神のみスピンアウト・ちいさなひみつのドクロウちゃん   作:猿野ただすみ

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めちゃくちゃお久しぶりです。


ドクロ5・まろんと隣のクラスの女の子

七香から駆け魂を追い出した翌日。舞島北小学校1年(おんぷ)組。給食のあと、お昼休みにそれは起こった。

 

ふわあぁ

 

「わあぁっ!?」

「体が、物が浮かんでるっ!」

「上手く動けない!?」

 

突然、校舎内のあらゆるものが浮かび上がる。何とかしようとジタバタしても、その場で手足を動かしているだけで移動が出来ない。

 

「岡田さん、タイヘン! 学校中のものが浮かびあがってるのっ!」

『浮かび上がる…。空中アクロバティックをするアイドルユニット、いける!』

「そうじゃなくって!」

 

まろんはまたもや、電話相手とどうしようもない会話を繰り広げる。

そんな中、ドクロウは。

 

(……向こうの方から、魔力を感じる。

でもこれ、瘴気ではない?)

 

そう思考したドクロウは、壁を蹴ったりしながら移動して、廊下の窓から外を見る。

 

(出所は、体育館…、の屋根の上?)

 

さすがにドクロウでも、そこが変わった場所なのはわかっていた。それでも放っておくことは出来ないと、ドクロウは急いで窓を開けて飛び出す。

すると、途端に身体は地面に引っ張られる。1階でなかったら、大けがをするところだ。

 

(影響は、校舎の中だけ…?)

 

 

 

 

 

体育館の裏までやって来たドクロウは、魔法少女になった時の感覚を想い描き、魔力の発動を試みる。すると、自分の身体を駆け巡る魔力を感じ取ることが出来た。

しかし、あの時のようには飛ぶことが出来ない。とはいえ、魔法少女への変身は、いざという時のためのもの。

屋根の上の何者かがどういう存在かわからない今、まだ変身するべきではないと、頭ではなく心が訴えていた。

そこでドクロウは、一杯までしゃがみ、勢いよくジャンプすると同時に推進力として魔力を放出した。それは驚くほど上手くいき、ドクロウは体育館の屋根に転がるように着地した。

屋上(そこ)には、ひとりの少女がいた。

年の頃なら16、7。露出度高めの黒を基調とした衣装の、長い金髪の右側をサイドアップにした、キツめの美少女だ。左肩には、小柄なフクロウが留まっている。

 

「あら、かのんじゃないのね」

 

少女が目を細め、ドクロウを見下ろしながら言う。

 

「かのん、さん? あなたはだれ? 学校に何をしたの?」

「フフ…、私はかのんのライバル、魔法少女のベル!

世界征服の足掛かりとして、まずはこの学校の重力を奪ってやったわ!」

 

ドクロウの疑問にババン! と答えるベル。

 

『ベル様の魔力では学校の校舎が精一杯だけど、本当は日本中の重力を奪ってるところだぞ!』

「黙れフクロウ!」

 

余計なことを言うフクロウ(使い魔)に、ベルはツッコミを入れる。と、そこへ。

 

「そこまでよ!」

「現れたわね」

 

屋根の上に舞い降りる、ひとりの少女。

 

「オンステージ・かのん100%!」

「遅いわよ、かのん! ずっとお子様の相手しなきゃならないかと思ったじゃない!」

「お子様? って、ええっ!?」

 

ベルの傍でペタリと座るドクロウに気づき、思わず声をあげるかのん。

 

「……あー、えっと、危ないからとりあえず、離れてもらえるかな?」

 

困ったという表情でかのんが言うと、コクリと頷き、ドクロウは移動する。

 

「……ベルは邪魔しないんだね?」

「……悪役なのは自認してるけど、さすがに小さい子を戦闘に巻き込みたくはないわよ」

 

どうやらベルは、悪役ではあっても悪人ではないようだ。

 

「それじゃあ改めて、いくわよかのん!!」

 

 

 

 

 

「さっきはすごかったねー。宇宙に行くと、きっとあんな感じなんだろうな」

「そうだねー」

「……」

 

昼休みも、もうすぐ終わり。ようやく落ち着いた教室で、こずえとまろんが仲良く話し、ドクロウはそれを黙って見ている。

結局屋上の戦いは、かのんが歌う「LOVE KANON」で勝負がついた。

そのあと。

 

---ドクロウちゃん、だね。話は聞いてるよ

 

---ドクロウちゃん、私が下まで降ろしてあげる

 

---じゃあね、ドクロウちゃん

 

こんな感じで、殆ど会話をすることもなく、かのんとは別れてしまった。

 

「ドクロウちゃん、どうしたの?」

「何か考え事?」

 

