希望の象徴 作:英雄願望
そして、漸く2桁に行けました。
脳無…………頭部の骨や肉が無く、脳が剥き出しになっている
ダメージが蓄積されていく。
「蛙吹さん!峰田君を連れて水中から逃げて!」
出久の発した声に蛙吹は峰田に舌を巻き付けて水中に潜る。峰田は突然水中に連れられ驚いているが、蛙吹により、あっという間に死柄木達から距離を伸ばす。出久はそれを確認して再度脳無に視線を戻す。
──速い上に重い…………これがオールマイトを倒す為の
出久は攻撃を受けながら脳無を分析していた。
しかし、案が浮かばない。敵は脳無だけじゃない。最低でも死柄木弔と黒霧が居る。3対1になったら負ける。しかし、幸いに2人は脳無の勝利を確信している為見ているだけ。
そうするうちにダメージが溜まる。出久は攻撃に転じながら策を練る事にした。
──確かに速いし、重い。だけど動きは単調、予測と勘のおかげで動きは読める。タダで殺られる訳には行かない!
結論が出た途端、脳無の右拳が攻撃が出久の顔面に迫る。それを出久は首を右に倒してギリギリで躱す。そこから、がら空きになった右脇腹目掛け、突きを放つ。
が、痛がるどころか微動だにしない。そのまま脳無は、左腕を後ろに回し、右腕と挟むように放物線を描きながら左腕が迫る。
出久は重力に逆らわず膝の力を抜き、避ける。すぐ後に脳無の両拳がぶつかり風が出来た。出久はその風の流れに従い距離を置いた。
「おい。脳無さっさと殺れ。」
脳無は更に速度を上げて出久に迫る。開いた距離が文字通り一瞬で縮まる。脳無はもう一度拳を作り殴りかかってくる。出久も咄嗟に左腕に右手を添える様にガードする。先程よりも完璧にガード出来たが、ダメージは先程の比ではない。ミシミシと左腕から不吉な音を出しながら後方へ飛ばされる。
凄まじい速度で飛ばされるがそれにより開いた距離を脳無は縮めて更に追撃。同じ攻撃を同じ場所へ再度。左腕はバキッ!と鳴り響きそのまま壁に激突。壁はクレーターの様に出久を中心に崩れた。
「ガハァッ!!!」
──痛い!左は完全に折れた!あれで素とか巫山戯るなよ!
「まるで、オールマイトを殺す為の
「これは驚いた。まだ生きてるのか」
死柄木は目を大きく見開きそう呟いた。
「攻撃しても手応えがなかった。個性か?」
「あぁ、脳無の個性はショック吸収だ。」
絶望とは、こういうことを言うのだろう。打撃耐性が高く、身体能力は異常。個性がない出久にとって最悪の相手だろう。
「おい、脳無トドメを刺せ。」
脳無が再度動き出す。死柄木の命令でしか動かないようだ。出久は壁を背にしていたが玄関ルームを背にした。そして、全く同じように右拳で今度は肋に迫る。
──打撃が効かないなら!地面にめり込ませる!
