今回は本編中では叶うかわからないお話を書きたくて書き上げた次第でございます。
それでは、前置きはこの辺で本編の方どうぞ。
馴れ初め
——今思えば、事の発端はリサと共にファーストフード店に行った時の会話だったのかもしれない。
確かその日は約束してたとかそういうわけじゃなくて、単に学校からの帰り道で偶然出会いそのままの流れで一緒にファーストフード店へと赴いていた……って感じだったか。
それでお互いに頼むもの頼んで食事してる時だったかな。きっかけが起こったのは。
「洸夜ってさー」
「……ん?」
「好きな人とかいるの?」
「ブフォッ……ゲホッゲホッ!」
予想外の言葉に俺は飲んでいたグレープソーダが器官へと流し込んでしまいむせる。……どうでもいいけど、こういう時の炭酸ってマジで凶悪だよね。
「だ、大丈夫?」
「ダメかも……」
口元を拭いながら呼吸を整え応答する。どう見てもこの状態が大丈夫なわけないでしょ。いや、むせた俺が悪いんだけどさ。
「ていうか……いきなりなんだよ」
「いやー、なんか気になっちゃってさ」
「普通気にならないから」
余程のことがない限り、他人が誰を好きでいるかとか気にしないから。特に俺と彼女の場合は
「んー、確かにそうかもしれないね。それで、結局いるの?」
「それ即ち俺には答える義務しかないってことだよね?」
「うん☆」
あのね今井さん、『うん☆』じゃないよ。流石にそれはどうかと思いますけど? いくらなんでもあんまりじゃあありませんかねぇ? その、えっと、泣いちゃうよ?
「そしたら慰めてあげようか?」
「いや、仮に泣いたとしたらそれは貴女のせいだから」
そしてさらっと人の内心を読まないでください。というかむしろここまで読めてるんだったら言わなくともわかるんじゃないの?
「やっぱ本人の口から聞きたいなぁーと思ってね」
「貴女さては鬼畜なサドですね。サドで決まりですね」
ヤベェ、この青薔薇のベーシストヤベェよ。人のこと虐げて楽しんでるよ。なんでそんなことするの。
「洸夜だから?」
「え、なに、それは……」
「なんか洸夜だからいいかなぁと思ってね」
酷い。酷すぎだってばよ……やっぱ泣こうかな。
「慰めてあげるから教えて」
「なにその等価交換は……」
「交換になってるならいいでしょ」
深く溜息を吐いた俺は彼女が譲らないことを悟った。全く、諦めが悪いね……けど、それがRoseliaのメンバーである彼女の取り柄でもあるとは思ってるけどね。
「……好きな人は、今はいないよ」
「……そっか」
俺の返答を聞いたリサは何故か俺から視線を外していた。……なんか気に触ること言っちゃったのか、俺?
「どうかしたのか?」
「なんでもないよ」
首を左右に振りながら、俺の問いに応じるリサ。突然元気なくなると、なんか心配になるな……。まあでも……当人がそう言ってる以上どうしようもないし……。結局その日は、互いに無言のまま解散となった。
だが、この日を境にリサから遊びの誘いがよく来るようになった。不思議に思いながらもほぼ了承しリサと買い物に行ったりしてた。
それを数回程繰り返したとある時のことだった。
「ねぇ、洸夜」
彼女を荒川二丁目停留所まで送り届け帰ろうとしたタイミングで、彼女に呼び止められた。
不思議に思いながらも彼女の方へ向き直ると、西陽に照らされている状態でも分かる程頬を紅く染めた彼女の姿があった。
「……どうかしたのか?」
「洸夜はさ……アタシの事どう思ってる?」
恐る恐る、と言った具合で問い掛けてくるリサ。ふむ……どう思っているか、ね。
「そうだな、優しくて面倒見がいい人だと思ってる」
「そっか……」
返答を聞いた彼女はどこか寂しそうに胸を撫で下ろす。対する俺はそれを気にすることなく続ける。
「そしてなにより——俺にとって大切な人なんだと思ってる」
「え、それって——」
先程までとは打って変わり、驚愕の色を滲ませたリサは両眼を見開き俺を見据えてくる。そんな彼女の眼差しはほんの数瞬前に接していた時とは違い、とても愛おしく感じられた。
