休止 鋼鉄のレクイエム -双胴戦艦播磨出撃する!-   作:紅の1233

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後編 作戦名:超高速巡洋戦艦迎撃作戦

鎮守府正面海域

 

「あれがあの新しい戦艦?」

後ろを振り向いて播磨を見る敷波

「そうだよ、で私が見つけたんだ!あぁ司令官に褒められるかなぁ~♪」

「いいなぁ、私もたまには司令官に褒められてほしいなぁ」

その二人の光景を播磨は微笑ましく見ていた。

播磨達一行は無人島を後にして海鎮守府へ向かっていた。

その途中で輸送船護衛部隊と合流し共に鎮守府へ向かっているところだ。

現在の時刻は明け方に近い、とはいえ辺りはまだ真っ暗だった。

後ろを振り向くと木曽が私の監視役で、少し間隔を空けて追いてくる。

顔はまだ膨れっ面でいる。

珍しく天龍と意見が合わなかったことにまだご立腹の様子だった。

「フフフ♪」

その表情に播磨はつい笑ってしまった。

「おい!何がおかしい!」

木曾は怒ったが播磨はまだ笑っていた。

「フフフ、だってそんな可愛らしい顔をされたら思わず笑ってしまいますよ」

「か、可愛らしい///?!」

播磨の言葉に木曾は動揺し顔が赤くなり始めた。

「貴様おちょくってるのか!!」

「そんなことないですよ、うん?」

明るくなり始めた水平線近くで何か光ったように見えた。

「なにか...ぐっ!!」

播磨に強烈な頭痛がし、頭を押さえその場に座りこんでしまった。

「おい大丈夫か播磨!」

播磨の元へ木曽が駆け寄ろうとしたその時。

輸送船団の回りに複数の爆発と共に、水柱が立つ。

「砲撃、敵襲!敵襲!偵察艦隊は敵迎撃に向かうぞ!輸送船団は急いで湾内へ!」

天龍は急いで各艦に伝達をする。

「クソっこんな時に、おい敷波!」

「はい!」

「播磨は頼んだ!」

「了解!」

木曾と天龍は吹雪と雷、電を引き連れて迎撃に向かった。

うずくまっていた播磨は頭痛に混じって流れ込んでくる波長を感じた。

自分達と同じこの世界では異端で異色で異常な存在。

「この感じ...、“ヴィルべルヴィント”!!」

播磨は天龍達が走っていった方向を睨み付ける。

「播磨退避するよ、播磨?」

敷波が心配して播磨の元に来てくれた。播磨は立ち上がり敷波へ向く。

「敷波さん!私もあの戦闘に加わります!敷波さんは私より被弾した輸送船を心配して下さい!!」

敷波は止めようとしたが遅かった、播磨は水面を蹴り一気に加速して戦闘へ向かっていってしまった。

戦艦とは思えない加速に一瞬唖然としてしまった。

敷波は気を取り直して、被弾して傾き始めていた輸送船の救助に向かった。

 

天龍と木曽はお得意の接近戦でリ級?に一撃を与えようとしたが無駄だった、手に持った刀で斬り込もうと接近しても速力で振り切られる。一撃離脱を狙っても急な加減速で避けられてしまう。

