えーっと大遅刻の美咲誕生日回でございます。
本編どうぞ。
——どこからともなく聞こえてきた音で目を覚ます。うーん……朝か?
重い瞼を開きながら、音の位置を探る。あれ……昨日どこに目覚まし置いたっけか……?
起き上がりベッドから出ると、おぼつかない足取りのまま音のする方向へと歩いていく。
「あった……」
音源を見つけた俺は、けたましく鳴る目覚ましを叩き黙らせる。昨晩の俺よ、いくら起きるためとは言えこんな事するのは流石に呪うぞ。
とは言え、目が冴えてきてるのは確かなので効果はてきめんの様だ。
大きく伸びをしながらベッドの脇のカーテンを軽く開け、向こう側の様子を伺う。
ふむ……カーテンが閉まってる辺り、まだ寝てるんだろうな。カーテンを閉じた俺は再度伸びをする。
「さーてと……準備するかな」
自室を出た俺こと星乃佑磨は、時期的に冷え込み始めた廊下の空気に身震いさせながら、身支度を整えるため下の階へと降りていくのだった——
身支度などを終えた俺は玄関にて靴を履いていた。おろしたての靴って少し履くのが大変だよな……よし。
少しばかり窮屈なスニーカーの紐を結び終えた俺が立ち上がった瞬間、来客を知らせる呼び鈴が鳴る。
鍵を開けた俺は扉を軽く開き外の様子を伺う。
「はい……?」
「遅い」
扉の先にいたのは少し大きめのパーカーにショートパンツを合わせ、ハーフジャケットを羽織りキャップを被ったほぼいつもの美咲の姿があった。
ごく一部——こちらに向けられた彼女の表情が普段と違い、冷たい視線であった。美咲さん、そんな目で私を見ないで。
「え、いや、時間通り……」
「へー……この天気の中、私の事を外で待たせておいてよく言えるね。しかも、誘って来たのはそっちなのに」
そう言った美咲の後ろでは、白く霞んだ景色と空から降り注ぐ無数の煌めき。そう、今日の天気は生憎の雨。
「あー、えっと……それは、ごめん」
「ふーんだ」
「ごめんって……」
頬を膨らませそっぽを向く美咲。こうなるとてこでも動かないからなぁ……。
「補填するから許して……」
「……考えておく」
短く返した美咲はそのまま俺に背を向けると、キャップのつばを掴み深く被り直す。……そういや美咲の奴、一緒に出かける時大抵あの帽子被ってるよな?
「ほら、行くんでしょ?」
「ああ」
思考を遮り頷いた俺は、ショルダーバックの位置を整え直し傘立てにあった水色の傘を手に取る。そして、その傘を開くと雨の中へ踏み出す。美咲もまた、灰色の傘を開き俺同様雨の元へと踏み出した。
「んじゃあ、天気悪いけど行こうか」
雨が奏でる音色に耳を澄ませながら、俺と美咲は本日の目的地であるショッピングモールへと向かっていくのだった——
ショッピングモールへ着いた俺達は、一つ一つの店舗を回った後昼食を摂った。そして現在、ほぼ全てを見終えどうするかを話し合っていた。
「さて……どうする?」
「あ、私手芸屋見て行きたい」
「ほいよー」
というわけで、美咲のリクエストにあった手芸屋へと向かう。
「結構広いな、ここ」
「うん」
久々美咲と一緒に手芸屋に来たな……。昔は良く行ってたけど、中学上がったくらいからは来た記憶がないな。
「今日は何を買いに?」
「針が折れちゃったから書い直しに」
「なるほど」
美咲の答えを聞き俺は納得する。そうだよな、手芸……特に美咲の場合は羊毛フェルトだから、針必須だもんな。
「あったあった」
「普段使ってるのと同じ型?」
「そ。買ってくるね」
そう言って美咲は手早く会計を済ませ戻ってくる。いやいや、流石に早すぎるでしょ。
「お待たせ」
「待たせるって程時間掛かってなくね……?」
「そう?」
「うん……まあいいや。帰る?」
「そうだね」
頷いた後、俺と美咲は帰路に着く。朝は降っていた雨は既に止んでおり、西日が煌めいていた。
「雨止んでるね」
「ああ。良かったよ」
西日を背に浴びながら家へと歩みを進めていく。今朝は天気が悪くて不安だったけど、晴れてくれてよかったよ。本当。
などと思いながら傍らの美咲へと視線を向ける。そして、不意とあるものに目が止まった。
「なあ、美咲」