こずえとまろんが、ドクロウに尋ねる。

 

「え、あ…、何だか変わったことが起きる学校だと思って…」

 

かのんのことを話せないドクロウは、この間のはぐれ魂が起こした事件や今日のことを言った。

 

「あ、そうだね。夏休み前にも、みんながオンチになっちゃったこともあるし」

 

因みに、その事件を起こしたはぐれ魂は、ノビティアを虐めていたシャイアンである。

 

「ホントにね? 岡田さんだったらこっそりと、『あの学校、呪われてるんじゃないかしら?』とか言ってそう」

 

ノビティアの時に言っていた。

 

「……岡田さんって?」

「あ、岡田さんはかのんちゃんのマネージャーさん。親戚の私のことを気にかけてくれる、優しい人だよ」

 

ドクロウの疑問に答えるまろん。

補足を入れると、マネージメント能力に優れた有能な女性だが、それ故に思考が空回りし、ポンコツになるときがある。まろんとの受け答えが、まさにそれだ。

 

ガラガラ

 

「みんなー、授業始めるわよー」

 

藤村先生がやって来て、話はここまでとなった。

 

 

 

 

 

翌日。給食のお昼の放送で音楽を流し始めた、その時。突如として曲が途切れてしまう。

 

『あれ…、あれ…!?』

 

校内放送から、放送委員の戸惑う声が流れてくる。

 

「……どうしたんだろ」

「なんか様子がおかしいよね」

 

こずえとまろんが訝しんでいるその横で、ドクロウは既に異常を感じ取っていた。

 

(これ、昨日とおんなじ魔力…?)

 

ドクロウは昨日、体育館の屋根の上で出会った魔法少女を思い出す。

その時、屋上から激しい曲と歌が聞こえてきた。途端に、クラスメイトと先生が脱力して机に伏せてしまう。

 

「こずえちゃん!?」

「まろんちゃん…、体に、力が入らないよ…」

 

それを聞いたドクロウは、教室から飛び出して屋上へと向かう。当然そこにいたのは。

 

「あら、昨日の子じゃない。あなた、どうして私の力が効かないの?」

「そんなの、知らない。そんな事より、みんなを元に戻して」

「イヤよ。これが私の、世界征服への足掛かりになるんだから!」

 

昨日と同様、ババンと答えるベル。

 

『そんなこと言って何時も失敗するけど、今回は本当に凄いんだからなっ!』

「余計なこと言うな、フクロウ!」

 

そしてこの受け答えも、昨日と同じパターンだ。

 

「でも、すぐにかのんさんが…」

「残念だけど、それもないわよ。何しろこの辺り一帯の、私以外の歌や曲を奪ってやったもの」

「え…?」

 

ドクロウには、ベルの言ってる意味がわからなかった。

 

「あら、知らないの? 私やかのんは歌の力で変身しているの。だからこの範囲内では、かのんは邪魔できないって訳」

 

ドクロウは、使い魔が「今回は本当に凄い」と言ってた意味を理解した。確かにかのんが来なければ、ベルがいい様に出来てしまう。

 

「……それなら、私が何とかする」

 

しかし、ここには今、例外がある。

 

「何とかするって、あなた如きが私に…」

「魔法少女は、あなたやかのんさんだけじゃない」

 

そうベルに言い返すとドクロウは、心に浮かんだワードを口にした。

 

「天魔転装!」

 

その瞬間、ドクロウの体が光に覆われ、それが収まったときには13~14歳くらいの、エプロンドレスに似た衣装に包まれた少女が立っていた。

 

「魔法少女プロセルピナ!」

「な、あなたも魔法少女なの!?」

『ベル様! あの少女の力、ベル様やかのんとは、また違ったものみたいです!』

「急に普通の、魔法少女のサポートキャラらしいこと言ってんじゃないわよっ!」

 

ベルも使い魔も、ドクロウの突然の変身にてんやわんやである。

 

「……くっ、でも倒してしまえば同じことよ!」

 

言ってベルは、マイク型のステッキを口許まで持ってくる。

 

BLOODY(ブラッディ) FESTA(フェスタ)!」

 

---♪♪♪~

 

ベルの歌が魔力の衝撃波となって、プロセルピナに襲いかかった。弾かれ屋上から飛び出したプロセルピナは、慌てて飛行魔術を発動させる。

 

(……強い。あのフィ…何とかさんも強かったけど、この人は戦い慣れてる感じ)

 

三流悪役っぽい言動が多いものの、毎回策を弄し、かのんと渡り合ってきたのだ。技能云々は別にしても、経験的な強さは充分にあって当然だろう。

 