出久はしゃがんで避けて、突き出された右腕を右手で掴み折れた左手を上顎に固定して地面に叩きつけた。
その瞬間とてつもない違和感が生まれた。叩きつけた感触が生まれた瞬間、異常なまでに脳無が深く刺さった。そして、背後から右腕と後頭部を掴まれる。手の大きさからして死柄木弔では無いことは確かだ。正体は土埃が消えてからわかった。脳無は上半身が地面に叩きつけられてる様に見えるが脳無の腰あたりから黒いモヤが出来ている。これだけヒントがあれば分かる。出久を捉えたのは脳無だ。
「まさかとは思いましたが脳無の動きに対応するとは。流石は雄英のヒーロー科ですね。」
出久の事をヒーロー科の生徒と間違えてるようだ。出久が参加することが決まったのは3日前、
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
右腕と後頭部を、掴んだ手の握力がだんだん強くなってくる。
ミシミシ
ミシミシ
次の瞬間出久は激痛の中冷気を感じた。そして、それ以上握力が強くならなかった。出久は左手で右腕を捉えている指を引き剥がし、右腕が解放されると後頭部も引き剥がす。その瞬間振り向きつつ距離をとると、そこには手首まで凍った脳無の姿があった。その元凶は白と赤の髪をしたヒーロー科の生徒のようだ。
一応更に距離をとりつつ赤白髪の少年の元へ行く出久。そして、脳無は無理に動き凍った部分が崩れた。両腕と背中を失い、かなりグロい姿になっている。出久からは安堵が生まれた。しかし、それは糠喜びになる。
「ッチ!邪魔が入った。どいつもこいつも俺の邪魔ばかりしやがって!」
死柄木は怒りながら吠える。
脳無の細胞は分かりやすく蠢きどんどん傷を治していく。そして、数秒で失った両腕と背中が元に戻った。
出久は回復している内に脳無を凍らせた赤白少年の元へ向かった。
「お前らがオールマイトを殺る実行役とだけ聞いた。」
颯爽と現れたイケメンの赤白少年は追撃をするように死柄木に向かって氷を出す。
「脳無」
次の瞬間の脳無は死柄木の前に立ち氷を自ら食らった。
「ッチ!」
「残念だったな」
死柄木は笑みを浮かべた。
そして、同時に黒霧が向かってくる。
出久は地を蹴り迎撃しようとするが……
「退け!邪魔だデクー!!」
爆発と共に発せられた声の正体はもちろんお馴染みの爆豪勝己。そして、黒霧は地に伏せられた。
「スカしてんじゃねぇよ!モヤモブが!」
「かっちゃん!それに切島君!」
「よう、緑谷!」
と、赤髪の少年、切島が現れた。さらに、心操が走ってきた。
「緑谷!大丈夫か!?」
「心操君!僕は大丈夫だけど危ないよ!」
「大丈夫じゃねぇだろそんな腕してる奴が大丈夫なわけ無いだろ」
「それじゃあ、聞かないでよ!」
「それより状況は?」
「それよりって……
状況は最悪。あの凍ってる
「個性複数所持とかヤバいな」
「うん。」
「策はあるか?」
「うん。あるにはある。けど、この5人でじゃないと出来ない。」
「てめぇの策なんか誰がのるか!」
「かっちゃんはワープを押さえててくれれば良いよ」
「てめぇに言われなくてもそうするわ!!」
「俺はいいぜ!緑谷の策に乗っても!」
「俺はいい。俺は1人で倒す。」
勝己は兎も角。賛成2、反対1厳しい。倒す所か殺される。でも、
「ッチ、小癪な!」
「おっと、動くな。怪しい動きをしたと俺が判断したら爆発する。」
「ヒーローらしからぬ言動だな……」
と言いながらパチパチパチ爆竹のような小さい爆破を出している。切島は勝己の言動にツッコンでいる。
「てめぇはあの時に危ないっつたんだよ。物理無効人生なら危ねぇつーう発想がねぇんだよ!」
流石はかっちゃん。あの状況で黒霧の個性と弱点を出久よりも把握していた。これが本当の才能マンというのだろう。
「出口が捕まった。こりゃ、ピンチだ。」
焦る様子が全くなく、棒読みじみた発言。余裕が消えないって事は切り札はまだあるのだろうか。