こんな事は二人にとって始めてだった。

『撃てぇー!』

天龍と木曾、各駆逐艦から一斉に砲撃をする。

だがそのリ級?には一発も当たらない、夜間戦闘ってのもあると思われるが兎に角、的が速すぎる。

見越して射撃しても殆どが後ろに着弾してしまう。

向こうもこちらが見えにくくせいか、今の所一発も被弾していない。だが、何時かは当たるかもしれない。

「それにしても、不気味だなあの眼の光は」

「あぁそうだな、俺は始めて見る色だ」

天龍と木曾が言う通り今遠くを疾走するリ級?は紫色に光っている。

赤色や黄色は見たことあったが紫色は見たことがない。

その時リ級が砲をこっちへ向けたように見えた。

「危ない!皆散れ!」

そう天龍が命令しようとした時、リ級の周囲に水柱が立ち上がった。

自分達軽巡洋艦や駆逐艦とは違う大口径の砲弾が生む、大きな水柱。そして、あのリ級?に火が一瞬見えた。一発だが着弾したのだ。

一体だれが、そう思ったとき

「ありゃ、やっぱり20センチ砲じゃあ威力不足ですね」

気の抜けた声がした。

声の主は播磨だった。

「おい播磨!こんな所で何やってるんだ!」

木曾は怒鳴るがそんな事はお構いなしに天龍に寄ると

「天龍さん話があります!後木曾さん達にも!」

「播磨、悪いが今そんな余裕ないと思うが」

「いえそんなことありません。あれを見てください。」

播磨が指差す先では火災が発生したリ級?が、播磨達から離れていくのが見えた。

「あれ?逃げているわ」

「撃退したのですか?」

合流した雷と電の問いに播磨は

「いえあれは火災を消すための一時的な撤退です。」

答える、そこへ吹雪も合流する。

「じゃあまたすぐ戻って来るんですか?!」

「はい、一分もすれば戻ってきますね。」

『一分?!』

駆逐艦達は慌てるが、天龍は播磨の妙な自信ありげな顔に気付いた。

「播磨、さっき作戦って言ったよな?あのバカっ速のリ級を撃退出来るのか?」

「えぇ出来ますとも、作戦は...」

 

 

リ級?は火災を消化しまた輸送船部隊に突撃する準備をしていた。ここで輸送船団を沈め、その後ここから近い忌々しい艦娘共の本拠地、鎮守府を奇襲するのが使命だった。

闇夜に紛れ、与えられた新しい力で艦娘どもに一泡ふかせる。そう思っていたがここで邪魔が入った。

播磨の存在だ。播磨の存在が憎かった。

怒りに満ちたその紫色の眼で播磨がいた方を向く、そこには播磨が単艦でこっちに向かってくるのが見えた。

リ級?はニヤリと笑い、海を蹴り出した。

速度をどんどんあげていき真っ直ぐ播磨へ突っ込んでいく。

その時、播磨の両サイドから駆逐艦達が出てきた。

出てきた駆逐艦達が播磨の横に並ぶ、横隊の状態になると魚雷をばら蒔き反転していく。その発射された多数の魚雷は扇状に綺麗に拡がっていく。

これでは避けることが絶対に出来ない、どの方向に舵を切っても一発は被弾する。

リ級?は奥歯を強く噛み締めた。

今のリ級?の怒りは頂点に達していた。

リ級?は魚雷の当たらない場所、播磨と正面衝突する航路を取って両手に持つ三連装砲を播磨に向けて撃った。

だが播磨はショルダータックルをする体勢をとり、肩に設けた三連装砲を坊楯にしてガードする。

お次に魚雷を、と思ったが播磨の方が先に動いた。

「今!」

播磨は右手に持った20.6センチ三連装砲をリ級?の足に向けて連続で撃つ。

播磨はリ級?の足に設けた魚雷発射管をピンポイントで射撃し、爆発させた。

爆発によってリ級?の動きが止まった。

「今です!天龍さん!!木曾さん!!」

播磨の後ろから刀を抜いた木曾と天龍が最大速力で抜いていく。

行き足が止まったリ級?を挟み込む形で斬りかかる。

「おりゃあ!!」

「うりゃあ!!」

二人はすれ違い様にリ級?の手に持った三連装砲を切り落とす。

そこへ間髪入れずに播磨が止めを指す。

天龍と木曾が射線から外れたことを確認すると、肩に設けた51センチ三連装砲二基を発射する。その内四発がリ級に当たり体内に入り込む。そこで砲弾の時限信菅が作動する。

リ級?は大きな火柱に包まれあっという間に、海に滅した。

 

鎮守府

 

レンガ造りの鎮守府本部、その中央に位置する提督室。

その窓際に白色の士官服をマントのように羽織る人物がいた。

その人物は窓から見える水平線をずっと見ていた。

「失礼します」

ドアを開け中に入って来たのは本日の秘書艦、鳳翔だ。

「提督、気になって眠れなかったのですか?」

「ああ鳳翔さん、輸送船護衛部隊に被害が出たと連絡があっただろ。もう心配で心配で」

「だからって夜更かしはいけませんよ、休むのも大事な仕事なんですから。」

そう言って鳳翔は提督のいる窓際に行く。

目線の先には朝日と共にやってくる護衛部隊と偵察部隊が見えた。

一緒にやってくる輸送船の中には被害を受け傾いた艦もいたが、落伍した艦はいない。

「さぁお迎えに参りましょう。」

「そうだな」

提督と鳳翔はそう言って部屋を出て行く。

艦隊の中で一際眼を引く大きな艤装を持った見慣れない艦、播磨に出会うために。

 

超高速巡洋戦艦ヴィルべルヴィント:撃沈

播磨が倒すべき残りの超兵器の数:不明

 

『俊足の覚醒』ヴィルべルヴィント編 完

 

次回『恐れ知らずな影』


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