「何?」
「その帽子、いつも一緒に出かける時被ってるよな」
「え、ダメ?」
「いや、ダメってわけじゃないけど……訳が気になって」
恐る恐る問いかけると、美咲はどこかバツが悪そうな表情をし帽子を深く被り直す。
「……から」
「え?」
「佑磨に……貰ったやつだから……」
消え入りそうな声で答えた美咲。西日に照らされる彼女の横顔を注意深く確かめると、頬から耳にかけて紅潮していた。
そうだった……今美咲が被ってる帽子は中学の時俺が彼女へ贈ったものだ。それを彼女は、ずっと大切にしていてくれたのか。
「ありがとな……大事にしてくれて」
「うん……」
頷く美咲に対し軽く微笑み、無意識に自身の上着のポケットに両手を入れる。そして、ポケットの中はしまっていた物の存在を思い出す。
「あ……」
「どうかしたの?」
「悪い、色々忘れてた。まず、誕生日おめでとう。それと、これ」
祝辞を手短に述べた俺は、リボンで口を閉じた小さな袋を彼女へ手渡す。
「なにこれ」
「誕生日プレゼント」
「開けてもいい?」
彼女の問いかけに対し無言で頷く。そして美咲は、リボンを解き中身を取り出す。
「え、ミッシェル?」
袋の中から出てきたのは
「しかもこれ、羊毛フェルトだ。佑磨が作ったの?」
「うん。久々で何回か失敗したけど」
頷いた俺は美咲から視線を逸らす。すると突然、美咲が俺の左腕を掴みポケットから手を引き抜くように上へと引き上げられる。
「左の絆創膏、そう言うことなの?」
「はい……」
露わになった俺の左手には、数箇所ほど絆創膏が巻かれている。いやね、久々過ぎてね、感覚がお亡くなりになられてまして……その針が刺さったんですよ。
「もう……ほんと佑磨は危なっかしいよね」
「えっと……ごめん」
「いいよ。それと、これありがとね。大事にする」
「そいつはどうも」
美咲の返答を聞き微笑する。ほんと、美咲もそう言うところ相変わらずだよな。
「ねぇ佑磨。目閉じてくれない?」
「……はい?」
しみじみと考え事してたら、突然こんなこと言われたんですけど。何するんですか。怖いんですけど。
「今朝埋め合わせしてくれるって言ったよね?」
「言った……言いましたね」
「そう言うことだから目閉じて」
渋々美咲の指示に従った俺は、目を閉じる。何があるんだろうなぁ……マジで怖い。
そう思った途端、自身の口元が何かに覆われる感覚が脳を駆け抜ける。
視覚を遮断しているが故に、普段よりも過敏に。
「……?」
不思議に思いながら、ゆっくり両眼を開いてみる。そこにあったのは、美咲の顔。それを認識した途端、思考が鮮明になり先程の感触がなんなのか理解し、顔が熱を帯びていく。そこから30秒程経った辺りで、彼女は触れ合っていた
「これで、朝の件は許してあげる」
「お、おう……」
現実味を帯びていない一連の出来事により頭の回らない俺はなんとも間抜けな返答をする。
「——帰ろ」
再び西日を背に浴びた美咲に手を引かれるようにし、俺達は再度家に向かって歩み始めた。その際微かに、彼女が笑った気がした。
その後1週間程、美咲がまともに顔を合わせてくれなくなりました。俺なんかした? 解せないんだけど。
閲覧ありがとうございました。
3日も遅れ大変申し訳ありませんでした。
次回の更新予定は、未定となっております。
最後に、美咲誕生日おめでとう!
見たいカップリングとかはありますでしょうか?
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リサ×ゆき
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蘭×モカ
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リサ×モカ
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りん×あこ
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そんなことより本編