希望の象徴 作:英雄願望
今回でようやくUSJ編が終わります!
ご指摘、ご感想、お待ちしいますのでなんでもいいのでください!
「もう大丈夫。何故って?
私が来た!!!!」
そう、聞こえた気がした。朦朧とした意識の中で微かに捉えたオールマイトの声。幼少期から動画で何千何万と聞いてきた声。視界が赤く染まり、ボヤけている為、幻聴かどうかも区別できない。
唯、言えることは脳無の視線が自分ではなく、玄関ホールに向いている事。もし、アレが幻聴ならばみんなが危ない。
出久は思考を巡らせ、体を動かそうとするが動かない。体に動けと命令するが動く気配は全くない。そして、出久の視界は赤でなく黒に染められた。
──全く、己に腹が立つ……
後輩たちがどれだけ頑張ったか……
だからこそ言わねばならない…………
「もう大丈夫!私が来た!!!」
オールマイトの登場により、生徒達は嬉しさを通り越して泣いている者もいる。逆に、残っていたチンピラ共はオールマイトに対して構える。
しかし、攻撃する間もなく一瞬で見渡す限り、全ての
──すまない、相澤君……
腕に……顔も!……
脳無は来て早々のオールマイトをずっと見つめていた。攻撃するでもなく、逃げるでもなく。ただひたすらに見つめていた。
その間にオールマイトは、相澤先生と勝己、轟、切島、心操を抱えて玄関ホールの階段の傍に場所を移した。
「気がついてる者は早く出口へ!相澤先生や他の生徒を頼む。意識がない早く!」
心操と肩を負傷した勝己に衝撃が来た瞬間に硬化で体を硬め何とか意識を保った切島は何が起こったのか理解が追いついてないかった。
「お、オールマイト!?」
切島が驚きつつ指示に従おうとする。心操も勝己も今の状況ではかえって邪魔になると判断し指示に従う。
脳無は自分と漸く目が合い口を曲げた。声は出ていないが笑っているのだろうか。今まで感情や意思を示さなかった脳無だが、無理やり与えられた個性の影響か否か感情というには悍ましい何かを抱いていた。
「CAROLINASMASH!!!」
オールマイトからの攻撃。脳無は避ける所か碌に防御すらしようとしたない。オールマイトは確かな手応えを感じたが、脳無の体は1ミリも動いていない。
そして、脳無の反撃。筋力増加も相まってオールマイトを除いて視認できる者はプロヒーローでも僅かだろう。オールマイトも避けるのが精一杯で距離をとる。
「マジで、全然効かないな!」
「DETROIT SMASH!!!」
「TEXAS SMASH!!!」
次々に攻撃を入れるオールマイト。だが、
「お、オールマイト!!そいつは、“ショック吸収”と“回復系”の個性、それに多分、“筋力増加”の複数の個性を持っています!」
心操は、出久から教えてもらった情報と趣味の悪いマスクの男の発言から、脳無の個性を話す。
「ありがとう少年!ならば!」
オールマイトは再び脳無に迫り、殴る。当然先程と同じ様に脳無は動かない。が、反撃が来る前に再度殴る。1発1発確実に脳無の体に打ち込んでいく。脳無は本能と言うのか、はたまた勘と言うべきかすぐさま反撃に転じる。狙うはオールマイトの左胸……心臓だ。どんなに強くても人である限り心臓が潰れると死ぬ。脳無はショック吸収を利用して攻撃を無視して殴るが、当たったのは心臓ではなく、オールマイトの拳。対抗するように脳無もだんだん拳を打つのが速くなっていく。そして、拳と拳のぶつかり合い、それで出来た衝撃は出口付近にいる生徒達まで届いた。
その攻防が続くこと約40秒勝負が見えてきた。オールマイトの方が脳無に攻撃を当て始めた。
「ショック吸収……無効ではなく、吸収ならば!限度があるんじゃないのか!