「最近の子どもは凄いな。攻略された上にほぼ無傷。恥ずかしくなっちゃうよ
「脳無。爆発小僧を殺れ。出口の奪還だ。」
脳無は先程と同じように距離を詰め右拳で殴ろうとするが、それを黙ってみる程こっちも甘くない。
出久は勝己より前に出て脳無のパンチを正面から受け止めた。
「ウッ!!!ゲホゲホ!」
流石に片腕折れた状態で受けても威力は殺しきれなかった。だが、勝己に当たることは無かった。出久はすぐさま足を払い脳無の体勢を崩して、今度は両腕で右腕を持ち、投げ飛ばす。
「ハァ、ハァハァ……同じ手を何回も食らうほど馬鹿じゃないんだよ!」
「……見えなかった。」
「あぁ、俺もだ」
切島と赤白少年はそう呟く。それは心操も勝己も例外ではない。出久を除いてその動きに対応出来る者は居なかった。
「どういうことだよ。なんでお前が脳無を投げ飛ばしてんだよ。そいつは対オールマイト用の超高性能の人間サンドバッグ。ガキ1人にやられるわけないんだよ!」
「簡単だよ。この程度でオールマイトを倒すのは無理ってことだよ。こんなの僕でも倒せるよ。勿論個性なんか使わなくてもね」
嘘は言ってはい。だって、出久は使える個性がないから。
「舐めるなよ!クソガキが!脳無!アイツからころせ!」
「心操君!手だらけの男をお願い。個性使えばなんとかなると思う。」
「わかった。」
「切島くん!僕が脳みそ
「お、おう!わかったぜ!」
そう言っている隙に、脳無は迫ってくる。流石に何度も見てきた攻撃の速度に慣れてきた出久にとって反応するだけなら造作もない。脳無も学んだようでバカ正直に殴ってくるのではなく、両手を合わせてハンマーの様に振り下ろす、出久は右腕でハンマーの軌道を無理やり逸らし、ハンマーが空振り、地面を叩いた間に背後に回り羽交い締めをする。脳無のガタイがでかく、羽交い締めをするのはギリギリだ。脳無は抵抗するが、なんとか激痛に耐えながら切島が来て、2人で抑え、出久の指示で切島は出久と代わるように関節技を決めて両腕を押さえる。出久は折れた左腕に負荷がかからないように足元を押さえる。
そして……
「今だ!こいつを凍らせてくれ!」
出久の言葉に不満ながら個性で脳無を凍らせていく。
「切島君!離脱して!君まで凍る!」
「分かった!」
どんどん凍る中、両腕が凍り始めてから切島に離脱の指示をだす。そして出久も氷で動きが止まったのを見計らって離脱。そこから赤白髪の個性の出力が上がり先程と比べ物にならないほどの大きな氷塊ができた。
そして、
「対オールマイトとか聞いて呆れるな。あんなんで本当に倒せるとか思ってたのか?ヒーロー甘く見すぎだろ。」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇ…………」
死柄木に対して、心操の挑発。死柄木は言動を見る限り、精神年齢が実年齢より幼いようだ。心操の初見殺しの個性と安っぽい挑発で動きを止める事に成功。万が一脳無が氷塊から出てきても司令塔を潰せばただの人形と化す。
「…………なんとか、成功したみたいだね。ありがとう切島君にえっと……」
「轟焦凍だ。」
「ありがとう轟君。」
「死柄木弔!返事をしなさい!死柄木弔!!」
黒霧は必死に訴えかけるがまるで反応がない。
そして……
BOOOOOOOOMB
「動くなぁ!」
勝己に個性で押さえられる。
「今の間に相澤先生を安全な所へ運ぼう!」
「あぁ。」
「俺も手伝うぜ!」
そして、相澤先生を運ぼうとした、その時……
「……ハハハハハ。まさか生徒にやられるとは想定外だよ」
不気味な笑みが聞こえた。内容からして
「凄いね。まさか脳無がこんな形でやられるとは思いもよらなかったよ。素晴らしい」
突如空中に黒い液体が発生した。
その中から出てきたのは趣味の悪いマスクを被ったスーツ男だ。