SHADOW(シャドウ) GIRL(ガール)!」

 

二曲目を範囲攻撃で発動するベル。威力は落ちるものの、確実に当てに来る。

 

(……くっ! 私は、戦うための技術も経験もない。……それなら)

「偽・証の鎌!」

 

プロセルピナは魔力で証の鎌のレプリカを創り、衝撃波を切り裂きながら一直線に、ベルへと突っ込んで行く。当然全ての衝撃波を無効には出来ないが、もとよりダメージは覚悟の上、そんなのはお構いなしだ。

 

「な、ちょっ…!?」

 

目前まで迫り、鎌を消して右手を振りかぶり。

 

裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)!」

 

再び心に浮かんだワードを口にし、拳を振り抜く。拳自体は当たっていないが、その魔力が隠った衝撃波によって、今度はベルが吹っ飛ばされてしまった。

 

「いったぁ…」

『マズいです、ベル様! あの攻撃力は、ある意味かのんと戦うのよりもヤバいです!』

 

使い魔がそう進言している傍から、再びプロセルピナが接近し。

 

裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)!」

「きゃあっ!」

裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)!」

「ひあっ!?」

裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)!」

「ノオオオオッ!」

 

吹き飛ばしては、ベルが体勢を立て直す前に詰め寄り再び吹き飛ばす、という格ゲーのハメ技の様な攻撃を繰り返すプロセルピナ。

 

(技術も経験もないなら、攻撃の隙を与えなければいい…!)

 

そう。これはあくまで、足りない部分を補うための戦法なのだ。結果、格ゲーで対戦相手に嫌われそうな状況になってはいるが。

そんな訳でこんな事を繰り返すうち。

 

「う…、き、今日の所は、負けを」

裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)!」

「へぷぅっ! 喋ってる途中で攻撃すんじゃない!」

 

ベルに突っ込まれ、攻撃を止めるプロセルピナ。

 

「改めて、今日の所は負けを認めてあげるわ! 憶えてなさいっ!」

 

そう捨て台詞を残して、ベルは立ち去っ(逃げ)て行ったのだった。

 

 

 

 

 

変身を解いたドクロウが教室に戻ると、みんな平静を取り戻し食事を再開していた。お昼の放送では音楽も流れている。

 

「あ、ドクロウちゃん、お帰りなさい」

「ドクロウちゃん、どこ行ってたの?」

 

まろんが声をかけ、こずえが尋ねる。

 

「えっと…ちょっと…」

 

聞かれたドクロウは言葉を濁す。この時ドクロウは、桂馬に言われた言葉を思い出していた。

 

---ドクロウ、魔法少女の正体は隠しておけ

 

---敵にバレたら変身前に狙われるかも知れないし、教えた相手にも危害が及ぶかも知れないからな

 

その説明になるほどと思ったドクロウだったが、それでは先程の変身は迂闊なものだったと言う事になる。しかし、何故かドクロウには、ベルにはバレても大丈夫だと、そんな気がしたのだ。

 

「ほら、ドクロウちゃん。今日は…今日も?変なことが起きて時間も少なくなったし、早く給食、食べちゃおう」

「……うん」

 

まろんに言われ、ドクロウは席に着き、残りの給食を食べるのだった。

 

 

 

 

 

お昼休み。給食の時間が押して短くなったものの、ドクロウはこずえとまろんに連れられて校庭へと出る。

 

「えっと、何して遊ぼうか」

 

どうやらこずえには、これといった目的はなかったようだ。

 

「うーん、そうだねー…」

 

まろんが思案に耽っている。と。

 

「いたわね、まろん!」

 

突如、まろんに向かって投げかけられた声。

 

「この声は…」

 

少し困った表情で振り返るまろん。こずえとドクロウも遅れて振り返る。

そこにいたのは、長い金髪の右側をサイドアップにした、キツめの可愛い女の子。

 

「……誰?」

「この子、となりの(ほし)組の子だよ。ベル・マーク・アツメって名前で、まろんちゃんをライバルって言って、よく突っかかってくるの」

(……ベル?)

