第一応接室までおこし下さい。受験番号44番の方。44番の方おこし下さい』
するとビーンズくんの声で館内放送が入る。どうやら目的地までピトーを寝かせ続けるわけにはいかないようだ。まあ、呼ばれるまでは寝かせておいてもいいだろう。
「みゅう……」
ピトーの側から窓辺にでも移ろうかとすると、眠ったままピトーは俺の手をそっと掴んできた。さらに尻尾がゆっくりと左右に揺れ、俺の体に触れては離れることを繰り返す。
動けなくなってしまったと思いつつ、仕方がないのでピトーの横に座って掴まっていない方の手で、ピトーの頭を撫でながら呼ばれるまで過ごすのだった。
『受験番号399番と400番の方。399番と400番の方おこし下さい』
………………あれ? なんか2人で一遍に呼ばれてないかこれ? まあ、いいか。
◆◇◆◇◆◇
「まあ、座りなされ」
「ニャ」
「失礼します」
飛行船にあった応接室は和室であった。応接室というより、応接間である。ハンター協会の飛行船ではあるが、ネテロ会長の趣味で内装がこうなっているのかもしれない。ネテロ会長はジャポン風というか、和風なところがあるからな。心Tシャツとか完全にそうである。
「参考までに幾つか質問するぞい? 二人に同じ内容を問う。まずは先に……クートくんからじゃ」
そう言ってネテロ会長は、まずは俺に目を向けた。
「まず、なぜハンターになりたいのかは、前に飛行船のラウンジで聞いた通りかの?」
「ええ、ピトーの付き添いですよ。まあ、強いて他に理由を挙げるなら、持っていた方が色々と便利で、仕事もしやすくなるというのもありますね」
「ほうほう。では、おぬし以外の8人の中で、一番注目しているのは?」
「無能力者の特に若い子達は本当に才能が溢れてて大したものだと思いますが、今の一番は44番のヒソカくんですね。彼は中々、見所があります。オリハルコンの武器を渡せるかどうか測るつもりですよ。丁度、昔作ったトランプがありますのでね」
「ほう……それはそれは。では最後の質問じゃ。8人の中で、今一番戦いたくないのは?」
「………………うーん、正直、一番というよりも、無能力者は、加減を誤って殺し兼ねないですから……ああ、でもその中で強いて言えば99番のキルアくんですかねぇ。万が一、殺したら、ゾルディック家と戦争になるかも知れませんし。その前にシルバは友人で顧客ですから、その愛息に手荒な真似はしたくないですね」
「なるほど、クート盗賊団残党と、ゾルディック家との血戦になると……世界的にはそっちの方が望まれるかも知れんのう」
「まあ、世界一粗暴なクズ集団と、世界一格式高いクズ集団の喰らい合いになりますからねぇ! ははは!」
少なくとも余波でパドキア共和国と、その周辺諸国が滅ぶな。もしくは、ジャポンとその周辺諸国。
「やっちゃ、ヤじゃぞ?」
「やりませんよ、そんなこと」
何の得にも利益にもならないことは、俺どころか
「ふむ、試験と関係のない、完全に個人的な質問なんじゃが、クートくんは何のハンターになる気なんじゃ?」
「うーん、無難なのはブラックリストハンター、次点で美食ハンターってところですかね。いまのところ興味があって思い浮かぶのは。まあ、ライセンスを取ってから考えますよ」
「ぬ? 美食ハンター?」
「昔から食べ物には少しだけうるさくてですね。1日3回しか摂れず、年で約1100回ほどの食事という行為。そのひとつひとつを少しばかり丁寧にするように、いつも心掛けているんですよ」
「主様のご飯、とっても美味しいニャ」
そのため、基本的に食事を抜いたり、適当に済ませることだけはしないようにしている。後は食材とかにも気を使って自炊しているな。技量の方は……比べられたことがないのでわからない。
そう話すと、"そういえばメンチくんも君らの料理を評価しておったのう"とネテロ会長が呟いていた。好きの横好きで美食ハンター直々に評価されるとは光栄なものだ。
「ほー、あいわかった。次はピトーくんじゃな」
「はーい」
「なぜハンターになりたいのかの?」
「ちゃんと戸籍をもって、主様と結婚して赤ちゃんが欲しいからだね」
ド直球過ぎてこちらが恥ずかしく感じるほど真っ直ぐに、そして全く恥ずかしさなどを見せることなく、ピトーはネテロ会長に言い切っていた。
「では、おぬし以外の8人の中で、一番注目しているのは?」
「もちろん、400番の主様ニャ! あ、でもゴンは嫌いじゃないよ」
「ふむ……8人の中で、今一番戦いたくないのは?」
「うーん、403番かな」
「ほう、その理由は?」
「だって、一番弱そうなんだもん」
ちなみに、一応ネテロ会長にも伝えておいたが、ピトーは俺よりも力加減が上手いので、無能力者と戦わせても、俺がしっかり約束すれば殺ってしまうことはまずない。
「あい、わかった。もういいぞ。お幸せにのう」
「…………ありがとうございます」
お幸せにという言葉に猛烈にくすぐったい気分を味わいながら、俺はピトーを連れて退出した。
◆◇◆◇◆◇
室内の闘技が行える程度には広いブースで最終試験は行われる。
そして、最終試験は1対1のトーナメント形式で行い、敗北した方が頂点に進んでいく。そして、最後に残った1名が不合格者になるとのこと。