私対策、私の100%を耐えるなら!……さらに上からねじ伏せよう!!」
そして、脳無は攻撃を辞めさせられた。すぐさま防御に徹しようとするが、もう遅い。オールマイトの攻撃は一撃を加える毎に威力が上がっていく。そして、オールマイトの言ったようにショック吸収の限界を迎えた。
「
その瞬間オールマイトに殴られた脳無は真っ直ぐオールマイトに殴られた方向へ飛んでいく。
そして、脳無より早く脳無の進行方向に立っていた。
「
そして、オールマイトの拳が脳無を捉えた瞬間物凄い爆風が発生し、脳無はUSJの天井を突き破り空の彼方へ飛んで行った。
「ショック吸収がなかったことになった……」
「究極の脳筋だぜ……」
「これが、プロの世界のTOP」
心操と切島に勝己はオールマイトの戦いを近くで見た。今の自分たちでは足元にも及ばないプロの世界。
「ハァ……ハァ……今回の
オールマイトは先程倒した脳無のことについて考えていた。今思えばおかしな所がある。思考をめぐらせようとするが、まずは生徒たちの安全保障が先。そう思い行動に移そうとした。
「死ねぇ!!!オールマイト!」
ずっと隠れていた
「ぐぎゃぁぁぁ!!」
銃声が、鳴り響き
「来たか!」
オールマイトは笑みを浮かべ視線を変えた。その先には……
「1年A組飯田天哉ただいま戻りましたぁ!!」
委員長が帰ってきた。その背後には教師を連れてきていた。
「おそくなったね。今動ける者をかき集めて来た」
校長の言葉も響く。それからは一瞬。各地に散らばったチンピラ共は瞬く間に拘束された。半分忘れられた出久も回収された。
「なんてこった……」
「これだけ派手に侵入されて逃げられてるなんて……」
「完全に虚をつかれたね。それより今は生徒たちの安否だ。」
──活動限界が近い……生徒達の無事を確認したらこの場を離れよう……
「大丈夫ですか!オールマイト!!!」
──切島少年!?なんて素晴らしい心の持ち主!
だが、今はまずい!!限界が近い、万が一戻ってしまったら……
「待っ……!!」
オールマイトが言葉を発した瞬間地面が粘土のように盛り上がった。
「うわぁ!?」
「生徒の安否を確認したいからゲート前に集まってくれ。けが人はこちらで対処する」
「そりゃ、そうだ!ラジャっす!」
「助かったよセメントス」
「私もあなたのファンなので。このまま姿を隠しつつ保健室に向かいましょう」
「あぁ。」
〜???〜
「クソ!脳無の信号が切れた。オールマイトに負けたのか、あのガキどもに負けたのか!」
「恐らく、オールマイトだろうね。彼らの動きを見る限り個性を追加した脳無では赤子同然だろう。」
「クソ!クソがァ!!」
「悔やんでも仕方ないよ。今回のは見通しが甘かった。次に行かせればそれでいいよ」
〜USJ〜
「17、18、19……うん。
生徒達は安堵しつつ、お互いの状況を話し合っていた。
「やはり、皆の所もチンピラ同然だったのか」
「餓鬼だと舐められてたんだ俺たち!」
そんな中、蛙吹は刑事に尋ねた。
「相澤先生は……」
「両腕粉砕骨折、顔面骨折
幸い、脳系の損傷は見受けられません
ただ……眼窩底骨折が粉々になっているため目に何らかの後遺症が残る可能性があります」
「だ、そうだ。」
刑事は携帯電話をスピーカーにして生徒たちに聞こえるようにした。
「ケロ……」
聞いた本人は絶句していた。
「13号の方は背中から上腕にかけて裂傷が酷いが命に別状なし。」
「オールマイトも負傷こそしているが保健室で間に合うそうだよ。」
「あ、あの、緑谷君は?」
名前の上がらない事に不安になりお茶子は問うた。
「緑……あぁ、彼か……」
刑事は今までとは違い深刻そうな顔をした。
「正直彼が1番酷かった。全身打撲に頭蓋骨骨折、肋骨3本。背骨にも罅が入ってた。それに、大量失血に加え、両腕骨折。特に左腕……骨が原型を留めることなく粉々になっている。治るかどうか分からない。もし治っても以前のように動かせるとも分からない。生きているのが不思議なくらいだよ。取り敢えず、リカバリーガールに診てもらい、判断を仰ごうと思う。」
「え?……」
「嘘だろ?」
「本当さ。助かった所で以前のように動けるとは限らない」
皆絶句しているなか、お茶子は悲惨な事実を叩きつけられ泣いていた。心操も出久の事をこの中では誰よりも知っている。今まで貶された個性を出久は笑ってヒーロー向きだと言ってくれた。ヒーロー科に落ちて普通科に入ったが、今思えば出久と同じクラスになれたのが良かったと思う。だからこそ悔しい。出久に助けられっぱなしでいざと言う時に体が動かなかった。
「アイツが……緑谷がいなかったら今頃俺たち全員死んでたんだ!俺たちを助けてくれたんだよ!」
「……だからといってどうすることも出来ないよ」
「俺たちを助けてくれたんだよ!」
心操は必死に訴えかける。
「リカバリーガールに任せるしか我々ができることは無い……」
