ユグドラシルが終わる。
サービス終了のそのときを、ナザリックで迎えたいと思ったモモンガこと鈴木悟は、ギルドメンバーに誘いのメールを送信した。

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タイトルはこっちの方がよいと思い、変更しました。
淫夢ネタではないので注意。


至高の114514人

 鈴木悟にとってユグドラシルとの出逢い、そしてその中での経験は、まるで夢の中のような出来事だった。

 

 天涯孤独──身寄りもなく、小卒で働く悟には、現実世界における展望も希望もない。

 アーコロジーの底辺、その暗い閉塞した環境で生きる悟には、ユグドラシルというゲームは、人生に射し込んだ一筋の光だった。

 

 しかし──────

 

 どれだけ楽しい夢であっても、いずれ醒める時が来る。

 

 隆盛を誇った大人気ゲームであるユグドラシルも、時を経るにつれて少しずつ廃れていった。

 運営会社も必死の努力をしたが、プレイ人口はだんだんと減り続けた。

 そしてついに、その日は訪れた。

 

──ユグドラシル、サービス終了

 

 公式の告知でその文字列を見たときの感情は、一言では言い表せない。

 

 悲哀、諦観、義憤、絶望、郷愁。それ以外にも様々な想いが幾重にも重なって、悟の心に押し寄せた。

 

 何かの間違いじゃないかと思うが、決して内容は変わらなかった。

 

 プレイヤーの一人──彼も悟と同じくユグドラシルを愛していたのだろう──が永劫の蛇の指輪《ウロボロス》を使い、運営にサービス継続を願ったが、それは叶わなかったと聞き、悟は絶望を深めた。

 

『長らくのご愛顧をしていただきまして──』

 サービス終了の告知の中での一文の通り、悟はユグドラシルを愛していたのだ。

 

 悟には、ゲームの中こそが現実だった。

 生きるために仕事をしなければならないが、許されるならずっとユグドラシルの中に居たかった。

 

 ゲーム開始すぐに、アンデットの種族を選んだ悟──モモンガは異形種狩りに逢い、PKされた。トドメを刺される直前にたっちみーさんが助けてくれなければ、本気でゲームを引退していたかも知れない。

 

 そうであれば、その後の悟、いやモモンガにとって何よりも大切な仲間たち。そして共に作り上げた栄光のギルド。アインズ・ウール・ゴウンは存在していなかっただろう。

 

 アインズ・ウール・ゴウン──そこに共に遊び成長した仲間たちは、モモンガにとって友人を越えた存在であり、もはや家族のような親愛を懐いていた。

 そしてさしずめギルドは自分の家庭であろうか。

 

 家族も居らず、配偶者は勿論、恋人もいない悟には、モモンガとして関わる人間関係の彼らギルドメンバーこそが、何よりも優先する存在だったのだ。

 

 だから、悲しかった。

 突然、我が家が無くなることが判ったのと同じく。

 突然、家族と引き離される運命にあると知ったのと同じく。

 突然、地面が崩れ、天地を喪い。自分が何処に立っているのかが解らなくなるような感覚を、悟は味わったのだ。

 

 無情にも刻々と時は流れる。

 時間を止めることは、ゲーム内における時間停止の魔法。《タイムストップ/時間停止》を修めたモモンガではあるが、ゲーム内のことならいざ知らず、現実ことには無力だった。

 悟には時間を止められない。

 

 一日。また一日と遺されたユグドラシルでの時間が過ぎ去り、とうとう最期の時──ユグドラシルのサービス最終日がやってきた。

 

 悟はせめて、最後の日をギルドのメンバーと過ごせないかと、メールで連絡を取る。

 

『ユグドラシルがサービス終了を迎えてしまうので、良かったらログインしませんか』

 

 もっと要求したいことはあった。

 

 文明よりも、遥かに強い感情があった。

 

 だが──迷いに迷った結果。悟が送ったメールの内容はそんな文面だった。

 

 悟にも分かっていたのだ。

 

 ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』は社会人のギルドだ。ということは皆には現実の生活──つまり仕事や家族といったものがある。

 

 無理強いすることは出来なかった。

 

 モモンガは最期の時を迎える場所に、やはりアインズ・ウール・ゴウンの居城。『ナザリック地下大墳墓』を選んだ。

 

 ナザリック地下大墳墓は10階層から構成される。

 そして、その第9階層。

 大理石のような廊下の先にある、大きな扉。それを潜った部屋の中に悟──モモンガはいた。

 

 部屋の中には、巨大な黒曜石の円卓あり、その円卓を囲むように据え付けられた豪奢な椅子にモモンガは座っていた。

 金と紫に縁取られた漆黒のローブの下に見える白い頭蓋骨。異形種族のアンデットである、リッチ系の最上位種族、オーバーロード。それが悟のユグドラシルの中での肉体だった。

 

 部屋の中に据え付けられた、時計の針が進む。

 その短針は既に天頂近くにきており、サービス終了の時刻──0:00まで残り僅かであると知れた。

 

(……もうすぐ終わってしまうんだな)

 

 オーバーロードの落ち窪んだ眼窩の中に揺らめく炎のような瞳はその時計を見つめていた。

 

 あと少しで、モモンガの──いやギルド『アインズ・ウール・ゴウン』の全てが終わる。

 短針と長針が天頂で重なり、0:00を指し示せば、ユグドラシルのサーバーが機能を停止させる。

 ユグドラシルの世界を創り上げているサーバーがダウンすれば、その時ユグドラシルにいるプレイヤーは強制排出されて、現実に戻るだろう。

 

 モモンガから悟へ。

 空想から現実へ。

 

 明日も朝4:00から仕事だ。

 

 だがそれまでは、この空想のもうひとつの現実に浸っていたい。

 モモンガは一つの案を思い付いた。

 第10層──アインズ・ウール・ゴウンの最奥の王座の間で、ユグドラシルという世界の最期《おわり》を迎えるのだ。

 良いアイデアだと思った。

 移動するには多少の時間がかかるが、時計の長針は、まだそれぐらいの余裕を残していた。

 

 だから、モモンガはその提案を。

 昔日のように、ギルドメンバーの皆で案を出し合った黒曜石の円卓で、それを取り囲む他のプレイヤーたち(・・・・・・・・・)に呼び掛けた。

 

 そのモモンガの提案は──

 

     『『『『『『おk』』』』』』

 

──大勢のギルドメンバーの賛同の声によって採用となった。




多数の転生者がアインズ・ウール・ゴウンに加入。
至高の114514人くらいいそう。それは置いておいても、原作の41人(モモンガ以外なら40)の数倍は居たでしょう。
転生者はユグドラシルプレイしてる者もしてない者もいる。ユグドラシルをプレイしてるからといって、アインズ・ウール・ゴウンに入ってるとは限らない。
そしてモモンガと共に異世界行こうという人間だけが最期の時を共に迎えた。『』数は沢山いると言う表現なので、多分彼らは百人以上いるでしょう。

ネタの元は、モモンガと異世界行った系のSS が増えまくってて、『これ全員集めたら至高の41人より多いだろ』って思ったからです。

転移先ではどうなるやら……。

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