その事を理解すると同時に、自身の中で途方もない羞恥心が込み上げてくる。俺は、それを必死に堪え彼女が待ち望んでいるであろう俺自身の言葉を口に出す。
「——俺はリサが、好きだ」
言い終えたところで、自身の顔が激しく熱を帯びていくのを感じた。どうやら抑えていた羞恥心が限界を超えてしまったようだ。
暫しの後、伏し目がちになっていた視線を彼女の方へと向ける。すると、口元を両手で覆い涙を溢れさせた彼女の姿があった。
「リサ……?」
「アタシ……アタシもね……洸夜の事が……好き……」
言い終わるが早いか、リサは勢い良く俺に抱きついて来た。そして、俺の胸元に顔を埋める。
対する俺もまた、そっと彼女を抱きしめるのだった——
「——夜、洸夜ってば」
俺を呼ぶ声でハッとし、現実へと引き戻される。
「な、何?」
「もう、どっちが良いかって聞いたの」
首を傾げる俺に対し、不満気な顔を向けてくるリサ。あ、そういう顔も可愛いと思います……。
「……そうやって話を逸らそうとしないでよ」
両頬をほんのりと朱色に染めながら顔を背けるリサ。いや、あの、ですから……人の内心を普通に読まないでください。
「洸夜が読ませてるんじゃん……」
「どういう意味だよそれ。で、その、話聞いてなかったのはごめん……」
リサの発言に首を傾げた後、先程の件を謝罪する。これに関しては、聞いてなかった俺が悪かったからね。
「いいよ。それで、どっちが似合うと思う?」
「うーん、個人的にはその右手に持ってる奴かなぁ……」
直感的ではあるが、率直な意見を述べる。ていうか貴女、何着ても似合いますから。私が保証しますから。
「じゃあこっちにしよっと」
会計を済ませ俺達は店を後にする。そして、互いに手を握りながら帰路に着く。
「ねぇ、洸夜ー」
「どうした?」
「うーん、なんでもない」
言い終えた後、こちらに向け小悪魔の様な笑みを浮かべるリサ。そんな彼女の姿が、仕草がとても愛おしく感じ思わず笑みが溢れた。
「そっか」
短く返した俺は、細々とした煌めきを灯し始めた夕闇を見上げる。あの日と違い、陽が沈むのも早くなってきた。
などと思いながら不意に立ち止まる。その事に気付いた彼女も遅れて立ち止まる。
「どうかしたの?」
俺は首を傾げるリサの元に行き、彼女の腰に手を回しそっと抱き寄せる。突然のことに驚いている様子のリサだったが、すぐに抱き返してくる。
「急に来るから驚いちゃったよ」
「ははは、ごめんね」
「でも、嬉しい。ありがとう。これからも宜しくね☆」
「こちらこそ」
そう言って2人で笑い合う。確かにここに存在している幸福を噛み締めて。そして互いが離れた後、彼女が何か言いたげな顔を向けてくる。
「……どうした?」
「その、えっと……少し屈んで……?」
不思議に思いながらも言われた通りに行動する。その直後、俺とリサの唇が触れ合う。
予想だにしなかった出来事に俺の思考回路はショートする。え、うん、え?
「さっきのお返しだよ☆」
一歩前に出てこちらへと振り向いた彼女は、今日1番の笑顔を向けてくる。反則だよ、そんなの……。
「こりゃリサには敵いそうにないな」
軽く苦笑した俺は、再び彼女の手を握って星空の元を歩き出していった。
閲覧ありがとうございました。
書いた当人が砂糖を吐きたいがためだけに書いた文章なのですが……甘く描けていたでしょうか?それはさておき、楽しんでいただけたのなら幸いです。
では、この辺で。
見たいカップリングとかはありますでしょうか?
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リサ×ゆき
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蘭×モカ
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リサ×モカ
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りん×あこ
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そんなことより本編