また、ネテロ会長が無能力者にしていた説明だと、俺やピトーの場所が明らかにおかしい気がする。しかし、トーナメント表をよく見れば、俺は99番のキルアくんとは最後に当たらず、ヒソカくんと当たる可能性が大きくある。そして、ピトーは403番のレオリオくんとは最後にしか当たらない。そのため、面接のときの要望は聞いてくれているようなので、俺とピトーが異論を唱えることないだろう。
それよりもこの試験の意地の悪いところは、殺害したら即失格で"まいった"と相手に言わせなければならないところだろう。ここまで残った者がそう易々と言うわけもない。拷問に次ぐ拷問の嵐になりそうなものだな。最早、趣味が悪い。
トーナメント表を左から読むと、左のブロックが399、405、294、99、301。右のブロックが400、404、44、403。
そして、初戦は399番と405番。すなわち、ピトー対ゴンくんの試合である。
「行ってくるニャ主様!」
「ピトー、殺したら失格だから、殺っちゃダメだぞ?」
「わかってます。殺しはしないニャ」
「脳に異物を差し込んで、弄くり回して無理矢理"まいった"と吐かせ、試験が終わるまでは生かすようにするのもダメだからな?」
「……………………大丈夫ニャ」
「じゃあ、とりあえず手に持ってるその細長い針2本は俺に預けてから行こうな?」
「にゃー……」
危ねぇ……ゴンくんが、生き延びたとしても廃人になるところだった……。
最近、解剖学の本をたまに読んだりしていると思えば、ピトーがこんな妙な知恵を付けていたことを知り、喜べばいいのか、悲しめばいいのかわからん。
俺とピトーのやり取りに、ゴンくんとキルアくん以外の無能力者の方々が顔を青くしている中、ピトーはちゃんと針を俺に預けてから、ゴンくんと対峙した。
立会人が開始の合図をするが、ピトーは立ったまま体を一度大きく伸ばしてから、ゴンを見据えて口を開く。
「ゴン。僕どれぐらい手加減したらいい?」
それは明らかな侮蔑を含んでいたが、この場に置いて、ピトーの異常な実力を感じ取れていない者はいないため、俺を含む観戦者から声が上がることはなかった。
「いらないよ、そんなの!」
しかし、他でもないピトーと対峙するゴンからそんな声が上がった。何よりも澄んでいて真剣な眼差しをしており、本気で言っていることがわかる。
「ふーん……じゃあ、ちょっと本気になってみるけど――壊れないでね?」
次の瞬間、ピトーの全身からドロリとしたドス黒いオーラが沸き、それは濁流のように部屋一帯に押し広がった。当然、部屋にいる者全てがピトーの莫大で純粋なオーラに呑まれる。
俺ですら背筋に多少寒いモノを感じるそれは、無能力者なら体感的には唐突にマイナス数十度の世界に放り込まれるに等しいだろう。実際、残りの無能力者であるゴンの仲間たちとハンゾーくんは目を見開き、冷や汗を流しながらピトーに釘付けになり、呼吸さえもままならないほどの状態になっている。
まあ、問題はどちらかというと精神的な方で――。
「ひ――ひひ……ぎゃぁぁぁ!」
ちょうど、立会人の一人の念能力者だった黒服の男性がピトーのオーラに耐えきれず叫んだ。更に血が出ようと自身の頭を掻きむしり、最後には泡を吹いて倒れてしまった。助け起こそうにも、周りの他の黒服も程度は違えど恐慌状態に陥っており、まるで使い物にならない。
ハンター協会の人員のクセに精神の弱い奴らだなぁ……その程度で心が折れるようじゃ、念能力者失格だ。というか、俺の盗賊団では、まず俺のオーラに直接当てても問題ない奴を入団基準にしていたので、論外もいいところである。精神力のない奴に長期の研鑽は向かず、いざというときにも役に立たなくなるからな。
今回の試験官と受験者はピトーのオーラに直接当てられても、大多数は意識だけはしっかりと保っているため、皆素晴らしい精神をお持ちのようで、俺としてはとても関心を覚える。
ちなみに大多数以外の少数は、涼しい顔をしているネテロ会長。俺でおぞましいオーラには慣れているギタラクルモードのイルミくん。むしろピトーのオーラを浴びせられるのを嬉しそうに笑っているヒソカくんの三人だけである。
ヒソカくん有望だなぁ……あれぐらい精神が強ければ何をしてもされても、何が起きても大丈夫だろう。精神力というものも個人的には才能のひとつだと思っているので、大したものだ。
そんなことを考えていると、ピトーはオーラを収めた。その瞬間、解放されたゴンと無能力者たちはようやく息を吸えるようになったため、肩で息をしていた。
「な、なんだ……なんなんだ今のは……?」
「わかりやすい絶望の味ってとこかな? レオリオくん感想は?」
「生きた心地が……まるでしなかった」
ふむ、レオリオくんは才能面で他に比べれば少しだけ心配だったので声を掛けたが、無能力者でピトーのオーラを浴びた後にこれだけ言えるのなら大したものだ。本当にスゴいなぁハンター試験。皆才能の大粒の原石みたいだ。
キルアくんは――部屋の四隅まで逃げてるな。まあ、ゾルディック家の人間は色々と頑丈だから大丈夫だろう。
「はぁ……はぁ……!?」
「どうするゴン? まだやる?」
「――やる!」
「そっか……そっかー。にゃふふー」
そして、尚も目から全く意思を失わず、ゴンは息を整えてから構えを取った。それを見たピトーは嬉しそうに目を細め、片手をゴンに向けると掌を天井に向けて、2度掌を曲げて口を開いた。
「おいで、ゴン」
「行くぞ!」
その挑発と共に、ゴンがピトー向かって駆け出し、実質この瞬間から試合が始まった。