 

こずえの説明を聞いて、考え込むドクロウ。

 

(魔法少女のベルさんと同じ名前? 顔も何だか似てる)

 

ドクロウはベルの顔をじぃっと見つめた。

 

「ち、ちょっと、何よあなた!?」

 

ベルは少し身を退きながら尋ねる。

 

「……ううん、なんでもない」

 

まさか魔法少女の事を口にするわけにもいかず、ドクロウはあっさりと退いた。

 

「……まあ、いいわ。あなた、名前は?」

「……ドクロウ。黒野ドクロウ」

 

ドクロウが答えると、ベルは顎に手を当てながら、ふぅんと頷く。

 

「そう。それじゃあドクロウ! 今日からあなたもライバルよ! 覚悟してなさい!!」

 

そう高らかに言うと、踵を返して立ち去っていった。

 

「な、何だったんだろ?」

 

こずえはキョトンとして呟く。

 

「……ベルが私以外をライバルって言うなんて。ドクロウちゃん、何かしたの?」

「……? さあ?」

 

まろんの問いに、ただ首を傾げるばかりのドクロウだった。




歩美「高原歩美と…」

メルクリウス「メルクリウスの…」

歩美・メル「あとがき代わりの座談会コーナー☆NEXT!」

歩美「……って、ホントめちゃくちゃ久しぶりじゃない!?」

メルクリウス「作者が【めがみ~な】を書いた勢いで、こちらも書き上げたみたいだね」

歩美「勢い任せって、まあ、いいけど…」

メルクリウス「さあ、それよりも説明をさっさと始めよう」

歩美「なんか、珍しくやる気があるわね? こっちも、まあいいけど。えっとまずは…、いきなり【マジカル☆スター かのん100%】から始まったね」

メルクリウス「これは前回の座談会で告知したとおり、鈴印・コネクト事ベル・マーク・アツメ登場回だからね」

歩美「ベルマークで鈴印、アツメ(集め)でコレクト…って、勉強が苦手な私でもわかる仮名なんだけど」

メルクリウス「そこは捻りすぎても意味がないからね。ともかく、これでドクロウとベルが初顔合わせしたわけだ」

歩美「次は…、おかしな事が起こる学校だって話から、かのんちゃんのマネージャー談義に入ったね」

メルクリウス「まあ、如何にポンコツか、というところに行き着いたが」

歩美「アレがなければ本当に有能な人だって、かのんちゃんに代わって一応フォローはしとくよ?」

メルクリウス「そして翌日、再びベルの襲来だ。今度はかのん対策で音楽を奪い、更にみんなの体の力を奪っているな」

歩美「で、予告通りドクロウが魔法少女に変身。でもベルの方が戦い慣れしてる…って、引き合いに出されたフィ何とかさん、扱いヒドくない?」

メルクリウス「歩美のそれの方が非道いと思うが。ドクロウの場合は耳にした程度だから、うろ覚えだっただけだね。歩美のそれとは違うよ」

歩美「う、正論で返されるとは思わなかった。……と、とにかく続きだけど、[偽・証しの鎌]ってどっかの投影武器かっ!…て感じなんだけど」

メルクリウス「パロディであるのは作者も認めてるよ」

歩美「まったく…。それでドクロウの技[裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)]だけど、これってホントは殴りながら放つものなんだって。ただ、それだと攻撃力が高すぎるから、当てずに放ってたみたい」

メルクリウス「因みにこの技、作者の別作品【特異点F ~元・ポンコツ悪魔の人理修復~】のディアナが使っていた、[神威の必罰(デバイン・パニッシュメント)]と本質は同じものらしい。違いは、本来は打撃技か、もとより放出技かって事くらいか」

歩美「使い回しかよっ!」

メルクリウス「いや、もうひとつあった。力の源が魔力か理力かの違いがある」

歩美「神か、悪魔かの違いかぁ」

メルクリウス「本来は[裁きの拳(ディバイン・ジャッジメント)]も、神側の技なんだけどね」

歩美「やっぱり意味ないじゃない!」

メルクリウス「まあ、それは置いておくとして、お昼休みにようやく登場したね」

歩美「無視されたっ!? ……まあ、いいけど。えっと、ベル・マーク・アツメの事だね。でも、正体隠す気あんのかな?」

メルクリウス「魔法少女のベルは、その正体は本名非公表のアイドル、ベル。この作品のオリジナル設定だけど、これで問題は無いはずだ」

歩美「うう、なんか釈然としない」

メルクリウス「リアルは所詮、クソゲーだから」

歩美「桂木みたいなこと言うなっ! ……もう、いいよ。えっと、それで次回だけど、まだハッキリと決めてないって」

メルクリウス「[攻略]に介入するか、[はぐれ魂]にするかで迷ってるらしいね。ただ、[攻略]の方は原作とは違う、代替ストーリーらしいけど」

歩美「女神全員、復活してるからね。とにかく、また時間が空くのは決定みたいだね」

メルクリウス「この作者では仕方がないだろ」

歩美「まあね。それじゃあ皆さん、またしばらくかかると思いますが、次回もまた御覧ください」

メルクリウス「……よし、これで心置きなく惰眠をむさぼれる」

歩美「やる気があった理由はそれかーーーっ!!」
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