「だけどね。こんな所で捕まる訳には行かないんだよ。だから返してもらうね。」
次の瞬間その男の指が黒く染まり勝己目掛けて突き刺さった。
「がぁぁぁぁぁ!!!」
肩に直撃した。それも、脳無並の速さで。そのまま空中に飛ばされる。
黒霧が解放された。
「すみません。私が付いていながら」
「気にする事はないよ黒霧。僕たちの予想より雄英の生徒達が強かっただけだ。」
そういいながら、男は死柄木の元へ向かう。
「これは、個性か……面白い。これじゃあ弔が止められるわけだ」
男は死柄木を揺さぶる
「……!先生……」
「軽い衝撃で解除されるのか……オールマイトにはあまり意味がなさそうだね」
「先生……俺……」
「いいよ。弔。失敗は誰にでもある。次気をつけたらいいんだよ」
そして、脳無に近づく。出久はそうはさせないと突っ込む。
……が、しかし
「遅いよ。君では僕を止めることすら出来ない」
再度指が黒く染まり出久に迫るが、出久は間一髪かすり傷で抑え、男に突っ込む。
「驚いた。今のを躱すか……だけど、僕はそれだけじゃないよ。」
次の瞬間、殴られた。
まだ、攻撃圏内に入っていないのに腹に強い衝撃が走る。
「衝撃波……中々便利だね。この個性」
出久は為す術もなく吹き飛ばされる。出久から反応がなくなった。そして、男が氷塊に触った瞬間氷塊は砕け、脳無は無傷でそこに立っている。
「今、あの子たちを倒してもオールマイトには、やられるだろう。なら、暴走するかもしれないけどやってみよう。」
そういい、男は指を脳無の中に入れた。
「筋力増加」
そう呟いた。すると脳無のガタイが大きくなり、各部位の筋肉も大きくなった。
「おぉ!成功か!」
「先生、これでオールマイトは確実に殺れるのか!」
「さぁ?これからの事に確実なんて確認しようがないからね。だから、今回は退くよ、弔」
「はぁ?なんでだよ!あのガキどもを殺さないと気が済まない!」
「それはまた今度だよ」
黒霧がワープゲートを開き、その中に死柄木とスーツの男が入ろうとする。最後に
「脳無。ここにいる人間を殺せ」
その発言に反応した轟と切島は個性で黒霧を倒してゲートを再び閉じようと試みるが……
「無駄だよ」
そう告げると出久同様吹き飛ばされた。
そして、今度こそスーツの男は黒霧と死柄木と共に姿を消した。 心操もその強さに動けなかった。そして、全員戦闘不能になってしまった。しかし、脳無は止まらない。吹き飛ばされた出久の元へ歩き出す。先程までとは打って変わってゆっくり、一歩づつ
そして、辿り着く。左手で持ち上げ、上に軽く飛ばし、落ちてきた所を殴り飛ばす。ガードも受け身も取れず壁に激突、出久の反応はない。タダ血を流し続けるだけ。
それを玄関ホールから見ていた生徒達は悲鳴を上げ、青ざめていた。相澤先生はボロボロに倒され怪我も酷い。時間は短いけれど轟と勝己の強さはA組のトップレベル。それをみんな理解していた。なのに簡単に倒され、出久からは血が流れる。とても無惨な光景だった。ヒーローがやられ、A組のトップレベルもやられる。生徒達はどんどん恐怖に染まっていく…………
その時、玄関ホールの扉が派手に壊された。先程まで、殺される恐怖を抱えていた生徒達からは一気に安堵が生まれた。壊したのは知らぬ者が居ない恐らく世界有名人ランキング1位を飾る人物。それと同時にヒーロー界のトップに君臨している平和の象徴と呼ばれている男。オールマイトが立っていた。
「もう大丈夫。何故って?
私が来た!!!!」
何時もと違い、その顔は怒りに染まっていた。
オールマイト登場!!!!!
ですが、原作のように、轟や爆豪、切島が辿り着く前の雑魚処理戦を乗せた方が良かったかな?と思いつつ書きませんでした。ですので、今後、原作のここはちゃんと書いて欲しいという所がございましたらコメ欄にてお待ちしております!!!
ご指摘、ご感想、いつでもお待ちしております!!!!