そう言われ、静かになった。
それから、脳無を見つけたり、セキュリティーの大幅強化の話だったり
そして、警察は雄英の捜査の許可を貰っていた。
このことで学校は急遽1週間の臨時休校となった。
保健室では
勝己は肩に穴を空けられていたがリカバリーガールの個性により穴は塞がった。しかし、塞がっただけで治ってはないので勝己の調子を見ながら後日個性を使い治すという。流石はリカバリーガール。後遺症も残らない完璧な処置だ。
「彼は行きましたか?」
「あぁ。行ったよ」
布団の中から出てきたのはやせ細ったオールマイトだ。これが本当の姿らしい。普段からは想像できない骸骨のようなやせ細った体だ。
「事情が事情なだけに小言も言えないね」
「それで?この子は……酷いねこれは」
リカバリーガールも一目で状態が深刻なことがわかる。
「取り敢えず私の個性で……と思ったけどそうはいかないみたいだね……」
「どういうことです?」
「まだ、休む訳には行かないので。それで?その少年は?」
「顔見知りかい?」
「はい。少し」
「左腕の損傷が酷いね。このまま治癒を行ったら完全に左腕は使い物にならなくなるね。それに、血を流し過ぎているから、体力も殆どない。そんな状態で個性なんか使ったら間違いなく死ぬね」
「まずは左腕骨の摘出と輸血だね。」
「そんな事をしたら、左腕が!」
「安心しな、摘出した後に専用の糊剤を使ってくっつける。上手くいったらこの子自身の治癒力で骨が元に戻る。体力が回復したら私の個性を使って治りも早くなるよ……だけど、靭帯の劣化が激しすぎる。骨を治したところでこの子の左腕はもう使い物にならないかもしれないよ」
「……私がもう少し早く着いていたなら……」
「こればっかりはどうにもならないねぇ〜」
それから、警察の人がきたり、事情聴取をしている間にリカバリーガールは出久の手術に当たった。専用の機材や、薬品は近くの病院から拝借している。
雄英は市内の病院と連携することで正確な処置を学校で行えるようにしている。
代わりに、病院側の患者に異常事態が起きればリカバリーガールが診察し、個性や医術を駆使して患者を治すようにしている。そうする事でお互いがお互いを助け合える関係を築いている。
そして、個性だけでなく医者としても一流な彼女により後遺症も最低限に抑えた。
それから3日後……
「……ん……ここは?」
「おや?目が覚めたのかい?保健室だよ」
「……!?
目が覚めた瞬間、意識を落とす前のことを思い出し、ベッドから起き上がろうとする出久に激痛がはしる。
「まだ、怪我が治ってないんだから安静にしなきゃいかんよ」
「で、でも……」
「安心しな。生徒の負傷者は君だけさね。オールマイトが
「はぁ、良かった」
そのことが聞けてベッドに身を任せた。
「目が覚めたってことはある程度体力も回復してるだろうし、個性使うよ」
「あ、はい、お願いします」
チュ〜〜〜〜〜
次の瞬間、痛みがどんどん引いていった。細胞がざわめいているような感覚に襲われ、不思議な感覚だった。
「凄い……治ってる!けど、なんか疲れたような……」
「私の個性は治癒力の活性化。治癒ってのは体力がいるんだよ」
「あと、あんたの左腕の事だけど」
「わぁ!凄い!あんなにボロボロだったのにきれいさっぱり傷が治ってる!」
「え?ちょ、ちょっと見せてみな!」
「あ、はい」
言われたように左腕を差し出す。リカバリーガールは驚きながら左腕を調べた。
「治ってる……」
「リカバリーガールのお陰ですね!
ありがとうございます!」
おかしい、本来どれだけ治癒力を活性化してもあくまで活性化するだけで回復するとは限らない。ましてや劣化した靭帯なんて治癒力を活性化させたところで治るもんじゃない。なのに、出久の劣化した左腕の靭帯は殆ど無傷になっている。他にも少しの治癒力を活性化しただけでほとんどの傷が治りかけている。
この少年がこういう系統の個性だと思い、簡易的に調べてみだが、個性因子が見当たらなかった。
──無個性は本当の事だろう。よく良く考えればこの子の素の治癒力が他の比べて高すぎる。個性じゃないならこれは……
「あ、あの……」
「ん?なんだい?」
「時間も時間ですし帰ってもよろしいでしょうか?」
そう言われ時計を見ると21時を過ぎていた。
「あ、あぁ。傷もほとんど回復してるし問題ないだろうさね。夜だから気をつけて帰るんだよ」
「あ、はい!ありがとうございました!」
出久は帰る支度をして自宅へと足を運んだ。
「え?3日も経ってる!?授業どうしよう!」
臨時休校のことを知らない出久は翌日雄英に足を運んだが、無駄足になることを今は、まだ知らないのである……
出久ボロボロですね……
主人公補正強い気がしますがまぁ、いっか!次回からは
いよいよ体育祭編ですね!
組み合わせとか色々考えてないので更新遅くなるかもしれませんがよろしくお願いします!!!
それではまた次回!